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第026房 如空が選ぶ名勝負 (2005/10/20)

 

GAORAで放送されていたウィンブルドンのダブルス中継を全て録画したがまだ全てを鑑賞しきれていない。今年の全仏のWOWWOW中継、全英シングルスのNHK中継の録画も未チェック試合がある。全てDVD化して保存してあるがすべて鑑賞し終わる日は来るのだろうか。8月もマスターズシリーズが二つあるし、末には全米が始まる。次から次へと未チェック試合の録画が溜まっていく。
去年の全仏前にケーブルTVに加入してWOWWOWで放送されるグランドスラム二週間分とGAORAで放送されるマスターズシリーズの準決勝と決勝を見られる環境になった。しかし、さすがに量が多すぎて全てをチェックしきれない。WTAの試合もGAORAで見られるし、デビスカップ・フェドカップもJスポーツで中継されるようになったが、それらは録画しないようにしている。そうしないと録画の量が膨大になって整理しきれないからだ。

ケーブルTVに加入するまでは地上波のみでテニス鑑賞していた。WOWWOWでの中継やATP最終戦のマスターズカップを見たいと思っていたがいろいろ事情があってケーブルTVに加入するが遅れた。それまでは地上波で放送されるグランドスラムの第二週目を食い入るように見ていた。録画してビデオが擦り切れるまで何度も繰り返して見た。今年年頭にビデオ・DVD・HDのコンパチーブルレコーダーを購入したので1999年からの膨大なビデオテープのコレクションをDVDにダビングしてコンパクトにした。ビデオテープ→DVDへのダビングは高速化できない。半年かけてダビングをようやく終えた。おかげでテニスを鑑賞するようになってからの5年間、溜め込んだテニス中継の録画をダビングしながら再鑑賞する羽目になった。思い出の試合を再び見ることができ、感慨深いものがあった。

如空がテニスを始めた年が1999年、同時にプロの中継を見るようになる。最初に見たのはTV東京系列で放送されていた全豪オープンだったが、そのときはまだテニスのルールも完全には把握していなかった。それほど興味も惹かれなかった。自分でテニスをするほうがよっぽど楽しかった。如空をテニス観戦オタクに引きずり込んだのは1999年の全仏オープンだった。あの衝撃はいまだに忘れない。1999年全仏オープンは女子決勝がグラフ対ヒンギス、男子決勝がアガシ対メドベデフである。そう、如空をテニス観戦に引きずり込んだのはヒンギスとアガシだった。グラフとの壮絶な死闘の末、観客のブーイングの前に自滅していく若き女王ヒンギス、とても悲しく残念な試合だった。そしてその心の中のモヤモヤを翌日吹き飛ばしてくれたのがアガシの復活劇だった。一時はランキングを100位以下に落としてから這い上がってきた元No1、全豪・全英・全米を征していないがら全仏だけは2度までも決勝で阻まれた29歳、髪の毛が薄くなり始めキャリア晩年といってもいい段階で掴んだ三度目のチャンス。しかし、思うようなテニスができずいきなり二セットダウン。今年もだめなのか、やはりアガシは全仏を取れないのかと誰もが思ったところから見事な大逆転、フルセットの末にメドベデフを破り全仏優勝を遂げ生涯グランドスラムを成し遂げたのだった。勝利の瞬間自分のコーチ陣に拳を突き出し、泣きながら何度も小さくうなずく、そして涙を拭かずにコートの中央に進み四方の観客席に対して感謝の投げキッスとお辞儀をする。TV解説の松岡修三も泣いていた。土曜日に少女を襲った悲劇と日曜日にもう若くはない男が成し遂げた偉大な勝利、なんと対照的な、そして心揺さぶられる人間ドラマだろう。テニスって面白い。それ以降、如空はTVでテニス中継があるとそれを食入るように見るようになった。
しかし、この1999年の全仏決勝はその後何度も録画を見ることはなかった。ヒンギスの敗北は辛くて見ていられないし、アガシの逆転劇もテニスの試合内容自体は波がはっきりとしすぎていてあまり面白くなかったからだ。

アガシの試合でフルセットマッチの名勝負としてはその半年後の1999年全米オープン決勝対トッド・マーチン戦の方が断然面白い。サーブ&ボレーを駆使して生涯最高のパフォーマンスを発揮する同い年のマーチンにアガシは大苦戦、しかし、冴え渡るリターンとアップテンポなラリーで何度もピンチを乗り切り、最後に打ち勝った。見事な勝利だった。

ここ五年ばかりのあいだでのアガシの名勝負といえば2001年の全米オープンQFでの対サンプラス戦がよくファンの間では取りざたされる。3-1でサンプラスの勝利で終わるこの試合は4セットともサービスダウンなし、4セット連続のタイブレークだった。両者とも集中力を切らすことなくお互いに自分のテニスで激しく争った緊迫感あふれる勝負だったが、試合内容自体は単調でシーソーゲームとまで行かないので如空はあまり面白いとは思わなかった。

何をもって名勝負というかは難しいが、その試合を二度以上見て、なおかつ興奮させてくれる試合が名勝負と言うのではないだろうかと如空は思う。そういう意味で何度も繰り返し録画を見た試合というのはやはり限られる。

アガシの試合の中で如空が最高の名勝負と思い、何度も繰り返し録画を見ているのが2000年2001年と連続してウィンブルドンSFで当たった対ラフター戦である。この二人、1999年のSFでも当たっているので実は3年連続ウィンブルドンSFで対戦したことになる。だが1999年の対決はアガシが一方的にストレートでラフターを下した。翌年、ラフターは様々な対アガシ対策を実行し、フルセットの末アガシを下し、翌年もフルセットの末勝利する。この二試合は当時ツアー中最高のネットプレーヤーと最強のベースラインプレーヤーが、お互い世界最高レベルの技術を発揮して、競い合った名勝負だった。当時最高レベルのサーブ&ボレー・チップ&チャージにこれまた当時最強のリターン&パス・ストロークが対抗する。ため息や歓声が出るようなスーパープレーの応酬が続く。スコアも一進一退、流れが二人の間を行ったり来たりして、最後の瞬間まで勝利の行方がわからないシーソーゲームだった。「面白い試合とはこういうものだ!」といわんばかりの名勝負。ネットプレー対ベースラインの勝負の中ではベストマッチだ。

 

対ネットプレーヤーでのベストマッチがラフター戦ならば、ストローク戦でのアガシのベストマッチはなんと言っても2004年全豪SFの対サフィン戦である。切れそうで切れない、集中しつづけるサフィンの豪打を相手に、真っ向打ち合いを挑み2セットダウンからセットオールまで押し戻す。あれほどのハードヒットの応酬はそう見られるものではない。そしてこれがアガシが輝いた最後の試合になるようで少し寂しい。

クレーの上での名勝負を挙げるなら、2000年全仏SFのクエルテン対フェレーロ戦だろう。赤土の上のストローク戦としては最高だと思う。このとき初めて見たフェレーロが格好良かった、無茶苦茶格好良かった。終始クレバーな表情を崩さない。スクエアのサイドステップで前後を移動して浅いボールも深いボールも同じ打点で打つ。鋭いスピンが迫撃砲のようにコートのライン際に突き刺さる。相手を動かしオープンコートにボールを叩き込む。クレーで勝つにはこうするのだとアピールしているようだ。解説の松岡修三は第二セットが始まったときに語った。「第一セット、このフェレーロのプレーをじっくり見させてもらいましたけどね・・・・・・手ごわいですね。このまますんなり終わりませんよ!第一セット落としましたけどね、『ああ、大丈夫、自分のプレーをしていれば問題ないよ』って感じですかね」
松岡氏の予想通りフェレーロは終始自分のテニスを貫き、第二・第三セットを連取、クエルテンを追い詰める。しかし、そこからクエルテンが粘りのラリーとここぞというときのサービスエース・バックハンドダウンザラインで喰らいつき、最後にゲームをひっくり返した。これぞ赤土の上の名勝負と言える好試合だった。

スコアがフルセットにまでもつれず、ストレートで終わっても、何度も見てしまう素晴らしい試合というものはある。それは敗れた方のプレーヤーがハイレベルのプレーをしつつも、勝者がそれを上回る圧倒的な強さを発揮して見ている者を魅了してしまうのだろう。

サフィンがサンプラスを破った2000年の全米決勝、そしてヒューイットが同じくサンプラスを破った2001年の全米決勝、この二試合はまさにサフィンとヒューイットがそれぞれ自己の最高のパフォーマンスを発揮してサンプラスを圧倒した見事な試合だった。特にサフィンの方はサフィン自身がその後、この試合における最高のパフォーマンスを再現することに固執し自らスランプに陥るほどの素晴らしい内容だった。

芸術的なまでに素晴らしいプレーで相手を圧倒し、観客を魅了した試合の最高峰はといえば、やはり2003年ウィンブルドンSFのフェデラー対ロディック戦にとどめをさす。フェデラーの試合をまともに見たのはこのときが初めてだったが、そのときの衝撃はいまだに体全身が覚えている。とにかくこの試合のフェデラーは完璧だった。強くて、臨機応変で、何よりも美しかった。この試合の録画を何度見たことか。試合中NHKのアナウンサーがそのプレーに興奮して何度も叫んでいた。特にフェデラーが短くなったボールを低い打点から見事なフットワークと独特のフォアハンドスイングでクロスに決めて第二セットを連取したとき、
「第二セットもフェデラー!第二セットも完璧な内容!!笑うしかないといった感じのロディック!!!。」
とNHKのアナウンサーが絶叫していた。その声はいまだに耳に残っている。解説の福井氏も「もう、フェデラー見事です。」「もう、フェデラー完璧です。」「もう、素晴らしいですね、フェデラー。」と絶賛の言葉しか出ていなかった。今のフェデラーのプレーはサーブとフォアハンドが強くなりすぎて、それだけで試合に勝ってしまうので試合内容は少し退屈である。この頃のフェデラーのテニスは、まだ今ほどサーブもフォアも強くなく、強さという意味では現時点よりやや劣るのだが、その分多彩な攻撃オプションを駆使して格上とみなされていたロディックを攻め立てる、見ていてとても面白く、華麗で、興奮する素晴らしい試合を見せてくれたのだった。サーブ&ボレーにチップ&チャージ、ロディックのビックサーブにはブロックリターンで封じ込め、ビックフォアの逆クロスはバックハンドスライスで防ぐ。すきあらばサーブからでもベースラインからでもウィナーをねらい、さらにミドルコートからネットへ連続攻撃で展開していく。あらゆる場所・あらゆる場面であらゆるショットを駆使してコートを縦横無尽に動き回る。緩急自在、防御と攻撃が表裏一体でどんなピンチもしのいで見せ、どこからでもいつからでも攻めてくる。「これがテニスの醍醐味だ」という華麗なるプレーを存分にコート上で見せてくれた。体操選手やフィギアスケートの選手、あるいは舞台上の演奏家や役者のごとく、自分のプレーをコートの上で披露して観客を魅了する。これこそがプロの試合であろう。
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人間ドラマとしてテニスの試合を見る時、選手の心の中の葛藤が見ているものに伝わるかどうかポイントになる。そういう意味では2001年ウィンブルドン決勝のゴラン・イバニセビッチや2004年全仏決勝のコリアはドラマの主役を演じているといえる。サーブインフォーザマッチをダブルフォールトで落とすビックサーバーイバニセビッチ、彼は勝ちびびり状態だった。心の中で必死にプレッシャーと戦うゴラン。弱い自分の心を必死に奮い立たせて最後に勝利した瞬間は感動的だった(DVDはこちら
またコリアはセットをリードしたところで足の痙攣発生いうアクシデント見舞われる。しかし、ここで彼はあきらめない。第4セットを捨てて時間を稼ぎ足の回復を図り、不完全な足のままでも第5セットに全てをかけて挑み、マッチポイントを掴むところまで肉薄した。敗れはしたものの、最後まであきらめずに勝利を目指す姿勢は心打つものがあった。

今年は全豪がサフィン対フェデラー戦を筆頭に好ゲームが数多く生まれ、ここ数年では最高のグランドスラムトーナメントになった。また春からはナダルの台頭により、マイアミ決勝ローマ決勝ローランギャロスSFなどの名勝負が生まれた。

これからも何度も見たくなる名勝負に出会っていきたいものだと、DVD化された録画コレクションを見ながら思う


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