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第096房 2009年 MS上海・パリ大会 TV観戦記 (2010/03/03)

 

2009年10月13日 秋の祭典2009 西へ

秋の大東亜戦線が燃える。
今季のATPツアーのスケジュール改革の目玉、アジアシリーズのクライマックス、それがマスターズ1000シリーズ第八戦上海大会で ある。中華人民共和国の上海市で行われるアウトドアハードコート大会(メイン会場は開閉式の屋根あり)の第一シードはナダル、以下ジョコビッチ、デルポト ロ、ロディック、ツォンガ、ダビデンコ、ヴェルダスコ、シモン、ソダーリング、ゴンザレス、モンフィス、チリッチ、ステパネック、ロブレド、ハース、フェ レールとシード勢が続く。エントリーランキングNo1フェデラーとNo3マレーが欠場である。それゆえに今季のマスターズシリーズの中でもとてもユニーク なドローになった。トップシードのナダルはハードコートの上ではまだ万全ではない。チャイナオープンに続いてジョコビッチが有利と思うが、ジャパンオープン優勝のツォンガの高いレベルでの安定度が不気味だ。その他にも有力選手目白押しである。面白くなりそうだ。
GAORAでは今週末MS上海大会の準々決勝・準決勝・決勝を生中継、来週頭にHPオープンを録画放送してくれる。熱戦を期待しよう。

 

2009年10月16日 MS上海2009QF

デルポトロがダウンし、ロディックが棄権してしまったMS上海大会、QFでベスト8が激突した。

2009ATPマスターズ1000第八戦上海大会QF
ダビデンコ 61 46 61 ステパネック
ロペス 76 63 ソダーリング
ジョコビッチ 63 26 62 シモン
ナダル 63 36 途中棄権 リュビチッチ

GAORAが気合を入れて4試合全て生中継してくれた。録画したが全てを見切れていない。だって平日の昼からだぜ・・・・しかもベストオブ3セットマッチとは言え4試合連続だもんね。で、金曜日の夜はとりあえず、もっとも競ったジョコビッチ対シモンだけまず観戦した。
シモン、いい感じに復活してきているじゃないか。クロスのショットがフォアバック共に強い。ジョコビッチが押されていた。第一セットこそ集中してジョコ ビッチが取りきったが、第二セットはシモンの緩急の「急」のショットにかなりやられていた。またシモンはネットにも隙あらばすぐ出て、ジョコビッチにプ レッシャーをかけていた。これが効いていた。山場はファイナルセットの序盤だった。この最初の4ゲームはブレーク合戦だった。お互いにサーブの調子が悪い わけではない。ストローク戦に持ち込んだ末の連続ブレークの応酬であった。お互いに集中力を高めて臨んでいたが、それでもミスも多々あった。ジョコビッチ は途中で一度切れて、コートの中央で何度もラケットをコートに叩きつけてラケットをへし折っていた。だが先にキープに成功したのは一度切れたジョコビッチ の方だった。そしてそのままゲームを連取してファイナルセットをジョコビッチは?ぎ取った。
ジョコビッチの足を止めてウィナーを奪うストローク力、シモンは見事なテニスを展開した。来季以降楽しみである。だがこの試合に関してはやや詰めの甘さを感じた。そこを克服すれば、更なる飛躍を見込めるだろう。
さてベストSFはジョコビッチ対ダビデンコ、ナダル対ロペスである。ダビデンコとジョコビッチは去年の最終戦上海マスターズカップでラウンドロビンと本選 決勝で当たっている。去年の再現となるだろうか。そしてナダルとロペスは同郷スペイン対決である。ハードコートでのナダルの復調振りを確かめるよき試合に なりそうだ。土曜日もGAORAがSFを生中継してくれる。熱戦を期待しよう。

 

2009年10月17日 MS上海2009SF

第二シードジョコビッチダウン!ナダルは勝ちを拾う。

2009ATPマスターズ1000第八戦上海大会SF
ダビデンコ 46 64 76 ジョコビッチ
ナダル 61 30 途中棄権 ロペス

両者共にミスが途中から増えた、しまりのない序盤戦であった。後半より久しぶりにダビデンコの高速ストロークが相手を振り切るシーンを何度も見る。強いと きのダビデンコはこのパターンに相手を巻き込む。ジョコビッチの固いディフェンスに何度もミスを重ねながらもついダビデンコは突破した。ファイナルTBは 7-1でギアを上げたダビデンコの圧倒であった。
ロペスはサーブ&ボレー、チップ&チャージを多用する今時珍しいネットプレー主体の選手であるが、この日、序盤よりネットダッシュで足を引きずるシーンが 多く、彼が足に問題を抱えているのは明らかだった。第二セット途中で試合を止めた瞬間、やはり棄権するかと思った。彼自身、このような大きな大会でSFまで進出したのはあまりない経験だっただろうに、惜しいところである。ナダルはこれで二試合連続相手の途中棄権で勝利を拾ったことになる。
さて決勝はナダル対ダビデンコである。調子の波の激しいSFのダビデンコ、決勝では高いレベルで安定させないとナダル相手では苦しいだろう。ナダルは QF・SFとも消化不良のまま決勝に勝ち上がってきた。体力は温存できただろうが、試合感覚の面からこの二連続棄権劇は吉と出るか凶と出るか微妙な感じで あろう。
さあ秋のツアー、アジアシリーズのクライマックスであるMS上海も決勝である、更なる熱戦を期待しよう。

 

2009年10月18日 ダビデンコ強し 2009MS上海大会決勝

ア ジアシリーズ好調、この大会QF・SFでフルセットマッチの連戦を勝ち抜いてきたロシアのダビデンコ。対するは戦線離脱からの復帰後初の決勝進出、この大 会QF・SFで相手のリタイヤで体力を温存しながら勝ちあがってきたスペインのナダル。ここまでの歩みが対照的な両者が去年までのマスターズカップの会場 であった上海でぶつかった。

2009ATPマスターズ1000第八戦上海大会決勝
ダビデンコ 76 63 ナダル

第一セット第三ゲーム、ダビデンコがナダルのサービスゲームをブレークした。GAORA解説の辻野隆三氏は今日のナダルはクロスボールが短くなりやすく、 そこをダビデンコがライジングでストレートに叩いていることがダビデンコ優位の原因であると指摘している。またナダルはダビデンコの早いテンポを嫌ってス ライスや中ロブを混ぜ、緩急によりラリーのペースを落とうとするが、ダビデンコは揺るがなかった。相手を崩せないなら、自ら攻めるしかない。ナダルがコー トの中に入って打ち始めた。受けて立つダビデンコ、壮絶な打ち合いが始まり、ナダルがポイントを先行する。乱打戦の応酬の末、ナダルがついにブレークに成 功した。4-4となり、お互いにギアが上がる。5-4とした第十ゲーム、ナダルはセットポイントとなるブレークポイントを握るが、ダビンデンコはそこをし のぐ。高いレベルでのキープ合戦が続き、6-6、TBに突入した。ダビデンコはセット終盤からネットに出る回数が増えてきた。ダビデンコは男子選手にして は珍しいバックハンドボレーも両手打ちの選手である。TBの最初のポイントも見事なバックハンドハイボレーを決めて、ミニブレークスタートを切る。ナダル がミニブレークを一つ返してタイにする。2-2でダビデンコのバックハンドダウンザラインが決まる。ダビデンコ再びミニブレークでリード、ここでダビデン コはいい展開でポイントを重ねて5-2とする。ダビデンコはミニブレークを更に重ね、6-3とし、最後はバックハンダウンザラインを決めてTB7-3、ダ ビンデンコが第一セットを先取した。
第二セット2-2で第五ゲーム、ナダルはブレークポイントを握るがダビデンコが長いラリーを制して切り抜ける。その次の第六ゲーム、際どいボールが続けて ダビデンコに味方し、0-40、トリプルブレークポイントを握る、一度目は逃れたが、二度目は打ち負け、ナダルのバックがラインを割り、ダビデンコがブ レークに成功した。レベルの高いストローク戦が展開される中、試合は進行し、5-3第九ゲーム、ダビデンコのサーブイングフォーザチャンピオンシップスを 迎える。マッチポイントでナダルのボールがラインを割った。ナダルはチャレンジシステムを利用する。しゃがみ込んで祈るように画面を見つめるダビデンコ。 判定はアウト、第二セットは6-3でダビデンコ連取、ストレートで優勝を決め、このマスターズ1000上海大会の初代チャンピオンとなった。
QFでステパネック、SFでジョコビッチ、決勝でナダルを連破して見事なダビデンコの優勝であった。持ち前の高速ストレートはいつも以上に凄みを増して、 ナダルにもジョコビッチにも打ち勝った。この勝利は大きな財産となるだろう。ナダルは完全に復調しているわけではないが、その手ごたえは感じていることだ ろう。まだ今年の年間No1は確定していない。残るMSパリ大会、そしてロンドンのツアー最終戦マスターズカップには元通りにナダルのテニスを取り戻して くるだろう。ナダルの今後にも期待である。
実力がありながら、フェデラーやナダルに頭を抑えられて、マスターズシリーズの優勝までなかなかたどり着けずにいるダビデンコが久しぶりにマスターズシ リーズに優勝した。上海大会の初代覇者である。彼もまた残る今季の終盤戦で更に暴れてくれることだろう。ダビデンコの更なる飛躍に期待しよう。

 

2009年11月10日 パリと有明の引退試合

WTAがオフシーズンに入っても、ATPの男たちのツアーはまだ終わららない。欧州室内のクライマックスが待っている。
フランスのパリでマスターズシリーズ第九戦パリ大会、BNPパリバマスターズが 開催される。第一シードはフェデラー、以下ナダル、ジョコビッチ、マレー、デルポトロ、ダビデンコ、ヴェルダスコ、ツォンガ、ソダーリング、ゴンザレス、 シモン、チリッチ、ステパネック、ロブレド、モンフィス、ハースとシード勢が続く。No6ロディックは不在だがそれ以外のトップランカーがそろい踏みし た。豪華じゃー。トップ4シードの動向も気になるが、他のシード勢の動向も気になる。この時点でまだマスターズカップに出場するエリート8の内、確定して いるのはフェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレー、デルポトロ、ロディックの六人、残りのイスはあと二つである。この大会直前のランキングではダビデン コとヴェルダスコがNo7、No8につけているが、大会終了後の結果は如何に。また今季限りで引退を表明しているサフィンとサントロがこの大会にエント リーしている。エリート8以外の選手はこの大会が今季ツアー最終戦となるので、自動的に彼らの引退試合はこの大会ということになる。例によってGAORA が決勝・準決勝を生中継してくれる。熱戦を期待しよう。
日本の東京・有明では全日本選手権が行われている。今年は女子の森上選手の引退試合として注目を浴びている。男子の本村選手も今季で引退するそうだ。NHKが例年通り決勝戦を中継してくれる。そこまで勝ち上がって来られるか。こちらも注目である。

 

2009年11月13日 サフィン、パリで終わる。

第一シードフェデラーダウン!

2009ATPマスターズ1000シリーズ第九戦パリ大会二回戦
ベネトー 36 76 64 フェデラー

第一セット先取、第二セットTBからの逆転負けである。うむ・・・映像を見ていないので、試合内容までよくわからないが、先週ジョコビッチに決勝で負けたことが尾を引いているのか、No1にしては覇気がないね。
勝ちはしたが、第二シードナダルもアルマジロ・・・・じゃなかったアルマグロにフルセットマッチの苦戦を強いられた。第四シードマレーもブレーク相手にフ ルセットマッチだった。どちらもTBを含む大接戦である。一方第三シードジョコビッチは難敵モナコをストレートで突破、やはり今一番乗っているのはジョコ ビッチかもしれない。
サントロは一回戦敗退、ここで引退が決まった。そして二回戦でエントリーランキングNo1経験者にしてグランドスラムタイトルホルダーである元王者の引退が決まった。

デルポトロ 64 57 64 サフィン

最後の試合が今年の全米覇者デルポトロとのフルセットマッチの接戦であったとは何かの運命か。サフィンも当時王者として君臨していたサンプラスを2000 年全米決勝で倒してトップランカーに仲間入りした。今年デルポトロがフェデラーを全米決勝で倒して、これまたトップランカーとなった。良い形での世代交代 の儀式になったのではないだろうか。
しかし、サフィンが引退となると、同世代のフェレーロやヒューイット・ロディック、何よりフェデラー、彼らに残されている時間の少なさを感じずにはいられ ない。今年はニューボールプリーズの世代の活躍の年だった。その締めくくりにフェデラーにはしっかりと結果を出して欲しかっただけに、今回の敗退は残念で ある。
サフィンはそこまで他の同世代選手の動向まで気にはしていないだろう。彼の大きなテニスと偉大なる才能は一時代を築き上げ、サンプラス時代を終わらせ、フェデラー時代へと扉を開かせた。そういう意味ではテニス史に残る選手であった。彼の今後の人生に幸多かれと祈りたい。

 

2009年11月14日2009MSパリ大会 3R

第四シードマレーダウン!

2009年マスターズ1000シリーズ第九戦パリ大会三回戦
ステパネック 16 63 64 マレー

ステパネックってどうしてこんなに微妙に強いんだ。ほんと忘れたときに驚くような仕事をする奴だ。ナダルもロブレド相手にフルセットマッチの辛勝であった。ジョコビッチはクレメンに62 62のストレート勝利、ここまでは盤石の出来である。
デルポトロはゴンザレスのリタイヤで勝利を拾う。ソダーリングはダビデンコと、チリッチはヴェルダスコとそれぞれ競り合いフルセットマッチの末に勝利し た。ツォンガ対シモンの地元フランスツートップ対決はツォンガの勝利、二回戦でフェデラーを破った地元のベネトーは同じく地元のモンフィスの前に敗れた。
というわけで、ベスト8QFは下記の通り

モンフィス対チリッチ
ステパネック対デルポトロ
ソダーリング対ジョコビッチ
ツォンガ対ナダル

ソダーリング対ジョコビッチは見たいぞー、GAORAさん録画で中継してくれないかな。ナダルとジョコビッチは同じ山(ボトムハーフ)だ。ということはマ レーとフェデラーがこけているにも関わらず、ジョコビッチはQFでソダーリング、SFでナダルかツォンガを突破しなくてはならない。これはタフだ。ナダル の視点から見てもタフだ。一方トップハーフは誰が来るかね。デルポトロか、チリッチか、地元の声援を受けてモンフィスが来るか、それともステパネックが微 妙な強さを継続して発揮するのか・・・・こちらも目を離せない。熱戦を期待しよう。

 

2009年11月14日 2009MSパリ大会QF

第五シードデルポトロダウン!

2009年マスターズ1000シリーズ第九戦パリ大会三回戦
ナダル 75 75 ツォンガ
ジョコビッチ 64 16 63 ソダーリング
ステパネック 40ret デルポトロ
モンフィス 36 64 64 チリッチ

やっぱりステパネックはこの大会に関して何か持っているな。デルポトロがリタイヤしてしまった。また今季の勢いという意味ではトップランカーに近い勢いを 持っていたチリッチがモンフィスの前に敗れた。1セットダウンから競り合いながらの逆転劇を演じたモンフィスは、地元フランスパリの観客の声援を受けて SFに進出した。同じく地元の声援を受けて接戦を演じたがツォンガはナダルを突破できなかった。しかし二セットとも5-5まで競り合ったのは見事、そこか ら二セット連続で1ブレーク1キープしたナダルも見事である。ジョコビッチはソダーリングにフルセットマッチまでもつれ込まれた。だが流れはハッキリして おり、先行、そして締めもきっちりと良い試合内容であったのではないだろうか。
さてSFはナダル対ジョコビッチ、ステパネック対モンフィスである。ハードコートでのナダル対ジョコビッチは注目度大だ。フェデラーがまた調子を落として きているように見受けられる現時点で、ハードコートの上ではどちらが強いか、それを決めておくことは重要だ。最終戦に向けても、来季初頭の全豪に向けて も、意味がある。一方で微妙な勢いを持つステパネックが地元の声援を受けたモンフィスとぶつかる。ツォンガとシモンの活躍の前に、フランス勢の中でやや影 が薄くなりつつあったモンフィスが、ここパリ大会で、フランス勢唯一の生き残りとしてSFに臨む。ここで勝って地元を盛り上げたいところだろう。だが、今 のステパネックは相当手強いと思われる。この対戦は予断を許さない。
今夜GAORAでSFが生中継される。昼には全日本の中継もNHKであるぞ。秋の週末を超人達の活躍を見て過ごそう。熱戦を期待します。

 

2009年11月15日 2009MSパリ大会SF

第二シード・ナダルダウン!ベテランス・テパネック、最後に力尽きる。

2009ATPマスターズ1000シリーズ第九戦パリ大会準決勝
ジョコビッチ 62 63 ナダル
モンフィス 64 57 64 ステパネック

強いサーブ、回り込みのフォアの多用、堅実なバックハンド、果敢なネットへの詰め、強気のドロップショット、ジョコビッチは明らかにいつもよりオーバー ペースで試合に入った。ナダルを封じ込めるぞという気迫が感じられる。対するナダルは冷静にかつ大胆に受けて立つ。ナダルもすぐにギアを上げた。厳しい ボールの応酬で試合は進む。キープ合戦が続く中盤、第六ゲームで、ナダルに少し力が入った。不用意にポイントを与え、ダブルフォールトが絡んだ。そこを突 いてブレークに成功するジョコビッチ。充実しているジョコビッチはここで自信をつけ、続く第八ゲームもブレークして第一セットを6-2で先取する。勢いを 次のセットでもジョコビッチは維持、第二セットの最初のナダルのサービスゲームをラブゲームでブレークしてリード、1ブレーク差の6-3できっちりとジョ コビッチが取りきった。
ジョコビッチの決勝進出である。この日ジョコビッチのフォアの調子が抜群によく、ナダルはジョコのフォアを避けてバックにかなりボールを集めたが、ジョコ はそこで堅実なバックの展開を見せて崩れなかった。そしてバックハンドダウンザラインを大事なところで決めて、流れを自分に引き寄せた。ナダルは第一セッ ト中盤の乱れが尾を引いた。ほんの少しの乱れだったが、ジョコビッチがとても高いレベルで安定していたので、そこで一気にもって行かれた。勝負どころでギ アを上げたジョコビッチが見事であった。
ステパネックという選手はサーブもフォアもそれほど強くなく、またバックハンドは両手打ちでゆったりとしたペースのラリーをしてくる。ベースライン上で手堅い守りを見せるがそこからの脅威は余り感じない。そのステパネックが強さを見せるのはネットへの果敢な攻め込みがあるからだろう。対するモンフィスは高い打点のサーブとフォアを武器に攻め、長い手足を充分につかったコートカバーで、ステパネックのネットプレーに対抗した。第一セットの序盤でブレーク合戦 となったが、その後両者安定しキープ合戦になる。序盤のリードを守りきり第一セットはモンフィスが取る。
第二セット、両者共にリスクを背負ったプレーで攻め込みブレークを取り合う。リードするモンフィスに追いつくステパネック、モンフィスのサーブイング フォーザセットもステパネックがブレーク、更に自身のキープでステパネックは逆転に成功する。第十二ゲーム、競り合いの中で、パスを抜かれてもひるまず、 ネットに挑み続けたステパネックが最後にブレークして第二セットを7-5でステパネックが取る。
第三セット、気持ちで押していたステパネックだが、第三ゲームでやや集中力を切らせてミスを続け、モンフィスにブレークを許してしまう。だがステパネック は引かない。ネットに出続けて、モンフィスに圧力をかけ、第四ゲームでブレークバックする。強気持ちがぶつかり合う競り合いの中、最後にチャンスを握った のはモンフィス、4-4となった第九ゲームでブレークポイントを二つ握る。ステパネックは左右に大きく展開するネットプレーでデュースに戻す。一進一退の 攻防の末、ステパネックのボレーがラインを割り、モンフィスがブレークに成功した。地元フランスパリの観客のどよめきと声援が響き渡る中、モンフィスは サーブイングフォーザマッチに臨む。ネットの連続ボレーでステパネックが先行、0-15、モンフィスのパスがステパネックのバックボレーを弾き、 15-15、モンフィスがネットに出てフォアのアングルボレーを決める、30-15、モンフィスに振り回され、コートを縦横無尽に走り回りながら、最後は ボレー対ボレーを取りきり、ステパネックが追いつく、30-30、ステパネックのアプローチショットがラインを割った、40-30、マッチポイントが来 た。ステパネックがまたネットに行く、しかしそのアプローチは無常にもまたラインを割った。ファイナルセット6-4、モンフィスが大歓声の中でこの激戦を 制した。
ステパネックの強い気持ちの前に、何度もモンフィスは押された。だが観客の応援を受けて、自分を鼓舞して、何度も押し返した。そして最後の最後で押し切った。ブレークポイントが入り乱れ、両者共に強い気持ちがぶつかり合う見事な好勝負だった。敗れたとはいえ、地元の声援を受ける若きモンフィス相手に勇猛果 敢にネットに出続けたステパネックの不屈の闘志にも拍手を送りたい。
さて決勝戦はジョコビッチ対モンフィスである。ジョコビッチの準決勝の出来具合を見るに、同様のプレーが出来るなら、まずジョコビッチが安泰と思うが、地 元の声援を受けるモンフィスが接戦に持ち込むことが出来たなら、チャンスは充分にあることと思う。さて今年最後のマスターズ1000シリーズのタイトルを 手にするのはジョコビッチかモンフィスか、準決勝を越える熱戦を期待しよう。

 

2009年11月16日 好試合、泥試合、それでも素晴らしき試合 2009MSパリ大会決勝

ガスケ、ツォンガ、シモン共に男子フランステニス界の四銃士ガイエス・モンフィスが地元フランスの首都パリで二強を追う双頭の鷲ジョコビッチに立ち向かった。

2009ATPマスターズ1000シリーズ第九戦パリ大会決勝
ジョコビッチ 62 75 76 モンフィス

中継GAORAの解説は丸山薫氏、「今日は両者共にフォアにボールを集めてくるだろう。」と戦前の丸山氏の予想通り、第一セットの序盤戦はフォアハンドス トロークのクロスのラリーを中心に展開していく。先にチャンスを掴んだのはジョコビッチ、第四ゲームのモンフィスのサービスゲームで30-40、このブ レークポイントで長いラリーの末にモンフィスがバックのストレートをネットにかけ、ジョコビッチがブレークに成功、リードを奪う。フォアの打ち合いで主導 権を握れないモンフィスは配球をジョコビッチのフォアからバックに切り替えた。だがジョコビッチのバックハンドはリターンもストロークも堅実かつチャンス で打ち込んでくるほどに強力。バックの打ち合いでも主導権は握れない。5-2となった第八ゲームでモンフィスはジョコビッチにブレークポイントを握られ た。果敢にバックハンドからも攻めるジョコビッチ、その圧力の前に、最後にはダブルフォールトを犯してブレークを許す。6-2でジョコビッチが第一セット を先取した。
攻めてよし、守ってよし、速攻もあり、粘り強さもある。ジョコビッチのテニスは磐石、その圧力にけして調子が悪いわけでもないモンフィスは第二セットも第 二ゲームでジョコビッチに自らのサービスゲームをブレークされた。それでも平常心を失わないモンフィスはメリハリのある配球でジョコビッチを動かし、彼の ディフェンスを崩していく。3-1となっている第五ゲーム、ジョコビッチのサービスゲームでモンフィスにブレークポイントが来た。バックの長いラリーの末 に先にネットに出るジョコビッチ、しかしモンフィスの鋭いパスにバックボレーをミスさせられ、モンフィスにブレークを許した。勢いに乗るモンフィス、会場 の大声援を受けて次の自分のサービスゲームをラブゲームキープし、3-3のタイとなる。モンフィスのボールに伸びが出てきた、深くなってきた、そのモン フィスのショットの圧力の前に、ジョコビッチにミスが増え始めた。第七ゲームのジョコビッチのサービスゲームでモンフィスは再びブレークポイントを握る。 だが、このピンチに集中力をましてボレーと回り込みのフォア逆クロスでウィナーを連続して決めて、ピンチを脱した。だが競り合いは続く、お互いにブレーク ポイントを握りながらそれを逃れる展開が続く。徐々にモンフィスの勢いが増し、ジョコビッチの勢いが消えていく。5-5となった第十一ゲームでまたもジョ コビッチのサービスゲームはブレークポイントを迎える。両手を振り上げて観客の声援を要求し、自分を鼓舞するモンフィス。ジョコビッチはミスが重なり、つ いにブレークを許してしまった。6-5でモンフィスのサーブイングフォーザセット、覇気を失っているジョコビッチはミスを続け、モンフィスがキープ、第二 セット7-5でモンフィスがセットオールに戻した。
気持ちをリセットして、力を抜いて回転量を多くしたストロークで安定を図るジョコビッチは、静かにモンフィスを左右に振り、チャンスを作る。第三セット第 二ゲームでモンフィスはブレークポイントを握られた。長いラリーの末にドロップショットからの展開でジョコビッチはブレークに成功、2-0でリードする。 だがジョコビッチはまたここで不安定になる。次の第三ゲームでジョコビッチはミスを重ねて、モンフィスにブレークを許してしまう。だが崩れたのはジョコ ビッチだけではない、モンフィスもその次のサービスゲームを連続ダブルフォールトでブレークさせてしまう。そして第七ゲームではジョコビッチがダブル フォールトでブレークを許した。疲労ゆえの集中力の欠如か、試合序盤のウィナーの応酬から一転、後半戦はお互いにアンフォーストエラーの応酬の泥仕合に なってしまった。その後互いにキープし合って6-6、ファイナルセットはTBに突入する。先にミニブレークしたのはジョコビッチ、そのまま6-3まで進 み、チャンピオンシップポイントを握った。ここでモンフィスのサーブ、ここでモンフィスのダブルフォールト、TB7-3でジョコビッチが勝った。
前半のウィナーの応酬による好試合とは対照的に、後半はエラーの応酬による泥仕合であった。第二セット、地元の声援を受けて勢いを増したモンフィスは手強 い相手であったが、そこを押し返せなかったところにジョコの課題があるかのように思える。最後のTBでテニスの内容はかなり持ち直したと思われるが、それ でも最後はモンフィスの自滅に助けられたところがやはり不満だ。ナダルに完勝に近い形でSFを勝利していただけに、ジョコビッチは勝ったとは言え残念な印 象がある。だが見方を変えればジョコビッチもモンフィスも途中で完全に自滅モードに陥っていたが、そこから立ち直って、最後の競り合いまで持ちこたえたと ころはさすがであり、試合としては素晴らしい熱戦であったといってよいだろう。そんな感じのする2009MSパリ大会の決勝戦だった。


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