2008年テニス界10大ニュース その七
ロシア勢、北京オリンピックメダル独占
今年の北京オリンピック開催時、ロシアがグルジアに侵攻し、実質武力介入に成功した。ロシアの覇権国家主義の復活をまざまざと世界は見せ付けられた。直接 には関係ない事柄ではあるが、女子プロテニス界のWTAツアーでもロシアの覇権の強さを見せ付けられることになる。北京オリンピック、テニス競技女子シン グルスで金・銀・銅のメダルをロシアが独占したのである。
オリンピックの舞台にロシアNo1のシャラポワはいない。全豪を取り、生涯グランドスラムに後全仏を残すのみという状況になったところで故障により戦線を 離脱、今季の後半戦で復帰はならなかった。そのシャラポワを全仏四回戦で破ったのが同じロシアのサフィーナである。サフィーナはQFでディメンティワを、 SFでクズネツォワを破るという、ロシア勢トップランカー連破に成功、決勝に勝ち上がった。決勝ではイバノビッチに敗れたが、彼女は今季4勝を上げて最終 ランキングをNo3にまで上げた。その4勝の内、3勝がティアTである。ちなみに今季のティアTのウィナーを見てみよう。
ドーハ シャラポワ
インディアンウェルズ イバノビッチ
マイアミ S・ウィリアムズ
チャールストン S・ウィリアムズ
ベルリン サフィーナ
ローマ ヤンコビッチ
モントリオール サフィーナ
東京 サフィーナ
モスクワ ヤンコビッチ
後半のロシア勢を牽引していたのはサフィーナであることが良く分かる。マラット・サフィンの妹ということでしか注目されることがなかった彼女が今季一気に ロシア勢筆頭にまで上り詰めた。だが北京オリンピックの金メダルは取れなかった。サフィーナは銀メダルに終わった。決勝でサフィーナを破ったのはロシアの ディメンティワである。今季4勝を上げたディメンティワは最終ランキングでNo4、サフィーナに及ばなかったが、金メダルだけはシッカリと確保した。
そして忘れてはいけないのが銅メダルのズボナレワである。今季二勝を上げたズボナレワは最終戦ソニー・エリクソン選手権ラウンドロビンで快進撃、SFも突 破し、決勝まで勝ち進んだ。決勝ではV・ウィリアムズに圧倒されるも、最終戦での活躍は見事であった。そして最終ランキングもNo7、今年年頭ではシャラ ポワについでロシア勢No2だったクズネツォワをNo8に押しやり、ロシア勢三番手にまで上る。
最終戦のエリート8にロシア勢は半分の4人を送り込み、決勝トーナメントのベスト4にも二人送り込む。フェドカップも当然のごとく優勝した。シャラポワ不 在でこの圧倒的強さである。層の厚みが断然違う。それを見せ付けた象徴的出来事が金メダルディメンティワ、銀メダルサフィーナ、銅メダルズボナレワ、とい う北京オリンピックのメダル独占であった。