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2008年テニス界10大ニュース その三
ジョコビッチ 全豪・マスターズカップ優勝

 

今年のATP最大の事件がナダルとフェデラーのランキングNO1交代劇で、その象徴がウィンブルドンの男子シングルス決勝戦であるなら、二番目に重大な事 件はジョコビッチがNo2に後一歩というところまで迫ったことであり、その象徴は全豪とツアー最終戦マスターズカップを取ったことだろう。

今年の全仏・全英決勝はナダルとフェデラーによる三年連続同一カードであり、特に全英決勝は今年のベストマッチであった。だが、それでも2008年が去年 までのようにナダルとフェデラーの二強の年であったと思えないのは、ジョコビッチの存在感が圧倒的に増してきたことによる。何よりも年頭最初のグランドス ラムである全豪をジョコビッチが取ったのは大きかった。このSFではフェデラーを破っているのだ。翻って見れば2005膳全仏準決勝でナダルに敗れて以 来、フェデラーは10大会連続で決勝進出を続け、その間全仏決勝対ナダル戦以外では決勝でも負けたことがなかった。またグランドスラムでナダル以外の選手 に負けるのはさらに遡り、2005年全豪SF対サフィン戦以来である。そのフェデラーが、2004より如空が「皇帝」と呼んでいたフェデラーが、去年より やや調子を落としているとは言え、グランドスラムで、ナダル以外の男に、決勝進出を阻まれた。そのフェデラーを止めた男、ジョコビッチは決勝でNo2ナダ ルをSFで倒した男ツォンガをも破り、ついにグランドスラム初優勝を遂げた。フェデラーとナダル以外の男がグランドスラム男子シングルスのタイトルを取っ たのは、まさにその3年前の全豪覇者サフィン以来である。

ジョコビッチはそこから勢いに乗る。春先のマスターズシリーズの第一戦インディアンウェルズで優勝し、さらにナダルの牙城であった欧州赤土戦線を切り崩し にかかる。そしてMSローマ大会ではついにクレーコートでのマスターズシリーズ格優勝を果たした。ハードコートだけでなく、クレーでもその覇権を狙う、「双頭の鷲」 それがジョコビッチだ。そしてジョコビッチはついに赤土の覇者ナダルを追い詰めた。ローマに続くクレーコートマスターズシリーズハンブルグ大会準決勝で ジョコビッチはナダルと激突する。ナダルに勝てばNo3ジョコビッチとNo2ナダルはエントリーランキングが逆転する。しかし、フルセットマッチの激闘の 末、勝ったのはナダルだった。ナダルはこの勝利で目覚めたかのごとく、決勝でフェデラーを破り、ついに自らのクレータイトルコレクションに欠けていたハン ブルグ大会のタイトルを手に入れ、その勢いのまま、全仏を連破し、全英も初優勝を遂げた。対照的に、ジョコビッチはここから中盤で勢いを失う。全仏でも SFでナダルと対戦、ストレートで退けられ、全英ではサフィン相手に二回戦で敗退してしまう。真夏の北米ハードコートシンシナティ大会ではナダルを倒し決 勝に進むが、そこでマレーに止められ、全米準決勝ではフェデラーに見事にリベンジされてしまった。

ヨーロッパ室内シーズンのMSマドリッド・パリ大会でも勝ち残れず、ジョコビッチは失速しつつあった。ナダルはエントリーランキングNo1となり、さらに 年間王者も最終戦を待たずに決めてしまう。フェデラーも全米優勝で息を吹き返しつつある。二強との差がまた開き始めたように思えた。だが最終戦マスターズ カップ上海大会、ナダルもフェデラーもいないそのベスト4決勝トーナメントにジョコビッチはいた。準決勝でシモンを破り、決勝ではダビデンコを破り、 ATPツアー最終戦マスターズカップのタイトルをジョコビッチは取った。双頭の鷲が再び羽ばたいたのだ。

今年の中盤がナダルとフェデラーの二強の時期であるなら。今年の序盤と終盤はジョコビッチの更なる台頭の時期であった。2008ATPツアーが終了した時点で、エントリーランキングのポイントは

No1ナダル 6675ポイント
No2フェデラー 5305ポイント
No3ジョコビッチ 5295ポイント

である。No2フェデラーとNo3ジョコビッチの差はわずかに10ポイントである。ジョコビッチは再び二強を射程圏内に捕らえた。ツアー全体制覇をもくろむ双頭の鷲ジョコビッチの見事な追撃戦に拍手を送ると共に、来年以降も注目していこう。


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