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2007テニス界20大ニュース その十六
ウィンブルドン、雨天によるスケジュール混乱

今年のウィンブルドンセンターコートはいつもと景色が違っていた。競技場全体を覆う屋根を取り付ける工事の準備のために、観客席の屋根が取り外されていたのだ。だが皮肉にもその屋根の準備を始めた今年、雨天によるスケジュールの大幅遅延が起こってしまった。
ウィンブルドンは伝統的に二週間の大会期間中の中日、ミドルサンデーを大会完全休会日としている。だがこれはあくまで原則であって。過去に第一週のスケジュールが消化できずにミドルサンデーに試合を開催したことはあった。今年、第一週は雨天によりスケジュールは遅れた。だが大会主催者はミドルサンデーを予備日として使わなくても、スケジュールの遅れは第二週で取り戻せると考え、例年通りミドルサンデーを休日にした。その目論見は外れた。スケジュールは取り戻すどころか、さらに遅れた。問題は雨天だけではない。証明施設を持たないウィンブルドンはナイターが出来ず、日没も順延になる。日中しか時間がないのに、長い試合が続き、スケジュールは遅々として進まない。またスケジューリングもまずかった。特に男子の試合において、遅れている中断試合であるにもかかわらず、その日のスケジュールのトップに中断した試合を入れず、先行する女子の試合の後に入れていた。これが長引いた根本的原因だろう。中断された試合は翌日のトップにもって来て、とにかく最優先に消化するべきだった。それをシードに見合ったメインイベントとして扱おうとして墓穴を掘った。すぐに試合再開をするべきだったが、中断試合の再開はコートが変わって、トップシードが本来試合をするべきでない観客席の小さなコートに押しのけられる事を嫌ったのか、混乱に拍車をかけてしまった。大会終盤は各選手が連日試合をすることになった。ガスケとジョコビッチはSFまでに接戦の連続で体力を使い果たしてしまった。男子ファイナリストのナダルは長い試合の連戦で疲労が蓄積し、決勝戦を万全の体制で乗り込めなった。だがそれでもナダルは決勝では名勝負を演じて見せて、関係者を安心させたことだろう。

かつては男子シングルス決勝戦を雨天による遅れから月曜日に開催したこともあるウィンブルドンである。それに比べれは今年の混乱はまだ許容の範囲内かもしれない。しかし、いずれこの混乱も主要なコートに屋根がかかれば起こらなくなるだろう。だがそれはウィンブルドンらしさをなくすという意味では少し寂しい気もする。だが選手の立場から見ても、観戦者の立場から見てもそれは歓迎すべきことである。




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