2007テニス界20大ニュース その六
全仏・全英男子単決勝 二年連続でフェデラー対ナダル
結局今年もツアーのクライマックスはこの二人によってもたらされた。
2007年のヨーロッパ・クレーシーズン、独走するナダルをフェデラーが止めた。マスターズシリーズ第5戦ハンブルグ大会決勝で、ついに打倒ナダルに成功したのだった。これによりフェデラーの全仏制覇の可能性が高まった。それは生涯グランドスラムの実現、そして年間グランドスラム達成の可能性拡大を意味する。ATPに君臨する圧倒的強者、如空が「皇帝」と呼ぶ史上最強のプレーヤー、様々な記録を塗り替えていくロジャー・フェデラーをして未だに達成できない四大大会制覇が、今年は現実のものになるのではないかという期待が一気に高まった。フェデラー自身、「ハンブルグでナダル対策は見極めた」と言っていた。
だがそのフェデラーが見極めたといっていた対ナダル対策は機能する事はなかった。
二年連続で全仏男子単決勝は第一シードフェデラー対第二シードナダルとなった。セットカウント3-1でナダルが全仏三連覇を決める。決勝戦の試合内容だけを比較すれば去年の決勝の方がまだフェデラーに勝利の可能性があったのではないかと思われるほどに、コートの上のナダルはいつもどおりの強さを発揮した。皇帝の全仏制覇はまたも達成ならず、連勝記録が止められても赤土の覇者は依然として強かった。
その一ヵ月後、芝の上で、二人はまた合間見える。ウィンブルドンの男子単決勝も二年連続で第一シードフェデラー対第二シードナダルとなった。ナダルのクレー連勝記録は今年、ハンブルグでフェデラーが止めたが、フェデラーのグラス連勝記録はこの時点でも更新中である。フェデラーの記録を止めるべく、ナダルが牙をむく。雨天順延が続き、大会後半に試合が連続したナダルは体力的にフェデラーより不利であった。だがそのハンディをものともせずに、芝の上を走り回り、フェデラーに襲い掛かる。基本的にフェデラーとナダルの試合はフェデラーが攻めて、それをナダルが切り返すという展開になるのだが、この日は違った。ナダルが果敢に攻める。第二セットと第四セットをフェデラーから奪い取った。対するフェデラーは攻めて来るナダルに対して決して守りに入らず、負けじと攻め返す。二人とも凄まじい集中力だ。エラーがほとんどない。ウィナーの応酬が繰り広げられ、スーパーショット・ミラクルショットが連発する。試合開始直後から見ているものを魅了して引き込んでしまう名勝負となった。第一・第三セットをフェデラーが取り、試合はファイナルセットに突入する。先にチャンスをつかんだのはナダルであった。だが決め切れなかった。ピンチを耐えしのぎ、フェデラーは攻めに転ずる。チャンピオンシップポイントをスマッシュで決めた後、フェデラーはコートに倒れこんだ。
このウィンブルドン決勝はフェデラーに全英5連覇と芝の連勝記録更新をもたらしたが、ナダルにも面白い記録がかかっていた。同一年の全仏・全英制覇である。この全英5連覇と全仏全英連続優勝はともにボルグが過去に成した記録であり、フェデラーとナダルがその記録に果敢として挑み、まずはフェデラーが成し遂げた。
このウィンブルドン男子単決勝は今年のベストマッチだろう。来年以降も二人の名勝負をまた見たいものである。