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2006テニス界10大ニュース その五
シャラポワ 全米オープン優勝

 

人気が先行したシャラポワは、どうしてもテニス選手としての実力は過大評価されていると言う批判にさらされ続けて来た。同じロシアの先輩格であるアンナ・クルニコワと同じ道を歩んでいると。これは当たらない。クルニコワがツアーで優勝を一度もできずいるの対して、シャラポワは4年前のジャポンオープンで初タイトルと取ったあと、2004年にウィンブルドンで優勝しているのである。エントリーランキングでNo1にも一時的にだがなった。その実績はクルニコワと比べること自体失礼なまでの堂々とした「女王」である。だが、世間の評価は常に進歩を求める。2005年をグランドスラム(GS)無冠で終わり、今年もウィンブルドンまでGS優勝がなかった。決勝にも進めていない。いつもベスト8かベスト4で終わる。そしてシャラポワに勝った選手が優勝をかっさらっていく。そんな状況が続いていた。それだけに「ウィンブルドン優勝はまぐれ、トップ10プレーヤーであることは事実だが、それ以上ではなく、GSタイトルもNo1も奪える器ではない。」といわれしまっていた。

そんな状況を、彼女は実績を持って覆して見せた。今年の全米で決勝進出に成功、さらに対戦成績で分の悪いエナン相手に堂々と打ち合いを挑み、そして打ち勝った。グランドスラムの決勝に二度目の進出、そして不調でなければWTAにおいて圧倒的強者となりうる力を持つエナンを倒して優勝したのだ。シャラポワのテニスが現在のWTAで十分No1になりうる資質を示したのだった。見事な二度目のグランドスラムタイトル奪取であった。

如空もまたシャラポワが台頭してきた当初、彼女の人気先行の扱いに快く思っていなかった一人である。だがそれは彼女のテニスを見るにつれ変わって行った。特に2005年の全豪SFでのセリーナ・ウィリアムズとの死闘を見て彼女の勝利への執着心に恐ろしいまでの凄みを感じた。そして彼女が対戦する相手はシャラポワの執念が乗り移って、相手までもが心に火がつけられる。熱戦を何度も演出するすばらしいファイターだと、今では尊敬している。

今年はモーレスモと共にシャラポワが現女王への野心を現実のものにできうる力を示した年だった。シャラポワを最終戦のツアー選手権で下したエナンは全米決勝のリベンジを果たし、とりあえずはほっとしてるだろう。だが来年大事な場面で何度も起こるであろう、シャラポワの挑戦をエナンが確実に退けられる保証はない。その可能性を大いに見出した全米オープンの優勝であった。


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