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2006テニス界10大ニュース その三
モーレスモ全豪・全英二冠

 

エントリーランキングNo1経験者にしてグランドスラムタイトルホルダーを如空は「王者」と呼び、女子の場合は「女王」と呼んでいる。フランスのアメリー・モーレスモはエントリーランキングで何度もNo1になりながらグランドスラムのタイトルに去年まで恵まれなかった。まさに「無冠の女王」であった。だが去年の末にツアー最終戦ツアー選手権で優勝してグランドスラムに準じるタイトルを手に入れた。何度目かのエントリーランキングNo1にもなった。いよいよグランドスラムタイトルを取って真の女王になるかと期待された。そして期待通りグランドスラムタイトルを取った。だがその過程は期待された筋書きではなく、前代未聞のハプニングの連続だった。

2006年全豪女子シングルスでモーレスモはグランドスラム初タイトルを取った。だが、決勝戦で対戦相手のエナンが途中棄権するというハプニングの末の優勝だった。決勝だけではない。3回戦対クライチェック戦、準決勝クライシュテルス戦、決勝対エナン戦の重要な3試合を全て棄権で勝ちを拾ったのだった。しかも4回戦のバイディソワにはあえて攻めずに調子の悪いバイディソワに打たせてミスを待つ「シコラー」になって勝った。3回戦から決勝まで、自力でマッチポイントを乗りきって勝利を手に入れたわけではない。モーレスモに非はないのだが、なんとも後味の悪い初優勝だった。

この全豪優勝だけで終わっていたら、モーレスモにとって今年は決してハッピーな年にはならなかっただろう。だがテニスの神様は彼女に真の勝利を手に入れるチャンスを与えてくれた。ウィンブルドン決勝、対エナン戦、マッチポイントを握って、ついにグランドスラムのチャンピオンシップポイントを取りきってモーレスモは優勝を果たした。今度こそ誰にもけちをつけさせない、正真正銘のグランドスラムタイトルである。そしてランキングでもこの時点でトップ、女王モーレスモが誕生した瞬間であった。

モーレスモは今年後半でやや失速し、2006年の年間最終ランキングはNo3、エナンとシャラポワに逆転を許してしまった。だが、失望はしていまい。今度こそゆるぎない自信を手に入れたことだろう。「いつでもグランドスラムタイトルを狙える、No1を狙える、現女王の座を奪える、マッチポイントを乗りきって、チャンピオンシップポイントを乗り越えて、女王の座まで自分は行けるのだ。」そういう自信を手に入れたことだろう。自信が選手を強くする。さらに強くなったモーレスモの活躍に来年も期待しよう。


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