心の糧(2007/09/27)
職場では朝からトラブル多発、地雷原のど真ん中であちこち火が吹いている箇所の消火作業に忙殺される。消火作業が一段落ついたら夕方になっていた。他の作業はもう明日だ。そう決めて、もう誰も地雷を踏まないようにと祈りながら、職場を飛び出して、コートに向かう。
飛び出すのが少し遅すぎた。時間がない。レッスンはもう始まっている。あせる。ついつい車のスピードを上げそうになる。でもこんなときに急ぐと不注意から事故を起こしてしまうものだ。人通りの多い夜の大阪市内を、必死に自分を抑えながら、コートに車を走らせる。いらいらがつのる。仕事でストレスをためて、今度は車の運転でストレスをためて。今日はまったくついていない。ボールを打ちまくってレッスンは終わった。汗を拭いて着替えて車に乗り込む。心地よい疲労感に包まれる。頭の中はボーっとしている。来るときはあんなにいらいらしていたのに、帰るときはとても穏やかな気分だ。車も流れに乗せてゆったりと走らせる。テニスの選手としての如空は気分の切り替えが下手なタイプだ。ミスしたら引きずるし、ゲームポイントやマッチポイントを逃すとすぐに落ち込んで次のプレーに影響が出る。こんなタイプは試合ではそれほど怖い相手ではないだろう。メンタルの問題とよく言われるが、性格なのだからしょうがない。だが、もっと長い時間で見たらどうだろうか。仕事中のストレスも、運転中のいらいらも、テニスをすると忘れてしまう。テニスに夢中になって忘れてしまう。テニスはテニスで、これはまたストレスがたまるものだが、それでもコートの外でのことは忘れることができる。忘れるほどに没頭できる。そして、体の中にたまったエネルギーもテニスが終わった後には全て吐き出されている。テニス練習が終わった後はいつも穏やかだ。テニスをしている最中は気分を切り替えることが出来ないが、テニスをすることでテニスをする前と気分を替えることはできる。これはこれで如空にとって必要な糧なのだ。だから、忙しいときこそ、時間を無理やりにでもとってテニスをしよう。