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湾岸線と蕎麦と神戸と大阪と(2007/08/01)



4月に大規模な人員増強が行われて、職場では今、如空はちょっとした管理職のような位置にある。様々な設計屋の親分みたいな感じに突然なった。自分の手を動かす間もなく、次から次へと入る打ち合わせと電話とメールの攻勢に対応しているだけで一日が過ぎている。仕事がすごい勢いで進んでいく。でも少し寂しい。シェフになったつもりが、人を使ってばかりで自分で料理をしていない、そんな感じに襲われる。
上司と相談してGWの後半、設計チームをカレンダー通り休ませることにした。GW前半もネットワークのメンテナンスダウンのおかげで休日出勤できずに作業を詰められなかった。だが、外部の関連各社も休むようだし、多忙な状況は夏まで続くようだし、ここで一休みさせておこうということになった。家族持ちには家族サービスさせる時間を取らないと、毎晩終電に徹夜、そして休日出勤が続くと家庭崩壊になりかねない。というわけで、ふって沸いたように4連休が手に入った。休みが手に入ったからと言って如空が家族サービスするわけもなく、テニスに費やすに決まっている。相棒が神戸市の北区でコートを取ったからテニスをしようと誘ってきたので、いそいそと誘いに乗って神戸に向かった。

車で大阪から神戸に行くのに阪神高速の3号神戸線を使ってはいけない。二車線しかなく、年中渋滞している。関西空港から大阪湾沿いに六甲アイランドにつながる5号湾岸線は天保山と呼ばれる大阪市内の基点JCTから終点の六甲アイランドまで広く三車線である。この湾岸線で渋滞になることは終点の関空と六甲アイランドだけであとは常にすいすい車が進む。景色もいい。都心部に通っているために高い遮音壁に覆われている3号神戸線と違って、埋立地の出島を橋でつないで通している湾岸線は片側に大阪湾を臨み、片側に六甲山系を臨む風景が遮るものなく、一望できる。その中を構造形式の異なる様々な様式の橋を渡りながら神戸に向かう。昼は青い海を臨みながら走る。夕方には大阪湾に沈む夕日で一面が金色に変わり、夜は大阪と神戸の夜景の中に高速のナトリウム灯が帯状に連なっていく。実に美しい道だ。このルートを走っていると「休日なのだなあ」と実感できる。今年になってプレゼントでもらったiPodを車に乗せている。iPodに今まで買ったCDの内容を全てぶち込んで持ち歩いている。車に乗るときはFMトランスミッターでカーオーディオのFMに飛ばして音楽を聴いている。でもこれ、音が悪いのだよね。所詮FMラジオだから。直接USBか何かでカーオーディオにつなげるようにならんかね。カロッツェリアのカーナビの方が良かったかなと時々思う。如空の愛車に搭載しているイクリプスはAUX端子の対応はしていない。最新の上位機種は対応しているらしいが、次回のカーナビはメーカーを替えるかな。などと考えていると神戸に着いた。相棒を拾って、コートに向かう。コートに行く前に昼飯を食おうということになり、上手い蕎麦を求めて三田に向かった。

カーナビって便利だね。住所を入れただけでどこでも連れて行ってくれる。行ったこともない山の中の蕎麦屋に迷うことなくついた。淡いクリーム色の中の店内で丸められた和紙のお品書きにある品はザル・おろし・天ザル・海老おろしの他数品。蕎麦だけで勝負している店である。迷わずザル蕎麦の大盛をたのんで、しばし蕎麦の味に酔う。蕎麦なんて蕎麦そのもの味と汁の味だけで上手さが決まるのだ。なんと素朴な、そしてシンプルなだけに職人の技が問われる食べ物だろう。淡くて白っぽい蕎麦に程よい濃さのつゆ、絶妙の組み合わせで実にうまかった。また来よう、今度は海老おろしを試してみよう。そう思いながら蕎麦屋を後にしてコートに向かう。

日差しがあるのに雨がぱらつく、不思議な天気の中でテニスを始めた。如空の課題はサーブである。とにかく練習不足でまともに打てなくなったサーブを何とかもとの状態にまで回復したい。フォアも肩を回すために右肩を前に出すことを意識したらうまくいった。同じようにサーブでも右肩を前に出すことを意識したらうまくいくのではと試してみたら、最初の一球目からうまく打てた。いい感じである。ディースサイドからは問題ないが、アドサイドからのサーブがややふける。相棒に見てもらったら「トスが前過ぎ」といわれて少し手前に上げたらうまくいった。ちょうどいいことに相棒がリターンダッシュの練習をしたかったようなので、相手になってあげるためにサーブを打ち続けた。
如空のサーブは相手右利きのバックサイドばかりにボールが行く。相棒にフォアのリターンダッシュの練習をさせるためにはサーブをフォアに入れなければならない。だがフォアに行かない。うむ・・・としばしリターンダッシュに夢中な相棒を気にも留めずにコースの打ち分けを研究する。今日は右肩を前に出すことを意識して、いいサーブを打てるようになった。その右肩が、相手フォアに打つときも相手バックに打つときもイン−アウトで右に出て前に行く。これを打つ方向、つまり相手フォアに打つときはインーアウトーインで打つとフォアに行くのではと思って試して見るとうまくいった。相棒のフォアにサーブを集める。相棒も頭の中で色々考えているらしく、何も言わずにもくもくと、だけれどもうれしそうにフォアのリターンからのネットダッシュに夢中になっていた。

時間が来て、コートから撤収、相棒を自宅まで送り、家路に着いた。神戸市民は幸せだな。あんなコートをこの祝日の当日予約で取れるのだから。神戸市というのは海に沿って北の六甲山と南の神戸港に挟まれた東西に長い都市だと思われがちである。だが実は神戸市というのは六甲山の北側に広大な「北区」という自然豊かな地域を持ている。ここには総合運動公園や「しあわせの村」を初めとして、広大な土地を利用して様々なスポーツ施設やアウトドア施設を充実させている。料金も実にリースナブルだ。それに数が多いので意外と当日の予約でも利用できることが多い。これが大阪ではそうはいかない。大阪市はスポーツ施設どころか緑そのものが東京や名古屋に比べても少ない。まして神戸に比べると雲泥の差である。良くぞこんな状況でオリンピックの誘致に立候補したものだと思う。テニスそのものも大阪よりは阪神間から神戸にかけてが盛んで、大阪から以東はやや盛り上がりに欠ける。大阪市内ではコートが徐々に閉鎖されつつある。あれほど休日に取ることが難しいのに平日はがらがらで採算ベースに乗っていないのだ。日常テニスをする主婦やジュニアが決定的に少ないことを物語っている。テニスをするために大阪から西宮・芦屋・神戸・三木・三田に引っ越すというテニス好きの夫婦も後を絶たない。大阪のテニス環境はどうなっていくのだろう、とふと帰り道に思った。