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第086房 2008年ソニーエリクソン選手権・マスターズカップ TV観戦記  (2008/12/28)

 

2008年11月04日 WTA2008ツアー最終戦へ

ツアーはWTA・ATPともほぼスケジュールを終了、残すはツアー最終戦のみとなった。まずはWTA、今週11月4日からカタールのドーハでソニーエリクソン選手権が開催される。このWTAツアー2008年最終戦はエリート8によるラウンドロビン方式で行われる。組合せは下記の通り。

白組(WHITE GROUP)
ヤンコビッチ(1)、イバノビッチ(4)、クズネツォワ(6)、ズボナレワ(8)
赤組(MAROON GROUP)
サフィーナ(2)、セリーナ・ウィリアムズ(3)、ディメンティワ(5)、ヴィーナス・ウィリアムズ(7)、

である。このマルーン・グループってなによ。日本語に訳すと「栗色組」ってところか。とりあえず赤組にしておこう。白組にセルビア勢、赤組にウィリアムズ 姉妹がそれぞれ同じ組に入った。ロシア勢の4人は綺麗に2人づつ分かれた。決勝トーナメントのベスト4はセルビア勢対ウィリアムズ姉妹となる可能性もあればオールロシアンSFになる可能性もあるわけだ。全員に優勝のチャンスがありそうで、今年は予選から面白くなりそうだ。
今年もGAORAが全戦生中継だ。エナン引退、シャラポワ戦線離脱、混迷のWTA2008を制するのは誰か、女王の座の行方を見守ろう。
ところで、ソニーエリクソン選手権の翌週より開催されるATPツアー最終戦マスターズカップ上海大会であるが、NO1ナダルの欠場が発表されたようだ。 なんとも残念なことであるが、その代打がなんとシモンである。今年はマレー、デルポトロ、ツォンガ、そしてシモンとエリート8の内半分の4人が初出場であ る。こちらも時代の変革期に差し掛かっているようだ。

 

2008年11月05日 中東の風の中の開幕 2008ソニーエリクソン選手権初日

中東はカタールの都市ドーハ、風が吹きすさぶコート、観客席は終始騒がしく審判の再三の注意にもかかわらず静かにならない。そんな中で、2008年のWTAツアー最終戦が幕を開けた。

2008ソニーエリクソン選手権
ラウンドロビン初日
ズボナレワ 62 63 クズネツォワ
V・ウィリアムズ 75 63 サフィーナ
ヤンコビッチ 63 64 イバノビッチ

三試合とも予想が外れた。三試合ともストレートだった。特にサフィーナは勝つと思ったがね、混戦状態になるか、今日の勝者がそのまま勝ちあがるか、二日目以降に注目が集まるところだ。
イバノビッチのウェアはいい色だね。でもシルエットとしてはズボナレワのウェアの方がいい感じだ。
GAORAの中継の解説で知ったのだが、ここ数年、ラウンドロビンの組の色名は、開催国の国旗の色から命名しているのだそうだ。カタールの国旗は白と赤茶色、それでホワイトグループとマルーン・グループになったわけだ。ならフランスやイタリアなどの三色旗の国が開催国の時はどうなるのだろう、と考えると眠れなくなった。

 

2008年11月06日 ズボナレワ強い 2008ソニーエリクソン選手権二日目

2008ソニーエリクソン選手権
ラウンドロビン二日目
ズボナレワ 63 67 64 イバノビッチ
V・ウィリアムズ 64 46 63 ディメンティエワ
S・ウィリアムズ 64 61 サフィーナ

ズボナレワってあんなに強い選手だったか?イバノビッチはフィジカルに問題があり、調子も波があった。だがそれを差し引いて見ても、なおズボナレワのテニ スは見事だった。強いテニスだった。ストロークが強い。左右のコーナーに深く打ち込まれる連打はイワノビッチのディフェンスを振り切る。そして相手をコー トの外に出した後、アングルショットでウィナーを奪う。イバノビッチも対抗してズボナレワを振りまわしにかかるのだが、ズボナレワのフットワークをこちら は振り切れない。逆にズボナレワの切り返しにあい、ミスを強いられる場面が多かった。あのズボナレワの深い左右のコーナーへのストロークは、引退したクラ イシュテルスや調子のよいときのシャラポワのストロークの圧力に匹敵する。ネットプレーも見事だった。ストロークで振り切った相手の逃げの返球を、するするとネットに出てきてオープンコートにボレーで切り替えして、粘りを断ち切る。攻撃の時間を短縮し、効果的にゲームを取る力になっていた。そして何より見 事だったのは終始クレバーであったことだろう。サイドチェンジの度にベンチに座るとタオルを頭からかぶり、表情を隠して、自分の視線をさえぎり、集中し て、次のサイドに移る。黙々と自分のやるべきことをやって、そして勝った。試合の流れ自体は決して順調であったわけではない。先行しても追いつかれた、逆 転もされた。デュースも多かった。マッチポイントも何度か逃した。それでも切れそうになる自分を抑えて、クレバーに、静かに、そして熱く、自分を保ち、自 分のテニスを信じて貫き、やり切った。苦しいフルセットマッチを勝ちきった。ズボナレワの見事な勝利であった。
ズボナレワが見事なテニスで二勝目を上げ、イバノビッチが厳しい二敗目を喫した。サフィーナも不甲斐なく二連敗し、ヴィーナスは二勝目を上げた。フルセッ トマッチ二試合を含み、試合内容は白熱しつつあるが、選手間の成績差は明暗がはっきりとしてきた様相のWTAツアー最終戦二日目であった。

 

2008年11月07日 何が起こっていたのか・・・・ ソニーエリクソン選手権三日目

2008ソニーエリクソン選手権
ラウンドロビン三日目
ヤンコビッチ 76 64 クズネツォワ
V・ウィリアムズ 57 61 60 S・ウィリアムズ
ディメンティワ 62 64 サフィーナ

第一セットをヴィーナスから取り、セリーナは先行した。だが第二セットは一ゲームしか取れず、第三セットは一ゲームも取れずに妹は姉に逆転負けを喫した。 途中で何があったのかわからない。フィジカルにトラブルが起きた様子もない。本人も試合終了後の記者会見で体に問題が起こったわけではないと言っている。 一体何が起こったのだろか。
わからないといえばサフィーナの結果も予想できなかった。今年のロシア勢の中で台頭著しい彼女、今季の出世頭であった。「もはやサフィンの妹であるだけの 選手ではない。」と高く評価されていたのに、最終戦ではラウンドロビン三連敗である。こちらの何が起こっているのか。よくわからないソニーエリクソン選手 権三日目であった。

 

2008年11月08日 納得のいかぬままに 2008ソニーエリクソン選手権四日目

ペトロワ?ラドワンスカ?なんじゃこりゃ。昨日問題がなったが、今日起きてみると体調がおかしくセリーナ棄権、代打はペトロワになった。それだけではない、クズネツォワと対戦するはずだったイワノビッチもコートに現れずにラドワンスカが現れた。

2008ソニーエリクソン選手権四日目
ズボナレワ 26 63 64 ヤンコビッチ
ディメンティワ 64 46 64 ペトロワ
ラドワンスカ 62 75 クズネツォワ

最後の二試合はよくわからん。ラウンドロビンだからって二試合も消化した選手の穴を代打で埋めて成績を引き継ぐというのは如空としては納得いかないシステムだ。
そんな混乱の中でクレバーに光るのが3連勝のズボナレワである。強いわ、テニスが。初戦はクズネツォワ相手にストレート勝利、二試合目はイバノビッチ相手 に第二セットをTBの末に落としセットオールにされたが、そこから突き放した。三試合目はヤンコビッチ相手に逆転勝利である。どんな試合経過においてもク レバーに自分を保ち、自分のテニスを貫き、最後に勝利を手にするズボナレワは今とても輝いている。
さて決勝トーナメントのSFは下記の通りである。

V・ウィリアムズ対ヤンコビッチ
ズボナレワ対ディメンティエワ

3連勝のヴィーナスとズボナレワが勢いそのままに勝ち上がると思うが、ヤンコビッチとディメンティエワはその勢いを止める事が出来るだろうか。WTAツアーも大詰、今夜はいよいよ最終戦準決勝である。熱戦を期待しよう。

 

2008年11月09日 強者同士 2008ソニーセリクソン選手権準決勝

おお!二試合ともフルセットマッチだ、接戦だ、これぞ最終戦の準決勝だ!

ズボナレワ 76 36 63 ディメンティエワ
V・ウィリアムズ 62 26 63 ヤンコビッチ

去年までスライスサーブを右側に打つことしか出来なかった、そのスライスサーブも回転系サーブであるにも関わらず恐ろしく確率が悪かった、それでも世界のトップランカーに位置していた、それが今までのディメンティエワである。そのディメンティエワが今年は普通にサーブを打っている。フラットサーブも打って いる。左側にも打っている。安定したサーブと強いストローク、特にリターンが強い。ディメンティエワの圧力の前に、一時パニック状態に陥ってズボナレワは自分を見失っていた。だが変わったのはディメンティワのサーブだけではない、ズボナレワのセルフコントロールも改善されている。切れそうになる自分を抑えて、立て直す。ディメンティエワに先行されたが、落ち着いて挽回、追いつき、6-6TBに持ち込んだ。TBも競り合い、7-7まで行くがそこでズボナレワが二ポイントを連取して第一セットを先取した。これが効いた。第二セットをディメンティエワの圧力の前に3-6で落としてしまうが、第三セットは建て直し にまたしても成功して6-3で取り返し、自身初の最終戦決勝進出を決めた。最下位シードからの決勝進出である。
第二試合もフルセットマッチだったが、こちらは各セットの流れがはっきりとした試合だった。ヤンコビッチはやはり体調が万全といえなかったように見受けら れる。敗れたとはいえ、WTAツアー2008年の年間最終ランキングNo1が既に確定したヤンコビッチである。だがグランドスラムは無冠である。せめて最 終戦ソニーエリクソン選手権のタイトルが欲しかったところだろう。そういう意味では残念な結果であった。
決勝はV・ウィリアムズ対ズボナレワである。ラウンドロビン3戦全勝同士、準決勝で難敵をフルセットの末退けたもの同士、現時点でもっとも調子が上がって いる者同士の対戦である。既に年間最終ランキングNo1は確定しているので、純粋に選手権のタイトルのみを争う戦いである。混迷のWTA2008のツアー を締めくくる熱戦を期待しよう。

 

2008年11月10日 ドーハの涙 2008ソニーエリクソン選手権決勝

もう2008年の最終ランキングNO1はヤンコビッチに決まっている。そして女王はこの決勝の場にはいない。エリー ト8の内、ランドロビンで各組のもっとも低いシードの選手が無敗で決勝まで勝ちあがってきた。混迷の2008WTAツアーを締めくくるべく、ベラ・ズボナ レワとヴィーナス・ウィリアムズが風の舞うドーハの地で激突した。

2008ソニーエリクソン選手権決勝
ウィリアムズ 67 60 62 ズボナレワ

第一セット、ブレークで先行したズボナレワ、そのままサービング・フォー・ザ・セットを迎える。だがセットポイントを取られてからヴィーナスが盛り返す。 ピンチを切り抜け、ブレークバックし、追いついた。6-6で勝負はTBへ突入する。サーブの力と見事な脚力で5-1までヴィーナスがリードを奪うが、ズボ ナレワはそこから静かに追いつく。風がヴィーナスに味方しているのか、微妙なボールが続けてインになった。が最後に運が味方したのはズボナレワのほうである。スライスがネットインして何度も訪れては逃していたセットポイントをついにものにした。7-6でズボナレワが先行した。
第二セット、サーブの威力、ストロークの威力、前後左右の振り回しについて行く脚力、ウィリアムズの怒涛のテニスにズボナレワは押し切られ、6-0でヴィーナスが第二セットを圧倒した。
第三セット、ヴィーナスの勢いは止まらない。ズボナレワはしかし、必死に抵抗し、ブレークされた後すぐにブレークバックに成功した。だが、その後のサービ スゲームで、ヴィーナスのストロークの圧力に抗しきれずミスを強要されるズボナレワはついに切れてしまった。ミスをするたびに倒れこみ、ついには泣き出してしまった
その後、通常にプレーは再開されているが、この一週間、ズボナレワから放たれていた覇気は消え伏せ、ウィリアムズの勢いだけがコートで発現され、6-2で今年最後のセットは終了した。ヴィーナスは最終戦初優勝であった。
ズボナレワはストロークの調子がよかったにも関わらず、ドロップショットを多用して、ヴィーナスに切り返され、リズムを失った。また、ここまでは左右の コーナーに深く打ち込むストロークで相手を押し込んでいたのだが、今日のヴィーナスの脚力の前には攻めきれなかった。更に後半、ヴィーナスの脚力を恐れて 同じコースにボールを集めて、いつもの展開力を失ってしまった。第一セットを見事なテニスで先取したにも関わらず、ウィリアムズの圧力の前に、ズボナレワ は自分のテニスを見失い、そして自滅してしまった。たとえ自滅していなかったとしても今日の後半のウィリアムズから勝利することは困難であったと思うが、 ここまでのズボナレワのテニスを知るものならば、もう少し反撃の余地があったのではないかと思ってしまう。残念な試合内容であった。
ラウンドロビンではセリーナも一方的にやられて途中で泣き出していた。そしてこのツアー選手権でもっとも輝いていたズボナレワも最後に泣かされた。プロの選手に、それも世界8強に名を連ねる選手相手に、悔し涙をコートで流させるほどに強い圧力、その力を今ヴィーナスは手に入れつつある。かつては世界に君臨した元女王、ヴィーナス・ウィリアムズの恐ろしいまでの強さが再び発揮されつつある。そんな感じのする2008年WTAツアー最終戦であった。

 

2008年11月09日 2008マスターズカップ開幕

はい、今年もATPツアー最終戦マスターズカップ上海大会が始まりました。今年も日曜日開催です。女子のツアー選手権の決勝と同じ日に開幕です。ラウンドロビンは下記の通り

赤組
フェデラー、マレー、ロディック、シモン
金組
ジョコビッチ、ダビデンコ、ツォンガ、デルポトロ

で、初日の結果は下記の通り
ジョコビッチ 75 63 デルポトロ
ダビデンコ 67 64 76 ツォンガ

初出場の二人が初戦を飾れず、ジョコビッチとダビデンコが一勝を挙げた。だけどこのグループはもつれるのではないか、そんな予感がするが、結果はどうなるか、明日以降の動向に注目しよう。

 

2008年11月11日 疾風シモン 2008マスターズカップ二日目

2008マスターズカップ ラウンドロビン二日目
シモン 46 64 63 フェデラー
マレー 64 16 61 ロディック

昨日とは逆に今日は初出場の二人が元No1の二人をフルセットの末に下した。シモンのテニスは早いな。緩急をつけているときの「急」が異常に早い。ボール が速いだけでなく、足も速ければ、打つタイミングも早い。ストローク戦ではフェデラーが主導権を握れず、後半は防戦一方になる場面が多かった。フェデラーはネットプレーのキレがよかった。攻めに転じたときのフェデラーはさすがであったが、やはりストロークの競り合いで粘れなかったのが痛い。これはこの試合 に限らず、今季のフェデラーの課題そのものでもある。果たして二試合目以降に修正がなるだろうか。注目しよう。

 

2008年11月12日 巨人激突 2008マスターズカップ三日目

2008マスターズカップ 3日目
デルポトロ 76 76 ツォンガ
ジョコビッチ 76 06 75 ダビデンコ

ヘビー級の若い二人がぶつかった。まさに激突という表現が良く似合う激しい競り合いだった。スイングが大きくてスムーズなデルポトロの豪快なショットに対 して、コンパクトなテイクバックから鋭く豪打を放つツォンガ、二人ともストロークだけでなく、サーブも強い、そして大柄のわりに足が速くて、二人ともコー トを縦横無尽に走り回った。ネットプレーではツォンガの方に分があったと思うのだが、最後に流れを掴んだのは二セットともデルポトロだった。連続TBに突 入したこの勝負は紙一重の差でデルポトロが制した。だがこの二人の対決は今後何度も名勝負を生み出して行ってくれるだろう。
ジョコビッチは危なかった。良く勝ったものだ。第一セットも第二セットも僅差だった。第二セットは圧倒された。取ったゲーム数はダビデンコのほうが多かった。 ジョコビッチはもう少しショットの精密さが戻らなければ本調子とはいえまい。逆にダビデンコは惜しい勝機を逃してしまった。この接戦が次の試合につ ながるか。注目してみていこう。

 

2008年11月13日 風のごとく、林のごとく 2008マスターズカップ4日目

GAORAの中継の冒頭、いきなりアナウンスがあった。「ロディックは練習中に怪我をしたようで、代わりにステパネックがフェデラーと対戦します。」・・・・・ロディックの代打がステパネックですか。ランキング等で自動的に決まるリザーブの人選だが、しかし、なんだ かな・・・・

2008マスターズカップ 4日目
マレー 64 62 シモン
フェデラー 76 64 ステパネック

フェデラーはステパネック相手に際どく勝利、やはりロディックより曲者ステパネックのほうがやりにくかっただろうか。それでもストレートで勝利するのだから、一安心というところか。
マレーが意外と力強くシモンを退けた。もう少し競るかと思ったが、結果はマレーのストレート勝利であった。マレーはファーストの入りが悪く、完調ではなかったが、ストロークが抜群に安定していた。ゆったりしたラリーに持ち込んでシモンの疾風のごとき緩急の攻めをさせなかった。そして林のように静かな、それでいて力強いストロークでシモンに打ち勝った。さてフェデラーとの対戦はどうなるか。今から楽しみである。

 

2008年11月14日 勢いに乗って 2008マスターズカップ5日目

2008マスターズカップ 5日目
ツォンガ 16 75 61 ジョコビッチ
ダビデンコ 63 62 デルポトロ

また二試合とも予想がはずれた。しかし試合途中からのツォンガの勢い、試合当初からのダビデンコの勢いは凄まじい。この勢いをコンスタントに出せればもう少し違った成績が出てきたと思うのだが、それもまたテニスだろうか。
ジョコビッチとダビデンコがそれぞれ二勝でラウンドロビンを突破、ベスト4準決勝に進出した。初出場のツォンガとデルポトロは決勝トーナメントに進出こそ できなかったが、それぞれ貴重な一勝を挙げた。来年は立場が入れ替わっていても不思議ではない、そう思えるテニスをこれからも展開していってほしいもので ある。

 

2008年11月15日 うねりの中で 2008マスターズカップ6日目

2008マスターズカップ 6日目
シモン 61 64 ステパネック
マレー 46 76 75 フェデラー

この2008年マスターズカップのラウンドロビン最終戦は奇しくも今年の全米決勝と同一カードとなった。今年、マスターズシリーズ無冠、グランドスラム唯 一のタイトルが全米だった元No1フェデラー、彼にとってそういう意味ではマレーはいいイメージを持ちやすい相手であろう。だが同時に対戦成績で負け越し ている相手もある。同時にいやな予感があったのかもしれない。
第一セットを取り、先行しながらも第二セットをTBで落としたフェデラーは、マッサージによる治療を受けて、心身ともにリセットして第三セットに臨む。そこでマレーは3ゲーム連取する。マレーには自信がみなぎっている。フェデラーに対してまったく臆するところがない。だがそこからのフェデラーが凄かった。 サービスエースにリターンエース、集中力を増した鋭いショットがマレーを抜き去り、4ゲームを連取して取り返した。が、その直後の第七ゲームで、マレーは ブレークバックに成功した。こちらの集中力も素晴らしい。4-4になった。先にマレーがサービスゲームをキープする。第9ゲーム、フェデラーはギアが上が らず、ブレークポイントをマレーに握られる。両者共に多彩なショットを繰り出し、競演する。マレーは何度かマッチポイントを握ったが、どれも決めきれず、 フェデラーがこのゲームは逃げ切った。だが、次のサービスゲームをマレーは安定した力でキープし、6-5とした。第十二ゲーム、フェデラーはまたマレーに ブレークポイントを握られた。今度は逃げ切れなかった。マレーがマスターズカップ初出場で初の決勝トーナメント進出を決めた。
第二セットまでの流れは、お互いに想定の範囲内であったことだろう。勝負はやはりファイナルセットであった。マレーに3ゲーム連取された後の4ゲーム連 取、そしてマレーの度重なるマッチポイントを切り抜けてのキープ、フェデラーは自分に流れを引き込める場面を作ることに成功していた。だが流れそのものを 自分のモノにしてしまうことはできなかった。去年までのフェデラーであれば、ここで流れを決めていた。如空がよく観戦記で「フェデラーがここでギアを上げ た」と表現するシーンである。特別ショットを強く打つわけでもない、攻めを早くしたわけでもない、突然ガンガンネットに出始めたわけでもない。それぞれの プレーが、それまでより、より正確なり、より鋭くなり、より隙がなくなる。そんな「集中力を上げて、プレーの質を上げて、攻守で相手を圧倒して、ポイント を連取して、ゲームを取る。」という勝ち切るパターンに持ち込めていない。ギアを上げられていないのだ。マレーはうまくフェデラーを封じ込めた。マレーだ けではない。ナダルも、ジョコビッチも、シモンも、あるいは去年フェデラーに連勝したナルバンディアンやカナスも、フェデラーがギアを上げようとするところで、うまく封じ込めて、ギアを上げさせなかった。フェデラーが元の力を取り戻すには、この封じ込めようとする相手のテニスに対してそれを突破する「何 か」が必要なのだろう。その「何か」がフェデラーのテニスを「美しい」と呼ばせていたものなのではないだろうか。少なくとも今のフェデラーはその何かを 失っている。
シモンがステパネックにストレートで勝利し、二勝を挙げている。フェデラーは二敗を喫して、決勝トーナメント進出ならず、ラウンドロビンでの敗退が決まった。今年のウィンブルドンで連覇を阻まれた時と同じような衝撃が走る。フェデラーのいないマスターズカップの決勝トーナメント、そしてナダルもいない。赤 組からは今年初出場のシモンとマレーが決勝進出を決めた。大きな歴史の転換期に差し掛かっているような、うねりのような何かを感じるランドロビンであっ た。
SFはダビンデンコ対マレー、シモン対ジョコビッチである。誰が勝ち進んでも初の決勝進出、そして初の優勝者となる。歴史を塗り替えるのは誰か、その行方に注目しよう。

 

2008年11月16日 喰うか喰われるか 2008マスターズカップSF

2008マスターズカップ上海大会 準決勝
ジョコビッチ 46 63 75 シモン
ダビデンコ 75 62 マレー

シモンは惜しかった、ジョコビッチは見事に競り勝った。ダビデンコは自分のテニスを思う存分表現した。そしてマレーは完全に疲れていた。
ナダルの代打だったシモンは本来エリート8ではない。だがこの上海大会では完全に他の7人を喰ってしまうほどに強烈な存在感を示した。この数ヶ月の彼の成 長振りは凄まじい。あともう一歩のところまでジョコビッチを追い込んでいた。しかし、最後に詰めきれなかった。そして競り勝ったのはジョコビッチだった。
ATPツアー今年最後の試合になるマスターズカップ決勝戦はジョコビッチ対ダビデンコである。今年の前半戦活躍し、ナダルとフェデラーを喰うのではないか と思われた二人だが、後半戦ではその存在感に陰りが見えていた。だが、フェデラーとナダルのいない最終戦の決勝戦に勝ち進んできた。もう既に年間最終ラン キングNO1はナダルに確定している。今年最後のビックタイトルだけをかけてジョコビッチとダビデンコが激突する。最終戦にふさわしい熱戦を期待しよう。

 

2008年11月17日 ジョコビッチの目指すもの 2008マスターズカップ決勝

2008マスターズカップ上海大会 決勝
ジョコビッチ 61 75 ダビデンコ

ジョコビッチは最初からギアをトップに入れて入ってきた。守りが堅く、攻めが正確だ。ダビデンコの機械の様に精密な高速ストロークが、ジョコビッチの圧力の前にミスを強要される。第一セットは6-1でジョコビッチが圧倒した。
第二セットもジョコビッチが先にブレークをした。だがダビデンコは徐々に落ち着きを取り戻しつつあり、ジョコビッチに打ち負けることが少なくなってきた。 ジョコビッチリードの第九ゲーム、ダビデンコのサービスゲームでブレークポイントをジョコビッチは握る。ダビデンコはこの苦しい状況を競り勝ち、マッチポ イントを切り抜けた。5-4となった第十ゲームはジョコビッチのサービングフォーザマッチである。だがさすがに力んだか、ダブルフォールト含む、らしくないミスを連発して、ジョコビッチはこのサービスゲームを落とし、ダビデンコに5-5-で並ばれた。流れがダビデンコに行きかけた第十一ゲーム、ジョコビッチ は再び圧力をダビデンコにかけ、またもブレークに成功した。再び訪れたサーブイングフォーザマッチ、今度はギアをトップに入れたまま走りきり、7-5で第 二セット連取、マスターズカップ初優勝を決めた。
今年の全豪を取った時点で、今年はジョコビッチの年になると予想した。だが全豪以降、マスターズシリーズでタイトルをいくつか取ったものの、全仏、全英、 全米では決勝にすら進めなかった。ナダルもフェデラーも射程圏内に一時は捉えていたが、結局エントリーランキングで二強を抜き去ることはできなかった。予 想ははずれ、期待は裏切られた。だがナダルがいないこの最終戦、フェデラーが既に敗退したこの決勝トーナメントで、見事なテニスを展開し、来年以降再び二 強追撃を開始する、その合図の狼煙を高々と上げた。
ジョコビッチのテニスはフェデラーやナダルのような強烈な個性を放つテニスではない。オーソドックスなオールラウンドプレー、ある意味、基本中の基本であり、王道中の王道とも言える。戦術面でも各プレーのフォームを見ても、それを感じる。「一流の下は二流の上には勝てない」という「青が散る」 のテニス哲学を持ち出すまでもなく、これという武器を持たない教科書的なプレーヤーはどうしても最後まで勝ちきる勝負強さにおいてNO1になりきれないようなイメージはある。土壇場での競り合いでは王道に進むものはやや劣る、最後に勝つのは覇道を貫くアクのある強さだと。そういう理屈はある。だが一方で 「王道を完璧に極めた者には覇道では歯が立たない。」ともいう。それもまた真理だとも思う。ジョコビッチは王道を貫き通すことができるだろうか。それもと も、新たなる武器を身につけていくのだろうか。来年以降ジョコビッチ二強追撃戦に注目していこう。

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