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第080房 2008年全英TV観戦記  (2008/12/16)

 

2008年06月20日  ウィンブルドン2008 ドロー

今年もウィンブルドンの季節がやって来た。ドローが発表されている。例によって独断と偏見によるまったく無責任な展望をしてみよう。
男子第一シードはフェデラー、目下全英5連覇中の昨年度覇者で6連覇を目指す。彼の山であるトップハーフの上半分は、第五シードフェラーを筆頭にモンフィ ス、ヒューイット、ゴンザレス、ベルディッヒ、ベルダスコ、ロドラのシード勢のほかにハーバティ、錦織、モンタネス、ジネプリ、アンチッチ、アンドレーフ となかなかの曲者が揃った。過去にフェデラーと多々因縁のある相手も多い。その強さに陰りを見せ始めた王者であるが、ここは得意の芝のコートで大いにその 強さを発揮して勝ち上がってもらいたいものである。
第三シードはジョコビッチ、去年のベスト4である。今年は全豪を取り、さらにハードコートだけでなく、クレーでも、そして芝の上でも覇権を狙う「双頭の 鷲」である。彼の山であるトップハーフの下半分は、第七シードナルバンディアンを筆頭にセッピ、フェレーロ、バブリンカ、バクダティス、カルロビッチ、ロ ペスらシード勢のほかにサフィン、セラ、ヨハンソン、ポランドリーらが集結した。だが今のジョコビッチの前に立ちはだかることの出来る力を持つものはいる だろうか。
第四シードはダビデンコ、今季も好調をキープして三強を追撃する。彼の山であるボトムハーフの上半分は全英決勝二度進出のロディックを筆頭に、ツルスノ フ、アルマジロ・・・・・じゃなかったアルマグロ、ブレーク、マチュー、ニーミネン、リュビッチらシード勢の他にティプサレビッチ、ヤング、ビョークマ ン、クレメン、ベッカーという顔ぶれである。球足の速いサーフェイスを得意としている選手が多い。ダビデンコにしてみればタフドローだろう。ロディックも また今季前半好調であっただけにQFでダビデンコとロディックの対戦が実現すれば、要注目となろう。
第二シードはナダル、全英では二年連続のファイナリストであり、去年はフェデラーを決勝でフルセットまで追い詰めた。全仏4連覇を果たし、今年こそ同一年 の全仏・全英連覇を狙う、難攻不落の要塞、ATPツアーで今最も高い「城塞」である。彼の山であるボトムハーフに下半分は第八シードガスケを筆頭にロブレ ド、マレー、ステパネック、ユーズニー、キーファーらシード勢の他、フィッシュ、グロージャン、カナス、ハース、マリッセ、サントロ、ラペンティとこちら は試合巧者が揃った。ここは一つナダルを苦しめてほしいものだが、全仏を失セット0優勝したナダルの勢いはこのウィンブルドンでさらに加速するのではと見 るが結果は如何に。
運命の鍵を握る第三の男ジョコビッチは今回フェデラーの山であるトップハーフに入った。これによりフェデラーが優勝するためには、順当に行った場合、ジョ コビッチ・ナダルに連勝しなければならない。今のフェデラーにとってこのウィンブルドンは最後の砦だ。ここを落とせば一気にその覇権は崩れる。去年同様こ こから後半戦の大反撃でNo1を守るか、それとも覇権は一時的にせよ崩れるのか。天下分け目の大一番がフェデラーを待ている。


女子の第一シードはイバノビチ、全仏を取りエナン引退後のWTAの女王の座に一気に上り詰めた美しき王座の継承者である。彼女の山であるトップハーフの上 半分は第八シードチャクベターゼを筆頭にデシー、スキアボーネ、サバイ、シュニーダー、バイディソワ、ラッアーノと続く。イバノビッチの早い展開のテニス が球足の速い芝のコートでどこまで発揮されるか、もしも全仏以上の速さで展開したならば、彼女の優位は崩れまい。
第四シードはクズネツォワ、彼女の山であるトップハーフの下半分は第六シードS・ウィリアムズを筆頭にボンダレンコ姉妹、藤原、ラドワンスカ、バルトリ、 キリレンコ、モーレスモという実力者が揃った。過去に全英ではあまりよい成績を残していないクズネツォワに対して、ある日突然強くなるセリーナ・ウィリア ムズの存在は不気味に映ることだろう。そして去年のファイナリストバルトリの存在も気になるところである。
第三シードはシャラポワ、今年の全豪覇者であり、イバノビッチに譲った女王の座を奪回するべくウィンブルドンに乗り込んできた。彼女の山であるボトムハー フの上半分は第五シードディメンティワを筆頭に、バジンスキー、ドゥルコ、レザイ、ダベンポート、サフィーナ、アザレンカ、ペトロワ、バーマー、という顔 ぶれである。台頭しつつある若手、優勝経験のあるベテラン、そして同じ国のライバルたちという、シャラポワにしてはタフドローとなった。何より今年の全仏 ファイナリストサフィーナが第九シードでこの山にいる。この難関を突破できるかどうか、シャラポワにとっては大きな試練となりそうである。
第二シードはヤンコビッチ、先に行かれた同国のライバルイバノビッチを追撃するべく自身も駆け上がるセルビアコンビの一角である。彼女の山であるボトム ハーフの下半分は第七シード前年度覇者V・ウィリアムズを筆頭にミルザ、ペンネッタ、杉山、ハンチェコワ、ズボナレワ、中村、タナスガーン、クライチェッ ク、スレボトニク、ウォズニアキという顔ぶれである。球足の速いコートで早い展開が好みの選手が揃った。ヤンコビッチは大いに苦戦するだろうが、それでも 得意の切り返しでこのタフドローを切り抜けてくることだろう。
ボトムハーフが厳しい、シャラポワとヤンコビッチがシードを守れるかどうか不安がある。一方で第一シードイバノビッチは女王らしく一気に駆け上がってきそうな気配を感じるが、果たして結果は如何に。
地上波ではNHKで、衛星放送ではWOWOWでそれぞれウィンブルドン中継も初日からある。バトルオブブリテン、2008ウィンブルドンが始まるのだ。熱戦を期待しよう。

 

2008年06月24日  ウィンブルドン2008 初日

ナルバンディアンダウン、カルロビッチダウン、ロドラダウン、モンフィスは直前に欠場、錦織は試合途中で棄権と慌しい開幕となったウィンブルドン2008の初日である。
フェデラーはハーバティ相手にストレートの快勝であった。しかしハーバティってまだ現役だったんだ。如空がテニスを始めた頃からグランドスラムに出場して いる。確か1999年、アガシが全仏で生涯グランドスラムを達成したときのSFの相手がハーバティだったのではないか。サーブのトスの高さはドイツのキー ファーと共にツアーNo1であったが、そのトスの高さは今でも健在であった。フェデラーはとてもリラックスして一回戦に臨んでいた。この調子ならSFまで は順当に行くだろう。準決勝と決勝には厳しい戦いが待っているはずだ。そこまでは余裕と圧倒の試合内容で勝ち進んでほしいものである。No1らしく。

 

2008年06月25日  鉄人と要塞砲 2008ウィンブルドン二日目

第四シード・ダビデンコダウン!3セット連続4-6・1ブレーク差というストレートで敗退してしまった。ダビデンコ を倒したのはドイツのベッカー、二年前の全米でアガシのキャリア最後の相手として立ちふさがったビックサーバーである。やはり芝ではビックサーバーが有利 なのか・・・・・と思っていたら第26シードのリュビチッチも負けてしまった。シャラポワのニューウェアイマイチだった。二日目も慌しいウィンブルドン2008である。
男女通じて最長となる57大会連続グランドスラム大会本戦出場記録を達成した杉山の試合は地上波NHKでもBSWOWOWでも中継されていた。相手はベル ギーのウィックマイヤー、先週の芝の大会で決勝まで勝ち上がっていた勢いのある18歳であったが、要所要所でのポイントを取りきり、ストレートで難敵を突 破した。しかし一年に4回あるグランドスラムを57大会連続出場しているということは14年以上、長期の戦線離脱もなく、トップランカーにとどまり続けた ことになる。これはこれですごいことだな。まさに鉄人である。
第二シードナダルも登場、ゲームの内容は競っていたが、それでもストレートで一回戦を突破した。フェデラーが「ナダルはサーブから攻めさせてくれなくなっ た」といったそうだが、確かにナダルのこの数ヶ月の異常なまでの増強はリターンの向上によるところが大きい。いいサーブを打たれても堅実にリターンして攻 めさせない。そして少しでも甘いサーブが来るとフラットで叩き込む。対戦相手はサービスゲームで気の抜けない状況に追い込まれる。堅牢な要塞に強力な巨砲 が装備されたようなものだ。クレーから芝にサーフェイスが変わり、ナダルのリターンの精度はやや落ちているようで、芝の前哨戦でもこの全英一回戦でも少し 苦しんでいる様子が伺えるが、このまま順当に勝ち上がっていけば、リターンのタイミングが合い始め、二週目は全仏の二週目と同様に「突然強くなるナダル」 がまた突然現れるかもしれない。そうなれば今年こそ、タイトルをつかむかもしれない。今年の全英タイトルはただ単にウィンブルドン初優勝になるだけでな く、No1の座が一緒になって来る可能性のあるタイトルである。赤土の覇者は当然それを狙っている。

 

2008年06月26日  静かなる馬鹿 2008ウィンブルドン三日目

馬鹿、サフィンの馬鹿、お前は本当にばか者だ。こんなところで目覚めるな。あれほどの才能を持ちながら、2005年 全豪の優勝以来、ずっと眠っていたくせに、こんなところで復活するな。今までフェデラーの独走を許していたくせに、ようやくナダルとジョコビッチがフェデ ラーの牙城であるエントリーランキングNo1の座からフェデラー本人を追い落とす可能性を見出し始めたこの時に、よりにもよってSFで打倒フェデラーに挑 むNo3ジョコビッチを二回戦なんかで倒すな。同世代のフェデラーへの援護射撃のつもりか。

2008全英男子二回戦
サフィン 64 76 62 ジョコビッチ

ベースラインから強打を打ち続ける。正確に、そして何度でも何度でも、フォアからもバックからも、ストレートへもクロスへも逆クロスへも、相手の固いディ フェンスが崩れるまで何度でも強打を打ち続ける。頭を超えるほどに跳ねるキックサーブ、そのキックサーブと同じフォームで打ち出される強打のフラットサー ブ、リターンは手堅く、その大きな体格と長い手足は鉄壁の守りを固める。相手に攻め込まれてもライジングの鋭い切り替えしで形成を逆転する。あれがサフィ ンである。あの強いテニスこそが2000年全米決勝でサンプラスを破り優勝した、2005年全豪でフェデラー・ヒューイットを連破して優勝したあのサフィンのテニスである。いつもの激情家である彼の性格はどこへやら、淡々と強打を打ち続けて、職人が仕事を黙々とこなしていくかのように粛々とポイントを重ねていく。サフィンが静かなる時は強いときである。静かなるサフィンを相手に勝つことは難しい。
ジョコビッチはサーブの調子が悪かった。ファーストの入りが悪いだけでなく、セカンドが入れるだけでサフィンに叩かれた。強力かつ確率の高いキックサーブ をセカンドに持つサフィンに対して、ジョコビッチのセカンドサーブは確率・威力共にレベルが低かった。ダブルフォールとも多かった。マッチポイントをダブ ルフォールで終わるなど、最悪の終わり方だろう。
しかし・・・・第四シードダビデンコが一回戦敗退、第三シードジョコビッチが二回戦敗退、これでフェデラーとナダルの二強による決勝への道のりの最大の障 壁がそれぞれ取り除かれたことになった。これってどうよ。ゴンザレスもダウンした。そしてフェレーロもダウンした。フェレーロはサフィンのスペイン修行時 代の幼馴染で、二人ともGSタイトルホルダーにしてNo1経験者であるが、今回サフィンはノーシードに対してフェレーロは第21シードである。それがフェ レーロは試合途中で棄権した。たしか全仏でも試合途中棄権していなかったか?フェレーロは大丈夫だろうか。フェレーロやヒューイット・ロディック・サフィ ン、そしてフェデラー、彼ら80年代前半生まれの選手たちにも30歳代が近づいている。フェデラーのカーディガン姿もオヤジくさい。これからどうなっていくのか、少し心配である。いや、サフィンの馬鹿だけは心配していないが。
女子の第一シードイバノビッチも危なかった。デシー相手に連続TBの末にファイナル突入、ファイナルセットも6-6までもつれる大接戦であった。ウィンブ ルドンのファイナルセットはTBがない。2ゲーム差をつけるまで続く。最後は10-8でイバノビッチが競り勝った。途中マッチポイントをデシーに握られて からの逆転劇であった。コードボールに助けられたとき、思わずイワノビッチはネットにキスをしていた。もしもイバノビッチが負けていればセルビア勢受難の大波乱の一日になるところであった。
なにやらこれからも色々と波乱の起きそうな予感がする今年のウィンブルドンである。気を抜かずに注目していこう。

 

2008年06月27日  荒れる二回戦 2008ウィンブルドン四日目

職場から自宅に帰宅すると、TVの中でナダルが苦戦していた。1セットダウン、やばい、ダビデンコ・ジョコビッチに 続いてナダルまでも負けるのか、と一瞬あせった。だがそれは杞憂に終わった。徐々にタイミングが合い始めたナダルのストロークは徐々に威力を増し、最後に は相手を圧倒していた。セットカウント3-1男子第二シードナダル二回戦突破。これで全英4日目も平穏無事に終わるのかなと思っていたら、とんでもない結 果がこの日は待っていた。シャラポワがストレートで負けたのだ。
女子第三シードシャラポワダウン、ハンチェコワもダウン、ズボナレワもダウン、ベネッタ・ダベンポート(棄権)・バンマー・ミルザもダウン。男子第六シー ドロディックダウン、ブレークダウン、アルマジロ・・・・じゃなかったアルマグロダウン、ロブレドダウン、ニーミネンダウン。グランドスラムの二回戦でこ れだけシードダウンするが起こるとは大波乱だろう。だが大波乱のように見えてまだ男女ともトップ2シードは勝ち残っている。決勝までここが揺らぐかどうか が今後の注目点だろう。そして何より波乱を演出したノーシード選手たちの中にいる次世代トップランカー候補者たちの動向も気になる。とにかく今年のウィン ブルドンの準々決勝、準決勝は少し違った顔ぶれになりそうである。熱戦を期待しよう。

 

2008年06月28日  現女王敗退、元女王虎視眈々 2008ウィンブルドン五日目

おいおい、女子第一シードのイバノビッチまでもが負けてしまったぞ。去年のファイナリストバルトリも三回戦敗退だ。男子では第五シードフェラーの他、ベルディッヒ、セッピらがシードダウンした。まだ5日目だぜ、三回戦だぜ、今日のボトムハーフの三回戦も何かが起こるのか。
S・ウィリアムズとモーレスもという元女王対決が行われていた。第一セットTBをセリーナが取るとその後はあっさりとセリーナが決めてしまった。モーレスにウィンブルドン優勝時の切れはない。あの回転重視のストロークと柔らかなネットプレーという独特のプレースタイルは 今でも健在だが、要所要所での迫力に欠ける。一方で全盛期のプレーが出来ていないことではセリーナも同じだが、セリーナは逆に要所で集中力発揮して、効率 よく勝っているように思われる。イバノビッチとシャラポワの消えた今、セリーナにもチャンスが見え初めているのではないだろうか。

 

2008年06月29日  意外な一面 2008ウィンブルドン六日目

ツルスノフダウン、マチューダウン、ステパネックダウン、アザレンカダウン、と言ってもそれほど大事ではないような 気がする、2008ウィンブルドン6日目だった。それまで大きなシードダウンがあったからね・・・・と思ってよく見ると、第九シード・サフィーナが負けて いる。全仏決勝まで行った二人、イワノビッチとサフィーナが共に三回戦を突破できなかった。好成績を維持し続けることは難しい。だがその難しいことをやっ てのけてこそトップ選手であろうに。
WOWOWの中継でハース対マレーという好カードが中継されていた。セットカウントは3−1でマレーが勝つのだが、中継中の解説が面白かった。精悍な顔つ きと器用なオールランドプレーから想像するに、冷静沈着にして大胆不敵であるクレバーな性格だと想像してしまうのがドイツのトミー・ハースである。だが、 実際のその本性は短気で「キレやすい」性格とのこと。試合中、自分のプレーがイメージ通りにいっていると問題ないのだが、自分のプレーがイメージ通りでは なかったり、あるいは相手が自分を上回るプレーをして、思い通りに試合が進まなければ、試合を投げてしまうことがよくある、とのこと。実際この試合もマ レーの見事なカウンターショットの前に「ハイハイ、お上手ですね。」と手で煽ったりするシーンもあった。ハースの試合を今まで数回見たことがあったが、そ のようなシーンを見たことはなかったので、ハースってクレバーな奴、と思い込んでいた。しかし、違う面も持っていたのだね。意外であった。
さて大物シードのダウンが相次いだ第一週であったが、無事にミドルサンデーを迎えて来週より四回戦に突入する。男子はフェデラー対ヒューイット、サフィン 対バブリンカ、ガスケ対マレー、ナダル対ユーズニー、女子はバイディソワ対チャクベターゼ、クズネツォワ対ラドワンスカ、と好カードがあり注目に値する。 更なる熱戦を期待しよう。

 

2008年07月01日  スーパーマンデーも波乱 2008ウィンブルドン四回戦

全米は第二週の土曜日に男子シングルス準決勝二試合をディゲーム、女子シングルス決勝をナイトゲームに組む。一日に 重要な試合が3試合も集中するので、この日を「スーバーサタディ」と呼ぶ。ちなみに全豪は第二週の木曜日に女子シングルス準決勝二試合をディゲームに、男 子シングルス準決勝二試合の内の一試合をナイトゲームに(もう一試合は翌日金曜日のナイトゲーム)に組まれるので、如空は勝手に「スーパーテュースディ」 と呼んでいる。さてウィンブルドンを初中継しているWOWOW解説の柳恵誌郎氏は男女の四回戦16試合が全て一日で消化されるこの全英七日目を「スーパー マンデーですね」と呼んでいたが、言いえて妙だろう。そのスーパーマンデーでまたもや女子に波乱が起きた。
第二シードヤンコビッチダウン、第四シードクズネツォワダウン、おお、トップ4シード全滅だ。男女通じてもトップ4シードがベスト8に進めなかったのは数 十年ぶりの大事件らしい。他チャクベターゼダウン、サバイダウン、大荒れの女子ベスト8決定である。QFの組み合わせは下記の通り

ジー対バイディソワ
ラドワンスカ対S・ウィリアムズ
ディメンティワ対ペトロワ
V・ウィリアムズ対タナスガーン

トップシードが崩れたとはいえ、勝ち残っているのはそれなりの実力者である。なんとなく久々のウィリアムズ姉妹の決勝対決を見ることになりそうな気配がするが、果たして結果は如何に。
ベルダスコダウン、バブリンカダウン、ガスケダウン、ユーズニーダウンと男子もシードダウンしているが、それらを倒したのはシード選手およびかつてシードを持っていたことのある実力者たちである。男子QFの組み合わせは下記の通り

フェデラー対アンチッチ
サフィン対ロペス
シュトラー対クレメン
マレー対ナダル

二強フェデラーとナダルは健在、特にフェデラーに関しては徐々にギアを上げてきている。今年前半戦に見られた不安定要素は今のところ見当たらない。やはり 芝の上では現在でも「圧倒的強者」なのであろうか。一方でナダルは地元マレーと当たる。四回戦ではガスケ相手に2セットダウン、第三セットTBからの大逆 転劇を演じてここまで勝ち上がってきた。観客の声援も凄いことになるだろう。芝の相性もよくなってきているようだ。ナダルにとっては大きな関門になりそう である。不気味なのはサフィン、静かだ、そして強い。静かなるサフィンは強い。不気味な奴がトップハーフにいる。6連覇を狙う王者の山にいる。不気味だ。

 

2008年07月02日  ウィンブルドンの鷹 2008ウィンブルドン女子QF

WOWOWのウィンブルドン中継でナビゲーターをつとめている俳優の石黒賢氏、少々オーバーアクション過ぎるところ があるが、おおむねいい感じではないか。如空は好感を持って見ている。試合中継の合間にウィンブルドンの様々な様子を報道するミニコーナーがあるのだが、 昨日はそこでウィンブルドンに舞う鷹の話が出ていた。
ウィンブルドン上空を鷹が舞っているのである。自然にウィンブルドンに住みついた鷹ではない。鷹匠が自分の鷹を飛ばしているのである。目的は鳩のコートへ の侵入を抑止することにある。コート上に鳩がやってきて試合の進行を止めてしまうことがウィンブルドンではしばしある。昔ドキッチの試合で鳩がコートに降 りてきて、それをドキッチが追い払うシーンを見たことがある。そのときのドキッチのしぐさがかわいかったので話題になったものだ。しかし、笑い話ですまい 場面もある。そんなシーンを見た鷹匠の奥さんがウィンブルドンに旦那の鷹匠を売り込みに行ったのがことの発端、今では鷹匠が飛ばす鷹が鳩の侵入を抑止して くれているという。大会期間中だけではない。センターコートなどの芝は毎年種がまかれるのだが、鳩はその芝の種を食べてしまう。そのため種まきのシーズン も鷹は鳩を追い払うためにウィンブルドン上空を舞うのだそうだ。しかし、観客に対して「なぜ鷹がウィンブルドン上空を舞っているのだと思いますか」という 質問に、女の子の集団が異口同音に「ホークアイ(鷹の目)!」と叫んだのには笑った。判定の是非をコンピューターでチェックする「チャレンジ」に使用され ている「ホークアイシステム」、あれを生きている鷹の目を使って調べていたというボケは妙に面白かった。だれか漫才か落語のネタに使ってくれ。

2008全英女子準々決勝
ディメンティワ 61 67 63 ペトロワ
S・ウィリアムズ 64 60 ラドワンスカ
V・ウィリアムズ 64 63 タナスガーン
ジー 62 57 61 バイディソワ

ディメンティワとジーは強敵をフルセットにもつれたが退けて、準決勝進出である。一方でウィリアムズ姉妹はストレート勝利である。序盤こそ競り合ったが、 後半は相手を圧倒した。準決勝はジー対セリーナ、ディメンティワ対ヴィーナスである。やはりオール・ウィリアムズ・ファイナルかな。ジーとディメンィエワ の奮闘に期待しよう。

 

2008年07月03日  二強と呼ぶにふさわしく 2008ウィンブルドン男子QF

2008全英男子準々決勝
フェデラー 61 75 64 アンチッチ
ナダル 63 62 64 マレー
サフィン 36 75 76 63 ロペス
シュトラー 63 57(日没順延) クレメン

如空の予想に反して、トップ2シードが「二強」と呼ぶにふさわしい勝ち上がりを見せている。フェデラーはもっと苦戦すると予想していたが、ここは彼の庭、 強い強い。このウィンブルドンで最後にフェデラーを負かした男、アンチッチも寄せ付けなかった。好調の波に乗るサーブを武器にフェデラーは一気にここまで 勝ち上がった。準決勝では目覚めつつあるサフィンに当たる。不気味ではある。サフィンの出来次第ではセットを落とす接戦になるかもしれない。だが、それで も順当に突破してくるように思う。
フェデラーの目から見て、やはり問題なのは、サフィンよりナダルだろう。QFでも好調の地元マレーを寄せ付けなかった。フォアが強い。この速い芝のサー フェイスで、ストローク戦にあれだけ強みを発揮するとはすごい。ナダルといえど、芝ではクレーのようには行かないだろうと如空は見ていた。前哨戦や全英第 一週の出来を見てもそう思った。だが第二週になって芝の上でまた強くなっている。全仏第二週で突然強くなったように。今年のナダルは去年より強い、芝の上 でも強い。果たして決勝の行方はいかに。
フェデラーは目覚めつつあるサフィンを突破できるか。ナダルのSFの相手は誰か。両雄の三年連続決勝対決が実現した時、その勝負の行方は過去二年と同じになるのか、違った結果が待っているのか。いよいよウィンブルドンはクライマックスを迎える。更なる熱戦を期待しよう。

 

2008年07月04日  夏の芝つわものどもが夢の跡 2008ウィンブルドン男子QF2女子SF

一昨年引退したアガシはそのキャリアの後半、全豪で圧倒的強さを誇っていた。全豪初優勝は1995年、その後失速、 1999年に全仏優勝で復活、生涯グランドスラム達成後の2000年年頭、ここで全豪二度目の優勝、翌2001年三度目の優勝、2002年は欠場、 2003年四度目の全豪優勝、2004年全豪SFまで進出、ここでフルセットの壮絶な打撃戦の末に破れ、全豪の連勝記録を止められた。このアガシのキャリ ア後半の全豪連勝記録にかかわった対戦相手が奇しくも今年のウィンブルドンベスト8に勝ち残っている。全豪2001年ファイナリストシュトラー、2003 年ファイナリストクレメン、そしてアガシの全豪連勝記録を止めた2004 年ファイナリストサフィンである。サフィンは2004年全豪決勝でフェデラーに敗れるが、そのリベンジを翌2005年全豪SFで果たす。そして今回もまた フェデラーの待つSFまで勝ち上がってきた。そして、2000年代初頭、アガシにグランドスラム初制覇の夢を砕かれた二人が、時を経て、ウィンブルドンの 芝の上で激突した。

2008年男子準々決勝
シュトラー 63 57 76 67 86 クレメン

・・・・凄まじいスコアだ。日没順延で二日にわたったが、それでも5時間を越える死闘である。一方的なセットというのがまったくない。おそらく全セットが それぞれ一試合分の労力を投入されたことだろう。全豪で決勝まで行った時と二人は変わらない。バンダナにサングラスがトレードマークの曲者クレメンと、帽 子を後ろ向きにかぶり、ハーフパンツの丈が妙に短い速射砲シュトラー、強い気持ちで戦う二人にマッチポイントは両者共に訪れた。だがクレメンはマッチポイ ントを取れず、シュトラーが取りきった。シュトラーはSFでナダルに挑む。

2008全英女子準決勝
V・ウィリアムズ 61 76 ディメンティワ
S・ウィリアムズ 62 76 ジー

姉妹そろって似たようなスコアでSFを突破した。第一セットは圧倒、第二セットは落ち着きを取り戻し安定してきた相手に競り勝つ。どんな状況からでも勝利 にたどり着く。柔軟な強さを発揮して二人は勝ちあがってきた。女王も女王候補も不在の決勝戦で元女王の二人はどのようなテニスを展開するのだろうか。
男女とも、ここ数年の主流からは外れていた人たち、2000年代前半に活躍した選手たちが久しぶりの勝ちあがりを見せている。そして2000年代中盤から ATPを支配している二強フェデラーとナダルもまた、今年は苦戦するかと思われたが、ここまで磐石である。去年までの強さを十分発揮している。ナダルは去 年よりもさらに強い。伝統のウィンブルドンで、今まで見てきた夢を再び現実にするべく、歴戦の勇者たちが勝ち上がる。ウィンブルドンの初夏の芝の上に描か れるつわもの達の夢の跡、トーナメントで夢をつかむのは一人だけ、ただの一人だけ。その一人は誰か。いよいよウィンブルドンは後3日である。さらなる熱戦 を期待しよう。

 

2008年07月05日  柔軟なる強者 2008ウィンブルドン男子SF

昨日の女子準決勝も同じような試合展開で二試合ともストレートで終わった。今日の男子準決勝と同様に。

2008全英男子準決勝
フェデラー 63 76 64 サフィン
ナダル 61 76 64 シュトラー

第一セットは圧倒、第二セットは落ち着きタイミングも合い始めた相手に競り勝つ。第三セットは1ブレーク差で勝ちきる。圧倒的完勝ではないが、同時にリスクを十分にコントロールした上でのストレート勝利だった。
フェデラーはサーブが強いものの、フォアハンドストロークの精度にはやや不安がある出来であった。だが競り合いの中で大事なポイントを譲らなかった。競り 合いの中で崩れたのはサフィンの方だった。ここまで「静かなる」サフィンで勝ち上がってきた。試合序盤もややミスが早かったが概ね集中できていた。だがそ れでも倒せぬフェデラーを前に、とうとう気持ちが折れた。崩れた。ラケットを叩きつけて雄叫びを上げ、警告を受けた。完璧な出来ではなくても「静かなるサ フィン」を突き崩す静かなる王者、今のフェデラーは圧倒的な強さはなくても柔軟な強さを身にまとっている。
柔軟な強さはナダルも身につけている。第二セットは先にシュトラーにブレークされ、5-4まで追い詰められていた。しかしサーブイング・フォー・ザ・セッ トで決められないシュトラー、ミスを重ねてしまう。その一瞬の隙を突いて反撃するナダル。ブレークバックに成功して、TBも取りきってセットを連取した。 ナダルは赤土の上だけでなく、芝の上でも強固な城塞を築きつつある。そしてその高い城塞の上から威力のある大砲を打ち込んでくる。ナダルはじわじわとスト ロークでの圧力を強めていく。第三セットは第三ゲームでブレークした。第九ゲームでブレークポイント、イコールマッチポイントを3つ握るがナダルはミスを 重ねて取りきれなかった。だがそれでも、その1ブレークを無理せず守りきり、ストレートで好調なシュトラーを破った。
ウィンブルドン男子シングルス決勝は3年連続で同一カード、No1とNo2の頂上対決となった。フェデラーは去年同様の強さをここに来て取り戻している が、ナダルは去年以上の強さを発揮している。去年のような接戦になれば今度は最後にナダルが流れを掴むことだろう。フェデラーが勝つためには最初からナダ ルを封じ込めなければならない。そのためにはフェデラーのサーブの調子が大きな鍵を握るだろう。そしてナダルのリターンがどれだけ当たってくるかというと ころにポイントがあるように思う。さすがに今年の全仏決勝のようなナダルの一方的な勝利というのはこのウィンブルドンでは難しいと思う。それでも戦前の如 空の予測ではナダルの方がやや優位と見るが、結果は如何に。
両雄が三度、ウィンブルドン決勝の舞台で合間見える。いよいよ決勝戦である。熱戦を期待しよう。

 

2008年07月06日  大局観に立つ姉 2008ウィンブルドン女子決勝

2008全英女子決勝
ヴィーナス・ウィリアムズ 75 64 セリーナ・ウィリアムズ

第一セット、先にブレークしたのはセリーナ、しかし、ヴィーナスは先行する妹に追いつき、追い越す。第二セットも先にブレークしたのはセリーナ、だが ヴィーナスは追いつく。そして第十ゲームでブレークポイントイコールマッチポイントを二つ握り、二度目で決めた。五度目のウィンブルドンタイトルであっ た。
テニスのショットの技術一つ一つを取れば柔軟であるのはセリーナだろう。ヴィーナスのショットはセリーナに比べればやや「固い」、小技の器用さでもセリー ナの方が上である。だが試合の運び方というべきか、配球の妙という点ではヴィーナスの方が柔軟であるようだ。最終的に相手を圧倒したいセリーナに対して、 競り合いの中で相手より二ポイント上回ればいい、二ゲーム上回ればいいい、という大局観に立ってヴィーナスは試合に臨んでいたように思う。一ショットの内 容ではセリーナが上回っているシーンがあるのだが、競り合いになった場面で、ショットの選択肢が少ないはずのヴィーナスがより柔軟に動いていた、一方でセ リーナはその次の一手をヴィーナスに読まれていた。そしてグランドスラム決勝での対決で5連勝中であったセリーナは今回は姉に勝てなかった。
トップシードら主役が消えていく中で、元女王の二人、ウィリアムズ姉妹はその存在感を見せ付けた。だがこの構図は今回限りの光景だろう。いよいよエナン以 後のWTAの勢力地図を塗り替えるのは誰か、その覇権を問う戦いが始まる。その混戦を予感させるウィンブルドン女子シングルス決勝であった。

 

2008年07月07日  伝説の終焉 2008ウィンブルドン男子決勝

フェデラーとナダルにつきまとう、切っても切れない強い糸、人はそれを「宿命」と呼ぶ。今年の全豪からクレーシーズ ン前半まではフェデラーとナダルの両雄はやや後退しつつあった。グランドスラムの決勝でこの両雄が合間見えることは去年ほどには可能性が高くないと考えら れていた。だが、フェデラーが出れば、ナダルも出る。ナダルが蘇れば、フェデラーも蘇る。お互いがお互いのそれぞれ更新しつつある記録の最大の障壁になる べく現れる。3年連続で全仏・全英の決勝はフェデラーとナダルが激突する。宿命のライバル二人、三度目のウィンブルドン決勝である。

2008全英男子シングルス決勝
ナダル 64 64 67 67 97 フェデラー

ナダルのスピンボールがラインに乗ってフェデラーの足元でバウンドが変わった。これで第一セット第三ゲーム、ナダルがブレークに成功する。フェデラーの バックハンドに徹底的にサーブを集める。ヘビートップスピンをフェデラーの片手バックハンドの高い打点に跳ね上げる。フェデラーは安定しつつも攻めること が出来ずにセットを落とした。ナダルが6-4で第一セットを先取する。
第二セット、サービスが高いレベルで安定しているフェデラーはリターンで強気の攻めを見せる。第二ゲームでネットに出たナダルをクロスのパスで抜き去り、 ブレークに成功した。フェデラーリードの4-2、第七ゲームでナダルがブレークポイントを握る。ネットに出るフェデラーに対してナダルのバックハンドスト レートが襲う、フェデラーはラケットを弾かれてブレークを許してしまった。ナダルはストロークでもフェデラーのバックに集中攻撃をかける、一方でフェデ ラーのフォアにはミスが出始めた。第七ゲームでフェデラーはブレークポイントを握るが決め切れなかった。だが次の第八ゲームでナダルはブレークに成功す る。リードしたナダルは次のサービスゲームをキープして6-4で第二セットも取った。
第三セット、フェデラーはブレークポイントを握るが決めきれない、ナダルにバックハンドを攻められて苦戦する。5-4で一時雨天中断が入った。実は試合開 始時間そのものも雨により遅れている。日没が近づくセンターコートで試合は再開された。互いにサービスゲームをキープし合ってTBに突入する。ここでフェ デラーのフォアに当たりが出始める。そして逆にナダルのサーブが甘くなった。最後にサービスエースを決めてTB7-5、フェデラーは第三セットを取った。
第四セットもキープ合戦、デュースは多い、ブレークポイントも多い、二人ともサーブが乱れたり安定したり、ゲームを長引かせながらもまたもやTBに突入し た。今度はナダル先行、フェデラー追いつくが、ネットに出たフェデラーをナダルのストレートパスが抜き去り、ついにチャンピオンシップポイントが来た。だ が今度はネットに出たナダルをフェデラーのバックハンドパスが抜く。そしてフェデラーはサーブの力でナダルを押し戻し、第四セット連取、2セットオールと なった。
第五セット、またもキープ合戦、またも雨天中断、そして再開、そこから先は何があったかわからない。録画していたNHK総合は追加予定枠をいっぱい使い切 り、日本時間の4:30から教育TVに中継局を変更した。そのため、その先は如空のレコーダーには録画されていない。だから映像でその内容を見ることが出 来ない。わかっているのは6-6までキープ合戦が続いたということ。ウィンブルドンはファイナルセットにTBはない。二ゲーム差をつけるまで続く。ナダル がブレークに成功したがフェデラーはブレークできなかった。ファイナルセット9-7、フェデラーの芝の上での、そしてウィンブルドンの連勝記録はストップ し、ナダルが初優勝を決めた。
雨天中断を考慮してもなお、長い試合であった。長いデュースの多い試合だった。後半は競り合いながらもサービスのキープ合戦であった。第三・第四セットで はナダルがここで決めてしまうだろうと思われるゲームが多々あったが、フェデラーはそのピンチをしのぎ、TBで見事に逆転して見せた。ナダルと競り合いに なれば不利だと如空は思っていたが、如空の予想に反して、接戦の中でフェデラーは見事にナダルと渡り合っていた。連続TBを取りきったフェデラーは見事 だった。だが互角に渡り合うだけでは勝てない。フェデラーはサーブの力に助けられていた。バックハンドリターンでミスが多かった、ストロークでフォアが決 まらなかった。ネットに自信を持ってアプローチできなかった。ナダルはいつもどおりのプレーをしただけである。いや、重要な場面では珍しく緊張して手足が 縮みチャンスを逃したシーンもあった。だがナダルはあきらめない。2セットアップからセットオールに戻されても、揺らがず、何度でも何度でも、フェデラー に挑む、あきらめずに何度でも。ナダルは最後まで自分のテニスを貫き通した。そしてフェデラーの最後の最後でついに乗り越えたのであった。
ナダルは全英の決勝に三度進み二度阻止しされた。フェデラーに阻止された。三度目の挑戦でようやく手に入れた全仏以外のグランドスラムタイトルである。 フェデラーは全英六連覇の夢をその目前で絶たれた。No2ナダルの成績にかかわらず、フェデラーがベスト8を突破した時点で来週のATPエントリーランキ ングNo1は確定している。まだ、No1の牙城は崩れてはいない。だが、大きな、大きな何かが終わってしまったような気がする。フェデラーのウィンブルド ンの支配は終わった。来年以降再び制覇できるかもしれない。しかし、ひとまずフェデラーの伝説は終焉を迎えた。夏の北米ハードコートシーズンからはATP でも新たに物語が始まる。その主役は再びフェデラーなのか、あるいはナダルとジョコビッチなのか、それ以外の選手なのか、これからに注目である。

 

2008年12月02日  最後の48分 2008ウィンブルドン男子決勝

今年もそろそろ「テニスのお寺 電脳網庭球寺 僧房編 2008年テニス界10大ニュース」を始めなければいけない 時期なのだが、忙しくてまだ準備できずにいる。まだ始められない理由がもう一つある。おそらくトップニュースになるであろう2008ウィンブルドン決勝戦 のTV観戦記が完全に終わっていないのである。
今年の7月7日のブログの記事を 見てもらえば分かるのだが、如空はこの世紀の一戦を途中までしか見ることしかできなかった。録画していた地上波NHKが追加予定時間枠を使い切り、放送 チャンネルを総合から教育に変更したために、録画がファイナルセットの途中で途切れているのだ。ライブで観戦していたらすぐに対応できたのだが、翌日仕事 があったので、ファイナルセット突入が決まった時点で、ライブ観戦をあきらめて寝てしまった。録画をチェックしたときにこの悲劇に気がついた。だがそれほ ど如空が慌てなかった。衛星放送でウィンブルドン中継をしているWOWOWがグランドスラムの決勝は男女とも再放送することを知っていたからだ。編集され ているが、さすがにファイナルセットの後半はカットすまいと安心していた。後日、WOWOWの再放送を無事録画し、決勝戦を最後まで見ることができた。だ が、その最後の部分をまだ記事にしていなかった。
という訳で、半年遅れになりましたが、2008年ウィンブルドン決勝ナダル対フェデラーのファイナルセットのTV観戦記をアップします。

編集(部分カット)されたWOWOW再放送の決勝戦中継、最後の中継シーンは試合開始から4時間経過した第五セット、キープが続く第七ゲーム、ゲームカウント3−3から始まる。

第七ゲームはフェデラーのサービスゲームである。ファーストサーブが入った。ナダルのリターンが短い。すかさず、フェデラーはコートに入って逆クロスに フォアを叩き込む。フェデラーは力が抜け、サーブの鋭さが増す。ワイドサーブをナダルがリターンミスして30-0となる。ワイドにサーブを入れて、セン ターに短いリターンをもらい、それをフォアで叩く。このパターンで更にフェデラーはポイントを連取する。そして最後はセンターへのサービスエースで決め た。ラブゲームでフェデラーはキープした。

この時点ではフェデラーの方に流れが来ていたように思う。

第八ゲーム、ナダルのフォアがラインを割り、最初のポイントをフェデラーが取る。ナダルはセンターに強いサーブを入れ、フェデラーにリターンミスをさせ る。15-15、ナダルのヘビートップッスピンは芝の上もなお、強力である。複雑な回転に、フェデラーはライン際でミスをさせられた。ナダルはフェデラー のバックハンドにボールを集めてくる。フェデラーはそれを左利きのナダルのバックハンドに返球するためにバックのストレートを放つ。それを回り込んで、 フォアのストレートで対抗するナダル。フェデラーはナダルを彼のバックサイドに留め置いててから、鋭く浅く逆サイドにクロスを放った。ナダルは追いついた が返球はネットを越えなかった。30-30になった。ナダルのセカンドをフェデラーは回り込みのフォアで叩く。ナダルがフェデラーのバックにまたボールを 返し、フェデラーはそれをまたストレートに返した。だが今度はナダルが回りこまず、バックハンドでクロスに強打した。それをフェデラーは待っていた。フォ アハンドダウンザラインが綺麗に抜けた。この試合の前半、何度も使い、何度も左に切れて、決められなったフォアハンドのダウンザラインがついに決まった。 そしてフェデラーはブレークポイントを握った。だがナダルは慌てない。深いサーブ、深いフォアの逆クロスにフェデラーはロブで逃げるが、ナダルはそれをス マッシュで叩き、ピンチをしのぐ。デュースになってフェデラーはフォアをミスし、更にナダルのアプローチショットがそのままエースになり、ナダルがキープ に成功した。ナダルの深いサーブが、フェデラーのリターンを短くさせ、そこからの連続攻撃が二ポイント連取へとつながった。ナダルもまた、崩れていない。

第九ゲーム、セカンドサーブでもネットダッシュするフェデラーが目に入ったのか、ナダルはリターンをミスした。この試合で何度か見せているフェデラーの奇 襲である。ここまでは成功している。長いラリーになった。こうなるとナダルが取る。バックが強い。15-15でディースコートのサーブ、フェデラーはワイ ドに入れ、短くなったナダルのバックのリターンをフォアの逆クロスで決める。フェデラーの得意パターンになりつつある。そしてワイドにサービスエース。 ゲームポイントでフェデラーはまた同じパターンで決めにかかるが、今度はセカンドであったのでフォアの逆クロスが決まらなかった。ナダルの返球の回転が フェデラーを狂わせる。40-30でセカンドサーブになったが、フェデラーの角度の厳しい真横に飛んでいく鋭いバックハンドがウィナーとなり、フェデラー キープに成功する。

第十ゲーム、ファイナルセットはブレークがまだない。5-4でフェデラーリード、ここでブレークすれば、決まる。会場からロジャーコールが起こる。プレッ シャーの前にファーストが入らないナダル。だがプレッシャーをはねのけて、セカンドをワイドに入れ、サービスエースを?ぎ取るのもナダル。15-15にな る。ナダルのファーストが入った。フェデラーのリターンが長くなった。次はナダルのファーストが外れセカンドになった。フェデラーのフォアハンド逆クロス が決められた。30-30、ナダルのファーストの確率が大きくポイントに作用している。フェデラーはライジングのタイミングを変え、緩急でナダルを惑わ し、ミスを誘う。30-30となったが、次のポイントで二度続けてファーストを入れ、短くなったリターンを叩き、ナダルがキープした。

この時点で、ウィンブルドン決勝戦史上最長の試合時間を更新した。

第十一ゲーム、フェデラーのナイスサーブをナダルがナイスリターンで返球し、フェデラーがフォアをネットした。ワイドサーブでコートの外に追い出した後 フェデラーは、フォアのダウンザラインを回り込んで打ち、15-15に並ぶ。次のサーブはセカンドになったが、フェデラーの連続攻撃は悪くなかった。だが ネットへアプローチしたフェデラーの足元にナダルはボールを沈めて、フェデラーにミスさせた。フェデラーがワイドにいいファーストを入れた。ナダルはフェ デラーのサーブにタイミングが合い始めている。深いリターンが返った。際どくフェデラーが返すが、それをまたナダルがフォアハンドダウンザラインで切り返 す。コーナーぎりぎりにそれが入った。15-40でナダルがブレークポイントを二つ握った。フェデラーはギアをあげる。最初はサービスエースで、二度目は 連続攻撃でフェデラーはデュースに追いつく。ナダルのリターンが短くなるとすかさず前に詰めてポイントを奪う。そして不利な長いラリーを粘り、ナダルにミ スさせ、二ポイント連取してキープに成功した。

第十二ゲーム、ロジャーコールに対してラファコールも巻き起こる観客席、ナダルのキックサーブが跳ねる、ナダルのフォアハンドの回転が生き物のように変化 する。ナダルのバックハンドの強打がクロスに炸裂する。ファーストサーブが入らないにも関わらず、ナダルが強いテニスでサービスゲームをキープした。

6-6となった。ウィンブルドンのファイナルセットにTBはない。二ゲーム差がつくまで両者の戦いは続く。

第十三ゲーム、ナダルをワイドに押し出してからフォアでオープンコートに叩くパターンでフェデラーがミスした。ナダルのリターンが深かったのだ。ナダルが また先行する。長いラリー、両者が両者を左右に振り合う。振り切られたのはフェデラーのほうだった。0-30である。だがフェデラーは崩れない。センター にサービスエース。次のセンターのサーブもそのあとのナダルのリターンが甘くなり、フェデラーがフォアで叩いた。次もセンターでサービス・ポイントを奪 う。ゲームポイント、見事な展開でナダルを追い詰めるが、とどめのボレーをフェデラーはミス、デュースになった。共にミスを連発してデュースアゲイン、こ こでフェデラーの強気で攻め、ラリーになったがフォアの強打でナダルを崩し、キープに成功した。

第十四ゲーム、フェデラーのフォアハンドダウンザラインが決まる。その次のフォアのクロスはラインを割った。ナダルはボディにサーブを入れて、フェデラー のリターンを崩した。長いラリーをナダルが制し、ゲームポイントが来たが、次のネットインしたボールの処理をフェデラーに冷静に返球されて決められなかっ た。次のポイントでナダルはフェデラーを動かし、ロブを上げさせ、それを前に出てスマッシュで叩いた。フェデラーにそれを拾われ、ナダルは後ろに下げさせ られた。だがそこからつなぎのグランドスマッシュで体勢を整えた後、フォアの逆クロスを冷静に決めて、ナダルがゲームを制した。

第十五ゲーム、フェデラーはショートクロスに見事なショットを入れるが、ナダルはそれを更に見事なショートクロスで切り返し、先行する。フェデラーの回り 込みのフォアがネットにかかった。0−30、ネットに出たフェデラーが鮮やかにボレーを決めた。15-30になった。クロスの応酬、フェデラーの厳しい角 度のショットを更に厳しい角度、早いタイミングでバックハンドクロスを切り返した。15-40、ブレークポイントがナダルに来た。会場が騒然とする中、 フェデラーはワイドにサービスエースを決め、王者の意地を見せる。次もワイドサーブ、ナダルのリターンは悪くなったが、芝に足を取られ、センターに戻るの が遅れた。ネットにアプローチしてきたフェデラーに対応できず、ミスしてデュースになった。次のポイント、ナダルの渾身のバックハンドクロスが炸裂して、 フェデラーの返球がアウトした。今年の全仏以来、突然強くなったナダル、その強化に貢献している最大の武器、新たなる牙がこのバックハンドクロスだ。フェ デラーは黙っていない。再びワイドサーブでエースを取る。センターも狙える、ワイドも狙える。狙ってエースを必要なときに取れる。それが如空が「皇帝」と 呼んだフェデラーの武器だ。その皇帝の武器を、ナダルはデュースアゲインで見事に返した。どれほど強い技でも、同じ技を続けて二度は効かない。それがコー トの中でもっとも高くそびえる城塞ナダルの守りの力だ。そして、フェデラーが自ら「美しい」と自画自賛している自分のテニスの、サーブと並ぶもう一つの武 器、回り込みのフォアハンドがネットにかかった。ナダルのブレークポイントでフェデラーは得意のフォアの連続攻撃を仕掛けるが、今度はフォアがラインを 割った。皇帝の美しいテニスを支えたフォアが二度続けて崩れた。その瞬間、ナダルが勝利へのブレークを手にした。

場内にラファコールが巻き起こる。だがコートの中の二人は静かだ。照明装置を持たないウィンブルドンのセンターコートの芝の上、日没せまる薄暗い空間の中 で、孤独な二人の白いシルエットがさびしげに浮かび上がる。果てしないと思われた死闘に決着のときが訪れようとしていた。

第十六ゲームはナダルのサーブイング・フォー・ザ・チャンピオンシップスである。ここでニューボールに交換された。ナダルがサーブを慎重に打つ、フェデ ラーも慎重にリターンした。明らかに神経戦となっているラリーでナダルのストロークがラインを割り、ポイントを先行したのはフェデラーである。ここいいた るまで、二度のマッチポイントを逃れて、ここまで来たフェデラー。ここでも奇跡は起こせるか。だが疲れ果てていたフェデラーはここで覇気に満ちたテニスを することはできなかった。ワイドサーブをブロックリターンしたが、それをサーブ&ボレーでナダルに決められた。次にナダルにフェデラーはワイドに振られ て、返球した浮いたボールをナダルはネットに詰めて、きっちりとボレーを決める。30−15である。再びネットに出るナダルに、フェデラーのパスが襲う、 ナダルのラケットは弾かれ、30−30となった。

光が徐々に失われていく。世界がどんどん暗くなっていく。薄暗い芝の上で、しかし二人はそれでも静かに自分のテニスを黙々と続ける。

長いラリーの応酬の末、フェデラーのバックハンドがサイドに切れた。40-30でナダルのマッチポイントである。ナダルの素晴らしいワイドサーブが入る が、それを返すフェデラーのブロックリターンが更に厳しい角度でネットを越え、サイドを捉える。デュースになった。ワイドに放たれたナダルのサーブの力が フェデラーのラケットを弾く。またマッチポイントが来た。最後にフェデラーのフォアはネットにかかった。

4時間48分の試合だった。

この試合、第一セットからの流れを見れば、前半は漠然としたストローク戦主体であったと思うのだが、後半戦は両者のファーストコンタクト、つまりサーブ対 リターンでどちらが主導権を握るかがそのままポイントに直結していった試合内容だったと思う。そしてその後半の展開はフェデラーのペースでもあった。フェ デラーは苦しい状況を何度も切り抜け、第三・第四セットを連続TBで乗り切る。内容的は押しているのはナダルのように見えるのだが、攻め込まれながらも要 所で文字通り美しいテニスを展開し、フェデラーは切り抜けた。両者ともに波があり、それが激しく入れ替わり、それが試合を混戦状態に持ち込んでしまった。 だがファイナルセットは両者共に高いレベルで安定し、終局に向けて素晴らしいテニスを展開していた。

六連覇を阻まれたフェデラーの落胆を思うと、胸が苦しくなるが、それでもやはりナダルのためにこの勝利はよかったと思う。これまでの経緯、当日の雨の中 断、観客の雰囲気、後半へ向けての調子の上がり方、そのどれもが、どちらかといえばナダルよりもフェデラーの方に運は味方していたように思う。ナダルはそ の運命の流れに逆らい、自らを縛る運命の鎖を自らの力で切り裂き、解き放った。二度に渡り決勝まで勝ち進みながら二度までも阻まれた偉大なるチャンピオン に三度挑んで掴んだ栄冠である。ナダルの偉業には惜しみない賞賛が与えられよう。

全仏ではまったく立場が逆転する二人、ナダルは全英で運命に立ち向かい、勝利を手にしたが、フェデラーは全仏で運命に立ち向かいつつも、勝利を手にできず にいる。かつてのアガシのように、そして今回のナダルのように、フェデラーはいつの日かその野望を成就させる日が来るのだろうか。ナダルを応援する立場か らも、フェデラーを応援する立場からも、複雑な心境を感じずには入られない、そんな試合であった。


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