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双頭の鷲 セルビアのノバク・ジョコビッチ(2009/08/15)

 

2008年の全豪男子シングルス決勝はジョコビッチ対ツォンガとなった。それぞれ第一シードと第二シードを倒してここまで来たのだ。ファイナリストにふさわしい 二人と言ってよい。両者共にGS初タイトルがかかるが、この試合はそれだけでなく、今後数年のATPにおけるトップランカーたちの力関係に大きな影響を与えることになるだろう。新たなる時代を切り開くものは誰か。その資格を問う決戦が始まる。フェデラーもナダルもいないグランドスラム男子シングルスの決勝は何年ぶりのことだろう。準決勝でフェデラーを倒した男とナダルを倒した男が、共にアディダスの黒いウェアを身にまとい、共にウィルソンのラケットを握って、全豪決勝の舞台であるトゥルーブルーのコートに立った。

全豪2008男子決勝
ジョコビッチ 46 64 63 76 ツォンガ

会場は赤白青のトリコロールカラーで満たされていた。半分はツォンガの応援のため、彼の母国フランスの国旗を使って応援している。だがもう半分は実はジョ コビッチの応援団が持っていたジョコビッチの母国セルビアの国旗である。セルビアの国旗もフランス同様トリコロールカラーなのだ。フランス国旗が右から赤 白青の縦縞であるのに対して、セルビアの国旗は上から赤青白の横縞である。フランスの国旗が色だけなのに対し、セルビアの国旗には紋章が入っている。 その紋章は「双頭の鷲」である。オーストリア・ハンガリー帝国の王家ハプスブルグ家の紋章であったことから、その伝統を受け継ぐ地域の一つであるセルビア が国旗にこの紋章を採用したと思うのだが、この「双頭の鷲」の元来の意味は東西に分裂したローマ帝国の正当支配者の意味である。鷲はローマ皇帝の象徴であり、二つの頭は西ローマ帝国を中心とするヨーロッパと東ローマ帝国を中心とするオリエントの二つの領土を象徴している。かつて西ローマ帝国に領土的野心を 持っていた東ローマ帝国の皇帝が「東も西も自分のものだ」という意思表示に使われたのが、その起源であり、旧ロシア帝国も同じ意味合いを表明するためにこの双頭の鷲の紋章を使ったという。

この数年、ATPツアーの世界は分裂後のローマ帝国同様に二分されていた。ハードコートとグラスコートの世界を皇帝フェデラーが支配し、クレーコートの世 界を赤土の覇者ナダルが支配している。その二つの世界を今、ジョコビッチが手に入れるべく動き始めた。去年の全仏より、四大大会連続でベスト4進出、全米 は決勝に進出し、そしてこの全豪でタイトルを手に入れた。ハードも芝も赤土も、その全ての世界を支配する資格を持つのはこのジョコビッチだ。その意思を表明するかのごとく、ジョコビッチの母国の国旗にある双頭の鷲が青いコートの観客席でゆれていた。双頭の鷲の紋章の継承者、ノバク・ジョコビッチがその世界 の一部を手に入れた。双頭の鷲は舞い降りた。そんな感じのする全豪男子シングルス決勝であった。


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