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2007年 ツアー選手権・マスターズカップ観戦記(2007/12/06)

 

2007年11月06日 復帰・引退・選ばれし8人

ティアV大会であったので注目をしていなかったのだが、先週はWTAでも一大会行われていた。カナダのケベックで開催されていたベル・チャレンジである。第一シードはバイディソワ、第二シードはズボナレワであったが、二人とも勝ち残ることは出来なかった。決勝まで残ったのは第三シードのバクレンコ、そしてそのバクレンコを破って優勝を決めたのが、先日復帰したばかりのダベンポートである。復帰後早くも二勝目を上げたその底力は恐るべきものだ。

一方、そのダベンポートの若き日のライバルであったヒンギスが二度目の現役引退を発表した。ウィンブルドンでコカインの陽性反応が検出されたことを公表し、使用していないことを断言しつつも、「このようなドーピング検査の過剰な対応はプレーへのモチベーションをそがれる。」と強く非難、長引く故障とモチベーションの低下があいまって、引退ということになったという。さすがに二度目の引退は半年前からうわさに上っていたので、あまり驚きはしなかった。だが、今年はキム・クライシュテルスに続きマルチナ・ヒンギスが引退する。如空がWTAで贔屓にしていた選手たちが続けてコートを去っていくのは寂しいものである。

そんな復帰したもの、引退するもの事情など関係なく、ツアーは最終戦を迎える。WTAツアー最終戦ツアー選手権マドリッド大会が開幕する。公式Webサイトに出ている、オフィシャル・フォトの8人の私服姿、かっこいいねえ。今年の選ばれた8人、WTAのエリート8は下記の通り。

黄組
エナン、ヤンコビッチ、S・ウィリアムズ、チャクベターゼ
赤組
クズネツォワ、イバノビッチ、シャラポワ、ハンチェコワ

ウィンブルドンチャンピオンV・ウィリアムズはエリート8に入っていない。体調不調で辞退したそうだ。その年のグランドスラムタイトルホルダーが最終戦に出ないのは最近のWTAでは珍しいことではないだろうか。今年も例年通り、4人一組の総当り予選リーグを行い、上位2名ずつが決勝トーナメントに進出するシステムである。GAORAで今年も中継しくれる。今年最後の大会、大いに盛り上げてもらいたいものである。熱戦を期待しよう。

 

2007年11月07日 赤・桃・黒・青 2007ツアー選手権初日

今年も最終戦ツアー選手権が開幕した。ラウンドロビンはGORAで18時から24時まで録画を中継してくれている。しかし録画とはいえ、6時間もテニス中継をぶっ続けで見るというのはなかなかしんどいものである。試合内容は初日から白熱している。

2007年ツアー選手権初日
エナン 61 76 チャクベターゼ
シャラポワ 64 75 ハンチェコワ
イワノビッチ 61 46 75 クズネツォワ

おなじみのアディダスの赤いウェア白いスコートで現れたエナンは第二セットで競られている。第一セットで圧倒したが、第二セット先にブレークしたのはピンクのワンピースのチャクベターゼの方であった。エナンはいつもの事ながらファーストの入りがやや悪い。だがストロークの圧力はさすがで、波に乗りたいチャクベターゼがチャンスをつかめそうでつかめず、押し戻される。一進一退の攻防はTBにもつれ込んだが、最後はエナンがきっちりと決めた。
シャラポワもハンチェコワ相手にストレートではあるが接戦であった。エンジにピンクというクラシックないでたちのシャラポワに対して色っぽく黒ずくめのウェアで現れたハンチェコワ第一セットはキープ合戦、最後にややハンチェコワに集中力を欠くプレーがあった。それが致命傷になってブレークされセットを落とした。セット間にオンコートコーチングを受ける二人、しかし流れは変わらず、第二セットも最初にシャラポワにブレークされた。5-3でマッチポイントを握られるところまで追い込まれるハンチェコワ。だがサーブの力でこのピンチを乗り切った。次のサーブイングフォーザセットでもシャラポワはマッチポイントを握るがハンチェコワに粘られて決められない。シャラポワは最後にダブルフォールトでハンチェコワにブレークを許してしまう。それでも再びシャラポワは次のハンチェコワのサービスゲームを強気にブレークし、次のサービスゲームを今度こそきっちりキープして苦しみながらも勝利を手にした。両者共に気合の入ったいいプレーであった。
何よりも今日の注目は第二シード白のウェアに青のスコートのクズネツォワであろう。美しいブルーのウェアを身にまとったイバノビッチにフルセットの末、初戦を落としてしまった。二十歳の誕生日を金星で飾ったイバノビッチ、赤組の方は混戦になるかも知れない。

 

2007年11月08日 淡白な1日 2007ツアー選手権二日目

昨日とは違って、淡白な1日になった。

2007年ツアー選手権二日目
エナン 62 62 ヤンコビッチ
チャクベターゼ 64 def S・ウィリアムズ
イワノビッチ 62 76 ハンチェコワ

エナン、イバノビッチ二連勝。ハンチェコワは昨日同様第二セット頑張ったけどね、チャンスから一気に波に乗る爆発力みたいなものが足りないよな。イバノビッチは回り込みのフォアに強打からのネットアプローチと男性的プレーで畳み掛けるようになった。あれは強くなっているわ。この先楽しみである。セルビアコンビの一方ヤンコビッチエナンの前に自滅、緊張していたのかね、らしくないプレーだった。
セリーナはまた足の故障が再発したのだろうか、明らかに動きが悪く、第一セットを落としたところで棄権した。勝利を拾ったチャクベターゼ、この運を生かして次の試合を突破して決勝トーナメント進出なるか。注目しよう。

 

2007年11月09日 女王陛下の公開処刑

セリーナ・ウィリアムズの膝の損傷は重いらしく、結局大会欠場となった。最終戦のエリート8の中に全英チャンピオンだけでなく全豪チャンピオンも欠場することになる。全仏と全米のチャンピンオンは同一人物だから、今エリート8の内に今年のGSタイトルホルダーは一人だけ。なんだか最終戦にしては盛り上がりに欠けるなあ。というわけで全豪チャンピオンの代役は全英ファイナリストである。

2007年WTAツアー選手権 三日目
エナン 60 60 バルトリ

シャラポワ 57 62 62 クズネツォワ
チャクベターゼ 64 06 63 ヤンコビッチ

女王陛下はその代役に公開処刑を執行された。急遽代役でコートに立ったバルトリに串団子(ダブルベーグル、つまり完封)を食らわすなんて、ウィンブルドンで生涯グランドスラムを阻止された報復かね。エナンは相変わらずえげつないほどに強い。これでエナンは3連勝、堂々の第一シードによる予選トップ通過である。
シャラポワとチャクベターゼはそれぞれフルセットの末二勝目を上げた。チャクベターゼは第二セットで06の完封を喰らってからの反撃で勝利をものにした。どんな内容の試合だったのだろう。今晩のGAORAの中継を見るのが楽しみである。

 

2007年11月10日 不思議な四日目

三日目の時点で決勝トーナメントの進出者は決まった。黄組がエナンとチャクベターゼ、赤組がシャラポワとイバノビッチである。こうなると四日目は消化試合になるかといえばそうではない。エナンが三連勝で一位、チャクベターゼが二勝一敗で二位と順位が決まっている黄組に対して、二勝同士のシャラポワとイバノビッチは四日目の直接対決で赤組の順位を決める。一位になれば準決勝は対チャクベターゼ戦、二位ならば対エナン戦となる。チャクベターゼには失礼な話になるが、SFでエナンにあたるかチャクベターゼに当たるかでは決勝進出の確率がまるで違う。少しでも高い確率で上に行きたい、現女王との直接対決は出来れば最後の決勝戦にしたい。普通はそう考えるだろう。だからここは激戦になると思っていたのだが・・・・

2007WTAツアー選手権四日目
ハンチェコワ 76 60 クズネツォワ
バルトリ 60 10 RET ヤンコビッチ
シャラポワ 61 62 イバノビッチ

イバノビッチ、あっさりと勝ちをシャラポワに譲ってしまった。あれほど好調であったのにどうしたのだろう。シャラポワがここで調子を上げてきたのだろうか。不思議な圧勝である。第二シードで赤組筆頭の存在だったクズネツォワはなんと3連敗、赤組最下位で終わった。不思議な全敗である。ヤンコビッチはウィルス性疾患で途中棄権、今年の快進撃の締めくくりにしてはあっけない終わり方だった。
エナンに比べれば対戦しやすかろうチャクベターゼであるが、その実力は未知数であるところが不気味である。対ウィリアムズ戦は相手の棄権で力を試すことなく試合が終わった。対エナン戦では第二セットをTBに持ち込み、対ヤンコビッチ戦ではフルセットの末であったが勝利した。まだ若い彼女はひょっとするとこの数日の間にも成長しているかもしれず、波乱を引き起こす存在になるかもしれないという期待をついついしてしまう、不思議な存在である。
とにもかくにも、ベスト4が決まった。SFはエナン対イバノビッチ、シャラポワ対チャクベターゼである。熱戦を期待しよう。

 

2007年11月11日 あっさりとした1日 2007ツアー選手権SF

あっさりとしているな・・・・

2007ツアー選手権準決勝
シャラポワ 62 62 チャクベターゼ
エナン 64 64 イバノビッチ

SFは白熱する可能性の高い試合のはずであるが、すっきりと決まってしまった。決勝戦の方では接戦になるだろうか。ダブルスでは杉山組が決勝まで勝ちあがっていて、GAORAでは特番を組んで中継するようだ。こちらも注目しよう。

 

2007年11月12日 女王と姫の大乱戦

ツアー選手権のダブルスでは杉山組が決勝に進出したがフルセットの末の逆転負けで終わった。中継していたGAORAの解説陣はそのままシングルスの決勝に突入した。

2007ツアー選手権決勝
エナン 57 75 63 シャラポワ

サービスゲームをキープし合って、第一セットは幕を開けた。第三ゲーム、エナンブレーク、その直後第四ゲームでシャラポワブレーク、その後、再びサービスキープの二人、気合の入ったプレーの応酬でセットは進む。シャラポワの方がラリーで押している、主導権を握っている。だがネットにガンガン出てくるエナンがじわじわと押し返し始める。第11ゲームでシャラポワのサービスゲーム、0-30でエナンが先行する。シャラポワはここで踏ん張る。30-30に戻して、次にバックハンドの逆クロスを二本、オンラインに決めて、ピンチを乗り切った。エナンはサービスの入りが悪い。ダブルフォールトが絡んでシャラポワにブレークポイント兼セットポイントが来る。今度はエナンが踏ん張る。デュースの繰り返し。何度も来るセットポイントを逃れるエナン、決めきれないシャラポワ、10回繰り返されたデュースの末、取りきったのはシャラポワだった。7-5で第一セットシャラポワ先取、この大会でエナンが始めて落としたセットだった。
第二セット、シャラポワのサービスゲームで幕を開ける。いきなりブレークポイントを握るエナン。またもやデュースが繰り返されたが、シャラポワが渾身のショットでキープに成功する。だがエナンは徐々に安定し始めた。踏ん張るシャラポワを第9ゲームでついにブレーク、5-4でエナンにサーブイングフォーザセットが来る。ところが、エナンの怒涛の連続攻撃をしのぎきり、なんとシャラポワがブレークバックした。ところがウィナーとエラーの応酬の末にエナンが再びブレーク。次のサーブイングフォーザセットを決めて7-5でエナンが取り戻した。
第三セット、エナンの調子がさらに上がる。第三ゲームでエナンはブレーク成功、次の第四ゲームでシャラポワにブレークポイントを握られるがしのぎきり、キープしてエナンの3-1となる。ただエナンのファーストサーブの入りだけは上がらない。シャラポワはリターンから攻め立てて、ブレークバックに成功した。エナンの調子が上がるにつれて、逆にシャラポワの調子は落ちていく。試合が進むにつれミスが増えていくシャラポワは第七ゲーム、ダブルフォールトでエナンにまたもやブレークを許した。エナンリードの5-3でシャラポワのミスが続く、エナンがチャンピオンシップポイントとなるブレークポイントを握った。またもやミスとスーパーショットが繰り返されるデュースが展開する。粘るシャラポワ、だが最後にシャラポワのショットがネットにかかりエナンの連覇が決まった。

3時間を超える大接戦であったが、いい内容の試合であったかといえば疑問が残る。両者共に気合が空回りしてのミスが多発した。ウィナーとミスの応酬という大乱調同士の大乱戦だった。見ている方もイライラしてストレスのたまる試合であったのだから、当人たちは想像を超えるストレスと心の中で戦っていたことだろう。ある意味、この一年を象徴するかのような神経戦であった。その神経戦を乗り切ったエナンの見事な逆転勝利であった。
WTAは2007年の全スケジュールを終了した。最後にNo1がツアー選手権の優勝を決め、結果は収まるべきところに収まったような一年だった。熱戦を届けてくれた選手たちに感謝、来年も更なる熱戦を期待しよう。

 

2007マスターズカップ開幕

今年もATPツアー最終戦マスターズカップは上海で日曜日からスタートする。例年通り、選ばれた8人エリート8を4人二組に分けて上位二名が決勝トーナメントに進むランドロビン方式である。組合せは下記の通り。

金組ナダル・ジョコビッチ・フェラー・ガスケ
赤組フェデラー・ダビデンコ・ロディック・ゴンザレス

いやあ、銅像も無事間に合って良かった良かった。 既に初日は終了している。

2007マスターズカップ初日
ナダル 36 63 64 ガスケ
フェラー 64 64 ジョコビッチ

ナダルはフルセット、ジョコビッチは初戦黒星である。ふむ・・・・ベスト4はトップ4シードのそろい踏みと予想しているのだがなにやら暗雲が立ちこめてきそうな気配である。

 

2007年11月13日 乱戦・混戦・激戦 2007マスターズカップ二日目

げ、いきなりこれかい。

2007マスターズカップ二日目
ロディック 63 46 62 ダビデンコ
ゴンザレス 36 76 75 フェデラー

ゴンちゃん来たあああああああ!2002年に出場してからマスターズカップのラウンドロビン負けなしのフェデラーが今年、ラウンドロビン初戦で負けた。トータルポイントでゴンザレスを上回っていながらも負けた。第一セットいい調子で取っていながらも逆転で負けた。第二セットと第三セット、勝負どころで強打を集中させたゴンザレスの見事な勝利である。特にファイナル5-5からブレーク、、その直後のサーブイングフォーザマッチ、この二ゲームで見せたゴンザレスの集中力は素晴らしかった。
ゴンザレスだけではない。ロディックもランキングで今年格上になるダビデンコを破った。ロディックらしいアグレッシブなテニスを久しぶりに見た。アントニオ猪木のようにあごを出して口を横に広げて自信満々にサーブとフォアのハードヒットを打つロディックを久しぶりに見た。いいテニスだった。試合の最後にはネット際で二人ならんでチャレンジの行方を見届けてから握手して熱戦を終えた。
昨日はジョコビッチがフェラーに負けた。ナダルもガスケ相手に苦しんだ。昨日感じた気配は徐々に本物になりつつある。乱戦が待っている。混戦が訪れる。激闘がやってくる。そんな予感がひしひしと伝わって来る。果たして予感は当たるのか。三日目以降の行方に注目しよう。

 

2007年11月14日 上海の乱 2007マスターズカップ三日目

混戦への予感は確信になりつつある。

2007マスターズカップ三日目
ガスケ 64 62 ジョコビッチ
フェラー 46 64 63 ナダル

No3ジョコビッチ二連敗!No2ナダルフルセットの末敗れる。フェラー対ナダルは大一番だった。要塞ナダルに猛攻を仕掛けるフェラー、脅威のコートカバーとカウンターショットで攻めるフェラーを返り討ちに会わせるナダル。久しぶりにナダルらしいテニスが見られた。当然、競ったいい内容の試合になるだろうが、最後に勝つのはナダルだろうと思った。第一セットを見る限りはそう思えた。だが、フェラーの調子はどんどん上がっていく。コート上の走りあいでナダルに負けていない。そしてフォアの逆クロスの連打が鉄壁のナダルを崩していく。第二セットを取り返し、第三セットでは連続ブレークで5-1まで追い込んだ。フェラーのサーブイングフォーザマッチになった。そこでフェラーの勢いがいきなり消えた。足に来た。解説の丸山氏は「痙攣の一歩手前にまで来ている」と分析するほどに、フェラーの動きが悪くなる。ショットに威力がなくなる。ナダルが追い上げる。5-3になった。気力を振り絞って、再び攻勢をかけるフェラー、ナダルもそれに応えて懸命に立ち向かう。もう一度来たサーブイングフォーザマッチをラブゲームでキープして、フェラーは勝ちきった。マッチポイントでドロップショットをクロスに切り替えし、ナダルをパスで抜き去った時、フェラーはコートに仰向けになり、拳を何度も握り締めた。
トップ4シード全てに土がついた。この混乱は収束に向かうのか、更なる波乱を引き起こすのか。上海の乱の行方は如何に。

 

2007年11月15日 舞台を整える二人 2007マスターズカップ四日目

二人の強い気持ちが、それぞれ違った形でコートの上で発露された、そんな二試合であった。

2007マスターズカップ四日目
フェデラー 63 63 ダビデンコ
ロディック 61 64 ゴンザレス

一昨日ゴンザレスに敗れたフェデラーは物凄く気合を入れてくるだろうと予測していた。そしてその気合が気負いすぎになってしまうとダビデンコにも足元をすくわれかねないと、そう考えていた。だが、試合が始まると、コートの上にいるのはいつも通りのフェデラーだった。気負いもなければ、力が抜けすぎることなく、ダビデンコの高速ストロークに打ち合いを挑み、打ち勝った。あまりにもいつも通りのフェデラーであったればこそ、その凄みがひしひしと感じられた。
そのフェデラーに先日土をつけたゴンザレスが、ロディックのサーブの前に押し切られてしまった。まともにストロークのラリーをさせてもらえなかった。サーブとフォア、二つの大砲でロディックはゴンザレスを圧倒した。まるで、「ゴンザレスを圧倒できれば、そのゴンザレスが負かした相手も圧倒できるはずだ。」ということを内外にアピールしているかのごとく。
ラウンドロビン最終ラウンドで一勝一敗のフェデラーと二勝のロディックがあたる。去年、まさにこのマスターズカップのラウンドロビンでマッチポイントを握るところまで皇帝フェデラーを追い詰めながら、逃してしまったロディック、果たしてそのリベンジは今年なるだろうか。そしてこの試合の結果次第では予選敗退もありうるフェデラーはこの状況を切り抜けることが出来るだろうか。そしてゴンザレス対ダビデンコ戦の行方も決勝トーナメント進出に大きく絡んでくる。波乱の上海の行方は如何に。

 

2007年11月16日 混迷の果てに 2007マスターズカップ五日目

相手を上回る勢いを持っている二人が、決勝トーナメント進出を決めた。

2007マスターズカップ五日目
ナダル 64 64 ジョコビッチ
フェラー 61 61 ガスケ

ナダルの力強いラリーに押されながらも、ジョコビッチは懸命に追いすがった。カウンターショットがナダルの防壁を抜き始めた。第二セットの第八ゲームでは共にウィナー級のボールを拾い合い、何度も攻め立て、守りきる素晴らしいラリーが展開した。だが、ジョコビッチは攻め切れなかった。大事なところのポイントでボールがラインを割る、ネットにかかる、あのショットが入っていればと悔やまれる場面がやはり多かった。全米オープン決勝戦でもそうだった。来シーズンはこのあたりを修正して、勝負強いジョコビッチを見せてもらいたいものである。
第一試合をナダルが勝ち二勝を上げてもまだ、決勝トーナメント進出者は決まらない。一勝一敗のガスケと二勝のフェラーがあたった。ガスケはいい調子だ。自分のテニスが出来ている。素晴らしいウィナーを何度も見せた。だがフェラーが良すぎた。ガスケを上回る素晴らしいテニスを展開し続けた。ウィナーを量産し続けた。あっという間に終わった。ナダルとジョコビッチ、そしてガスケを相手にフェラーは三連勝である。そして金組をトップ通過した。それだけでなく、自力進出が出来なかったスペインの同胞ナダルの決勝トーナメント進出をも決めることになった。
全試合が好勝負となり、最終戦が終わるまで決勝トーナメント進出者が決まらないという、まれに見る大混戦となった金組であったが、最後にフェラーとナダルが残った。さて、この二人にSFで誰が当たるのか。いよいよ明日、赤組ラウンドロビン最終日である。

 

2007年11月17日 黄金カードは輝かずに 2007マスターズカップ六日目

金組の最後の最後にとってあった黄金カードは期待通りには行かなかった。

2007マスターズカップ六日目
ダビデンコ 64 63 ゴンザレス
フェデラー 64 62 ロディック

ゴンザレスの圧力を正面から受け止め、かわし切った。そんな感じでダビデンコが勝利した。赤組からは全敗が出なかったことになった。ゴンザレスとダビデンコが一勝二敗で並んだ。得失セット数の関係でフェデラーの決勝トーナメント進出がこの時点で決まった。最後のフェデラー対ロディック戦は順位を決める試合にこそなるが、決勝トーナメントの出場権を賭けた戦いではない。そして二人とも準決勝を突破すれば決勝戦でもう一度当たることになる。それがこの試合の緊張感をやや緩めてしまったのではないだろうか。期待された対戦は凡戦に終わった。これまで何度も見た光景がまた繰り返されただけだった。ロディックはストレスがたまってラケットを足の裏で粉々に壊していたシーンも見られた。試合が終わったら足早にコートを去っていった。何が違っていたのかわからないが、今日のロディックは切れるのがいつもより早かったような気がした。
これで決勝トーナメント準決勝の組合せが決まった。フェデラー対ナダル、フェラー対ロディックである。この波乱の2007上海も、最後には皇帝が納めてしまうのだろうか。今年のフェデラーは過去4年間ほどには完璧ではないように思える。付け入る隙はあるはずだ。最後の熱戦を期待しよう。

 

2007年11月18日 何も起こらないままに 2007マスターズカップ準決勝

何も起きない、何も起こらない、金組・赤組の一位がそれぞれ、自分のテニスをやりきって、準決勝をストレートで突破した。

2007マスターズカップ準決勝
フェラー 61 63 ロディック
フェデラー 64 61 ナダル

予選トーナメントで接戦になり、あれほど盛り上がったのに、なぜに準決勝がこれほどに単調になるのか。それはフェデラーとフェラーがこの時点で一番乗っていることを示しているだけなのだろうか。二試合とも熱戦を期待した観客としては残念な結果であった。
だがそれだけに、決勝戦はもつれるだろう。特にフェデラーはもつれる事を嫌がって最初から飛ばしてくるだろう。そこにフェラーがどう付け入るのか。今年のツアー最後の試合である。大いなる熱戦を期待しよう。

 

2007年11月19日 皇帝らしい終幕 2007マスターズカップ決勝

直前までの状況を考えれば、最後の最後に最大の波乱が起こってもおかしくはないだろう。そう思った。そして期待した。だが期待は裏切られた、よくも悪くも。

2007マスターズカップ決勝
フェデラー 62 63 62 フェラー

第一セット第三ゲームでフェデラーがフェラーのサービスゲームをブレークした時点で流れが決まった。第二セットが始まっても流れが変わらないのを見て、ベストオブ5セットマッチであってもフェラーはこの状況をひっくり返せまいと思った。そのまま今年最後の試合はほとんど公開処刑の状態で終えた。

ジョコビッチ、ナダル、ガスケ、ロディックを倒して勝ちあがってきた男を、こうも完璧に押さえ込むことができるのだろうか。今年はNo1になってもっとも苦しい年であったように思うのだが、最後の最後ではATPに君臨する圧倒的強者、如空が「皇帝」と呼ぶフェデラーが、フェデラーらしい勝ち方で締めくくった。

さすがに来年は今までように圧倒的強者であり続けることが難しいだろうと予測する。この優勝が後に皇帝の覇権のピークといわれことになるだろうか。それとも追い上げてくるライバルたちの追撃をかわして、そして更なる高みに自らをいざなうのか。来年への不安と期待を一身に浴びながら、フェデラーはトロフィーを高々と掲げていた。

今年も熱戦を届けてくれた選手たちに感謝、来年も熱戦を期待しよう。




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