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2007年 MSモンテカルロ・ローマ・ハンブルグ大会 TV観戦記(2007/06/18)

 

2007年04月17日祭りが始まる

WTAは今週お休みである。ITF主催の女子国別対抗テニス団体戦フェドカップの一回戦にしてQFが開催される。組み合わせはアメリカ対ベルギー、ロシア対スペイン、フランス対日本、イタリア対中国である。中国である。女子テニスの世界ベスト8に中国がもう名を連ねているのである。北京オリンピックに向けて強化が進んでおり、グランドスラムでもその成果が着実に現れているのだが、フェドでもワールドグループにこんなに早く入るとは驚きである。中華思想はテニスの世界でも席巻するのだろうか。要注目である。ちなみにベルギーの月と太陽エナンとクライシュテルスは今回欠場のようだ。ロシアはクズネツォワとペトロワをそろえてきている。アメリカはウィリアムズ姉妹がそろって出場する。日本はおなじみの杉山・森上・中村に去年引退した浅越から受け継ぐ形で森田がエントリーしている。フランスはモーレスモ不在でゴルビンとデシーで日本を迎え撃つ。フランスのホームということはクレーコートだろうか。クレーだと日本は少し厳しいかもね。でも日本はベストメンバーをそろえることが出来ているのに対してフランスはモーレスモが不在である。果たして勝利の女神はどちらに微笑むか。日本でもJスポーツが完全生中継である。
男子はいよいよ欧州赤土戦線が本格化する。マスターズシリーズ第3戦モンテカルロ大会が開幕した。第一シードはATPに君臨する皇帝フェデラー、第二シードは赤土の覇者ナダル、第三シードダビデンコ、第四シードゴンザレス、以下ロブレド、ジョコビッチ、リュビチッチ、マレー、ナルバンディアン、ベルディッヒ、ガスケ、フェラー、ユーズニー、バクダティス、ニーミネン、フェレーロと続く。さあ、クレーコート連勝記録を大幅更新中のラファエル・ナダルに皇帝フェデラーは如何に挑むのか。去年のクレーコート決勝3連戦のあの大激闘が今年も繰り広げられるのか、あるいは第三の男が割って入るのか。一年で一番ATPが盛り上がる季節がやってきた。赤土の上の祭りである。GAORAも生中継だ。
ってちょっと待てよ、フェドカップのフランス対日本戦とバッティングしているじゃないか。どっちを見ようか悩ましい。祭りだ祭りだ。この週末はテニス観戦三昧だ。熱戦を期待しよう

 

2007年04月22日 久しぶりの感慨

ATP現会長ベリエはATPの改革を掲げ、ラウンドロビン方式を取り入れたり(←結局は取止)、大会スジュールの大幅な見直しを行おうとしたりしている。その大会スケジュール見直しの中に、モンテカルロ大会のマスターズシリーズからの降格が上げられている。アジアと北米にハードコート大会のマスターズシリーズに昇格させるために、ヨーロッパクレーのモンテカルロとハンブルグを降格させるという案である。これにはクレーを得意としている選手たちにとってはたまらないと抗議が行われ、現No1のフェデラーも反対の意向を示している。まだ来年以降どうするかの結論は下されていないようだが、ひょっとするとこのモンテカルロ大会はマスターズシリーズとしてGAORAで中継されるのが最後かも知れない。
青い地中海を臨み、赤い土のコートの上で繰り広げられる超人達の決闘を、フランス語のジャッジで取り仕切られ、白いテントの下でシャンパンを片手に食事を取りながらセレブ達が観戦する。そんな美しいこの大会が、もしかしたらもうTVで見れなくかも知れないと思うと、その観戦もまた思い入れが出てくるというものだ。

2007年マスターズシリーズ第三戦モンテカルロ大会準決勝
フェデラー 63 64 フェレーロ

今年GAORA初登場となったフェデラーの姿を見られることも、久しぶりにクレーの上でフェレーロのプレーを見られることも、見るものにとっては感慨深いもである。
フェデラーは気負いがあるのか、攻めが早いのだがプレーがやや雑である。一方安定した立ち上がりのフェレーロは第三ゲームで先にブレークした。3-1になった第5ゲームでもフェレーロにブレークポイントが来た。フェレーロが取りきれず、ディースが繰り返された。サーブの力に助けられ、フェデラーがキープに成功した。フェデラーは次の第6ゲームでドロップショットを絡ませ、フェレーロを崩してブレークバックに成功した。3-3になって、ここでフェデラーがギアを上げた。フェレーロはゲームどころかポイントすらほとんど取らせてもらえず3ゲームを連取され、6-3でフェデラーが第一セットを取った。
第二セット第一ゲーム、フェデラーはフェレーロのサービスゲームをブレークしてスタートした。そしてそのままその1ブレークを守りきって6-4で第二セットもフェデラーが連取、今季初のマスターズシリーズ決勝進出を決めた。
この試合のポイントはネットプレーであったかと思う。深いボールの打ち合いでは決してフェレーロは負けていなかった。だがフェデラーのフォアハンドからの連続攻撃でネットに詰められるとなすすべがなくなる。GAORA解説の丸山薫氏も指摘していたが、一方のフェデラーはラリーの中で短い球を入れてフェレーロを前後に揺さぶり、時にネットにおびき出しそして崩した。フェレーロはネットプレーが決して苦手ではないのだが、ネット際の攻防にはフェデラーの方に一日の長があり、そのフェデラーの揺さぶりにまともに付き合ってしまったところがある。試合開始直後、フェデラーがずるずるセットを落とすのではないかと思われたが、終わってみればフェデラーの完勝であった。

ナダル 60 75 ベルディッヒ

ベルディッヒを見るのは久しぶりだ。そしてクレーの上のナダルを見るのも久しぶりである。こちらもまた感慨深い。
ラブゲームで第一ゲームベルディッヒのサービスゲームをナダルが破る。ナダルの動きがいい。足が良く回っている。どんなボールにも追いつくだけでなく、ボールの後ろに入って踏ん張って打っている。スピンボールで粘るだけのテニスから、先に強打を打って相手を畳み掛けるテニスに進化している。怒涛の攻めで6ゲームを一気に連取して、6-0でナダルが第一セットを取った。
第二セットでナダルは少しギアを落とした。ストロークのボールに回転量が増え、ラリーが長くなった。ベルディヒにも落ち着きが取り戻され、最初のサーブゲームをキープした。ベルディヒのストロークにも冴えが見え始め、一転第二セットはキープ合戦となった。長いゲームが繰り返される5-5になった。ベルディッヒのサーブゲームでナダルにブレークポイントが来た。そこでベルディッヒ痛恨のダブルフォールト、ナダルがブレークして6-5とした。サーブインフォーザマッチでナダルのストロークの圧力に押されてベルディッヒはミスを重ね、ナダルが勝ちきった。クレーコート66連勝目の勝利であった。
フェデラーはこの日、スライドステップを多用し、緩急に左右だけでなく前後の揺さぶりを加え、ボールが浮いたところで前にたたきに出た。自分のテニスをクレー戦用にある程度換装して臨んでいる。一方のナダルは逆にあまりスライドステップを見せずに止まって打ち、強打で畳み掛けた。ハードコートでの勝ち方をクレーの上でも取り入れているのだ。クレーへの対応をまったく対照的な方法で果たした両雄二人、フェデラーとナダルが今季公式戦初対戦を迎える。クレーでは一度もまだ赤土の覇者を倒せていない皇帝は如何にこの大事な今季第一戦を迎えるのか。いよいよ明日、両雄今季公式戦初対決である。

 

2007年04月23日 赤土の城塞、健在なり

「この一年間、成長したのは俺の方だ。奴はづっと低迷していたじゃないか。差をつけたはずだ。今日も最初は上手くやれていたじゃないか。なのに、どうしてこんな結果になるんだ。」そんな皇帝の心の叫びが赤土のコートに響いているかのようだった。

2007年マスターズシリーズ第3戦モンテカルロ大会決勝
ナダル 64 64 フェデラー

スロースターターではあるが、決勝戦だけは最初から飛ばしていく。それがフェデラーだ。ナダルも集中して入ってきているが、開始直後から押していたのはフェデラーの方であった。バックハンドの高い打点でもフラットで強打する。隙あらば一気に前に詰める。ウィナーの応酬の中でフェデラーは優位に試合を進めた。先にブレークポイントを握ったのはフェデラーである。第2ゲーム、そして第8ゲーム、だが、ナダルは耐えた。両者のテニスにウィナーが減り、ミスが増え始めた。第9ゲームでサーバーのフェデラーにミスが続いて0-40になった。今日のフェデラーはバックに冴えがあるが、フォアはややふかし気味でラインをオーバーすることが多い。大事なところで頼みのフォアが入らず、ナダルに先にブレークを献上してしまった。サーブインフォーザセットをナダルはフォアハンドのウィナーで決め、6-4でナダルが先行した。
第二セット1-1で第三ゲームのフェデラーのサービスゲームである。相変わらずフォアが大事なところで入らないフェデラーはダブルフォールとも絡み、ナダルがブレークポイントが来る。短い球をボレーでカットして前に詰めたフェデラーの脇をナダルのバックハンドダウンザラインがパスしていく。ナダルブレークで2-1リードとなった。第7ゲームでもダブルフォールトでフェデラーはブレークピンチを迎える。苦しい展開のフェデラー、だが攻めの気持ちを忘れずに何とかキープに成功した。5-3でナダルのブレークポイントイコールマッチポイントが来たが、開き直ったフェデラーの攻めに押し切られて、ナダルは最初のチャンスを逃した。だが波の激しいフェデラーに対して終始静かなる強さを発揮し続けたのがナダルである。フェデラーには何度も波に乗れそうな場面があったのだが、そんな場面でフェデラー復活の芽をその度ごとに確実に摘み取り、ATP史上最強の皇帝を封じ込めることに今回も成功した。チャンピオンシップポイントでフェデラーのバックハンドが大きくラインを割り、ナダルが両手を突き上げた。6-4でナダルの3連覇が決まった。クレーコート67連勝である。
今年からマスターズシリーズ決勝戦はマイアミ以外全て5セットでなくベストオブ3セットマッチになった。これはモンテカルロ・ローマ・ハンブルグと続くクレーコート大会において決勝での対ナダル戦でフェデラーに優位に働くことになると考えていた。粘り屋のナダルを相手にするのには短期決戦のほうが攻撃型のフェデラーには優位に働くだろうと。が、そうではなかった。サーブ・バックハンド・ネットプレーといい調子で仕上げてきたフェデラーであったが頼みのフォアが決まらなかった。フォアが決まっていれば違った結果になったかも知れなとも思うが、一方でフェデラーのフォアが決まっていてもナダルを崩せていたかどうかわからないのが今日の試合の内容ではなかったかと思う。
赤土の上のナダル城、落城せず、未だ健在なり。欧州赤土戦線は西欧から中欧にその戦線を移していく。再びドラマが始まったのだ。

 

2007年05月09日 天王山となるか

今年も欧州赤土戦線は天王山を迎えつつある。
WTAでは雨天順延になったJ&sカップの決勝でエナンが優勝した。クライシュテルス引退、モーレスモ一時戦線離脱、シャラポワ失速というこの状況で、エナンはその覇権を固めつつある。そのエナンがドイツのベルリンに乗り込む。ヨーロッパクレーのティアT大会であるジャーマン・オープンの第一シードはエナン、第二シードはモーレスモ、第三シードクズネツォワ、第四シードヒンギス、以下ヤンコビッチ、バイディソワ、ペトロワ、サフィーナと続く。注目は戦線復帰のモーレスモである。クレーは得意のサーフェイスなのにエナンほどにはタイトルに恵まれないモーレスモである。ここは復帰直後とはいえ、十分にその存在感を示すべき場面であろう。
ATPはマスターズシリーズ第四戦ローマ大会が開催される。
不動のツートップ、第一シードフェデラー、第二シードナダルがそろって出場する。第三シードはロディック、第四シードがダビデンコ、以下ジョコビッチ、ゴンザレス、ロブレド、リュビチッチ、ブレーク、マレー、ハース、ベルディッヒ、ガスケ、フェラー、ユーズニー、フェレーロと続く、欧州赤土戦線の天王山にふさわしい陣容である。
赤土の覇者ナダルにとってこのローマはまさしく天王山である。去年の決勝対フェデラー戦、一昨年の決勝対コリア戦、どちらも5時間を超えるフルセットマッチの激闘の末の優勝だった。しかも二年連続でモンテカルロ・ローマの決勝は同じカードになっているのである。そしてこの3年間、ナダルは勝ち続けている。クレーコートで。まさしく赤土に聳え立つ難攻不落の要塞、それがナダルだ。そのナダルが赤土の上の戦いの行方を決定付けてきたが過去二年間のローマ大会であり、全仏はとどめの一撃のようなものであったといってよい。そして、去年、一時的とはいえ、ATPに君臨する皇帝フェデラーが、その自信を根底から揺さぶられたのものこのローマ大会であった。近づきつつある天下分け目の大一番、果たして再び二強はぶつかるのか、あるいはジョコビッチやカナスなど今季好調の野武士たちが割って入るのか。今年の前半戦、そして欧州赤土戦線の行方を決定付ける戦いが始まろうとしている。GAORAも日本時間でのゴールデンタイムに生中継だ。さあ、今年も大一番を期待しようではないか。

 

2007年05月11日 勝手な期待

2007MS第4戦ローマ大会 3回戦
ポランドリー 62 64 フェデラー

去年はATPのランキングポイントで史上最高値をたたき出し、今年の全豪ではついに4大大会で失セット0優勝をやり遂げた。その結果は史上最強にして現時点で圧倒的強者と言ってよい。それ故に如空が「皇帝」と呼んでいるエントリーランキングNo1ロジャー・フェデラー、その皇帝が天国からいきいなり地獄へと突き落とされつつある。この春、マスターズシリーズを4戦消化していまだ優勝なし、決勝進出は一度だけ、後はベスト4にすら進んでいない。しかも、宿敵ナダルなどの台頭しつつあるルーキーや、あるいはかつての王者達に接戦の末に敗れたわけでなく、じみぃ〜な奴にじみぃ〜な負け方をしている。
故障を抱えているわけでもなく、フィジカルにも技術・パワーにも特に大きな問題点があるわけでもない。対戦相手に有効な対フェデラー対策を講じられたわけでもない。ただ普通に負けている。彼が圧倒的強者となって以来、過去3年間でもっとも厳しい時期になっているといってよい。
何年間も勝ち続けて圧倒的強さを維持することは簡単な事ではないし、やはりフェデラーにも波というものがあろう。だから試合で負けること自体にが大きな問題があるとは思わない。だが負け方は問題であろう。トップランカー相手でもストレートで圧倒するフェデラーが、もっと差が開いているはずの選手たちに負ける。しかも早いラウンドで。このまま全仏に突入するのだろうか。とても心配だ。フェデラーの圧勝ばかりではつまらない。だがフェデラーが早いラウンドで地味な相手にストレートで負けるのもつまらない。見たいのは強い奴がより強い奴に挑み、激しく競い合う姿なのだ。コートの外から見ているものの願いは勝手である。だがその勝手な要望に答えてこそプロフェッショナルであろう。そしてそれをするだけの力量があるからこそ、期待されるのだ。次のハンブルグで元気なところを見せてもらいたいものである。
第三シードロディックも負けた。ヨーロッパクレーの天王山、ローマ大会のQFは下記の通りである。
ロブレド対ダビデンコ
ポランドリー対ベルディッヒ
ジョコビッチ対ナダル
チェラ対ゴンザレス
ナダルとジョコビッチの激突がQFとはもったいない。ジョコビッチがクレーでナダルを止めれば、それはATPの勢力地図を塗り替えるきっかけになりかねないだけに、大いなる期待がこの試合には寄せられるのだが、それをTVで見れないとは残念至極である。
ベルリンではWTAのシード勢が順当に勝ちあがっている。復帰後のモーレスモも元気なようだ。一方でシャラポワが戦線を離脱している。S・ウィリアムズに対する連敗で自信を崩されたところに故障を抱えたようだ。こちらも早く立ち直ってもらいたいものだ。身体だけでなく精神的にも。

 

 
2007年05月13日 ローマは今年も死闘を欲する

フェデラーだけでなく、ベルディッヒをも倒したボランドリーはついに地元のマスターズカップでベスト4まで進出してきた。その快進撃の前に立ち塞がったのはゴンザレスである。

2007年MSローマ大会SF
ゴンザレス 61 62 ボランドリー

第一セットの長いディースをゴンザレスが取りきり、自分のサービスゲームを守った。ボランドリーはランニングショットからのコースの切り返しがうまい。まるでナルバンディアンをバックだけ片手打ちにしたような選手だ。だがゴンザレスはクレーコートであるにもかかわらず、そのフォアの強打の威力は桁外れで、ファーストサーブからもフォアに回り込んで叩きにいく。第二ゲームでもディースになったが、ゴンザレスがフォアの威力でボランドリーを抜き去って、ブレークに成功した。ここで流れは完全にゴンザレスに傾いた。ボランドリーは1ゲームをキープに成功したが流れはゴンザレスであった。フォアの回り込みの強打だけでなく、バックハンドダウンザライン、ドロップショット、ネットプレートと多彩な攻めで、あっという間に5-1にした。ゴンザレスはサーブインフォーザセットでさらにサーブ&ボレーを混ぜるなど色々試して見るが、ややプレーは雑になった。ボランドリーはブレークポイントを握るが、ゴンザレスはサーブの力で逃げ切り、第一セット6-1でゴンザレスが先行した。
第二セット、お互いサービスゲームをキープしあい、試合は落ち着くかに見えた。だがボランドリーはやや詰めに甘さが見られ、そこをゴンザレスが突いてきた。第三ゲームでゴンザレスまたもブレークに成功した。ボランドリーは自分のテニスが出来ているのにポイントがゴンザレスに行くという状況にイライラが溜まり、攻めが単調になってきた。一方のゴンザレスは左右前後にボールを散し、ストロークに緩急を付け、さらにドロップショットにネットプレートと、ボランドリーに的を絞らせなかった。やや時間がかかったがそれでもまた5-1まできた。ここでゴンザレスは無理をせず、ボランドリーにあっさりサービスをキープさせた後、次のサービスゲームを4ポイント連取のラブゲームで決めて6-2のストレート勝利を決めた。
ゴンザレスはその攻めの多彩さを見せつけた。強打一辺倒から緩急自在のオールラウンダーに進化したそのテニスは見事である。フェデラーを倒し、ベルディッヒを突破したボランドリーは見事なパフォーマンスを今週見せたが、今日はゴンザレスの多彩さに巻き込まれて、プレーを「させられた」感じに追い込まれ、うまくあしらわれた。だがこの大会のボランドリーの残した結果は大いに誇ってよいだろう。
第二試合は好試合を期待された対ジョコビッチ戦をストレートで下した赤土の覇者ナダルが、ロブレドを逆転で下してきたダビデンコの挑戦を受けた。まだ一度しか対戦してないこの二人、そこには予想だにしなかった死闘が待っていた。

ナダル 76 67 64 ダビデンコ

第一セットオープニングゲーム、い きなり激しいラリーの応酬の末、いきなりブレークを奪ったのはナダルであった。だが第二ゲームでダビデンコがリターンから攻めてブレークバック。尋常ならざる様相で試合は幕を開けた。お互いにキープして2-2になった第五ゲーム、ストロークで押しているのはダビデンコだが、ナダルは拾いまくる。絶妙のアングルドロップショットを見事に対応されてダビデンコはブレークされる。ナダル先行で進むがアンラッキーなポイントが続いて、その機会をダビデンコは見逃さなかった。第8ゲームでダビデンコがブレークして追いつき4-4となった。ダビデンコのテンポの良い攻めを敢然と迎え撃つナダル。長いラリーをついに征してダビデンコのサーブを三度破った。ナダルの5-4である。サーブインフォーザセットが来た。だがダビデンコは今日、ナダルのサービスにタイミングがあっている。リターンからガンガン攻めるダビデンコのプレッシャーにナダルが抗しきれずにまたもやサーブをキープできず、ダビデンコブレークで5-5になった。ダビデンコは長いラリーでもナダルからポイントを奪いキープに成功、その勢いのまま、次のナダルのサービスゲームを40-0からディースにまで戻す、そしてブレークポイントイコールセットポイントを握ったのはダビデンコであった。だがこのプレッシャーのかかる場面でナダルがドロップショットでポイントを取る。ダビデンコが詰めがやや甘くなった。ナダルがそこを突く。キープに成功して6-6TBに突入した。TBは前半、ダビデンコに力みがあった。ボールが何度もラインを割ってふかしてしまう場面が続き、一方でナダルはしっかりと詰めを誤らなかった。TB73でナダルが第一セットを奪い取った。
ナダルのサービスが強力になってきているのは周知のことである。だが今日のダビデンコはそのナダルのサーブを見事にリターンで打ち返し、そこから攻める。第二セット第一ゲーム、ナダルのサービスゲームをディースまで追い込むダビデンコ。ネットに出たナダルの眼前をダビデンコが豪快なフォアのクロスパスで抜いた。いきなりブレークで始まった。ダビデンコとて、自分のサービスを簡単にキープできているわけではない。その後の第二ゲームでエラーが増えてナダルにブレークポイントを握られる。しかも大事なところでフォアがふける。ナダルがブレークに成功し、またしてもブレーク合戦でセットが始まる。ダビデンコのアングルショットが効いている。ナダルの脚力をしても追いつけないほどにダビデンコはナダルを左右に振り回し、ナダルを突き崩そうとする。だが、完全にナダルを崩すとこまで行かない。第三ゲームでもダビデンコはブレークポイントを握るが、今度は取りきれなかった。どちらも簡単にサービスをキープできない。長いラリーが続く、ゲームがなかなか終わらない。共にブレークポイントが行きかう大接戦となった。中盤より徐々にダビデンコにエラーが増え始めている。第8ゲーム、攻め切れないダビデンコはエラーを重ねてナダルにブレークされてしまう。ナダルの5-3でサーブインフォザマッチが来た。だがここでダビデンコが集中力を高め、じっくりとラリーをして、なんと4ポイント連取してラブゲームブレークを果たす。壮絶な打撃戦、超人的な脚力を駆使して展開されるフルコートラリー、観客はこの好勝負に大歓声で応える。5-5でナダルのサービスゲームをまたしてもダビデンコがブレーク、ついに6-5でリードしたダビデンコがサーブインフォーザセットを迎える。だがナダルは苦しい展開ながらもポイントを奪い、ブレークポイントを掴む。ナダルのスライディングからのフォアがダウンザラインに吸い込まれた。ナダルブレーク!6-6でまたもやTBとなった。サービスエースでファーストポイントを奪うナダル。判官贔屓の観客はダビデンコの方に声援を多く送る。ダビデンコも果敢な攻めで声援に応える。ポイントをこつこつと積み重ねTB6-3でダビデンコにセットポイントが来た。ダビデンコのサーブが二本ある。だがナダルは崩れない。粘る。ラリーの末、先にラインを割ったのはダビデンコのフォアの方だった。二本ともだ。TB6-5でナダルがフォアのダウンザラインを決めた。TB6-6!ナダルが追いついた。二回目のコートチェンジ、ナダルのボールが浅くなる、そこを前に踏み込んでフォアのウィナーを決める。またセットポイント。だが次のポイント、ナダルをバックに追い出したにもかかわらず、フォアのダウンザラインをネット。TB7-7、ダビデンコはネットに出てスマッシュ、ナダルが返す。再びスマッシュ、またナダルが返す、三度ダビデンコスマッシュ、ナダルがそれも返すが、今度はラインを割った。TB8-7、またダビデンコのフォアがラインを割る。TB8-8でダビデンコが慎重にボレーを決めた。TB9-8ラリーの末最後にナダルのショットがラインを割った。TB10-8、ダビデンコが第二セットを取り、セットオールに戻した。二セット終わった時点で3時間を超えようとしていた。観客はこの時点で激闘を戦う二人をスタンディングオベーションでたたえた。
ファイナルセット第一ゲーム、追い上げたはずのダビデンコは落ち着いてしまい、TBのままの勢いでファイナル突入したナダルは畳み掛ける。ナダルがダビデンコのサービスゲームをブレークした。だが直後の第二ゲームで今度はダビデンコが集中力を高めてリターンから攻め、すかさずブレークバック、またもや、ブレーク合戦でセットが始まった。ファイナルセット中盤より、長いラリーが続くが、ゲーム自体は淡々と進んでいく。4-4まで来た。その淡々としたゲーム運びの中で徐々にナダルが調子を上げ始めていた。見事なショットでポイントを先行するナダル。一気に3ポイント連取で0-40を迎えた。長いラリー、厳しいアングルの角度の付け合いの末、最後にラインを割ったのはダビデンコのフォアだった。5-4でナダルがリード、サーブンフォーザマッチを迎える。見事なアングルの切り替えしでポイントを先にとったダビデンコだったが、その直後、フォアのチャンスボールをネットしてしまった。15-15でナダルのドロップショットが決まる。30-15でダビデンコのリターンがラインを割った。マッチポイントが来た。慌てず、いつも通りのルーチンワークでサーブに入るナダル、そのサーブをダビデンコのリターンがまたラインを割った。ファイナル6-4でクレー76連勝を決めた。
解説の辻野隆三氏も指摘していたが、この試合、ダビデンコに波があり、その波の上の場面ではナダルを上回っていたのだが、下の場面でナダルにポイントを与えてしまっていた。ダビデンコの調子次第であったといってよいこの試合、主導権をダビデンコに握られながらも我慢し続け、終始自分のテニスをやり続けたナダルの見事な勝利であった。実に見ごたえのある試合でATP前半戦のベストマッチであった言ってよい。

ちなみにこの日のGAORAの中継は実況土屋和彦、解説辻野隆三であったが、好勝負にふさわしい、見事な解説であった。ちなみに二人の実況解説のうち、記憶に残ったシーンを思いつく限り拾い上げてみよう。
「ボランドリーはサーブの配球をもっと考えないと。ゴンザレスのバックに集めていますが、コースが甘いですし、ゴンザレスに完全に読まれています。だからファーストサーブからゴンザレスにフォアに回り込まれています。コースを散らした上でバックに入れるときはもっと(回り込めないほどに)しっかりとバックに入れないといけません。」
「ネットの目がヨーロッパはやや粗めなんですよ。だからよくボールがネットに食い込むことがあるんです。」
「フォアハンドの強打が武器の選手というのはフォアサイドからクロスに打つより、バックサイドから回り込みのフォアを逆クロスに打つほうが威力が出るんですよ。だから積極的に打ちに行くんです。」
「ナダルはいつもよりボールの回転量を上げてボールを弾ませていますよね。早いテンポのストローク戦はダビデンコが得意ですから。高く弾ませて、高い打点でゆっくりしたタイミングで打たせようとしています。ただ、ボール自体はやや浅いですね。だからダビデンコにコートの中に入られて打たれています。それがダビデンコに押されている原因ですかね。」
「(ナダルのサーブは)スピン系が主体というより、どちらかというとスライス系ですかね。キックしていませんよね。むしろ外に切れていくサーブがメインですよね。」
「ナダルがどう進化するかは楽しみですよね。ハードでも芝でも進化していますよね。今グランドスラム達成に近いのはフェデラーですけど、ナダルは去年ウィンブルドンの決勝まで行きましたよね。フェデラー圧勝っていう感じではなかったですよね。このままナダルが進化すると芝の上でもナダルが勝てるかもと思うじゃないですか、でもクレーの上ではやっぱり(フェデラーでなく)ナダルかなって気になりますよね。そうするとひょっとして・・・・て思いますよね。」
「ナダルは本来、先にアングルに角度を付けていくストロークをしますよね。でもダビデンコはその角度の付いたボールをさらに角度をつけて厳しいところに切り返してくるんですね。それを警戒してナダルは今、センターにボールを集めています。ただ、それゆえにナダルから攻めることが出来ていないのです。それがナダルのいつもと違うところですかね。」
「ヨーロッパの街ってコインランドリーがないんですよ。だから僕らがツアーを回った時は自分で毎日洗濯するんですよ。手洗いで。だからナダルのシャツが気になりますね。汗まみれのシャツに付いた赤土、あれは落ちませんよ、洗濯しても。」
「ダビデンコには明らかに波があります。一方のナダルは終始同じ調子です。ナダルが勝つためには、ダビデンコが下の波になっているときに大きく引き離してしまうことです。そこで引き離せないから、ダビデンコに波が戻ってきたときに追いつかれるのです。」
「ナダルはあれだけのTBをして、まったくギアを落としませんよね。延長線上でプレーしますよね。そこがトップ選手ですよね。」
なお、上記の台詞は彼らの会話を一言一句完全に再現したものではない。スポーツ中継の会話というのはその映像を見ているものでないと何を言っているのかわからない場面が多いし、なにしろ主語がなになのか、テキストだけでは読みきれないことがある。それゆえに如空なりに解釈してその意味が通じるように編集した文章である。実際の発言者の意図が100パーセント伝わっているわけではない。彼らの名解説を原文で知りたければ、契約してGAORAを視聴することである。(byGAORAの回し者)
さて、赤土の城塞ナダル城は今日も落ちなかった。進化したゴンザレスの攻めは難攻不落のナダル城を突き崩せるだろうか。やはりローマは激戦になる。今年も欧州赤土戦線の天王山、ローマの決勝の熱戦を期待しよう。

 

2007年05月14日 もっともクレーに適した大和撫子 赤土を征す。


ベルリンで行われたジャーマン・オープンは雨天順延が多発し、スケジュールが大幅に狂った。QFのエナン対ヤンコビッチ戦は二日にわたり、逆転でエナンが勝利した。だがSF対クズネツォワ戦も雨天順延で二日にわたり、フルセットにもつれた接戦の末、今度はエナンが負けてしまった。準決勝終了後、すぐに決勝戦を戦うことになったクズネツォワは、それでも第一セットを先取したが、連戦の疲労はそこで彼女のプレーのレベルを落としてしまったようで、イワノビッチがそこから逆転でクズネツォワを下した。うれしいツアー3勝目であった。
ところで、如空はあまり注目していなかったのだが、チェコのプラハで行われていたティアW大会、プラハオープンでは森上が決勝まで進み、第一シードのバルトリを決勝にてストレートで下した。なんとツアー初優勝をヨーロッパのクレーで飾ったのだった。さすがにもっともクレーに適した大和撫子である。バルトリにはフィジカルに問題があったということだが、それでもツアー優勝はすばらしい。ツアー優勝は日本人女子でやっと7人目のことらしい。残りのクレーシーズンも大いに暴れてほしいものである。

 

2007年05月14日 静かなるナダル、強し。

2007年MSローマ大会決勝
ナダル 62 62 ゴンザレス

第一セット第一ゲーム、ナダルが静かにゴンザレスのサービスゲームをブレークした。とても静かに。淡々とゲームが進む。3-1のゴンザレスのサービスゲームでもナダルがブレークポイントを握り、ブレークに成功した。4-1となり、このまま流れが変わることはなかった。ナダルがネットダッシュしてバックボレーを短く刻んだ、拾いきれずに転倒して赤土にまみれるゴンザレス。6-2でナダルが第一セットをすんなりと取った。
第二セットもナダルのブレークから始まった。これもまた静かに。第二ゲームでゴンザレスは深いリターンでようやく反撃を開始、ブレークポイントを握るが、ナダルは慌てない。ここも静かにディースに戻し、キープにする。第三ゲーム、ナダルがポイントを先行する。ナダルがセンターからゴンザレスのバックにボールを打ち込む。負けじと片手のバックハンドで打ち返すゴンザレス、その返球を引き付けてナダルは逆クロスへフォアのウィナーを放った。ブレークポイントが来た。ゴンザレスがサーブの力とネットダッシュでディースに戻すが、競り合いでナダルに競りきれない。ゴンザレスのボレーがラインを割り、ナダルがまたブレークに成功した。ナダルの3-0になったが、ゴンザレスもそのままずるずるとは行かなかった。第四ゲームでブレークポイントを握るとドロップショットでナダルからブレークを奪う。そして次のサービスゲームもまるでハードコートの上にいるかのようなライジングからのハードヒットを連打して、押し切った。3-2まで来たが、ゴンザレスはここまでだった。ナダルがキープした後の4-2で30-30になった。ゴンザレスがここでドロップショット失敗、ナダルにブレークポイントが来る。ゴンザレスは何度もディースに戻すが、ナダルも何度も攻めを繰り返す。最後にドロップショットからのネット際の攻防を制してナダルがブレークに成功した。サーブインフォーザチャンピオンシップスをラブゲームキープで決め、クレーコートシーズンの天王山、MSローマ大会をナダルは征したのだった。
ナダルは終始静かで強かった。ショットがサーブ・レシーブ・ストロークと深く、ネットへの詰めが早かった。そしてコートカバーは相変わらず無限大のカバーリングを見せた。静かな相手は強い。ナダルの圧倒的なクレーでの強さを見せつけた試合であった。
クレー77連勝でこのローマ大会3連覇を決めた。赤土の上に聳え立つ難攻不落の要塞ナダル城は今日も健在であった。そして静かに、その強さをさらに増している。ナダルはローマからライン川を越えてドイツのハンブルグに乗り込む。赤土の覇者が未だに手にしていないクレーのタイトル、MSハンブルグ大会、そこをも征服するべくナダルがアルプスを越えて北へ侵攻する。このローマ大会のSFダビデンコのごとく、ナダルに対抗しうる挑戦者は現れるだろうか。ATP欧州赤土戦線は中欧へその舞台を移していく。

 

2007年05月15日 持つ者、持たざる者

全仏直前、欧州赤土戦線は中欧にて展開する。
ドイツのハンブルグでATPマスターズシリーズ第5戦ハンブルグ大会が行われる。第一シードは現在エントリーランキング第一位のロジャー・フェデラー、第二シードは現在チャンピオンズレース第一位のラファエル・ナダルである。第三シードはMSローマ大会SFで名を馳せたダビデンコ、第四シードはMSマイアミで優勝して台頭してきたルーキー・ジョコビッチである。以下、ゴンザレス、ロブレド、リュビチッチ、ブレーク、マレー、ベルデッィッヒ、ガスケ、フェラー、ユーズニー、バクダティス、フェレーロ、ヒューイットと続く。ローマに続き、今が旬の充実した顔ぶれがそろった。
注目はやはり皇帝フェデラーと赤土の覇者ナダルの動向であろう。去年は二人とも直前のローマ決勝の死闘による疲労のために欠場してしまっているこのハンブルグ大会に、今年は二人そろって出場している。この大会に3度優勝しているフェデラーに対して、まだクレーコートタイトルのコレクションのうちこのハンブルグだけは手にしていないナダル。この春からスランプに陥りつつあるフェデラーに対して、この春から復活したナダル。去年からクレーコートのタイトルに恵まれていないフェデラーに対して、3年間クレーで負けなしのナダル。今年のこのクレーではもはやフェデラーはナダルにかなわないのだろうか。それとも生涯グランドスラムをかけた全仏に向けて希望の灯を点すことが出来るだろうか。その行方には注目せざるをえない。そしてこの二人の前に立ちはだかるであろうダビデンコとジョコビッチ、この数年の二強体制を揺さぶり突き崩すためにもここは大いに活躍してもらいたいものだ。二週続けてのマスターズシリーズにGAORAも生中継で日本時間のゴールデンタイムに放送してくれる。さあ、今年の全仏を占うこの大会、熱戦を大いに期待しよう。
ATPと入れ替えにローマに乗り込むWTA、ローマ大会ティアT大会である。第一シードはモーレスモ、第二シードクズネツォワ、第三シードヤンコビッチ、第四シードバイディソワ、以下ペトロワ、サフィーナ、チャクベターゼ、Sウィリアムズ、ハンチェコワ、ディメンティワ、ピアー、イバノビッチと続く。エナンもシャラポワもいないので、モーレスモは当然優勝と行きたいところだが、復活しつつある元女王セリーナが実に不気味である。いいところまでいくのだがなかなかタイトルに恵まれないロシア勢の実力者たちもここで結果を出したいところだろう。今週もローマは熱くなりそうだ。

 

2007年05月20日 悩める皇帝

フェデラーはこの大会、苦しみながらもSFまで来た。QFでフェラーにフルセットマッチを強いられたが、それでも突破した。一方もうほとんど過去の人と思われていたモヤがQFで昇り竜のジョコビッチをフルセットマッチの接戦の末に降してSFまで来た。アガシが引退した今、ATPツアーでマッチ500勝以上の勝ち星を挙げているのはフェデラーとモヤの二人だけなのだそうだ。そして完璧なテニスとはいえなくなっているフェデラーにモヤの攻勢は厳しかった。

2007マスターズシリーズ第5戦ハンブルグ大会
準決勝第一試合
フェデラー46 64 62 モヤ

フェデラーのサーブから始まった。だがフェデラーのミスにモヤのナイスショットが重なり、モヤがいきなりブレークで試合は始まった。フェデラーはバックハンドのキレがよい。じっくりラリーをしたいモヤに対して早い攻めで畳み掛けるフェデラー、第4ゲームでブレークバックに成功、2-2となった。右に左に打ち分けるモヤのフォアハンドの威力は十分である。ベースラインの後ろに押しとどめられている範囲内ではフェデラーはモヤに押される。第5ゲームで再びモヤがブレークした。ディースにブレークポイントが行きかうゲームが続く。5-3でフェデラーのサービスゲームがディースにもつれた。一進一退の攻防が続く。長いディースの末、フェデラーがキープに成功した。5-4でモヤのサーブインフォーザセット、これもディースにもつれるも、今度はこれを取りきり、モヤが6-4で第一セットを先取した。
第二セット、フェデラーは早い展開をさらに早めてモヤを圧倒しようとする。一方のモヤはフォアハンドストロークのラリーを基点にして展開してくる。長い攻防が続く。モヤにやや焦りが出ていたのか、ミスが少し重なり、第四ゲームをフェデラーがブレークした。フェデラーがギアを上げる。だが上がりきらないのが今のフェデラーの悩みだ。モヤに何度も粘られる。長いディースの続くゲームが続く。長いゲームが続いた末にフェデラーがサーブインフォーザセット迎えた。だが0-40からブレークされる。苦しいフェデラー、だがモヤのサービスゲームでフォアの連続攻撃を貫く。モヤはネットに出たフェデラーを抜き去る。だが最後にはフェデラーが攻めきってブレークに成功。6-4で第二セットをフェデラーが取った。
第三セット開始直後、フェデラーは集中力が散漫で、ピリッとしない。モヤにブレークポイントを握られる場面があったが、それでも何とか乗り切る。第6ゲーム、モヤのサービスゲームでフェデラーがブレークポイントを握る。また長いディースになるが、最後にモヤがミスして、フェデラーがブレークした。モヤもピリッとしない。最後にもう一つブレークを許して6-2でファイナルをフェデラーが取り、決勝進出を決めた。
勝ちはしたものの、今のフェデラーの抱えている問題が露出していた試合であった。バックハンドの調子がよいかと思えば、突然入らなくなる。サーブの調子がよいかと思えば突然入らなくなる。フォアの調子が上がったかと思えば、またミスが重なる。連続攻撃からネットに出て、畳み掛けるかと思えばパスを抜かれ始める。安定という二文字は到底思いつきそうにないフェデラーの乱調ぶりであった。
この不安定さのまま決勝を迎えるのは大いに不安であろう。果たしてフェデラーは明日、立ち直るきっかけをつかめるだろうか。悩める皇帝の心配の種は、勝ち進みながらも増大するばかりである。
要塞対要塞、第二試合はクレーコートの上の要塞ナダルと、ハードコートの上の要塞ヒューイットが戦う。クレーコートの上での戦いだから、ナダルが有利と思われたが、試合は意外な展開を見せる。

2007マスターズシリーズ第5戦ハンブルグ大会
準決勝第二試合
ナダル 26 63 75 ヒューイット

第一セットキープ合戦で始まる。だが、今日はヒューイットのバックハンドクロスとフォアハンド逆クロスのキレが良い。第三ゲームで0-40ブレークチャンスをヒューイットが作る。ディースに戻されるが、最後はナダルのショットがラインを割って、ヒューイットがブレークに成功、2-1でリードを奪う。ヒューイットはファーストのサーブがいい。地道に自分のサービスゲームをキープする。そしてナダルのサービスゲームでヒューイットがまたブレークポイントまで追い詰める。ヒューイットはラリーの後、サイドラインに抜ける角度の付いたショットでナダルの鉄壁のディフェンスを抜き去る。サーブの力で対抗するナダルをディースの末押し切り、再びブレークに成功、4-1とした。
第二セット、スピンボールを弾ませる戦術に変更したナダル、一方、ネットにボールを引っ掛けることが多くなるヒューイット。ヒューイットは高い打点に対応しきれず、第二ゲーム、ナダルが最初のブレークポイントをものにして2-0でリードする。お互いキープして3-1になった第5ゲームでヒューイットにブレークポイントが来る。ディースが繰り返される。ナダルはフォアハンドダウンザラインの入りが悪いがこらえてサービスゲームをキープした。次のサービスゲームでようやくサーブがまた安定しだしたヒューイットはラブゲームでサービスゲームをキープした。解説の白戸仁氏は指摘する。「長いラリーでポイントを取った後、短いラリーで簡単に相手にポイントを与えてしまうのは、ポイントを取ったにもかかわらす、ヒューイットの方が疲れている証拠なんですね。(そのスタミナこそが)ナダルのすごいところです。」互いにサービスゲームをキープしあって5-3になった。ナダルはサーブインフォーザセットを磐石の攻めでものにして6-3でセットオールにナダルが戻した。
ファイナルセット第一ゲーム、しぶといナダルに対してファーストサーブの入りが悪くなったヒューイットは、最後にネットに出たところをパスで抜かれていきなりブレークを許してしまう。第三ゲームでまた長いディース合戦になるが、今度はヒューイットが苦しみながらもキープした。キープ合戦で来た第八ゲームでヒューイットがブレークした。が次のヒューイットのサービスゲームで突然の乱調、ナダルが0-40からクロスのパスを決めてブレークバックで5-4、ナダルのサーブインフォーザマッチが来た。30-30でヒューイットのフォアハンド逆クロスが決まる。ブレークポイント、そこでナダルのフォアがラインを割った。土壇場で追いつき5-5になる。次のヒューイットのサービスゲームで再びディースに追い込むナダル、最後はヒューイットのドライブボレーがラインを割り、ナダルがまたブレークした。ナダルのサーブインフォーザマッチがまた来る。だがヒューイットも集中力を高めてブレークポイントを握る。ヒューイットが戻すかと思われたが、ナダルもサーブの力で押し戻す。ディースになる。ネット際の攻防からナダルが最後に抜き去り、7-5でナダルが今日も負けなかった。クレーコートでマッチ81連勝である。
この試合、3セットマッチで互いに取ったブレークポイントは4本で同数、取ったゲーム数も15ゲームで同数であった。去年全仏で当たったこの二人の対戦を見たときも感じたのだが、ビックサーバーでないもの同士の戦いであっても、男子テニスの戦いの鍵を握るのはやはりサーブであろう。サービスエースはヒューイットの5本に対してナダルはわずかに2本。しかし、ブレークポイント5本中4本を取ったナダルに対してブレークポイントが12回もありながら4本しか取れなかったヒューイット。ナダルが大事な場面をサーブの力で乗り切っていることが良くわかる。特に左利き特有のアドサイドから相手のバックハンドにあたるセンターに入れてワイドに逃げていくサーブ、あれが効果的であった。フェデラーもナダルと対戦したとき、あのサーブの処理に苦労しているが、リターンの名手として名高いヒューイットの両手打ちバックハンドでも、あのサーブの返球は苦労するらしく、何度もリターンミスを強いられていた。一方のヒューイットは彼なりに強化されているファーストサーブが入っている限りはナダルに対抗できているのだが、セカンドサーブになったとき、ナダルにリターンから攻められていた。その差が競った内容の試合の明暗を分けたのであろう。だが敗れたヒューイットのテニスも完成されているといわれるが、まだ伸びしろを持っているともいえる。今後に期待しよう。
フェデラーとナダルがハンブルグ決勝で合間見えることになった。共に第一セットを落としてフルセットのSFを強いられた二人、だがナダルは第一セットの反省を生かして、第二セット以降磐石のテニスを見せたが、フェデラーは不安の種を引きづったまま、まるで突然操縦不能になる車に乗っているかのようなダッチロールの末、勝利を拾った。SFの調子のままに決勝でぶつかれば、ナダルの連勝記録を更新させ、そして同一年度のマスターズシリーズクレーコート3大会連破を達成させてしまうだけだろう。ナダルはいつも通りのテニスをするだけである。相変わらず、挑むのフェデラー、試されているのはフェデラーである。3年前から何もこの構図は変わらない。果たしてフェデラーはこのこう着状態を打破できるのか。いよいよハンブルグ決勝である。熱戦を期待したい。

 

2007年05月21日 かかげられたともし火

ナダルの鋭いフォアハンド逆クロスがウィナーになって、決勝戦は幕を開けた。

2007マスターズシリーズ第五戦ハンブルグ大会決勝
フェデラー 26 62 60 ナダル

ナダルがポイントを連取してブレークポイントをいきなり握るが、フェデラーが攻め立ててディースに戻す。長いゲームになったがフェデラーがキープした。ナダルもキープして1-1、フェデラーの次のサービスゲームでまたナダルがブレークポイントを握る。長いラリーの応酬の末、最後にミスしてしまうフェデラー。第三ゲームでナダルがブレークに成功した。第二・第三ゲームの流れはまったく同じままに第四・第五ゲームでも繰り返され、ナダルの2ブレークアップで4-1となった。第六ゲームでナダルのショットがやや乱れた。フェデラーにブレークポイントが来る。ディースに戻された。ナダルの鉄壁の守りを崩しきれずに、フェデラーはチャンスをものに出来なかった。その後フェデラーがサービスをキープで5-2となり、でナダルにサーブインフォーザセットが来る。きっちりとキープしてナダルが6-2で先取した。
第二セット、両者キープで迎えた第三ゲームのフェデラー、サービスゲームでまたブレークポイントを握られる。せっせとポイントを重ね、ディースに戻し、キープに成功。返す刀で次のナダルのサービスゲームで0-40となり、ブレークポイントを3つ握る。フォアの強打がナダルのフォアをはじいた。ついにフェデラーブレーク成功。3-1でフェデラーがリードした。静かに淡々とゲームは進むが、じっくりとしたラリーの中に高度な技術の応酬がある。5-2でフェデラーが畳み掛けてブレークポイントを握るが、ナダルが粘ってしのぐ。長いディースになった。ウィナーの応酬で次第に熱を帯びる。最後にはスライスサーブで外に追い出されたナダルのフォアがサイドラインを割り、6-2でフェデラーがセットオールに戻した。
第三セット、ファーストサーブの入りが悪く、ナダルにブレークポイントを握られるが、しのいでフェデラーサーブキープでスタートする。第二ゲーム、ナダルのサーブにフェデラーのリターンが合っている。リターンから攻めるフェデラー。ブレークポイントでフォアのクロスがフェデラーは際どく入ったが、ナダルの逆クロスはそれた。フェデラーブレーク成功で2-0リードである。ギアを上げるフェデラー、雄叫びを上げて対抗するナダル。ネットに出るフェデラーがナダルにパスで抜かれなくなった。ネットに出ると壁のようにナダルのパスを止められるようになった。第四ゲームも好プレーでナダルのサービスゲームをブレークして4ゲームを連取した。次のサービスゲームもキープして5-0、フェデラーのフォアが切れ味鋭く決まり始める。30-40でフェデラーにチャンピオンシップポイントが来た。フォアを打てないナダル。ナダルのフォアがネットにかかった。6-0、なんとベーグルでファイナルセットをフェデラーが取った。5連敗の末についにフェデラーがナダルをクレーコートの上で倒した。
赤土の上の城塞ナダルがついに崩れた。クレーコート連勝記録は81でストップした。ナダルは後半ファーストサーブの入りが悪かったし、フォアハンドにいつものような凄みがなかった。だがそれを差し引いても、後半のフェデラーのプレーは見事であった。とにかくネットに出たときにナダルにパスで抜かれなくなった。壁のようにナダルの前に立ち塞がった。そして切り札であるフォアハンドが最後の最後で蘇ったことが大きかった。
SF対モヤ戦のあの無様なテニスを見て、ひょっとしてフェデラーは全仏タイトル奪取どころか当分長期のスランプに陥るかもしれないと思った。去年ATPのツアー史上最高ポイントをたたき出し、全豪で失セット0優勝を遂げた皇帝ロジャー・フェデラー。その絶頂からの挫折、天国から地獄にフェデラーは落とされつつあった。フェデラーの生涯グランドスラムへの道程は消えつつあったのだ。ナダルの待つところまで勝ちあがることすら出来ないのではないかと思われていたのだ。しかし全仏直前に、ぎりぎり間に合った。ひょっとすれば、今年も狙えるかもしれない。そして、やれるかもしれない。
今日の一敗があったとしても、赤土の覇者ナダルの城壁は依然として高くて強固であることにかわりはない。だが希望の灯はかかげられた。その灯を目指して後はただまい進するのみ。そんなMSハンブルグ決勝であった。

 

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