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第050房 2006年 MSローマ大会・ハンブルグ大会 TV観戦記

 

2006年05月09日 ナルガトコリ三銃士
欧州赤土戦線も中盤の山場に差し掛かる。イタリアはローマでマスターズシリーズ第4戦ローマ大会が今週開催される。第一シードは皇帝フェデラーの指定席、第二シードは若き赤土の王、鉄壁のナダルの指定席になりつつある。第三シードリュビチッチ、第四シードナルバンディアンである。以下ロディック、ダビデンコ、ブレーク、ガウディオ、コリア、ゴンザレス、フェラー、ロブレド、キーファー、ステパネックと続く。注目は「誰がフェデラーを止めるのか」から「誰がナダルを止めるのか」に移りつつあるクレーシーズンである。フェデラーは全仏までに一度クレーコートでナダルを倒しておきたい所だろう。だがその前にナル・ガト・コリのアルゼンチン三銃士に期待をしたい。「クレー王国はイスパニアでなくアルゼンチンだ。」というところを見せてもらいたいものだ。
GAORAも生中継で準決勝・決勝を放送してくれる。去年の決勝は5時間を越える熱戦で録画の予約時間を大幅に超過して、生中継を完全に録画できなかった。今年は6時間以上の熱戦にも耐えうる体制で録画予約しよう。ハードディスクで録画できるようになって録画時間の長さをあまり気にしなくて良くなって、テニス中継録画には大いに助かっている。
ちなみにその去年の決勝のカードはナダル対コリアの大一番だった。あの試合こそ、赤土の王座がナダルに移譲した儀式であった。戴冠式となった大会に一年後大本命として乗り込むナダル。彼の前途に立ち塞がる猛者はいないのか。ATPの野武士たちよ、そして皇帝よ、各自奮起せよ。


2006年05月11日 モヤガトコリこけ
コリアダウン、ガウディオダウン、そしてナダルは初戦で1998年全仏チャンピオンの(げ、もう8年も前のことか)モヤを突破。波乱含み、なのにナダルは順当のMSローマである。そのほかフェラー、ブレーク、ロブレド、フェレーロも敗れた。ああ、コリアとガウディオ、クレーでの打倒ナダルの双璧かと期待していたのに、むらっけのあるガウディはまあわかるとして、コリア、もう今季は絶望的な不調なのか。復活してくれよ、お前が大人しいと楽しみにしていたクレーシーズンがまったくつまらないものになってしまうではないか。
ナルバンディアンは残っている。サーフェイスを選ばない、あの柔らかいタッチとライジングの速いタイミングで打つストローク、バウンド後が厄介な左利きのトップスピンに比較的対応しやすいと考える。ナダルにぜひぶつけてみたいが、その前にSFでフェデラーを突破しなくてはならない。さあて、ナダルの挑戦権を得るのはどちらだ。注目しておこう。間違ってもナダルとフェデラーは途中でこけてはいけない。

2006年05月13日 今週末は盛り上がりそうだぜ
マスターズシリーズ第4戦ローマ大会SFはフェデラー対ナルバンディアン、モンフィス対ナダルとなった。これは楽しみだ。ナルバンディアンは静かに打倒フェデラー、打倒ナダルに照準を合せてそのテニスの質を上げてきている。ある意味、フェデラーとナダル以外のクレーコートスペシャリストたちが全滅状態である中、フェデラーとナダルに向かっていける唯一の存在になりつつあるナルバンディアンはまさに最後の砦だ。ナダルとフェデラーしか優勝候補がいないような大会が何度も続くとあまりにもつまらないじゃないか。頼むぜナル、骨のあるところを見せてくれ。
そのナルバンディアンの挑戦を再びフェデラーは受ける。フェデラーは去年の最終戦マスターズシリーズ決勝での敗戦以降、ナルバンディアンとようやく再戦の機会を得た。「同じ相手に二度続けて負けない。」それが位を守るのに必要不可欠なことだ。しかし、QFではアルマグロに骨のある抵抗を受けてフルセットの大接戦にもつれ込まされた。かなり調子を上げていかないと、TMCの二の舞になるぞ。ま、いつも危なそうな中盤をへて準決勝・決勝とレベルを上げるからこそフェデラーは強いのだから、それほど心配は要らないと思うが・・・・・・
さて、そのフェデラーを3回も続けて負かした男、デフェンディングチャンピオン、鉄壁のナダル、彼の前にフランスの新星モンフィスが立ちはだかる。去年もナダルはフランスの新星ガスケに足元を救われそうになったからな。怖いもの知らずのモンフィスは築かれつつあるナダルの牙城を揺さぶることができるのか。QFで少し元気を取り戻しつつあるロディックを破っていることも自信につながっているだろう。
さあ、マスターズシリーズのSFは去年・今年と凡戦続きでやや退屈であった。「その大会の最高の試合は決勝より準決勝にて実現することが多い」のがトーナメントのジンクスである。このローマくらいは準決勝で大いに盛り上がってほしい。ナルバンディアンよ、モンフィスよ、フェデラーに肉薄せよ、ナダルを追い詰めろ。簡単に勝たせるな!今日もGAORAでゴールデンタイムの生中継だ。

2006年05月14日 2006 MSローマ大会SF
MS第4戦ローマ大会SF
フェデラー 63 36 76 ナルバンディアン
去年の最終戦マスターズカップ決勝と同カードとなった第一試合はいきなりのブレーク合戦で始まる。二回づつブレークしあって、その後1ゲームづつサービスゲームをキープして3-3、さらにキープしたところでフェデラーがブレーク。5-3でサーブインフォーザセット、しかし、ナルバンディアンが0-40でブレークポイントを握る。ここで観客席の携帯電話に気を取られたり、とどめのボレーをミスしたりでリズムが崩れて6ポイントを連取され、フェデラーに先行を許してしまう。
第二セット第4ゲーム、ナルバンディアンが先にブレークした。ナルバンディアンの4-1となってフェデラーのサービスゲームで再びナルバンディアンがブレークポイントを握った。ディースが繰り返される。フェデラーのラケットのストリングが切れて、フェデラーはラケットを代えた。そこからキープ。だがそのままナルバンディアンに1ブレーク差を維持されて第二セットは63でフェデラーは落とした。
第三セット、いきなりナルバンディアンがフェデラーのサーブをまたブレークした。ラケットを叩きつけるフェデラー。今日は試合開始当初から、サーブとフォアハンドの調子があまりよろしくない。ナルの2-1の第4ゲームでフェデラーはブレークポイントを握る。ナルバンディアンも調子を上げて何度も押し戻すが、最後にフェデラーが押し切ってブレークバック、2-2になった。フェデラーがようやく調子を上げてきた。すぐさま更なるブレークでリード。一気にフェデラーが行くかと思われたが、ナルバンディアンは崩れなかった。今日はバックハンドの切れが良い。手堅く攻めて、フェデラーのミスも誘いブレークバック、また並んだ。両者ディースにもつれる長いゲームをそれぞれ苦労してキープ。ファイナルセットはTBになった。両者一進一退の攻防が続く、共にボールが深くて、コートの中に踏込んで打たさない。最後にナルバンディアンのショットがわずかにそれてフェデラーが際どく勝利した。取ったポイント数は115対114、たったの一ポイント差だった。
ナルバンディアンはネットに出るタイミングが絶妙だった。サーブ&ボレーも何度も試してかなりの成果を上げた。リターンは実に冴え渡っていた。ボールが深くて、何度もフェデラーからミスを誘った。コードボールやジャッジも、今日はかなりナルバンディアンに運があった。だがこの試合がここまでもつれた原因はナルバンディアンの好プレーよりもフェデラー側の不安定さにある。ファーストサーブの入りも悪かったが、もっと大きな問題を抱えている。この直前のQFでもアルマグロに苦戦したがなんとなくその試合の光景が目に浮かぶ。
フェデラーのフォアが微妙に崩れている。打点が狂っているのか、タイミングが狂っているのか、如空ごときには見抜けないが、とにかく少し狂っている。狂っているのでネットはするわ、ラインオーバーするわ、サイドアウトはするわでいろんなミスが多発している。ミスの傾向がある程度はっきりしていれば修正はたやすかろうが、こうも色々なミスをすると何がおかしいのかつかみにくいだろう。
フェデラーは何でもできるオールラウンダーであるが、だからといって試合中何でもするわけではない。特にNo1になってからのフェデラーのテニスは実はワンパターンだ。フォアのハードヒットからの連続攻撃。殆どこのパターンに尽きる。サーブ&ボレーなんぞ芝のコートでも殆どしなくなった。それが彼の美学に基づくもっとも美しいテニスなのだろう。しかし、そのフォアが崩れたら・・・・まずいな、決勝を前に実にまずい。明日はフォアを修正してコートに入れるだろうか。

ナダル 62 62 モンフィス
第一セット第二ゲームでナダルがブレークした。5-2で再びナダルがブレーク、6-2でナダルがセットを先取した。
第二セット、ナダルのサービスから始まるが、ドロップショットがネットしていきなりブレークでスタートする。が、すぐさま、ブレークバック、そして第6ゲームでさらにブレーク。そして5-2としたモンフィスのサーブゲームもブレークして6-2で試合を決めた。
ナダルの見事な横綱相撲だった。ストローク戦で主導権を渡さず、フォアのアングルショットは威力抜群であった。相手が中ロブで逃げようとするとすかさずネットに出て叩いて決めた。モンフィスのプレーを一試合見るのはこれが始めてであったが、予想していたよりもゆったりとした動きの選手だった。もっとジェームズ・ブレークのような躍動感あふれるプレーを期待していたのだが、どちらかというとベースラインからゆったりとしたフォームでストロークをするサフィンにその印象は近かった。サーブのフォームは明らかにロディックの影響を受けているが、ロディックほど肩が強くないので、長身のわりにそれほどサーブが強くない。ストロークもサフィンほどの強打でなかった。動きもブレークやヒューイットほどでなかった。フェデラーやコリアのような光るセンスも感じられず、フェレーロのようなスイングの鋭さも感じられなかった。これといって特徴のない彼がどうしてこれほどまで期待されるのかというとジュニアでリトルスラムをやっているらしい。でもそれはジュニアでの成績だからね。同じ頃にナダルはトップランカー相手にATPツアーで戦っていたことを思うと、なんとも期待過剰の感はあるのだが、それでもいどう化けるかわからないのがこの世界である。注目はしておこう。

さて、皇帝フェデラーと鉄壁のナダル、6度目の対決が決まった。去年ローマを取っているナダルにとってはタイトル防衛線となる。ローマに攻め込んだカルタゴのハンニバルを迎撃したローマの名将スピキオのごとくナダルはフェデラーを迎撃できるか。あるいはルビコン川を渡って祖国に攻め込み、ローマを乗っ取って改革を実行したカエサルの如くフェデラーがこのナダル支配のクレーシーズンをを革新することが出来るか。フェデラー対ナダル、2006年赤土の上の戦い、第二次会戦の幕がもうじき上がる。

2006年05月15日 揺らいだ自信
ああ、フェデラーよ、お前はやはりカエサルにはなれず、スキピオの前に敗れ去るハンニバルになってしまったか・・・・・・
2006年MS第4戦ローマ大会決勝
ナダル 67 76 63 26 76 フェデラー
前回の対戦で未だにナダルの左利きのスピンボールに対処できなかったフェデラー。そこに来てQFアルマグロ戦、SFナルバンディアン戦で見せたフォアハンドの不安。ひょとしたらナダルの前に一方的に押されまくるのではないかと思った。しかし、さすがはATPに君臨する皇帝フェデラー、しっかりとここまでの課題を克服して対ナダル戦に臨んで来た。第一セットはいきなりの打撃戦、フェデラーはようやくナダルと第一セットからラリーを展開できるようになった。がっぷり四つに組んで6-6となりいきなりTBに突入する。しかし、ここからのフェデラーが凄かった。ここまでストローク戦に終始していたフェデラーがTBに突入してからはネットに突進、パスの心構えが出来ていないナダルをたたみかけ、なんと7ポイント連取で第一セットを奪った。
第二セット、キープ合戦で5-4まで来る。フェデラーのサービスゲームでブレークポイント、イコールセットポイントをナダルは握るが、フェデラーの背面打ちバックハンドボレーがアングルに決まり、危機を乗り越える。ナダルのテニスの質を上げて対抗、再び6-6でTBとなった。第一セットとは対照的に長いラリーが続き、ナダルが落ち着きをもって主導権を握る、フェデラーにもチャンスがあったのだが、最終的にナダルが7-5で押し切った。第二セットは76でナダルである。
第三セット、2-2からナダルがブレーク。そのまま1ブレーク差を守りきって6-4でナダルが取る。
第四セット、今度はフェデラーが先にブレーク。そのまま1ブレーク差を守りきって、最後もブレークで決めて、6-2でフェデラーが取る。
ファイナルセット、フェデラーのフォアハンドのダウンザラインが鋭さを増した。そこからのネットプレにも切れが出てきた。ナダルのパスが通らなくなった。第四ゲームでフェデラーブレーク。第五ゲームフェデラーが先行して圧倒するかと思われたが鉄壁のナダルは崩れない、ディースにまで戻した。ディースが繰り返される。が、フェデラーも崩れない、強気の攻め、フォアのダウンザライン、そしてネット、ついにキープ。だが4-2で試合を決める大事なフェデラーのサービスゲーム、ここでナダルがブレークバック。さらに次のサービスゲームを苦しみながらもキープ。4-4、完全に互角になった。両者共にギアを上げる、レベルが上がる、攻守がめぐるましく入れ替わる。5-5になった。先にフェデラーがキープ。ナダルのサービスゲーム。ファーストポイントでナダルがラインを割った。そして痛恨のダブルフォルト。フェデラーチャンスだ。試合を決める決定的場面がきた。しかし、フェデラーは突然攻めなくなった。まるで恐々とテニスをしているように長いラリーが二ポイント続き、それぞれが一度づつミスした。どちらも攻めていない。強く打てない。2人共に守りに入ってしまって攻撃しようとしない。世界のトップに君臨するこの二人にさえ重圧はやはりかかるのか。フェデラーがチャンピオンシップポイントを二つ握る。だがフェデラーは攻めなかった。繋ぐだけのラリーをしてミスした。更にミスをしてマッチポイントを逃した。危機を乗り越え、ディースから押し戻し、ナダルがキープ。6-6で三度TBに突入した。
TB1-1でコールを覆され、ポイントのやり直しになった。ここでようやくフェデラーの目が覚めた。フェデラーよ、お前が「美しい」と自画自賛するテニスとは何だ。それはフォアの強打からの連続攻撃だろう。攻めろ。フォアを打て、強打だ。フォアハンドでハードヒットしてくれ。フェデラーらしい強気の攻めを見せてくれ。
ついにフェデラーがフォアを叩いた。フォアの強打からの連続攻撃。フェデラーが行く。しかし、それがナダルまでも目覚めさせてしまった。カウンターでフェデラーを抜き去り、フォアのスピンが強打に変わり、フェデラーがしのぎきれない。最後の猛攻を仕掛けたのはナダルだった、フェデラーは守りきれず、ボールは最後に大きくアウトした。TB7-5、今日も赤土の上のナダルは負けなかった。
フェデラーは技術的・戦術的な問題を少しづつ克服して、クレー上でのナダルとの差を埋めつつある。その意味では前進している。だが、今日の敗北は大きい。フェデラーの強さはその技術、スピード、パワー、センス、あらゆることが超一流だということであるが、何よりもメンタルが強靭で揺るがない、強い強い精神力があってこその強さだった。どんなときでも逆転できる、最後に勝つのは自分だと信じている。自分自身の強さと、その結果としての勝利を信じて疑わなかったからこそ、強かったのだ。その自信が崩れた。勝ちびびりになって守りに入ったフェデラーをはじめて見た。ナダルの側にも動揺はあったのだ。しかし、そこにつけこむどころか、自分が動揺してしまい、攻め切れなかった。そしてようやく目覚めたとき、その開かれた瞳孔はナダルも動揺から立ち直らせてしまった。
今後、クレーの上でナダルと対戦するとき、今日の悪夢がトラウマとなってフェデラーを襲うだろう。この傷跡は深くて大きい。この傷は結果をもってを克服するしかない。全仏制覇による生涯グランドスラムの達成、年間グランドスラムへの夢、それどころではなくなった。次のMSハンブルグ大会。フェデラーには大いなる試練が待ち構えている。同じことが繰り返されれば、そこから二度と回復できないかもしれない、大きな大きな傷跡になる。
皇帝の座が揺らいだ。そんな2006年のMSローマ大会だった。

2006年05月16日 皇帝が赤土の上で鉄壁の男より評価する男
欧州赤土戦線はライン川を越えて主戦場は北上した。マスターズ・シリーズ第5戦ハンブルグ大会が今週行われる。第一シードフェデラー、第二シードナダル、第三シードリュビチッチ、第四シードダビデンコであった。だが、フェデラーとナダルが疲労により欠場、MSローマ大会決勝までの戦いの影響で両雄である1・2シードがそろって消えた。大会関係者の悲鳴と会場で観戦する予定だった人々のため息が聞こえてきそうだ。だが、この両雄が2強のまま存在し、他のライバル達が台頭してこなければ、毎週二人が決勝まで残って、最後にナダル対フェデラー戦になるような大会が続く。そうなると大きな大会の直後はこういうことが続くことだろう。頼みの第三の男ナルバンディアンもこの大会には出てきていない。しかもコリア・サフィンが初戦敗退した。ナダルもフェデラーもいないマスターズ・シリーズ大会である。こうなれば俄然注目を浴びるのが第六シードガウディオである。鬼の居ぬ間の何とやら、優勝までひた走りに走ってほしいものだ。ちなみに皇帝フェデラーはインタビューで「自分の評価では、クレー最強はガウディオ、次がナダル」と語っている。自分を続けて負かした相手よりも更に上の評価を、フェデラーがガウディオに与えている。皇帝陛下の評価に結果をもって応えてほしいものだ。もっとも先日のローマ決勝を経た現在、フェデラーの胸の内の評価が変わっているかどうかはわからないが。


2006年05月18日 ハンブルグの波乱
リュビチッチが負けた。ガウディオも負けた。キーファーも負けた。一体誰が上がってくるねん?と問い返したくなるMSハンブルグ大会である。ブレークは勝ち残っているが、彼は彼で苦手にしているからね、クレーを。週末まで残れるか微妙である。ダビデンコ、フェラー、ロブレドあたりが来るのだろうか。週末のGAORAで放送される準決勝二試合に顔をそろえるのは今ままでTVで見たことないような選手達かもしれない。まあ、それはそれで別の意味で楽しみではあるのだが。

2006年05月19日 今週末は最高に地味だぜ
2006年MS第5戦ハンブルグ大会QF
フェラー対ロブレド
ダビデンコ対アンチッチ
ベルダスコ対アカスーソ
ミルニー対ステパネック
じ,地味じゃあ・・・・如空がGAORAに加入して視聴できるようになってもっとも地味なベスト8じゃあ・・・・特にボトムハーフの4人、ステパネック以外、ろくに知らん。ブレークもゴンザレスもフェレーロもグロージャンも負けてしまった。先週とは打って変って視聴率は大いに伸び悩むかもね、GACRAさん。でもアンチッチはあれで結構人気者だし、ダビデンコとロブレドはそれなりに玄人好みの実力者だし。フェデラーが「デ」ないからフェラーというのもネタとしては使えるし(日本限定だけど)、コアなテニスファンには受ける週末かもしれない。

2006年05月20日 地味なりに盛り上げて
2006年MS第5戦ハンブルグ大会QF
ロブレド 76 64 フェラー
アンチッチ 57 76 63 ダビデンコ
アカスーソ 61 67 63 ベルダスコ
ステパネック 63 62 ミルニー 
というわけで、今夜日本時間でもろにゴールデンタイムにGAORAにて放送される準決勝はロブレド対アンチッチ、アカスーソ対ステパネックである。なかなか渋い顔ぶれとなった。マスターズシリーズというよりジャパンオープンのような雰囲気だな。まあ、地味なりに盛り上がることだろう。
地味なりに盛り上がるといえばWTAローマ大会も地味なりに盛り上がっている。トップ5シードがベスト4にいないという異例の事態となったティアT大会、SFはヒンギス対V・ウィリアムズ、サフィーナ対クズネツォワである。さあ、ヒンギス、リベンジなるか、ヴィーナスと再び元女王様対決である。初回はフルセットの末、ヴィーナスの勝利。しかし、その敗戦でだいたいの感触はつかんだろう。一度はウィリアムズを叩いておいてほしい。そしてもう一方の山はロシアン対決、なんとこのサフィンの妹はクライシュテルスだけでなく、ディメンティエワもQF6-1,6-1で一蹴、台風の目となってSFクズネツォワの前に立ちふさがる。ここでクズネツォワまで突破すると先週のペトロワ並みの大活躍となるが、さて、それを許すほどクージーは甘くはないぞ。決勝の組み合わせはまったく予想がつかない。だがこの準決勝は二試合ともとても興味深い。数週間後にGORAで録画中継が放送されるがちょっと録画してみてみようかな、という気にさせてくれる。特に決勝がヒンギス対クズネツォワなんてなった日にはハンブルグ決勝をTVで見ながらネットでローマのLIVEスコアかぶりつき状態になるかもな。ローマとハンブルグって時差があるのかな、同じくらいだろうか?後で地図見て確認しよう。ま、とにかく、地味なりに盛り上がってくれて大変結構。

ンブルグよりローマ
もう三十路超えていそうな雰囲気だけど27歳、・・・ステパネックって遅咲きの花なんだね、2002年に63位、2003年46位、2004年33位、2005年21位、2006年5月現在16位、まあ順当に上がってくること。もともとダブルスで頭角を現した選手で、ネットに強いがストロークが並み、ヘンマンみたいなクラッシクなテニス。だから現在のストロークからのオールラウンドプレー主体テニスには合わない、時代遅れのプレーのはずが・・・・二年前、MSパリ大会で決勝まで進出、サフィンとなかなかいい勝負をした。柔らかいテニスでサフィンの豪打に対抗した。地味な顔しているが、プレーもパフォーマンスも注目に値する選手だ。
この日も最初からドロップショット&アングルボレーとおもわず解説の丸山氏を「上手い!」とうならせるショットから始まった。

2006MSハンブルグ大会SF
ステパネック 64 76 アカスソ
アカスソってワープロで変換すると「赤裾」って出てしまう。厄介な名前だ。ゆったりとしたテイクバックから打つバックハンドがいい感じの選手だ。ひげを生やして大柄の登山家のような雰囲気。だがフォアがやや弱いな。サーブも最初、長身のわりに弱いなと思っていたが、徐々に調子を上げ、しっかりとサービスをキープするが、ファーストゲームをブレークされたのが痛かった。ステパネックは鋭いサーブで押し捲る。第一セットは64でステパネックが取る。
第二セット、アカスソがようやく本来の強打を打ち始めた。解説によると昨日のQFで大苦戦してお疲れモードだったらしい。弱いと思っていたフォアハンドには実は大きなテイクバックの強打が仕込まれていた。お互い持ち味を発揮してサービスをキープしあい、6-6TBとなる。TB、ステパネックのネットプレーに気合が入っていた。最後は7-5でステパネックが取った。

ロブレド 75 64 アンチッチ
アンチッチ、がんばったのに・・・・ロブレドの気迫がアンチッチの執念を断ち切った。とてもメンタルが試されていた試合だった。

2006年05月21日 2006 MSハンブルグ大会決勝
タクシーを捕まえようと思った。空車が来た。それを止め損ねた。「また次が来るさ」と待っているともう二度と来なかった。そんな経験はないだろうか。空車のタクシーは一度逃すと次はつかまらないのものだ。逃してからそれを後悔しても仕方ない。勝利の女神に後ろ髪はない。一度来たチャンスはこれが最後と思って必ず取りに行かなくてはならない。
フェデラーとナダル、トップ2シードがそろって欠場、他のシード選手も途中で敗退してくれた。訪れることなど希望はしていても現実のもになるとはにわかに信じがたいマスターズシリーズの決勝、優勝のチャンス。今年だけでなく、テニスキャリアで最後のチャンスかもしれないこの大舞台。この幸運を生かしたのはどちらだったろうか。
2006マスターズシリーズ第5戦ハンブルグ大会決勝
ロブレド 61 63 63 ステパネック
第一セット、ステパネックは始めから飛ばしていた。彼の最大の武器である、ネットプレーを生かすため、クレーであるにもかかわらず、サーブ&ボレーにチップ&チャージ、流れの中からもガンガン前に出る。この試合にかけるステパネックの意気込みをかんじさせる。だが、意気込みという点ではロブレドも気合十分だった。ドロップショットにアングルボレー、ステパネックの捨て身の攻撃をある程度予想していたのだろうか、ひるむことなくロブにパスで対抗して引かないロブレド、それどころか、彼自信ネットに詰めてステパネックとボレー合戦を挑み、ネット巧者ステパネックから強引にポイントをもぎ取る。ステパネックはロブレドの強気の姿勢の前にサービスゲームを二度までも破られ61でロブレドが第一セットを取った。
第二セット、ステパネックはそれでもネットへの突進をやめない。何度抜かれてもネットに突き進む。キープ合戦になった。しかし、最後の最後で1ブレーク、ロブレドがもぎ取り63で王手をかけた。
第三セット、これもキープ合戦。共にブレークのピンチを切り抜け43まで来た。ここでロブレドにまたブレークポイントが来る。ステパネックが前に出る。後ろに一度下げられるが、また前に出る。ネットで壁になるステパネック、その右横をロブレドのバックハンドダウンザラインが抜けた。天に向かって雄たけびを上げるロブレド、53になってロブレドサーブインフォーザチャンピオンシップが来た。3ポイント連取してマッチポンイントを握る。一ポイントステパネックが返すが、そこまで。ロブレドが最後にはネットに来て、コードボールを強引に相手コートに落として、マスターズシリーズ初優勝を決めた。ステパネックと握手する前にシャツを脱いでスタンドに放り込んだ。
ステパネックは果敢にネットに出て勝負を挑んだ。クレーコートで自分に不利なのは百も承知の上で、それでも自分のストローク力ではロブレド相手に対抗は出来ない、ベースラインに閉じ込められたら勝ち目はない、わずかな勝機をネットに見出し、自らの全知全能を駆使してポイントを取りに行った。二年前、パリ大会決勝でサフィンに敗れた経験を経て、今度こそは自分のテニスをやり切るのだという決意の元に試合に臨んでいたのだろう。だが自分のテニスをやりきったという意味ではロブレドも見事であった。第一セットこそ2ブレークできたが、第二・第三セットはステパネックの迫力の前にキープを許し続けた。ステパネックの攻めは決して悪くはなかった。何度も流れを掴むチャンスがあった。だがロブレドは崩れなかった。時にネットに出てステパネックとボレー合戦も挑んだが、あくまでベースラインからのストロークで自分の展開に持ち込み、ネットに出てきたステパネックにパスで真っ向勝負を挑み、1ブレークをもぎ取り、勝利につなげた。ストレートで終ったが、両者共に自分を信じて自分のテニスをやりきった。見事な勝利であった。


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