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第025房 2005年 ウィンブルドン TV観戦記 (2005/07/18)

 

2005年06月08日 2005 グラスコートシーズン開幕

戦場は赤茶けた大地から豊かな緑色の平原に移る。男女とも一年の内1ヶ月しかないグラスコートのシーズンが開幕した。1ヶ月といっても後半の2週間はグランドスラムであるウィンブルドンで占められるので、事実上ウィンブルドン以外のグラスコートの大会は年間でわずか2週間しかないのだ。そのわずかな期間で選手たちは「ボールが遅く、バウンドが高く弾む」クレーコートから「ボールが速く、バウンド後低くすべる」芝のコートにアジャストして結果を出さなければならない。

ウィンブルドンまでたった二週間しかないので、レベルの低い大会でもランキング上位の選手が出場してくれるのがこの時期の大会の特徴だ。
WTAの芝の開幕戦、バーミンガムのDFSクラシックはティアVであるにもかかわらず、第一シードシャラポワ、第二シードモリックという両雄をそろえる。この決勝が実現すれば面白くなる。

ATPでも既にウィンブルドンに向けてイングランドに上陸した選手たちがロンドンに集結している。ステラ・アルトワ・インターナショナル選手権は第一シードヒューイット、第二シードロディック、第三シードヘンマン、第四シードステパネックと速いコートが得意なトップランカーが集結した。他にマリッセ、ミールニー、スリチャパン、カルロビッチ、ゴンザレス、グッチオーネ、デント、T・ヨハンソン、アンチッチ、モンフィス、ガスケ、ルゼドスキー、ビョークマン、グロージャン、ブレーク、フィリポーシスと芝の得手・不得手にかかわりなく豪華な布陣である。注目はなんと言っても最近かげのうすくなったヒューイットとロディック。ここで優勝して存在感を示したいところだ。

ドーバー海峡を渡らずに大陸にとどまって芝の調整を果たす選手たちもいる。ドイツのハーレではゲリー・ウェーバー・オープンが開幕している。第一シードフェデラー、第二シードサフィン、第三シードナダル、第四シードカナスと大陸側はクレー屋さんが多いこと。他にもユーズニー、Y・ヨハンソン、フェレーロ、ボルチコフ、ハース、シュトラー、ナルバンディアン、ロクス兄弟、キーファー、ジモンチッチ、など実力者ぞろい。注目は再びSFで顔を合わせるであろうフェデラーとナダル、芝の上ではフェデラーはただ勝つだけでなく圧勝しなくては皇帝の威厳にかかわる大問題になる。ここはピリッとしめてもらいたいところだ。

 

2005年06月10日 クレーの王が次に望む物

バーミンガムではシャラポワが苦戦しながらもSFまで来た。シャラポワ大丈夫か。なんか強さが少しだけ落ちている。この「少しだけ」が曲者だ。大怪我や大スランプならそこを乗り切って復活すればいい。しかし、少しだけトーンダウン、徐々に衰退、いつの間にか優勝できなくなっている。これは悪い兆候だ。長引く低迷の暗示である。ここらでピリッと圧勝して優勝しておかないと。試練の芝シーズンにならなければ良いが。

ロンドンではQFでヒューイットがカルロビッチの前に敗退した。怪我から明けて復帰第一戦だ、仕方ない。ウィンブルドンまでには復調してくれ。そして、もう一人のキーマン、ロディックは勝ち進んでいる。SFはT・ヨハンソン対カルロビッチ、ロディック対ステパネックである。ロディックは何が何でも優勝しなくてはならない。それが彼の使命だ。そして、再びフェデラーの前に立ちふさがるための条件だ。

ドイツのハーレのSFではフェデラー対ハース、サフィン対カナスである。順当に行けば全豪SFの対決の再戦がようやくかなう。ここまで来るのに時間がかかった。サフィンの馬鹿が全豪優勝後、燃え尽きて半年間もボーっとしてたからだ。今のサフィンのランキングだと上位シードになるのでフェデラーと当たるためにはSF以上まで勝ち進まなければいけない。だのにいっつも1・2回戦で負けてからにあの馬鹿、自分の存在意義をわかっているのか。打倒フェデラー筆頭の座はとっくにナダルに取られてしまっているぞ、世間はこの半年間でもうお前の存在を忘れかけているぞ。そろそろ、エンジンかけろ、ウィンブルドンまでに死に物狂いで駆け上がって来い。全米・全豪で優勝した時のあの素晴しいテニスを見せてくれ。何度でも。
そして、フェデラー、生涯グランドスラム及び年間グランドスラムの達成を期待されたが、今年はいまだGS取れず。こうなればウィンブルドンは絶対死守だ。そのためにはナダルとサフィン、この二人を早い段階で一度潰しておく必要がある。全仏で少し復調の兆しを見せ始めたサフィン。叩くならここだ。芝の王座だけは意地でも渡せない皇帝である。

ちなみにナダルがこの大会初戦敗退している。本人はウィンブルドンタイトルにも意欲を見せている会見を全仏でしていたが、さてそううまくいくかな。歴代の全仏チャンピオンを擁するスペイン勢、これからも全仏チャンピオンを生み出していくことだろう。彼らの目標はまずは全仏タイトルを取ること。そしてそのタイトルをとり赤土の上の王の座に就いた後、クレーの王が望むのは「クレーだけでなくハードでも強く勝てる王者」の称号だ。具体的には全米あるいは全豪のタイトルを望む。しかし、現実は厳しい。ハードでもある程度強いというレベルでは全米・全豪は取れない。クレーだけでなくハードでも最強・あるいはそれに準じる力を持たなければならない。クレーの王者、クエルテン・モヤ・コリアなどは皆「ハードでも強い」と言われ続けているが全米・全豪のタイトルを狙えるところまで勝ち進めてはいない。唯一、タイトルに近づいたのはフェレーロだ。2003年に念願の全仏優勝後、全米でファイナルに進出、ロディックに敗れたものの、そこでランキングNo1になった。そして、翌年SFでフェデラーのところまで勝ち進む。それ以前もマスターズカップで年間最終ランキングNo1になるヒューイット相手に2年連続決勝で激闘を演じた。でも大事なところでいつもヒューイット、ロディック、フェデラーに負ける。ハードの上では。
ナダルはフェレーロを越えるだろうか。その器ではあると思う。フェレーロがかなえられずにいる夢、クレーの王によるハードのGS制覇を見てみたい。出来ればナダルの前にフェレーロの手でその夢をかなえて欲しいのだが、夢のままで終わってしまうのだろうか。

話がそれた。ナダルは芝でどれだけ結果を出せるだろう。たった4週間3大会しかない。さてどうなるか、これまた注目である。

追記、
クエルテンは全仏以外のGSタイトルは取っていないがツアー最終戦マスターズカップは一度優勝している。2000年のことである。この年、全豪はアガシ、全仏はクエルテン、全英はサンプラス、全米がサフィンだった。混戦のツアーはNo1争いが最終戦までもつれる。マスターズカップ決勝の時点でサフィンがわずかにポイントでリードして暫定No1だった。しかし、最後の一戦でクエルテンが逆転、マスターズカップ優勝を果たしただけでなく、年間最終ランキングNo1も手に入れたのだった。チャンピオンズレース方式が採用された始めての年である2000年のマスターズカップ最終戦サフィン対クエルテンの決勝はNo1の座を賭けた最後の大一番だった。表彰式のあと優勝カップを胸に抱き、ブラジルの国旗を肩にまとい、舞い散る紙ふぶきの中、コートに膝付き、目を閉じて天を仰ぐクエルテンの姿は美しかった。それはクレーとハードを同時に征した王者の姿だった。

 

2005年06月13日 芝の上の主役達 2005

バーミンガム・DFSクラシック 決勝
シャラポワ 62 46 61 ヤンコビッチ

シャラポワ今季3勝目、ようやく3勝目、No1目前といわれながらも足踏みしている状態が長かった。足踏みしている間にベルギー勢が復活してしまった。今年のウィンブルドンは厳しいぞ。この大会も結構苦戦した。しかし、優勝できて良かった。芝の調整を進めながら、調子を上げてウィンブルドンに乗り込んでくれ。如空自身はあまりシャラポワを好きではない。だが、こうも一方的にエナンやキムにやられると寂しい。WTAの大会を盛り上げるという意味でも、もうすこしがんばってほしいと思ってしまう。


ロンドン・ステラアルトワ選手権 決勝
ロディック 76 76 カルロビッチ

ロディック今季3勝目、やっと3勝目、去年打倒フェデラー筆頭と目されていた一昨年のNo1は、今年になって打倒フェデラーどころか、フェデラーに当たるところまで勝ち上がることができずにいる。しかし、苦手のクレーシーズンは終わった。ロディックのビックサーブ・ビックフォアの威力が存分に発揮される夏の芝・ハードシーズンがやってきた。ロディックには夏が良く似合う。一昨年はSFでフェデラーに敗退、去年は決勝でフェデラーに敗退した。今年は優勝だって狙えると予想されてもいいはずの存在である。だが、今年前半のややレベルダウンの状態からは完全に抜け出してはいない。この大会も圧倒したわけでなく、ベック,グロージャン、ステパネック、カルロビッチなど曲者相手に苦戦しながらの優勝であった。コーチを変えて半年、今の苦労は新たなる進化への、生みの苦しみであると信じたい。ウィンブルドンでその成果が出ればいいのだが。


そして、注目のこの一戦。
ハーレ・ゲリーウェーバーオープン 決勝
フェデラー 64 67 64 サフィン

フェデラー今季7勝目、もう7勝目、決勝戦20連勝で連勝記録更新中、この2年近くの間決勝まで進むと必ず優勝している。おそろしい。しかもダブルスまで優勝してしまった。素晴らしい。何よりも調子が良い状態のサフィンを破ったことが大きい。第一第三セットは1ブレーク差でゲット、第二セットもTBの末に落としている。しまった内容の好勝負だ。全豪SFの借りをしっかり返した。下手に不調だったサフィンに圧勝して「スランプだから」と言い訳されるより、今回のように調子の良いサフィンを接戦の上破ったほうが効果はある。皇帝の権威を高める効果が。
今のフェデラーは対戦相手が戦う前から「対フェデラー」の意識が過剰になり、ただでさえ地力で劣るのに、その劣る力を100%発揮させずに終わらせている。そこに強さの理由の一つがある。その権威がサフィンとナダルのために少しではあるが衰えはじめている。この事はフェデラーにとってはよろしくない。ウィンブルドン3連覇のためにも、第一週を安全にそして労少なく勝ち進むためにも、皇帝の権威は強いほうがよい。その意味で今回の勝利は大きい。
同時にサフィンが復調してきていることが嬉しい。本人は芝が苦手だといっているが、クレーもけして得意というわけではないし、3月は毎年不調だというし、「一体何が得意なんだ、全て苦手ではないか」と思わず問いかけたくなるほど言い訳が多い。強さを常に発揮しろ。そして結果を出せ。そして言い訳をする必要をなくせ。今回の大会は決勝で敗れはしたが、言い訳の必要ないだろう。みんな認めているぞ、今回の準優勝の素晴らしさを。この調子で今年の後半、また暴れてくれ。


芝の上の主役達が苦労しながらも舞台に上りつつある。ウィンブルドンの季節が近づいてきたのだ。

 

2005年06月15日 芝の前哨戦、地味なり

ウィンブルドンの予選はもう始まっている。今週末にはウィンブルドンのドローが発表される。トップランカー達はブリテン島に上陸し、直前の調整に入り今週は試合をしていないものが多い。だがそんなことお構いなく、地味―ナ連中は芝の上の前哨戦を続けている。

ノッキンガムでのATP大会は第一シードリュビチッチ、第二シードTヨハンソン、第三シードハーバティ、第四シードガスケという地味な顔ぶれ。デント、スリチャパン、ロクス弟の活躍が期待される。

今だドーバー海峡を渡らず、大陸で芝の大会を戦うものもいる。オランダのスヘルトヘンボッシュの大会は第一シードロブレド、第二シードコリア、第三シードアンチッチ、第四シードハース。こちらはやや豪華だがハースが怪我で棄権してしまった。心配だ。

同じスヘルトヘンボッシュで同時にWTAのティア3大会が開催されている。第一シードディメンティエワ、第二シードペトロワ、第三シードガリケス、第四シードサフィーナと男子に比べれば地味な顔ぶれ。ティアVでもサフィーナは第四シードかい。もう少し上にいけるだろう。がんばれ。

WTAは他にティア2大会がある。伝統のあるイーストボーンでの大会は第一シードモーレスモ、第二シードクズネツォワ、第三シードモリック、第四シードミスキナ、と地味ながら実力者をそろえる。そして第七シードにクライシュテルスがエントリーしている。エナンの生涯グランドスラムを阻止するべく、キムが芝の上で始動する。圧勝で優勝してウィンブルドンに乗り込んでほしいものだ。

 

2005年06月17日 2005 ウィンブルドン ドロー

2005年ウィンブルドンのドローが発表された。いつものように独断と偏見による自分勝手な展望を見てみよう。

アガシ、ガウディオ、モヤが不在の男子シングルス。
第一シードはフェデラー。去年のランキングNo1にて現No1、去年・一昨年のチャンピオンにて今年の優勝候補筆頭。文句なしに現ATPに君臨する皇帝である。今年もすでに7勝を上げている。しかし、肝心のグランドスラムではSFでサフィンとナダルに苦杯をなめさされた。この芝の王者の座は何が何でも死守しなくてはならない。フェデラーの山にはキーファー、フェレーロ、ロブレド、J・ヨハンソン、ゴンザレス、ユーズニー、ダビデンコがいる。なかなかの実力者がそろっているが、芝の上でフェデラーを脅かすまでにはいたるまい。

第三シードはヒューイット。今年春のインディアナウェルズ決勝対フェデラー戦で足の親指を負傷、クレーシーズンは完全に戦線から離脱していた。復帰間もない彼にはトンでもないタフドローが待ち受けている。因縁の相手ブレークとまたも2回戦であたるし、そのほかマシュー、デント、プエルタ、アンチッチ、ハーバティ、ロペスとひしめくが、なんといっても山の反対から登ってくるであろう第5シードサフィンとQFであたる。順当にいった場合、全豪ファイナルの顔合わせがここで再現する。ともに全豪後調子を落とした二人が復活をかけて、そしてフェデラーにとって鬼門になりつつあるグランドスラムのSFでの挑戦権をかけた戦いが予想される。サフィンの方がやや調子の取戻しが早いようだが、ヒューイットにとって芝は得意なサーフェイス。注目の一戦になるだろう。

全仏覇者ナダルが堂々の第四シードである。恐れを知らぬ若者は赤土の王の称号の次にこの芝の王の称号を狙うが果たして結果はいかに。カナス、ノバック、ハース、T・ヨハンソン、ステパネック、ナルバンディアン、ガスケと芝の上で強い選手がそろう。彼がシードを守ることは世間が考えるよりはるかに難事業と如空は見ている。

第二シードロディックの山は比較的安泰。第六シードヘンマンを筆頭に、ポランドリー、フェラー、グロージャン、コリア、リュビチッチと今年好調な選手が集まった。しかし、ロディックが本来の実力を発揮すれば問題ないだろう。彼の場合の問題はSF以降である。

ボトムハーフはロディックが決勝までくるだろう。問題はトップハーフ、フェデラーをSFで迎え撃つのはヒューイットかサフィンか。勝ち上がったほうはかなり調子を上げてきているはずだ。鬼門のグランドスラムSFをフェデラーが如何に突破するかを注目しよう。その結果しだいでは仮にフェデラーが決勝に進んでもロディックにチャンスが来るかもしれない。優勝候補筆頭は文句なしにフェデラーだが、結果だけでなく勝ち方が問題にされるがNo1のつらいところだ。

モリックとボビナが不在の女子シングルス。
第一シードはダベンポート。何だかんだでいまだにNo1である。彼女は4回戦でまたしてもクライシュテルスに当たる。長期戦線離脱のためランキングを下げているキムは当然シードも低い。彼女の実力はトップ4シードであるべきだろうに。結果、波乱の根源となっている。他にこの山はサフィーナ、杉山、シュニーダー、浅越、バイディソワがおり、山の反対側からクズネツォワがやってくる。なんともタフなドローである。

第三シードモーレスモの山はロシア勢が集中、ファリナエリナ、リホフツォワ、ミスキナ、ヤンコビッチ、フレージャー、ディメンティエワと誰がSFに出てきてもおかしくない。

第四シードS・ウィリアムズは4回戦で姉V・ウィリアムズと当たり、QFで第七シードエナンと当たる。なんと過酷なドローだ。他にイバノビッチ、ピエルス、ハンチェコワがいるが前出3人の存在感の前にかすんでしまっている。怪我から復帰したばかりとはいえ、セリーナにはエナンを止めうる力を持つものとして勝利に執着心を持ってもらいたいが。

前年覇者シャラポワは第二シード。この山は他にペトロワ、ズボナレワ、デシー、ゴルビンといる。比較的楽で、シャラポワが苦労はしてもシードは守るだろう。

本命はボトムハーフ、セリーナ・ウィリアムズの山から出る。ウィリアムズの姉妹対決、そして生涯グランドスラムをかけるエナンとの対決、この対決を制したものがそのままシャラポワを倒し、トップハーフからくるクライシュテルスかダベンポート、あるいはクズネツォワと決勝で対戦して勝つ。山場は週半ばの4回戦・QFの行方にかかっている。

全仏とは違い、男女とも主役級が肩を並べた今回のウィンブルドンのドロー。熱戦を期待しよう。

 

2005年06月20日 終わりと始まりとあこぎさと

芝の前哨戦、ノッキンガムでは19歳になったガスケがツアー初優勝を遂げた。初優勝が得意のクレーでなく芝というところに彼の独自のプレースタイルの特徴が現れている。さまざまなアイデアを実現していく変芸自在の攻撃テニス。サーブとフォアの威力を主力武器とする男子テニス選手が多い中、サーブとフォア以外の武器を多用してパターンにはまらない攻撃をする、アラジやグロージャン、ブレークなどと似たタイプの攻撃オプションを多数持つユニークなテニス。そんなテニスは芝という特殊状況にこそ力を発揮する。ナダルに次ぐ19歳スターがまた生まれつつあるのか。ウィンブルドンも期待だ。

スヘルトヘンボッシュではアンチッチが初優勝。アンチッチが初優勝とは意外な気もするが、彼もまた芝で威力を発揮するビックサーバーである。ビックサーバーの産地クロアチアのサブレッドだ。ウィンブルドンで暴れてくれ。

イーストボーンでは大方の予想通り、クライシュテルスが優勝。復帰後3勝目をあげた。SFでクズネツォワをフルセットで降し、その高い実力を誇示している。さあ、ウィンブルドンでGS初制覇を成し遂げることができるかキム。ダベンポート、クヅネツォワを突破すると、決勝で待つのはおそらく宿命のライバルエナン。その悲劇の運命、断ち切って見せろ。

当のウィンブルドンでは毎年恒例となったシードの揉め事である。ウィンブルドンはランキングを考慮しながらも独自のシード配分を行うので毎年物議をかもし出す。クレーコートスペシャリストたちはウィンブルドンでは不当に差別されていると過去何度も抗議している。全仏3度優勝のクエルテンなどこのテニスの聖地の大会をスキップしたことがあるくらいだ。
今回の争点はヒューイットとロディックのシード。ランキングはロディックがNo3、ヒューイットはNo2なのでヒューイットが第二シード、ロディックが第三シードであるべきだろうところを今回、ロディックが第二シード、ヒューイットが第三シードとされた。有識者が例によってウィンブルドンを批判しているが当のヒューイットは沈黙。フェデラーにとってグランドスラムSFが鬼門になりつつあるので、決勝で当たるよりSFであたるほうがゲンを担ぐ意味でいいと考えているのだろうか。

むしろ問題があるのは日本のNHKだろう。なんと今年は第一週の中継BSはなし。地上波で日本女子、本戦生はハイビジョンのみ。BSはQFからだとさ。テニスみたけりゃハイビジョン買えってか。あこぎだぞ、NHK。

 

2005年06月21日 2005ウィンブルドン開幕

森上ダウン、杉山ダウン、浅越ダウン、小畑ダウン、NHKへの怨念が日本女子勢に取り付いたかのような災難だ。全滅かと思われたが中村藍子だけは生き残った。後は藤原が二日目に登場する。日本全国から「これで藤原が負けて中村も二回戦敗退、シャラポワも初戦でこけると男子の試合が地上波で見られるぞ」という不謹慎な期待が渦巻きそうだ。この原因を作っているNHKの責任は重いぞ。日本女子は一日に一試合でよろしい、もう一試合は男子を中継してくれ。そうすれば素直に中村や藤原を応援できるのだ。

男子は結構波乱、ブレークダウン、ロブレドダウン、プエルタダウン、スリチャパンダウン。フェデラー、ヒューイット、サフィンの上位シードは安泰。だがなにやら今年は一週目で雲行きが怪しくなりそうな雰囲気を感じる。今日登場するロディックよ、久しぶりに元気なテニスで、そんな黒い雲を吹き飛ばしてくれ。

 

2005年06月22日 エナンの挫折

リュビチッチダウン、カルロビッチダウン、ハースダウン、フェラーダウン、グロージャンは苦戦中でサスペンド。実力者達が苦しんでいる今年のウィンブルドン。そんななか、ロディックはストレートで勝利。第二セットタイブレークになっているが気にすることはない。サービスキープしている限り負けることはない。それがロディックのテニスだ。芝とハードではそれで十分トップ4でいられる。問題はその上を目指すときに、後何か一つ武器が必要だというところだろう。

日本女子は藤原が敗退し、二回戦に進出できたのは中村だけになった。シャラポワも安泰。何事もなく一日が終わっているのではないかと思っていたが・・・・・・

ダニーリドゥ 76 26 75 エナン おお、いきなりの大波乱だ。1999年にヒンギスがドキッチに一回戦負けした時のような衝撃が走る。ギリシアのダニーリドゥって誰だ。競ったスコアでエナンを降すとは凄いじゃないか。これでボトムハーフはシャラポワとセリーナの一騎打ちに収束しそうだ。そして反対の山では天敵が消えて俄然モチベーションを上げている者が約一名ほどいるだろうよ。キム・クライシュテルス、GS初制覇に向けてのチャンスだぞ。
しかし、エナン、何があった。去年のATPにおけるフェデラーのように、今年後半のWTAはエナンによる女王君臨へのイベントが続くのだと予想していたが、これでわからなくなった。ウィンブルドンの行方だけでなく、女王の座の行方も。

 

2005年06月23日 勝ちびびり伝染病

ウィンブルドン三日目は特に波乱もなく、順当に試合が消化された模様だ。昨日の晩も仕事が長引き、如空が帰宅したときにはウィンブルドンの地上波中継が始まっていた。中村がミスキナと戦っていた。寝る前のひと時、TVを見ながら過ごした。

ミスキナに1-5にされた時点で中村の惨敗を予想したが、そこから3ゲーム連取、4-5まで追い上げた。追い上げただけでなくセットポイントを何度もしのいだ。最後にミスキナがセットを取るまでに10回以上セットポイントがあったと思うがそれを果敢に攻めてしのいだ。というよりミスキナが攻めきれなかった。
ミスキナはサーブが弱い、特にセカンドサーブは入れるだけといった感じである。それをフォア・バック共に両手打ちの中村は高い打点でハードヒットして攻める。勝負どころでフォアのクロスが短くなって何度も中村に逆襲を喰らっていた。決して不調だったわけではない、ミスキナのテニスはもともとあんなものだ。

なぜ、あのテニスで去年全仏を取り、旭日の勢いであったロシア勢の中でランキングが最高位になり(今はシャラポワ)、女子の年間ベスト選手に選ばれるまでの結果を出せたのか、とても不思議に思っている。同じロシアのディメンティエワなど、サーブが弱いとよく言われるがミスキナに比べればはるかに良いサーブを打つぞ。ストロークも戦術もハートの強さもデメの方が上に思える。しかし、結果を出しているのはミスキナである。不思議だ。
ミスキナが大活躍した去年のフェドカップ決勝もそうだった。ミスキナは勝負のかかった大事な場面で明らかに萎縮してボールを入れにいき、守りに入って、ミスも多発させた。しかし、相手であるフランスチームはそんな勝ちびびり状態にあったミスキナを崩しきれずに敗北した。まるでミスキナの勝ちびびりが伝染してしまったかのように相手も萎縮していった。

昨日の試合も同様で、中村はミスキナを追い越すチャンスがいくらでもあった。その力も十分に持っている。ミスキナは明らかに重要なポイントでは守りに入って、ボールを打てていなかった。しかし、中村もまた、いつの間にかミスキナの勝ちびびりが伝染してしまったかのように、大事なところで切れがなくなっていった。

ミスキナの強さとは、実は自分の不調を相手に伝染させ、メンタルの弱さ露呈大会に相手を巻き込み、泥仕合に引きずり込み、自分が自滅する前に相手を自滅させるところにあるのかも知れない。もしそうならば、とてつもなく恐ろしい選手である。

ウィンブルドンに出る選手ですら萎縮するのである。一般人である如空が試合で萎縮するのはむしろあたりまえのことなのだろう。と自分に言い聞かせて眠りについた。

 

2005年06月24日 芝の上のナダル

シャラポワは圧勝だった。というよりカラタンチェバが明らかに舞い上がっていた。シャラポワは本来、長いハードヒット・ラリーの応酬からポイントを取っていくテニスをする。しかし、昨日はカラタンチェバがセンターコートに飲まれて自分を見失っていると見るや、彼女が落ち着いて自分を取り戻す前に始末してしまおうと、シャラポワにしては早い攻めでカラタンチェバを圧倒した。サービスゲームの時など、ゲームどころかろくにポイントすら与えなかった。カラタンチェバが第二セットでようやく自分のサービスゲームでポイントを先行すると会場から大きな拍手、カラタンチェバは苦笑・テレ笑いで「まったくもう」ってな感じだった。

一方、男子全仏覇者のナダルはセンターコートに飲まれていたわけではないだろうがいつもテニスではなかった。46 64 36 46 で同じサウスポーのミュラーの前に敗れた。ミュラーはのびのびした良いプレーをした。サーブ&ボレーを織り交ぜながらもベースラインからの攻撃を基調とする堅実なテニス。ボレーや深いストロークで相手をコートの外に追い出してからドロップボレーで仕留めるパターンが得意だ。クレーコートでは信じられないようなコートカバーを見せたナダルが、芝の上では足に根が生えているのではないかというくらいに動かず、あるいは動けず、オープンコートにボールを入れられて、それを追えずにウィナーを取られていた。

ナダルが芝の上ではそれほど活躍できないだろうとは予想していた。しかし、昨日の試合内容は意外だった。ナダルは走っていない。あれほどクレーでは走り回っていたのに。ボールを追わずに見送ることが多かった。相手がサウスポーだったので予測を裏切られることもあったと思うが、相手のショットに対して最初の一歩が明らかに出ていなかった。スタートが決定的に遅かった。自分のボールも相手のボールも芝では早いので想像以上にアップテンポになっていたのであろうか。もし、ナダルがリズムで動くフットワークの持ち主で、そのタイミングがクレーを基調にしているものであれば、対ナダル対策としてはライジング処理による高速ラリーの応酬ということなのだろうか。ハードでも強いはずのナダル。あるいはボールが弾まない芝では彼のトップスピンが打ち頃の球になってしまっていたのだろうか。来年以降のナダルの芝対策は色々と課題山積みである。

ヘンマンもフルセットの末、二回戦敗退した。ロディックと当たるとこまでいくかと思われたが残念である。ナダルもヘンマンもいないボトムハーフ、こうなれば、せめてロディックが圧倒的強さを発揮した上で、決勝まで行って欲しいものだがどうやら彼も苦戦中のようだ。

 

2005年06月26日 暴れはっちゃくの父より

エナンに続き、セリーナ・ウィリアムズまで敗退してしまった。姉妹対決も元女王様同士対決も、期待だけさせて結局流れてしまった。ボトムハーフは主役が早々に退場してしまった。これでトップハーフのダベンポート対クライシュテルス戦に注目が集まる。この勝者が決勝でシャラポワと当たる。はず・・・・が何か起こりそうな今年のウィンブルドンだが・・・・

男子はトップ3シードが安泰ではある。がその試合内容はあぶなっかしい。日本女子が早々に敗退したおかげでNHK地上波でもフェデラーやヒューイットの試合が中継された。中継を見たが第一週目にして危ない内容だった。ヒューイット対ジメルストップはジメルストップがよいサーブ&ボレーを展開した。ジメルストップはダイビングボレーを連発し、往年のラフターを髣髴させるアグレッシブなネットプレーを展開する。コードボールが相手コートにネットインすると膝をついてネットにキスをしていた。実に見ていて面白いプレーだった。対するヒューイットは立上りサーブもストロークも切れがない。後半調子を上げて上手く試合をまとめたが、第一セットのTBをもし落としていたらどうなっていたかわからない内容だった。
そしてフェデラー対キーファー、キーファーもいいテニスを展開していた。キーファーのテニスはフェデラーに似ている。同じタイプの戦いなら番狂わせは起こらない、番付どおりの結果になるはずだ。しかし、危なかった。キーファーは我慢するべきところをよく耐え、攻めるべき所でよく攻め、第二セットをTBで取り、第4セットも後一歩までフェデラーを追い詰めた。結果敗退したが、キーファーはベストのパフォーマンスを披露した。それに対してフェデラーにはなぜかしまりがない。第二週にはギアをあげてくれると信じている。

そして、サフィン、また負けた。3回戦で負けた。フェデラーのところどころか、ヒューイットの待っているところまでもたどり着けなった。お前はやればできる子なのに・・・・・もう、ほんまに、父ちゃん情けなくって、涙が出てくらぁ(By暴れはっちゃくの父)。

来週からGAORAでダブルスの中継も始まる。女子ダブルスの決勝はなんと生中継。NHKもBSでの中継が始まる。地上波より時間も長けりゃ、放送も早い。しかし、土日の決勝戦は地上波が先でBSが後、ややこしい。来週一週間の録画の予約だけで一時間かかったぞ。

 

2005年06月28日 2005ウィンブルドンベスト8

女子ベスト8
ダベンポートVSクズネツォワ
モーレスモVSミスキナ
ピエルスVSV・ウィリアムズ
ペトロワVSシャラポワ

クライシュテルスダウン、フルセットの末、ダベンポートの前に破れる。ああ、キム、なぜ大事なところで勝てないのだ。ダベンポートに対してだけではなく、エナンに対しても、S・ウィリアムズに対してもいつもそうだ。ティアTクラスの大会では勝利するのになぜかグランドスラムの本戦で当たると勝てない。ダベンポートさえ突破すれば優勝はほぼ手に入れたも同じ状況だったろうに。
ディメンティエワもまたミスキナに負けた。どうみてもディメンティエワの方が格上のテニスをしているのだが,なぜミスキナに勝てない。また泥仕合に付き合わされたのだろうか。
地味―なベスト8の中で花一輪のシャラポワ(ミスキナやピエルスも花に入れろという意見もあるだろうが)、決勝までは行くでしょう。決勝はダベンポート対シャラポワになるとどうなるか。数ヶ月前にダベンポートは別に不調でも故障でもなんでもないシャラポワを串団子(06 06)で粉砕している。シャラポワ側に対策はあるのか。ダークホースはヴィーナスとクズネツォワ、この二人による決勝戦も大いにありうるだろう。

男子ベスト8
フェデラー VS ゴンザレス
ヒューイット VSロペス
TヨハンソンVSナルバンディアン
グロージャンVSロディック

フェデラーが順当にゴンザレス・ヒューイット・ロディックと順次各個撃破して優勝するという舞台が整った。だが、問題は対ヒューイット戦、今年鬼門のグランドスラムセミファイナル、さて、ヒューイットは何か今までと違う何かをコートの上で発揮できるか。

いよいよ、男女ともQFである。熱戦を期待しよう。

 

2005年06月30日 2005 ウィンブルドンQF

酷い夏風邪をひいた。発熱した上に下痢が止まらない。腰に力が入らない。体がつらくて背骨を引き抜かれてしまったようだ。椅子に座っていられない。それでも仕事の締め切りが水曜日だった。秋以降の仕事の行方を左右する重要な山である。今抜けるわけにはいかない。熱にうなされる体を鞭打ちながら机に縛り付けて仕事をやり遂げた。水曜日の深夜、よほど青ざめていたのか、上司が如空の異変に気づいて「とっと帰って寝ろ。明日は休め」と命令を出した。仕事は仕上がっており、後はチェックだけだったので、同僚たちに残務を託して、上司のお言葉に甘えて帰宅した。家に着いてベッドに横になったのは木曜日の午前4時、その後目が覚めたのは夕方の午後4時、12時間、まったく姿勢を変えることなく車にひかれた蛙のように眠り続けていた。

如空が風邪に悩まされながら仕事と格闘していた頃、ウィンブルドンでは男女のベスト8が激突していた。せっかくのお休みなので、録画をチェックしよう。
女子QF
ダベンポート 76 63 クズネツォワ
モーレスモ 63 64 ミスキナ
Vウィリアムズ 60 76 ピエルス
シャラポワ 76 63 ペトロワ

クズネツォワはダベンポート相手に第一セット、セットポイントを取るまでところまで行ったのだが、そこで決め切れなった。クージーには後もうひとつ武器が要るな、ネットプレートとかビックサーブとか何かが。ポイントで組み立てからのフォアハンドだけではダベンポートの老獪な戦術の前には攻めきれない。
モーレスモはプレースタイルが大分変わってきた。5年前、全豪ファイナルまで進出したときはグリグリのトップスピンを使うベースライナーだったが、今ではベースラインよりネットにいる時間の方が長いのではないかと思われるほどのオールラウンダーぶりである。威力のあるトップスピンを打つスイングをフォアにもバックにも持ちながら、リターンでは9割がたスライスのブロックリターンで返球している。そして、リターンゲームで2回に1回ぐらいの割合でチップ&チャージを見せ、ネットにつく。強打で相手を崩してからネットに付くのではなく、ネットに付く事自体が目的で、ネットについてから組み立ててポイントを取る。これはまさにネットプレーヤーである。サーブ&ボレーも果敢に仕掛けてくる。しかし、ステイバックしてベースラインから打ち合っても負けない。これは強い。ミスキナ得意の泥仕合に引き込まれることなく、淡々と攻めきった。モーレスモはNo1経験者でありながらGSタイトルを持っていないことによりクライシュテルスとともに無冠の女王とされる。さて無冠の女王を返上するチャンスは訪れるのか。次はNo1ダベンポートである。

男子QF
フェデラー 75 62 76 ゴンザレス
ヒューイット 75 64 76 ロペス
Tヨハンソン 76 62 62 ナルバンディアン
ロディック 36 62 61 36 63 グロージャン

ゴンザレスはロディック同様、ビッグサーブとビッグフォアで押すタイプ。まあ、サーブはロディックほどエースを量産できる威力ではないのだが、その分フォアが強い。フォアハンド・スマッシュなどという造語ができるほどの強打である。フェデラーもさすがにゴンザレスのフォアには手を焼いているが、フォア以外の部分でゴンザレスを攻め立てて、結果ストレートで下した。いよいよ鬼門のSFでヒューイットに当たる。

ランキングとおりならナルバンディアンが優勢だったろうが、今日はミスが多かった。そこにつけこむヨハンソン。調子に乗って攻める攻める。第一セットこそ競ったが、第二セット以降は一方的な試合内容になった。

男女合わせて8試合のうち、7試合までもがストレートで終わっている。唯一ストレートで終わらなかったのがロディック対グロージャン。これは映像を見ていないのでなんともいえないが、グロージャンはフランスのクレー育ちのくせに芝が得意だ。先々週芝で初優勝したガスケといい、好調のモーレスモといい、フランスという国は王道ではなく、あえて覇道・邪道を進むことをよしとする風がある。サーブとフォアの威力を武器として攻めるテニスが王道なら、サーブ・フォア以外のショットで多彩なアイデアを実現するテニスが覇道のテニスだ。そんな覇道のテニスは芝によくあう。そんな「覇道のテニス」を駆使するグロージャンに良くぞ競り勝ったロディック。苦戦したことを恥じることはない。それほどの相手なのだグロージャンは。今の苦労は後に実を結ぶ。今の苦戦は新しいテニスを手いれるための産みの苦しみだ。ロディックはいつかよみがえると信じている。さらに強くなって。よみがえらなくてもベスト4は立派だが、誰も決勝でフェデラーを倒せると本気で期待されていないところがつらい。No3なのにな。そろそろ意地を見せろ。よみがえれロディック。

 

2005年07月01日 蘇る牙 ― 2005WB女子SF

世界中のテニス解説者が決勝は「ダベンポート対シャラポワ」になると予想していただろう。しかし、結果は違った。

2005ウィンブルドン女子シングルスSF
ヴィーナス・ウィリアムズ 76 61 シャラポワ
ダベンポート 67 76 53(順延) モーレスモ

プロレスでは選手が入場するときにその選手のテーマ曲を流してリングまでの道程を演出する。テニスもプロレスのようにテーマ曲を流すなら、ヴィーナス・ウィリアムズのテーマ曲は決まっている。スターウォーズのサントラにある「ダースベーダーのテーマ」だ。じゃあーん、じゃーじゃじゃん、じゃーじゃじゃん、じゃーじゃじゃんとライトセーバーの代わりにウィルソンの青いラケットを握ってコートに現れるヴィーナスはまさに悪役に最適である。「ジュコー、ジュコー」というベーダーの呼吸音まで似てきそうだ。悪役は強くなくてはいけない。弱くては悪役になれない。憎たらしいほどに強いからこそ悪役なのだ。No1になれる力、No1を木っ端微塵に粉砕できる力を持っていてこそ悪役が務まるのだ。しかし、ヴィーナスはこの二年近く、悪役になれなかった。弱くなってしまっていた。

そんなヴィーナスの心の中に眠っていた「ライオンハート」を再び目覚めさせたのはシャラポワだった。第一セットの壮絶なストローク戦は素晴らしかった。女子の試合ではここ数年で最高の打ち合いだった。信じられないようなアングル・ショットの応酬。どちらも詰めが厳しく、一気に決められそうなのに、それをさらに切り返す脅威のフットワーク。なぜそのボールがラインの中に納まるのだおどくばかりのリカバーショット。お互いに最大の武器であるバックハンドのクロスショットで真っ向打ち合う。まさに、スターウォーズのダースベーダー対ジェダイナイトの戦いのようだ。
第一セットはヴィーナスが先にブレークしてリードする。サーブに強いヴィーナスがそのまま取るかと思ったがシャラポワが土壇場でブレークバック。TBでヴィーナスがさらに攻め立てシャラポワを攻めきった。第二セットはさらに攻撃力を高め、粘りに定評のあるシャラポワに粘らせなかった。見事、ヴィーナスは復活した。

ウィリアムズのここ数年の不調は、怪我や身内の不幸によるものとされるが実際には目標の喪失による燃えつき症候群であったと思う。女子とは思えない強力なショットを持ってWTAに颯爽と現れたアメリカの黒人姉妹、彼女達はジュニアで経験を積まずに、いきなりシニアのツアーに殴りこみをかけた。そしてその強打の前に当時の女子選手はなすすべもなく圧倒された。しかし、当時No1のヒンギスは倒せなかった。ショットは弱くても巧みな戦術の前に幼い姉妹は勝ち方を知らなかった。打倒ヒンギスを目標とし、試合経験を積み、戦術を学び、強打の生かし方を知るにつれ、いつの間にか彼女達はヒンギスを追い越し、トップに踊り出た。力だけではない、技もある姉妹にかろうじて対抗できるのは同じアメリカのカプリアティとダベンポートくらいだった。ヒンギスが自滅する形で引退し、カプリアティもダベンポートも怖くなくなり、姉妹はグランドスラムタイトルを独占した。その時点で彼女達は目標を失った。これ以上のモノは欲しても存在しないのだから。
ベルギー勢が台頭してもロシア勢が台頭しても姉妹のプライドは傷つかなかった。「私達がベストで臨めばベルギー勢もロシア勢も敵ではない」と思っていたに違いない。しかし、実際にはベストで臨んでも勝てなくなっていた。力と技は相変わらずNo1かもしれないがモチベーションが失われていた。「心技体」の心に陰りが見え始めていたのだ。

今年の全豪SFで妹セリーナが失いつつあった心の中の牙を取り戻した。そしてこの芝の上でヴィーナスも失いつつあったものを取り戻した。そのきっかけを与えたのは共にシャラポワである。彼女のひたむきな情熱、ボールへの執着心、勝利への飢え、それこそがウィリアムズ姉妹が失っていたものだ。シャラポワと対戦することで忘れていた「牙」が蘇ったのだ。シャラポワの情熱が消えかけていたウィリアムズの心に再び火をつけた。

シャラポワという選手はその容姿によるテニスの人気向上にも貢献しているが、その直向なテニスへの姿勢はもっと評価されるべきなのかもしれない。ウィリアムズが目覚める程のその情熱。相手が強ければ強いほど闘志を燃え上がらせ、そしてそのことが相手のモチベーションをさらに上げさせる。試合の中でお互いを高めあうようなラリーができる稀な存在だ。彼女はWTAをもっと高いレベルへ引き上げる起爆剤なのかもしれない。如空はシャラポワのテニスはあまり好きではないし、彼女をちやほやする報道の仕方には嫌悪感すら抱く。しかし、今回破れこそしたが、シャラポワのその素晴らしいファイトには惜しみない拍手を送りたい。


決着がつかなかったトップハーフSFも激戦だ。去年はGSの決勝にすら進めなかった一年前のNo1とNo2が激突している。二セット連続TBの末のフルセットマッチ。ダベンポートとモーレスモもまた、心の中の牙をしっかりと持ちきれていないがためにGSタイトルを取り逃がしている。パワーもテクニックも十分にウィリアムズやベルギーコンビに匹敵するはずの二人。今度こそGSタイトルを掴みきるために、勝利への執着心を燃やしてくれ。

雨天により試合開始が4時間遅れた昨日のウィンブルドン。ビデオの予約録画時間を大幅に超えて放送されたため、録画で試合を見れなかった人も多いだろう。試合開始遅延のためにセンターコート第一試合の予定だったダベンポート対モーレスモが第一コートに移され、センターコート第二試合だったヴィーナス対シャラポワがセンターコート第一試合に繰り上がった。NHK解説者は「今年のセンターコート経験が不足しているシャラポワに経験値を踏ませ誰が決勝に行ってもフェアな状態にするため」と語っていたが、それは方便。誰が如何見てもシャラポワ人気がNo1・3シードの対戦をセンターから追いやったのだ。そんな扱いを受けて黙っている必要はない。「私のテニスこそがNo1よ」と吠えろダベンポート、「真の女王はこの私だ」と叫べモーレスモ、声に出さなくてもプレーでしっかりアピールしろ。

さあ、トップハーフで生き残るのはどちらだ、勝ち残ったほうに最後に立ちふさがるのは復活したダースベーダー、ヴィーナス・ウィリアムズだ。今年の夏はダースベーダーとその帝国がジェダイの騎士を皆殺しにする。芝の上でも映画の通りになるのか。男子の比べていつも面白みにかけていた女子だが今回のウィンブルドンはここにきて大いに盛り上がっている。期待しているぞ、ヴィーナス。思いっきり悪役振りを発揮してテニス雑誌の表紙を飾る妖精達をバッタバッタとなぎ倒せ。

追記
皆殺しにされるジェダイの騎士の中で唯一生き残るマスター・ヨーダとオビ・ワンはさしずめエナンとキムかな・・・・・

 

2005年07月02日 今だ決着をみないSF

エナン・キム・セリーナを欠いても大いに盛り上がりを見せる女子シングルス。決勝でヴィーナスと戦う相手は二日越しの試合で決まった。

ウィンブルドン女子シングルスSF
ダベンポート 67 76 64 モーレスモ

モーレスモ惜しい、いつもGSで負けるたびに惜しいといっているが、今度は本当に決勝進出を手に入れかけていたのに、その手から零れ落ちてしまった。クレー育ちだが果敢にネットに出るそのスタイルは芝の上で威力を発揮する。現WTAで最も芝の女王にふさわしい選手になっていたのに、実に惜しい。モーレスモには後数回チャンスがあるはずだ。あのプレースタイルは年齢を重ねるごとに円熟味を増してさらに強くなる可能性がある。来年大いに期待しよう。
一方、時間が残されていないダベンポートは決勝でヴィーナスに挑む。数ヵ月後の全米オープンで再び決勝に進める可能性は決して高くない。今回はリンジーがGSタイトルをとるおそらくは最後のチャンスだ。半年前の全豪決勝でセリーナを前半圧倒しながらも後半突然調子を崩して自滅したリンジー。彼女は波の少ないとても安定しいている選手と世間では言われているが実際はどうだろう。接戦となった試合内容を見ると、意外に試合前半と後半で調子が違っていることが多い。前半不調で後半好転するパターンのときは勝てるが、当たり前の事だが、前半好調で後半調子を落とす場合の時は逆転負けを喰らってしまう。決勝戦、ダベンポートが先行すれば一気に勝負を決めてしまう必要がある。逆にヴィーナスに先行されたときは粘りに粘って、自分の調子が上がるのを待たなければならない。勝利への執着心を強く持たなければ、ヴィーナスに押し切られてしまうだろう。リンゼイ・ダベンポート、29歳、最後の挑戦の結果は如何に。

2005ウィンブルドン男子シングルスSF
フェデラー 63 64 76 ヒューイット
ロディック 65(順延) Tヨハンソン

盛り上がる女子に比べて、なんとも淡白であっさりした男子SFである。
ヒューイットまた負けた。フェデラーに負けたこと自体は恥じる必要はない。なんと言っても相手は無敵の皇帝陛下、他のトップ選手ですら勝てていないのだ。それより負け方だ。ストレートで何回負けている。この一年セットすら取れていないのではないか。昨日の試合も2セットは1ブレーク差、第3セットはTBなので善戦といえなくはないのだが、フェデラーにはまったく気負いもプレッシャーもなかった。完全にシナリオとおりの試合内容ではなかったろうか。今年鬼門のGSSFだ。なにか力が入ってもよさそうなものだが、第一セットのサービスにそれが見られる程度で何の恐れもない。フェデラーにあそこまでリラックスさせてしまうヒューイットの存在って本当に無力だ。ヒューイットの場合、テニスがほとんど完成しているので、これから新しい武器を手に入れるというわけにも行くまい。さあ、どうすんだヒューイット、このまま終わって行くのか。

ロディック対Tヨハンソンは第一セットも消化しきれないままに順延となった。女子決勝の前に組み込まれるがさて、NHKの放送枠はどう組まれるか、注目しよう。

 

2005年07月03日 リンジー届かず

2005年ウィンブルドン女子シングルス決勝
ヴィーナス・ウィリアムズ 46 76 97 リンゼイ・ダベンポート

第二セット、サーブインフォーザチャンピオンシップまでたどり着きながらもダベンポートはついにタイトルを手にすることはできなかった。しかし、今日は全豪決勝の時のように後半ガス欠で自滅したわけでない。最後まで自分のテニスをやりきった。見事な試合だった。ヴィーナスはSFの対シャラポワ戦とは打って変わって、実に慎重に丁寧に着実な攻めでポイントを積み重ね、苦しい接戦を僅差で勝利した。これもまた見事。両者ともに高いレベルでのテニスを最後まで展開し続け最後の最後まで勝利の行方がわからない好ゲームであった。ここ数年のGS女子シングルス決勝のベストマッチだった。
惜しむらくはダベンポート。第二セット終盤、ミスジャッジに少しいらいらしてしまった。第二セットまでは接戦とはいえ主導権はダベンポートにあった。あそこで集中力を切らさず押し切っていれば結果は違っていたかもしれない。実に惜しかった。
何度目かのGSタイトルを取ったヴィーナスはこれで自信を取り戻したことだろう。この数年GS決勝に進むたびに妹に敗れていた姉、ようやく長いトンネルを抜けた。再びWTAの人気選手たちをなぎ倒していってくれるだろう。しかし、以前のようにパワーで圧倒するテニスでなく、妹同様緩急と配球の妙を見せ始めた大人のテニスをしつつある。今後も期待だ。リンジーは後どれくらいその勇姿をコートの上で見せてくれるだろう。今回の敗戦のショックはさすがに大きいと想像するが。

全豪セリーナ、全仏エナン、全英ヴィーナスと去年失速していた4強が復活の証を挙げている。順番からすれば次の全米はベルギー勢のもう片方ということになるが果たしてどうなることか。


男子シングルスSF
ロディック 67 62 76 76 Tヨハンソン

ロディック危ない危ない。危うく負けるところだった。ほんと僅差、紙一重の勝利である。ヨハンソンは接戦に強い。そんな相手によく勝ちきった。さあ、フェデラーが待っているところまできたぞ。去年は1セットとった。今年は2セット以上とってみろ。ヒューイットの二の舞だけは見たくないぞ。

 

2005年07月04日 そして皇帝は玉座に戻り、幕は閉じる。

2005年ウィンブルドン男子シングルス決勝
フェデラー 62 76 64 ロディック

フェデラーまた泣いた。これだけ余裕の勝利、余裕のトーナメートでの頂点であるがそれでも泣いた。これで今季8勝目決勝戦22連勝、チャンピオンズレースはぶっちぎりの一位であるが、それでも泣いた。去年はリトルスラムを達成、今年は全仏を取って生涯グランドスラム、さらには全豪から取って年間グランドスラムを期待されたし、本人も狙っていただろうが、全仏はナダル、全豪はサフィンの前に阻止された。その二つの敗北は、それはそれで歴史に残る名勝負だったのだが負ければ意味がない。NO1を独走するものとして、去年リトルスラムを達成した男として、今年グランドスラムを三つ落とすなどということは許されるはずはない。周囲が許してもフェデラー自身が許さない。まして3連覇がかかる芝の王座、グランドスラム初タイトルを取ったこのウィンブルドンには特別な思い入れがあるのだろう。彼が自身に課した使命は重く自らのプレッシャーになっていた。チャンピオンシップポイントをサービスエースで決めた瞬間、プレシャーから解放されたフェデラーは芝の上に崩れ落ちしばし泣いた。

それでも完璧な勝利である。3回戦でキーファーに苦戦しただけで後は完勝である。TBになるセットも多々あったがそれも想定の範囲内であったことだろう。迷いを完全に心の奥底に閉じ込めて、鉄の意志で二週間を戦い抜いた。ヒューイットもロディックもギアをトップに入れたフェデラーの前には完全に無力である。準決勝も決勝もTBがあったがフェデラーが落とす気配など微塵も感じられなかった。一週目の試合内容の方がよほど危なかった。タイトルに近づけば近づくほど強くなる男、フェデラー、見事なウィンブルドン三連覇であった。

これで今年の年間最終ランキングNo1も見えてきた。今年は全米が始まる前に決めてしまう可能性もある。フェデラーの独走をとめるにはヒューイット・ロディックでは無力、サフィンには波があり、ナダルはこれからのハードシーズンをMSマイアミ大会のような好調で入れる保障もない。完全に安泰の王座である。

好試合が続き、ここ数年でベストトーナメントだった女子に比べれば、男子はなんとも退屈なトーナメントだった今年のウィンブルドン。旅に出て寄り道をしていた皇帝が再び指定席である王座に戻った、ただそれだけを確認した男子シングルスであった。



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