第014房 2004年WTAツアー選手権 フェドカップ決勝 他 (2005/01/02)
2004年09月27日 敗退と混戦と
WTAであるが今年は去年までのATPのごとく最終戦まで年間No1の決定がもつれそうだ。エントリーランキングではモーレスモ、チャンピオンズレースではダベンポートがトップである。両者ともグランドスラムタイトルを今年は取っていない。タイトルホルダーである全豪エナンH、全仏ミスキナ、全英シャラポア、全米クズネツォワ、そして全仏・全米のファイナリスト・ディメンティエワが安定した成績をとっていないからだ。カプリアティとセレナ・ウィリアムズもしっかりとポイントは稼いでついてきている。最終戦の出場者すら読めないこの状況。フェデラーが史上最速で年間No1を決めた男子とはまたえらく対照的である。
先週北京で行われたチャイナ・オープンのベスト4はSウィリアムズVSズボナレワ、シャラポアVSクズネツォワで相変わらずロシア旋風が吹き荒れている。決勝はセレナ対クズネツォワだったが、セレナが勝ち、今季二勝目を上げた。最終戦を視野に入れ、今年の女王の座をつかむのは誰か、ラストスパートをかけるのは誰か。今年の最終戦は女子に注目である。
2004年10月15日 小さなニュースの大きな意味
先週のテニスのニュース欄はシャラポア一色。今週は「元プロテニスプレーヤーの沢松奈生子さん(31)が会社役員丹羽秀行さん(38)との婚約を発表!来春、挙式!」がトップ記事である。
そんな記事に隠れて重大なニュースがひっそりと発表されている。
「ジュスティーヌ・エナン・アーデン(ベルギー)は11日、疲労を理由に今季残り試合を欠場する意向を明らかにした。」
おいおい、11月10日―15日に開催される今季最終戦、WTAチャンピオンシップも欠場するのか。既にクライシュテルスも今季は怪我でリタイアを表明している。今年の全豪オープンのファイナリスト二人が欠場でチャンピオンシップは混迷である。
今週のランキングは相変わらずエントリーランキングはモーレスモ、チャンピオンレースはダベンポートがそれぞれ一位である。くどいかもしれないがこの二人、今季一度もグランドスラムで決勝に進んでいない。最終戦の出場枠は8人、グランドスラムを取った3人のロシア人、ミスキナ・シャラポア・クズネツォワと2回決勝に進んでいるディメンティエワ、そしてランキングからモーレスモ、ダベンポート、これで6人、残り二つの椅子はおそらくセレナとカプリアティのものだろう。
ただ、No1の行方は最終戦の結果次第といっても、この時点での取得ポイントを考慮すると、No1争いは事実上ダベンポート・モーレスモ・クズネツォワの3人に絞られてきていると考えていいだろう。このうち、ダベンポートとモーレスモが1・2フィニッシュを決めると、今季一度もグランドスラムで決勝に進めなかったNo1とNo2を生んだ年として2004年は記憶されることになる。No1がグランドスラムを取れなった例はここ数年でもヒンギスやダベンポートの例があるが、No2はGSを取っていた。
歴史に残る大混戦になりつつあるシーズン終盤である。
2004年10月19日 モスクワ
WTAはダベンポートがチャンピオンレースだけでなく、エントリーランキングでも1位になり、6度目のNo1の座についた。
先週のクレムリンカップではモレースモが欠場してしまい、忘れられかけていたミスキナがSFでダベンポートを、ファイナルでディメンティエワを下し、ティアT大会での優勝をモノにし今季3勝目、3位に浮上してその存在感を示した。クズネツォワはQFでディメンティエワにUSオープン決勝のリベンジを喰らって(でも全仏のリベンジは果たせなかったデメさん)ストレートで敗北、4位に後退し、混戦模様に拍車をかけてくれた。
これでは先週このブログで「No1争いはダベンポート・モーレスモ・クズネツォワの3人に絞られたようだ」といった如空の立場がないじゃないか。
やはり最終戦までもつれこむな、これは。
2004年11月09日 2004 WTAツアー選手権 開幕
WTAではATPより一足速く今季最終戦が始まった。WTAツアー選手権である。ランキング上位8名(あるいはグランドスラムウィナーで20位以上)が4人毎赤黒二組に別れて総当たりの予選リーグを戦う。一位が別組の二位と決勝トーナメントのセミファイナルを行い、その勝者が決勝でぶつかる。ATPでの最終戦マスターズカップで採用されていた方式をWTAでも採用されるようになった。
ロサンゼルスのインドアハードコートで行われる。
赤組はS1(第一シード)ダベンポート、S3ミスキナ、S5デメンティエワ、S7セリーナ・ウィリアムズ。
黒組はS2モーレスモ、S4クズネツォワ、S6シャラポワ、S8ズボナレワ
ミスキナ以外はシード通りと思うが結果は如何に。モーレスモは直前の大会でまたも優勝し、今季5勝でツアー選手権に乗り込んできた。それでもダベンポートとの差は351ポイント、逆転No1は難しいそうだががんばって欲しい。
2004年11月11日 2004 最終戦はじまる。
ミスキナ善戦、ランク下位とはいえセリーナにフルセットの接戦だ。しかし、勝ったのはセリーナ。この熱戦が眠れる獅子セリーナを目覚めさせるかも知れない。一方クズネツォワとダベンポートはストレート、特にダベンポートはデメ相手に圧勝。No1のプライドを結果で示す。こちらも盛り上っています。
2004年11月13日 混戦の赤、決まった黒
忙しくてテニスが見られない。来週はマスターズカップ、GAORAは一週間連日放送なのにどれだけ見られることか・・・・さて、ロスで行われているWTAツアー選手権の方は順調に試合を消化中。
二日目結果
セリーナ 76 (3) 75 デメンティエワ
シャラポワ 61 64 クズネツォワ
モーレスモ 61 60 ズボナレワ
三日目結果
ミスキナ 76 (5) 64 ダベンポート
モーレスモ 63 62 クズネツォワ
シャラポワ 64 75 ズボナレワ
おお、ミスキナがダベンポートに勝っている。セリーナが二勝を上げている赤組ではダベンポートとミスキナが1勝1敗でタイだ。デメンティエワは絶不調で2敗、最後の試合はミスキナ対デメ、ダベ対セリーナとなる。ダベンポートピンチだ。No1が予選リーグ敗退してしまう可能性がある。3勝1敗が3人並ぶ場合も考えられる。混戦だね、今年のWTAを象徴しているようだ。
黒組は如空期待のクズネツォワが1勝2敗、ズボナレワが3戦全敗で、2勝しているモーレスモとシャラポアが最後の直接対決を待たずに決勝進出を決めた。シャラポアが出てくるとわねぇ・・・クズネ、来年がんばろう。
2004年11月14日 2004 WTAツアー選手権 ベスト4
ロスのWTAツアー選手権4日目の結果が出た。
ダベンポート 36 75 61 セリーナ
モーレスモ 75 64シャラポア
ミスキナ 63 63 デメンティエワ
ダベンポート、セリーナを破るも予選敗退。赤組は2勝1敗が3人、しかもジャンケンのグー・チョキ・パーの関係のように3人が3人とも別の相手に負けているこの状況、得失セット数でミスキナ・セリーナがダベンポートを上回り、No1予選敗退決定。一方モーレスモは1セットも落とさずに3戦全勝で黒組を一位通過、シャラポワは二位である。これで決勝トーナメントセミファイナルの組合せが決まった。
赤1位 ミスキナ 対 黒2位 シャラポワ
赤2位 セリーナ 対 黒1位 モーレスモ
SFのセリーナ対モーレスモは今季WTAの最大の山だ。この決勝トーナメントにランキングNo1のダベンポートはいない。そして、No2のモーレスモがこのSFに勝てば逆転No1の可能性がある。しかし、相手はセリーナ、ロシア勢にめっぽう強いモーレスモだが、セリーナには分が悪い。ここで、年間最終No1が決まってしまうかもしれない。ダベかモーレスモか。どっちがNo1だ。
2004年11月15日 Davenport still
No. 1
ダベンポートはまだNo1だ。
2004年WTAツアー選手権セミファイナル
セリーナ 46 76 64 モーレスモ
シャラポワ 26 62 62 ミスキナ
モーレスモ、フルセットの末セリーナに敗れる。ダベンポートのポイントに届かず。現時点でNo1は未だにダベンポートである。逆転はない。最後までNo1はダベンポートのままだ。ダベンポートが2004年女子年間最終ランキングNo1である。モーレスモにとってはセリーナとの第二セットが全てだった。このタイブレークがグランドスラムのチャンピオンシップポイント並に重要なものだった。全豪・全仏・全英、どれも本命視されながら決勝までの道のりの途中で挫折してしまった2004年、彼女にとっては自己最高の結果でありながら、同時に不本意な一年であったろう。「もっと上を取れたはず・・・」今年の彼女には悲劇が付きまとった。来年は今年以上の活躍を期待しよう。
決勝はNo1になれない二人、セリーナとシャラポワの対決、ウィンブルドン決勝の再現である。セリーナよ、モーレスモに勝っておいてシャラポワに負けるようなことはないでしょうね。ウィンブルドンの借りをきっちりと返しておかないと、シャラポワは手がつけられない存在に化けるかもよ。
Davenport still No. 1!
2004年11月16日 2004年 WTA最終戦 終幕
セリーナ・ウィリアムズ破れる。
2004年WTAツアー選手権ファイナル
シャラポワ 46 62 64 セリーナ・ウィリアムズ
最終セット0-4からシャラポワの6ゲーム連取の大逆転、と聞けば「シャラポワってすごい」と思ってしまうが、よくよくネットで情報をかき集めて見ると、第二セット途中でセリーナの怪我が再発し、まともにゲームできる状態ではなかったらしい。第三セット開始前に胴体をテーピングで無理やり固定して第三セットに臨んだ。200キロオーバーのサーブを武器とするセリーナが、この第三セットは110キロほどの入れるだけのサーブしか打てなかった。それでも4ゲームを連取しているのだからすごいものだ。だが、そこで力尽きてシャラポワは6ゲーム連取。最後の6ゲーム連取より第三セット初頭の4ゲーム連取された内容が気になる。いつもの半分のスピードのサーブしか打てないセリーナに対して、シャラポワはかえってタイミングを合わせにくかったのだろうか?セリーナ・・・モーレスモの逆転No1を阻止しておきながら、シャラポワに負けるとは・・・ドラマとしては盛り上がりに欠ける最終戦だった。全仏男子決勝のコリアとダブってしまう。シャラポワは今季5勝、最終年間ランキング4位である。2004年No1はダベンポート、No2はモーレスモ、二人ともグランドスラムと最終戦で決勝に進んでいない。ウィリアムズ・シスターズもベルギー・コネクションもモーレスモも怪我に泣かされた一年だった。皆、来年は万全の体調で「これが女子テニスの最高峰だ」という所を見せてほしい。
2004年11月27日 フェドカップ決勝戦の外野では
如空がケーブルTVで見ているCSのJスポーツはフェドカップの決勝戦、フランス対ロシアを二日かかりで生中継である。デ杯の決勝は生中継なのかな?男子と女子で力の入れ方が違うと感じるのは如空だけだろうか。
そのフェドカップ決勝、フランスはモーレスモ・ピエルスに欠場される。ロシアは内紛、以前からロシア国内成長組と海外留学組の不仲が報道されてはいたが、今回は公の場での発言である。「シャラポワがチームに加わるならば私は出ない」とロシアNo1ミスキナが発言、シャラポワのお父さんのことが気に食わないらしい。それが原因なのか、世界ランク4位、ロシアNo2のシャラポワはロシア選抜からは外されている。シャラポワはWTA最終戦ツアー選手権決勝での振舞いも問題になっている。第二セットで古傷の故障を再発させたセリーナ・ウィリアムズはコートに立っている状況がやっとという状況で第三セットに臨んだ。シャラポワが勝って当然の試合だった。しかし、シャラポワは最後の6ゲーム連取で相手を挑発するようなガッツポーズと「カモーン」 の叫び声の連発。負傷者に対してのあまりにも残酷さとマナーの悪さから抗議が殺到している。しかし、抗議をWTAやTV局にしても仕方あるまいに。
今日のシングルス1・2は一勝一敗のタイ。全米チャンピオンのクズネツォワがフルセットの末敗れる。ミスキナも危なかった。第二セットをゴルビンに攻められタイブレークにもつれる。5-5でゴルビンの絶妙なロブがジャストアウト、次のポイントを決めてミスキナが勝ったが、これは明日どうなるか分かりませんね。ダブルスまで決着がもつれるかもよ。
2004年11月29日 ミスキナさまさま
接戦をロシアが制す。フェドカップ2004決勝フランス対ロシア、一勝一敗のタイで迎えた二日目も決着は最後までもつれた。
第一試合はミスキナがデシーにストレートで勝利。そして第二試合、なんと全米チャンピオンクズネツォワがゴルビンにストレートで敗北。まさかの2勝2敗で決着はダブルスにいたる。
ロシアは予定ペアを変更、シングルスで2勝を上げているエースミスキナをダブルスにも投入、これが的中した。ダブルス巧者のフランス、バルトリ・ロアペアを相手に執念と個人技で競り勝った。ストレートだが76 75と最後までセットを取るのはどちらが取るか分からない試合だった。
モーレスモ・ピエルスを欠き、一勝も出来ないのではといわれていたフランスはよく健闘した。過去二回優勝の選手層の厚さは伊達ではない。ゴルビンもデシーもよい仕事をしたし、ダブルスも見事だった。ロシアもシャラポワ・デメンティエワを欠き、クズネツワが不調で苦しかった。ひたすらミスキナが一人で支えて勝ちきった。今年のロシア旋風の締めくくりにはいい結果だったように思う。意外なことだがロシアの優勝はこれが初。ミスキナはこの二日間でロシアの英雄になった。
プレー自体はなんともしまりのない試合だったが、同じテニスの試合をするものとしてはとても心臓に悪い試合だった。ゴルビンもミスキナも他の選手も今日はプレッシャーで守りに入る場面、ミスする場面、攻めなければならないのに攻めることが出来ない場面が多かった。世界のトップレベルの試合でもこんなにメンタルが乱れるものなのかと思い、少し安心もした。これでは素人の如空のメンタルが乱れるのも当然だろう。そう思わしてくれた決勝戦だった。
2004年12月26日 シャラポワはまだ17歳
WTA最終戦ツアー選手権の決勝を見た。日曜日19:30からGAORAで録画放送されていたのを直接見た。今年の女子はあまり興味を引かれる点が少ないので、見なくてもいいかと思ったが、この決勝戦は気になる点があった。別に非難の的になっているシャラポワのガッツポーズが気になっていたのではない。以前にこのブログでも書いたが、最後にシャラポワが6ゲーム連取して優勝を決めたその直前、セリーナ・ウィリアムズに4ゲーム連取されたテニスの内容が気になっていた。
二人のここまでの対戦成績は1勝1敗の五分。今年になって初対戦である。いかにシャラポワが新しい選手かということが分かる。初戦はマイアミでセリーナが勝利。二回目はウィンブルドンの決勝でなんとシャラポワがストレートでセリーナを下した。
二人ともこの2004年ツアー選手権は予選リーグであるラウンドロビンを二位通過、全勝は出来なかった。今年のトップ8人がいかに団子状態にあるか、WTAの現状をよく象徴している。
シャラポワはウィンブルドンから見て明らかに成長している。サーブがよくなった。スピードも上ったがコースがいい。厳しいところを突いている。ストロークもハードヒット一辺倒から角度をつけたボールを有効に使いオープンコートを作っている。戦術的にいいテニスだ。しかし、サーブもストロークもセリーナの方がさらに厳しく鋭い。まるで男子の試合のようにサービスのキープ合戦で第一セットは4-4となり、シャラポワはエンジンのギアを一つ上げ、勝負に出た。おなじみになった雄叫びをショット毎に発するようになり、調子を上げてセリーナを攻める。しかし、セリーナは動じない。静かにシャラポワの攻撃をかわし、ミスを誘い、ダブルフォルトで自滅させた。そしてサーブインフォーザセットでセリーナもエンジンのギアを上げて、第一セットを6-4で先取した。
第二セットになり、二人の集中力にムラが出てき始めた。素晴しいショットを打ったかと思えば、凡ミスをし、一進一退を繰り返す。このときセリーナは既に腹筋に痛みを感じ始めていたようだ。凡ミスを連発するようになり、2-5でシャラポワにリードを許した時点で、トレーナを呼んだが既に手遅れだった。治療を受けてコートに立ったセリーナからビックサーブは消えていた。あっさりとシャラポワがブレイクして6-2でセットを取り返し、セットオールとした。
テーピングで腹筋をぐるぐる巻きにしてコートに立つセリーナはオーバーヘッドスイングをするのに体幹部が使えず、手打ちのスピンサーブでシャラポアに対した。しかし、ここからシャラポワはセリーナに4ゲームを連取される。ゲームどころかポイントすら取れない。11ポイントをセリーナが連取、第3ゲーム終了時点で一ポイントしか取れなかった。セリーナはオーバヘッドが苦しいだけで、横回転のストロークはあまり問題なさそうである。全力ヒットはきついが、繋ぐ球はしっかり繋いで、ここぞというときに手打ちだが角度のある早いショットをアングルに決め、エースを量産した。
けが人を相手にしてやりにくかったという精神的事情もあるだろう。だが、それだけでなく如空は急にセリーナのテニスが変わったのでタイミングを合わせられず、一時的にシャラポワが自滅していたのではないかと予想していた。案の定、予想通りというべきか、シャラポワはこの4ゲームの間、自分を見失っていた。
テニスはボールを打ち合う対戦スポーツなので、お互いが相手のテニスに慣れるまで少し時間のかかる場合がある。特にサービスリターンはタイミングを合わせるのに数ゲームを要する場合がある。だから試合は4ゲーム過ぎたあたりからお互いがエンジンをかけてくる。そんな経緯をたどることが多い。しかし、なれたところで、サービスを始めとする各ショットが別人のテニスのように変わってしまったらどうなるか。また一からタイミングを合わせなおさなければならない。しかし、一度試合が始まってしまっている状況で大きな修正は難しく、かえって自分のテニスを見失わせる結果になる。特に、ビックサーブになられたところで、ゆるいサーブが来れば、誰だってリターンで叩いてやろうと考えるだろう。そして力が入りミスを連発し、自滅のスパイラルに落ち込んでいく。
今年の全仏男子単決勝でガウディオもコリア相手に同じ状況に陥り、コリアにマッチポイントを握られるとこまで追い詰められた。また、観客は判官びいきでけが人の方を応援する。シャラポワはセリーナを応援する地元アメリカの観客の声援もプレッシャーとして受けなければならない。いつも観客の声援に後押しされることに慣れている17歳の人気者には突然降りかかった災難だったろう。良くぞまあ、そのまま自滅せずに自分を取り戻し、勝ちきったものだ。その点はシャラポワを評価してよい。
第5ゲームで自滅のスパイラルから復帰したシャラポワは自分に気合を入れ、4ゲームダウンから6ゲーム連取して見事にツアー選手権初優勝を飾った。世間で非難の的になっている「カモーン」の叫び声とガッツポーズもTVで見たが、それほど問題になるような行為ではなったように思う。元々、シャラポワはショットの時は雄叫びを上げるし、ガッツポーズも連発するし、試合に勝ったら観客席四方に投げキッスをするしと少々「暑苦しい」「痛い」素行の持ち主だけに、今回の決勝の振る舞いが問題ならばシャラポワの全ての試合が問題にならなければなるまい。報道では「挑発的なガッツポーズと叫び声をセリーナに対して行った」とあったので、てっきり如空はシャラポワがセリーナに向けて拳を突き出してポーズを取ったのだと思っていた。しかし、実際はいつもやっているガッツポーズだった。シャラポワのガッツポーズと雄叫びは元々大げさなのだ。とにかくシャラポアに関してマスコミは騒ぎすぎだ。その反動が今回の一連の非難報道の原因になっている。
彼女には今回の試合に限らず、コート上の振る舞いについてもう少しマナーを注意するように指導が多方面からあるだろうが、まだ彼女は17歳だ。世間知らずなのだ。ヒンギスもウィリアムズもフェデラーもヒューイット・ロディックも10歳代の時には色々といけいない品行で物議をかもし出している。しかし、20歳代になってマナーのよい、他の選手から手本として尊敬されるマナーの持ち主になっている。シャラポワもまだ17歳である。マナーも知らないだけなのだ。教えてやればよい。そういう意味では、非難されるべきは、コーチであり父でもある彼女の教育係だろう。
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