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第十房 2004年USオープン TV観戦記 (2004/11/14)

 

2004年08月25日 全米の放送枠

オリンピックだ、甲子園だ、集中豪雨だと騒いでいる間にいつの間にかUSオープンまで後一週間を切っているじゃないか。昨日届いたケーブルTVの番組表でWOWWOWのスケジュールをチェックする。凄い放送枠だ。第一週は3時間から4時間の放送だが、4回戦・QFの頃になると0時〜4時まで4時間中継の後、8時〜13時まで5時間ナイトセッションを中継する、つまり第二週の前半は9時間、一日の4割弱をテニス放送に当てるというのだ。午前中のほとんどをテニスに費やすことになる。驚くべき力の入れようだ。全て録画しても、その日のうちに全てを観戦することは出来まい。ただでさえ、9月から仕事が忙しくなるというのに・・・・・・

ところで地上波のTV朝日系列は例年通りの放送枠だろうか。TV東京系列が全豪・全仏を毎年縮小していっているので心配だ。ニューヨークとの時差を考えると、ナイトセッションは日本時間の午前中に当たる。そして男子決勝の時間帯である日曜日の午後は日本では月曜日の早朝になる。すんなりと勝負が決まればよいのだが、長引くと朝のレギュラー番組に被ってしまう。
私が初めて全米決勝を見た1999年はアガシがマーチンと壮絶な5セットフルセットマッチを戦い、結局職場に出勤してしまい、結果は録画で見ることになった。このとき8時30分から始まるレギュラー番組の「はなまるTV」の前半に食い込み、司会の薬丸氏(元シブがき隊)が「こんなこと初めてですよ」と語っていたことをよく覚えている。2000年、2001年の決勝はサフィンとヒューイットがサンプラスをあっさりストレートで下したので、時間的には問題なかった。しかし、2002年はサンプラスがアガシを3-1で下したが、わずか1セット長引いただけで8:30から始まる通常番組に影響を与えてしまっていた。去年ロディックはフェレーロをストレートで片付けたが今年はどうなるだろう。
熱戦を期待したいが、長引くと仕事に身が入らない朝になる。

全米オープンは夏の終わりを告げるイベントだ。磐石の状態でフェデラーは秋を迎えるのか、女子はさらに混迷を極めるのか、シーズン終盤に向け多種多様な思惑がうごめき合う。

 

2004年08月26日 2004 全米ドロー

USオープンのドローが出た。例によってドローを4つの山に分けて、自分勝手な展望をしてみよう。

コリアが不在の男子シングルス。第一シードはチャンピオンズレースぶっちぎり1位のフェデラー。全豪・全英を取り、全米も取ってしまうとほとんど年間最終ランキング1位を決めてしまう。マスターズシリーズカナダも手中に収め、北米ハードコートでもその強さを発揮している。大会も試合もスロースターターなので、集中力を欠く第一週をうまく切り抜けることが大事である。初戦の相手がコスタであることがモチベーションを上げてくれるだろう。しかし、順調に言った場合、QFで待っているのはアガシである。マスターズシリーズシンシナティを取り、最後の輝きを見せつつあるアガシ。第二シードがお得意様のロデッィクであることを考えると、QFがフェデラーにとっては山場かも知れない。アテネ金メダリストマシューもこの山だ。
第三シード・モヤのいる山は地味な顔ぶれ、スリチャパンと全仏王者ガウディオがいる。ヘンマンは全仏のごとく旋風を巻き起こせるか。
第四シードヒューイットのいる山は逆に大混戦。山の反対側に去年ベスト4のナルバンディアンがいる。他にグロージャン、ゴンザレス、ハース、クエルテン、フィリポーシスとこの山だけでマスターズシリーズが出来そうな顔ぶれだ。復活をかけたヒューイットが何所まで勝ちあがれるか見物だ。
第二シードはディフェンディング・チャンピオンのロディック。同じ山には去年のファイナリスト・フェレーロ、そしてサフィン、シュトラーなど大物がそろっているが、今年の調子を見る限り順調にロディックが勝ち上がりそうだ。サフィンが不気味ではあるが。

決勝がフェデラー対ロディックならフェデラー断然優位だろう。フェデラーがその前にアガシに止められなければだが。SFでロディックと対戦する相手が誰になるかは予想しづらい。大穴は意外とハードコートでも強いモヤに期待してしまう。


またもやクラシュテルス不在の女子シングルス。
第一シードは病み上がりで金メダルを取ったエナンH、彼女の山では台頭著しいロシア勢が大挙して立ちふさがる。ペトロアの次に全英チャンピオン・シャラポアとクズネツゥアの勝者がエナンに挑む。
第四シードは全仏チャンピオン・ミスキナ、彼女にはヴィーナス・ウィリアムズとダベンポートの勝者がQFで当たることになる。
第三シードは一昨年の女王、セレナ・ウィリアムズ。因縁の相手カプリアティとまたもやQFで対戦する位置にある。杉山も第12シードでこの山にいる。
第二シード・モーレスモには順当に行けば反対側からディメンティエワとズボネツゥワの勝者が待っている。

ベスト4まではシード通りの展開になりそうだ。決勝は一年以上お預けのセレナ対エナンの女王様対決が見たいが、セレナのモチベーションの低下が気になる。むしろ、大穴なのはダベンポート、今年好調だけに最後の一花を咲かせるかもしれない。

 

2004年09月01日 三日の時間差

毎年、全米は8月の最終週と9月の第一週に行われている。今年は一週間遅いなと思っていたらやっぱりオリンピックを考慮して調整していたのだね。知らなかった。仕事から帰って深夜に録画したWOWWOWのUSオープンの中継を見ている時間帯は、現地では既に三日後の試合が行われている。実質3日の時間差は録画を見ていると奇妙な感覚に襲われる。SFくらいからは生中継もあり、変わっては行くだろが。
さて、その全米オープン、男子はサフィン・シュトラー・アンチッチがダウン。打倒ロディックの筆頭サフィンが負けてしまった。女子は波乱なく一回戦終了。話題のセレナ・ウィリアムズの衣装はなんとブーツスタイル、しかし、途中で脱いでしまったら普通の衣装じゃん。
上空を飛行する飛行機の音が結構気になるテニス会場の中継を見る。杉山もフェデラーも調子良さそう。フェデラーが第一週でこけることはなさそうだ。逆にアガシはストレートで勝ったものの厳しい内容だった。最後にもう一花咲かせてくれアガシ。

 

2004年09月02日 トッド・マーチンの引退

全米オープン初日、初戦で敗退したトッド・マーチンが引退を表明した。如空と同じ34歳である。感慨深いものがある。
如空がマーチンを初めて見たのは1999年の全米オープン決勝戦、これまた同じ歳のアガシと壮絶なフルセットマッチを行っていた。このとき両者は共に29歳。しかし、アガシの頭には毛がなく、マーチンに至っては還暦前の初老の人に見えてしまうほどの老け込みで、「これが29歳か」とその二人の容貌をTVで見て愕然としたものだ。
アガシ圧倒的優位の予想の中、若かった頃はほとんどしなかったサーブ&ボレーでネットに出てアガシのリターン&パスに立ち向かったマーチンは、予想に反して大接戦を演じた。第一セットをサービスゲーム一つ落としだけで4-6で失うが、その後の第二・第三セットはキープ合戦の末、タイブレークで連取、リードを奪う。第4セットでマーチンは先にアガシのサーブをブレイクしたものの、そこからアガシの大逆襲が始まり、3-6で落とすと、最終セットは力尽きたように2-6で敗れ去った。しかし、この大会、1999年全仏で復活したアガシに対し、全英覇者サンプラスも前年覇者ラフターも不在の状況下でしっかりとファイナリストとしてその存在感を発揮した。
実はその翌年、この全米決勝戦はウィンブルドンの2回戦か3回戦か(記憶が定かでない)で再現される。このときもマーチンは先行し、マッチポイントを握ったにもかかわらずアガシに逆転を許し、フルセットの末、敗退してしまった。サーブインフォーザマッチをものに出来なかったので、「メンタルが弱い」と評されたが、あれは自滅ではない。逆転したアガシを褒めるべきだろう。
マーチンはサービスフォームが素晴しい。フェデラーのサーブをもっとゆったりと大きくしたものと言えばいいだろうか。トスアップと同時に折り曲げた右肘を高々と上げ頭の上にラケットをセット、そこからバレーボールのサーブを軽く打つような感じでスイング、しかしそこから打ち出されるボールは速くて重い。なぜあのゆったりとしたモーションからあんな剛球が打ち出されるのか。リラクゼーションがサービスにいかに重要なことかを教えてくれる。
ストロークのグリップはやや薄めで、とても丁寧なテニスをする。まさにテニスの教科書というべきスタイルだった。
マーチンの引退で同世代の選手がほとんどいなくなってしまったアガシ。30男たちの夢を背に受け、もう一度輝いてくれ。

 

2004年09月03日 ヒューイットの露出

上位陣が安泰の今回のUSオープン。男子QFは順調に行けばフェデラー対アガシ、モヤ対ヘンマン、ナルバンディアン対ヒューイット、フェレーロ対ロディックとなる。実現すれば全てTVで見たい好カードになる。全仏・全英とシードダウンに泣かされたが、このUSオープンはシード通りのベスト8を見たい。
今年からケーブルTVに加入してCSを視聴できる環境になった。WOWWOW、GAORA、Jスポーツ、NHKBSと今まで自宅で見ることが出来なかったテニス中継を見ることが出来るようになったのだが、今年はヒューイットのTVでの露出が目立つ。昨日のWOWWOWの放送も3試合のうち一つはヒューイットだった。相手がフェレイラだったこともあるが、中継に値するいい試合だった。結果はストレートでヒューイットが勝ったが、けして調子が悪いわけでないフェレイラに対し、それを上回るテニスで勝ちきるヒューイットの地道な力強さを見せ付ける試合だった。
ずばり、ベスト4はフェデラー、モヤ、ヒューイット、ロディックの上位4シード揃い踏みと見るが結果はいかに。
で、女子はミスキナがダウンしたが、今回ほど誰が優勝してもおかしくないといった状況が出現するとは去年までのWTAを見ている限り予想できただろうか。こちらは何が起こっても驚くまい。

 

2004年09月04日 ダウンダウンダウン

フェレーロダウン、ナルバンディアンダウン、グロージャンダウン。昨日如空が期待したトップシード揃い踏みベスト8の夢がいきなり破れた。不調のフェレーロはともかくナルとグロがこんなところで負けるなんて・・・・
エナンの試合を久しぶりに録画で見たが、格下相手だと圧倒的だ。緩急をつけたラリーで、「急」のショット一発で相手がミスしてしまう、あるいはエースになる、と強力なんてものじゃない。アメリカ勢のような力強さでなく所謂鋭さを持ったソリッドショットとも言うべき一発で相手のディフェンスを無力化してしまう。大体、あの身長でなぜあれほどサーブが強いのだ。
実はこの日、オブジラー相手に1セット落としているのだが、その落とした第二セットは力みすぎと言うか、勢い余ってポイントが大事なところでポイントが取れていなかった。第三セットは適度に力、みを抜き集中力を高め6-2でしとめた。ストレートで勝つのも強さだが、第二セットの不調を第三セットで修正して取りきることもまた強さだ。エナンは強い。誰が止めるかだ。

 

2004年09月05日 ダウンダウンダウン2

第三シード・モヤダウン、スリチャパンダウン、シャラポアダウン。今日もシードダウン続出。
マシュー、デント、ゴンザレス、フィッシュなどオリンピックで活躍した選手は全て敗退しており、モヤの敗退でガウディオ等、クレーで強い選手もいなくなった。残っているのはハードコートが強い選手ばかり。ここからが本番だ。
女子は昨日ミスキナ、今日シャラポアとロシアのエース二人が敗退。しかし、ペトロアなど地味に残っている選手もいる。
いよいよベスト16である。生き残ったシード同士の対決が始まる。

 

2004年09月06日 元No1同士、アメリカ人同士

4回戦で元チャンピオン同士にして元No1ランカー同士の対決となったダベンポート対ビーナスウィリアムズ戦は今季絶好調のダベンポートが一気に押し切ると思われたが、最後のサーブインフォーザマッチでジュースが何度も続く粘りあいになって異様に盛り上がった。ビーナスがNo1になったときダベンポートではもう勝てないのではと思われたが、年齢を重ねて見るとダベンポートのほうが高いレベルで安定してかつパワフルである。数年後の力関係など予測不能だと思わされる。TV解説でビーナスは現在フォアハンドが問題視されており、フォアを改善しない限りトップへの返り咲きはないだろうと厳しい評価を受けていたが、この試合を見る限り言われても仕方ない部分がある。妹に比べてフォアは手打ちの感があり、腰の回転をうまく使えていない印象を受ける。同じ父親の指導を受けて受け手が違えばやはり変わるのだ。

 

2004年09月07日 静かに燃える

エナンダウン。この時点で全米オープンの女子への関心は半減してしまった。QFはペトロア対クズネツゥワ、浅越対ダベンポート、セレナ対カプリアティ、ディメンティエワ対モーレスモ。誰が勝ってもおかしくない組み合わせ。しかし国籍だけ見るとアメリカ3人、ロシア3人、日本とフランスが一人づつ。結構偏ったベスト8になったものだ。浅越もフルセットの末、QFに進出した。勝利直後のインタビューでWOWWOW解説の遠藤氏に肩をゆすられ「心配させるなよー」と言われていた。女同士の先輩・後輩関係が好ましい。
男子はついにフェデラー対アガシが実現する。2001年にウィンブルドンでサンプラスを破ってスターダムにのし上がったフェデラー、真の王者になる最後の関門としてアガシが立ちふさがる。今回の全米オープンで最も注目するカードであり、今後のテニス界を占う試合でもある。
トップハーフではあと、ハーバティとヘンマンが静かに勝ちあがってきている。
ボトムハーフはまだ4回戦の真っ最中だが、QFはハース対ヒューイット、ヨハンソン対ロディックになりとそうな予感、復活をかけてハースがヒューイットがヨハンソンが牙を剥く、そしてフェデラーにかしを返すべくディフェンディングチャンピオンロディックも燃えている。

 

2004年09月09日 未確認情報

全米では女子が大混戦。ディメンティエワがモーレスモに、カプリアティがセレナにフルセットの大接戦の末、勝利を手にした。

主審更迭という事態にまで発展したQFカプリアティ対セレナ・ウィリアムズ戦。誤審問題の前に、この二人の対戦はどうしていつもこう激戦となるのだろう。二人の気迫がこもったショットがラインすれすれに打ち込まれる。見ているほうも息が詰まるような白熱した打ち合いが毎回、延々と続く。まるでボクシングの打ち合いを見えるかのようだ。誤審自体はとても残念だったが、今回のセレナはそれでも集中力を切らすことなく全力でカプリアティに立ち向かった。試合に対するあの姿勢は素晴らしいしと思うし、やりづらさを感じずにはいられないだろうに敢然と立ち向かい勝利したカプリアティもまた素晴らしかった。

モーレスモとディメンティエワの戦いもすさまじかった。緩やかなストロークからネットに出るようになったモーレスモと入れるだけのサーブからハードヒットの応酬に持ち込んで押し切るディメンティエワの戦いは主導権が行ったり来たりしてもつれ、精神的にも体力的にも厳しい試合になっていった。フルセットの末、最終セットもタイブレークである。脱水症状を起こしていたディメンティエワは途中明らかに意識がとんだ瞬間があり、エースを取ったにもかかわらず突然コートにへたり込むシーンがあった。痙攣を起こせば続行は不可能だったろうが、気迫でからだを押さえ込み最後に勝利をもぎ取った。

昨年の覇者エナンHを4回戦で破ったロシアのペトロワは同郷のクズネツォワにQFで敗れた。体格がいい割にサーブが弱いというのが台頭してきたロシア勢の印象だが、そのロシア勢の中にあっていいサーブを打つ双璧がこのペトロアとクズネツォワである。エナンもペトロワのサーブには苦しめられた。しかし、フットワークとリターンがよいクズネツォワは終始冷静に対応し、第一セットこそタイブレークにもつれこんだが、第二セットはそれほど苦にせず6-3で勝利した。

浅越はアメリカの重戦車ダベンポートに蹂躙された。実力の差ももちろんあるだろうがそれ以上に相性の悪さを感じる。引き付けて・ためて・ドカーンと来る、ゆったりとしたスイングからの強打にタイミングが合い辛らそうだった。

未確認情報だがフェデラーがシャラポアにちょっかいを出しているらしい。噂の出所はWOWOW実況の岩佐徹氏のHP、2004.9.6の日記。ウィンブルドンの祝賀パーティーで最初のダンスを踊ったチャンピオン同士。如空はフェデラーの彼女のであるパブリネックさんが大変好ましく感じているので、これも誤報であって欲しい。

追記
とおもたら、シャラポアにちょっかいを出しているのはフェデラーでなくフェレーロでした。お詫びの上、謹んで訂正申し上げます。
しかし、言い訳するわけではないがWOWWOWはフェデラーを「フェデレ」、フェレーロを「フェレロ」と呼ぶので紛らわしい。実は「フェデレ」と「フェレロ」と読み間違え・聞き間違えたのは今回が初めてではない。WOWWOWの実況を見ていてずいぶん二人を取り違えて聞いているときがある。本人の映像が流れていれば間違えないが、解説者が会話の中で「フェデレ」「フェレロ」というとつい思い込みで間違えて聞いてしまい、「話がおかしいぞ・・・あ、俺聞き間違えている」と気づかされることが何回あったことか。
どちらが正確な発音かは知らないが、名前の響き・語感のかっこよさからはフェデラーとフェレーロと呼ぶ方が如空は好きだ。

 

2004年09月10日 男たちの祭り

デイセッションが雨天中止、ナイトセッションが雨天中断で、継ぎはぎだらけのWOWWOWの中継となった全米オープン男子QF。ここからが面白くなる。男たちの祭りだ。アガシとロディック、地元アメリカ新旧のヒーローが共にファイナルセットまで戦って敗れ去った。

アガシ対フェデラーは前半期待通りのいい試合だった。二人ともストロークが深い。しかし二人ともベースラインから下がらない。ライジングというよりハーフボレーのような地面すれすれの低い打点でボールを拾い、相手コートに返す。少しでもボールが浮くと叩いて前に出る。アップテンポで進行がとても早い試合だった。ただ、両者ともにミスが連発する時間帯が交互に訪れて、それが5セットまでもつれた原因でもあったようだ。ポイントは1セットオールで迎えた第三セット5-5でアガシがサービスをキープできなかった第11ゲーム。アガシに力みが感じられた。非常に惜しい。
第四セットで雨天順延、翌日はウェアが旗のようになびく中、やり難そうな二人だが、最後はフェデラーが押切った。

ロディックは2セットダウンから追い上げ2セットオールに戻す大激戦。去年のUSオープンSFの対ナルバンディアン戦の再現かと思われたが、最後は自滅してしまった。相手のヨハンソンはかつて全豪を取ったトーマス・ヨハンソンでなく、ロディックと同じ世代のヨアキム・ヨハンソン君。今まではヒューイットの妹Jaslynの彼氏として知られているだけだったが、そのビックサーブで同じプレイスタイルのロディックを破った。

そのヨハンソンを迎え撃つのは彼女の兄貴、ヒューイット。強力なハースを3セットとも6-2で撃破。MSシンシナティは決勝まで進み、そこで破れたものの、翌週から2週続けて優勝して全米に乗り込んできた。この夏一番調子を上げた男がヒューイットだ。そして全米も期待通り1セットも落とさずSFまで上がってきた。リターンの名手だけにヨハンソンのビックサーブにいかに対抗するか見ものだ。

華やかな他のQFに比べて、地味であることが否めないヘンマン対ハーバティはこちらも雨天順延となり、翌日決着、ヘンマンが静かに勝ち上がってきた。グランドスラムにおいて、ベスト4までは過去ウィンブルドンでも、今年の全仏でも進出できたヘンマンである。けして驚く結果ではない。問題はここからだ。未知の領域に何度目かの挑戦をするヘンマン。対するフェデラーはサーブ&ボレーヤーをかつては苦手にしていたらしいが、このトップに上り詰め自信満々の今のフェデラーはネットプレーヤーをかつてほど苦手にはしていまい。どう挑むヘンマン。

地上波TVの中継も始まった。祭りはさらに盛り上る週末である。熱戦を期待しよう。

 

2004年09月11日 ロシアンルーレット

リボルバーと呼ばれる回転弾倉式拳銃に一発だけ銃弾を詰めて、レンコンの様な回転弾倉をルーレットの様に勢いよく回した後、二人ないしは複数の人間で交互にこめかみに銃口を当てて引金を引く。空発ならOK、実弾に当たると死んでしまう。その命がけのゲームをロシアンルーレットと呼ぶ。映画「ディアハンター」でおなじみのこのロシアンルーレット、なぜ「ロシアのルーレット」と呼ぶのか、その由来は知らないがロシアが絡んでいるのだろう。語源はともかく、今のWTA女子テニス界はまさにロシアンルーレットである。ロシア選手という実弾が込められたリボルバーをこめかみに当てて引金を引く、あたりに当たると打ち抜かれてしまう。いつ実弾に当たるかは神のみぞ知る。
2004年全米女子SFでロシアンルーレットを引き当ててしまったアメリカ人はダベンポートとカプリアティである。

ダベンポートは第一セットを21分で取り、楽勝かと思われたがじわじわとクズネツゥワに追い上げられ、第二セットを取り返されてしまう。さらに試合前の練習で痛めた足首の怪我が悪化、第三セット、クズネツゥワの前に屈してしまった。トップ4シードが既に敗退しているSFでベスト4の4人の内、この夏最も調子がよく、如空が大穴として期待していたダベンポートが優勝するものと予想していただけに衝撃の結末である。
クズネツゥワはしかし、決して棚ボタで勝利を得たわけではない。フラットストロークのハードヒットラリー一辺倒を身上とするロシア勢の中でクズネツゥワは異色で、幅広いテニスをする方だ。シングルスだけでなく、ダブルスでも活躍していることが大きく係わってるらしい。地味だがネットにも出るロシアのオールラウンドプレーヤーだ。サーブもいい。身長がそれほど高くないのにフラットとスピンを打ち分ける。

カプリアティは逆に一ゲームも取らせてもらえずわずか19分で第一セットを落とした。サーブより速いディメンティエワのフォアハンドが炸裂する。(デメのスライスサーブが遅すぎるのだが・・・・)勢いに乗ったディメンティエワはシャラポア同様手がつけられない。しかし、第二セットは形勢が逆転、カプがあっさりセットを取る。セットオールで迎える勝負の第三セット、カプはリードするものの決めきれない、長いジュースの末ブレイクしても次のサーブをキープできない。しつこく付いてくるデメを振り切れず、勝負はタイブレークへ。ダブルフォールと絡ませカプは勝利を手放した。

しかし、勝利の代償は高くつく。QFのモーレスモ戦に続く激闘で足を痛めているデメは杉山とのダブルスSFを棄権した。万全の状態のクズネツゥワに対し満身創痍疲労困憊のデメが何所まで自分のテニスを出来るだろうか。
オールウィリアムズファイナルが2年続いた後、オールベルジャンファイナルを経て、今年は全仏に続くオールロシアアンファイナルである。誰もが予想しなかったグランドスラム3大会連続のロシア勢優勝となる。今年でロシアは3人のGSチャンピオンを生み出すことになった。
最後のロシアンルーレット、実弾を引き当ててしまうのはどちらだ。明日ナイトセッションでその結果が出る。

 

2004年09月12日 決戦前夜

2004年全米オープンの決勝はフェデラー対ヒューイット。二人は大方の予想通り、その強さを準決勝で見せ付けてファイナル進出を決めた。

ヒューイットはビックサーブ&ビックフォアのヨハンソンに対し、3セットとも全て自分のサービスゲームをキープし、3セットとも1ブレイクで勝負を決めた。ビックサーブをしっかりとリターンする。フォアの打ち合いに負けない。相手のバックにボールを集める。ファーストサーブをしっかり入れてサービスゲームでは常にポイントを先行する。チャンスは躊躇せずに攻める。やるべきことをしっかりと行ったヒューイットの見事な勝利である。強力な相手に対し、がっぷりとよつに組んで押切った、そんな感じの試合だった。ヨハンソンはバックが片手打ちで弾むスピンサーブやストロークでムーンボールをバックに打たれるとしっかりと返せていなかった。弱点が一つでもあるとそこを攻められる。今後の彼の課題となるだろう。同じ片手打ちのフェデラーはそれを克服しているからこそNo1なのだ。

フェデラーに立ち向かったヘンマンは今年、生涯最高のパフォーマンスを発揮したテニスを展開している。サーブの威力は若い頃より落ちたかもしれないが、ネットプレー一辺倒だった頃より、ストローク戦でも打ち負けないオールラウンドプレイの今のヘンマンの方が若い頃より強いだろう。それはウィンブルドン以外で今年全仏・全米とベスト4まで上がってきたことに証明されている。
そのヘンマンをフェデラーは寄せ付けない。ヘンマンは自分のテニスをして、フェデラーがそれを上回るテニスをしてストレートで下した。こちらもしっかりとよつに組んで押切った。

グランドスラムの決勝で負けた事のない二人。フェデラーはリトルスラム(年間GS3勝)がかかる。セットすら落とさずここまで来たヒューイットはロディックより「ストップ・ザ・フェデラー」が期待できる存在だ。今年のグランドスラム最後を飾る名勝負を期待したい。

 

2004年09月13日 大器早成

2004年全米オープン女子チャンピオンの名前を知っている人はどれほどいるだろう。クズネツォワの姓を知っていても、スベトラーナ・クズネツォワとフルネームで言える人はかなりのテニス通だ。全仏チャンピオンミスキナ・全英チャンピオンシャラポアを超える驚愕の大穴、まだ前歯の矯正中の19歳が全米オープン女子シングルスを制し、さらに翌日女子ダブルスの決勝に挑む。これほどの逸材がなぜ今まで埋もれていたのか。ロシア勢の層の厚さを思い知らされる。
決して調子が悪かったわけでないディメンティエワであるが、クズネツォワは最高のパフォーマンスを発揮してストレートでデメを下した。
WOWWOW解説の遠藤愛氏が「女子テニスの典型ディメンティエワ対男子テニスを体現する女子選手クズネツォワ」と二人を評していたが、中々言い当てて妙の表現だ。特にクズネツォワ、肩が強い、だからサーブが強い、フォアが強い、男子並みのビックサーブと回り込みのフォアで攻める。フットワークが素晴しい。打点に入るのが早い。スキあらば強打でガンガン叩いてくる。ネットプレーもいい。SFのダベンポート戦ではそれほど意識しなかったが、見ているものを魅了する素晴しいテニスだ。
台頭著しいとはいえ、ロシア勢はベルギー勢・アメリカ勢に次ぐ第三勢力として位置づけられているし、グランドスラムを取ったといえ、ミスキナやシャラポアが将来女子No1になると本気で予想している人は少ないだろう。しかし、この決勝戦でのテニスをコンスタントに体現できるとしたらクズネツォワはエナンやセレナ・ウィリアムズに匹敵する存在になる予感をさせる。
男子のサフィン同様、ロシア生まれながらスペインでテニス修行したクズネツォワ。スペインのジュニア時代アランチャ・サンチェス・ビカリオに見出され、プロになってからはナブラチロワとダブルスを組み、偉大な先輩達から多くを学んだ大器がまた一つ花開いた。サフィンは2000年に全米で優勝してから、その決勝戦で演じた自身最高のテニスをその後再現出来ずスランプに陥ったが、彼女にはそんな事態に落ちって欲しくない。今後に期待したい。

ところで各方面から酷評されるデメのスライスサーブとは肘が肩より高く上がらず、肘からラケットがほぼ一直線で手首のリスト回内がほとんど使われていない。上半身の体の使い方は完全にサイドスローで、このフォームとこのリストではスライスサーブしか打てない。しかも彼女は馬鹿の一つ覚えのようにデュースサイドからはワイドにばかりサーブを打ち、右利きのバック方向から相手のボディに食い込むコースを打たないので、リターン側にコースを読まれてしまい、リターンで叩かれることになる。なす術もなく、弱いサーブを叩かれるままのデメを見てイライラするのは解説者だけではあるまい。
しかし、このデメことディメンティエワのサーブはこのUSオープンでは意外に効果を発揮する。彼女の決勝進出に関して大きな山場だったのはQFの対モーレスモ戦、そしてSFでの対カプリアティ戦だったろう。この対戦において、スピン系のモーレスモもフラット系のカプリアティも、リターンでこのデメのスライスサーブをリターンで叩けずにイライラしていた。リターンが叩けないとそのままストローク戦に入る。ストローク戦ではデメはモーレスモにもカプに負けはしない。激しい打ち合いの末、フルセットで勝負をものにしたのはディメンティエワの方だった。
この全米のQFとSFはまぐれではない。デメのスライスサーブがよかったのだ。非常にキレがあった。スライスサーブは跳ねてはいけない。スピンサーブとは違い、スライスサーブはバウンド後中途半端に跳ねると右利きの場合、相手のフォアにいい高さで入ってしまい、叩かれる。男子の世界では野球のスライダーの様に、フラットサーブと近いスピードで飛び、バウンド直前で横に少しだけスライドして、相手にスイートスポットで捉えさせない「高速スライスサーブ」があるが、女子の世界ではほとんどが回転量の多い、スロースライスサーブだ。スロースライスサーブで相手に攻めさせないためには、「跳ねさせない」事が重要だと言われる。バウンド後跳ねずに横にすべるスライスサーブはたとえスピードがなくてもリターンの打点が低いために、強打がしにくい。さらにボールのコースはベースラインに沿って横に向かっている。リターンはコートの中に入れなければならないのでベースラインに垂直の方向のベクトルで打たなければならない。回転が掛かり、軌跡が大きく弧を描くサーブのコースを変更して打ち返すことはスピードがなくても難しい。まして横に滑ってくるバウンドの低い、跳ねないスライスならなおのことだ。
モーレスモもカプリアティもデメのスライスをリターンで叩けなかった。全米決勝の相手、クズネツォワはそれを叩けたのでデメに勝てた。デメのスライスサーブはモーレスモやカプリアティには充分通用していたのだ。このスロースライスサーブはけしてデメだけのものではない。このサーブだけで世界を転戦している女子選手はいっぱいいる。好成績を残している例を挙げるなら、ディメンティエワのほかにスペインのコンチータ・マルチネスが上げられる。2000年の全仏決勝でピエルスに敗れたが、このときのサーブはディメンティエワ同様、肘を肩より高く上げない、肘からラケットヘッドまで一直線のスロースライスサーブ一辺倒のサービスゲームだったが、世界のトップに充分対抗しうるサービスゲームだった。
戦いに勝つためには持っている力の効率的活用にある。持っていない力を考え「サーブさえ強ければなあ・・」と嘆いていても試合には勝てない。サーブを強くすることはコーチの仕事であり、それは勝つために必要な準備をする「戦略」的目標である。一度試合が始まれば、もてる技術を最大限駆使して、相手の武器を封じて勝ちに行く「戦術」的目標の達成が大切になる。選手はひたすら戦術的勝利を目指して戦うのみだ。戦略的に戦う前に有利な状況を作り出す仕事はテニスにおいてはコーチの仕事と言ってよい。ディメンティエワをはじめロシア勢は戦術的には非常によくやっている。デメは日によってサーブのキレに波がある。キレのない日にハードヒッターに当たるとリターンで叩かれ敗北してしまうが、調子の良い日はけしてリターンから攻めさせず、ストローク戦に持ち込み打ち合いで打ち勝ち、勝利をものにする。けしてサーブが弱い選手ではないのだ。

 

2004年09月14日 皇帝の戴冠式

2004年全米オープン男子シングルス決勝、ヒューイットには何が起こっていたのだろう。ダブルフォールトで最初のゲームを落とすと、ズルズルと8ゲームも連続でフェデラーに与えてしまった。とにかくサーブの調子が悪い。第一セットはわずかに16分で終わってしまった。精神的に動揺しているのがTVを通じても見てとれた。
ヒューイットが落ち着きを取り戻し、長いジュースの末、ついにブレイクバックし、第二セットをタイブレークに持ち込んだところが山だった。1ブレイクでリードしていたフェデラーをブレイクバックして追い上げているヒューイット。波はヒューイットに傾きかけたところでのタイブレーク。しかし、フェデラーは何もしない。今まで通りのテニスをしているだけ。タイブレークでまたヒューイットのファーストサーブが入らなくなり、フェデラーにあっさりとセットを渡してしまう。
第三セット、完全に元気を失ってしまったヒューイットはなす術もなく0-6で信じられない負け方をしてしまった。ヒューイットの内面で何が起こっていたのかわからないが、対照的にフェデラーは終始変わらないテニスをし続けた。

そして戦国時代とも群雄割拠とも言われていた男子テニス界はついに圧倒的強者の出現を迎えた。グランドスラム決勝4連勝かつ無敗は史上初だそうだ。全豪でサフィン、全英でロディック、全米でヒューイットをそれぞれ決勝で下し、全豪のSFでフェレーロ、全米Qfでアガシも下している。戦国時代と言われたこの数年間の間にランキングNo1になった強豪たちを、この一年間でことごとく倒してきた。グランドスラムを一勝でもした選手を王様にたとえるなら、年間3勝リトルスラムを成し遂げ、GSタイトルホルダーを連覇したフェデラーはその王様達を従える「皇帝」のような存在だ。
今年コーチを伴わずにこの成績である。しかもフェデラーのテニスは明らかに成長している。去年のウィンブルドンで優勝した時のテニスはまだサーブ&ボレーがサービスゲームでは主体だったが、今ではサービスゲームでもネットダッシュはあまりしない。バックのスライスもフォアのムーンボールも使う回数が減った。スキあらばいきなりフラットでボールを叩き込み、相手を圧倒してしまう。ネットに出てトドメをさすが、そこにいたるまでに勝負が決まってしまうことが多くなった。サーブとストロークがそれだけ見事なのだ。サーブもストロークも打つ前にしっかり肩が入っており、コースが全く読めない。ストレート・クロス・逆クロス、自由自在である。しかもワイドへ打つときの角度が凄い。真横に飛んでいく。リターンも去年はブロックリターンが多かったが、今年に入ってからアガシのごとくスイングしてサーブを叩くことが多くなった。バックは片手にもかかわらずである。そして守備力が明らかに増している。TV解説者の多くが指摘しているが、フォアだけでなく、片手打ちバックハンドでフェデラーほど素晴しいランニングショットを打つ選手はいない。苦しい体勢からライジングで信じられないほどいいところに返球していく。微動だにしない安定したメンタル。怪我らしい怪我をしたことがないタフなフィジカル。切れることのない未曾有のスタミナ。大事な試合では途切れることのない集中力。たまに大会前半で明らかな集中力不足で負けてしまうのも愛嬌だ。
皇帝が長期政権を維持するためには、モチベーションを維持していくことが重要だ。女子のセレナ・ウィリアムズもエナンHも頂点に上り詰めた時点でモチベーションを低下させてしまっている。しかし、フェデラーにはその心配はないだろう。男子シングルス表彰式は皇帝の戴冠式に見えてしまう。そんな2004年の全米オープンだった。

 

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