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2004年 テニス界10大ニュース ベスト8

ヘンマンの充実

 

WOWWOWのグランドスラム中継はナビゲーターとして進藤晶子氏とフローラン・ダバディ氏により進行されている。この起用についてテニスTV観戦ファンからは賛否両論があるが、如空は今年一年間を通じてみて好意的に見ている。二人とも元テニス選手ではないテニスファンという視点から解説をしているので視点が視聴者に近い。来年も続投するらしい。うれしいことだ。

さて、全豪と全米の中継では予算の都合からか第二週には東京に戻された二人だが、全仏は最終日まで現地にとどまり臨場感のある進行を続けた。ローランギャロスの会場を背景にしたしゃれたテラスに陣取り、番組の進行と現地情報の報道をする編成は番組として非常によかった。特にダバディ氏はフランス生まれなので生き生きしていた。スタッフに代わってフランス語報道によるニュースをかき集めて紹介するコーナーを取り仕切っていた。そこで紹介されたニュースで一番傑作だったのがこれ、全仏男子単ベスト8が出揃った時に現地新聞が掲載した漫画
「レッドクレーの星にやってきた異星人、ヒューイットとヘンマン」

男子プロテニスを追いかけている人ならば、この二人が全仏のベスト8に名を連ねているということがいかに場違いなことかがわかるだろう。スペシャリストでなければ勝ち上がれない男子のクレーコート。その中で今年、クレーが苦手なヒューイットとヘンマンがクレーを克服して勝ち上がっていた。そしてヘンマンはさらに勝ち進みベスト4SFまで進んだ。

テニス発祥の地、イングランドのティム・ヘンマンはイギリステニス界の申し子だ。そのクラッシクなテニススタイルでネットプレー主体のテニスを貫き、今に至る。毎年ウィンブルドン制覇を期待されつつも、幸か不幸か、サンプラスと同時代に生きたため、いまだに夢を果たせないままキャリア晩年を迎えようとしている。サンプラスが全英で決勝に届かなくなってからも、イバニセビッチ・ヒューイットとその年の優勝者にベスト4セミファイナルで阻まれ、去年と今年はベスト4にすら進めていない。その最大の武器であるスピンサーブもネットプレーもかつてほどのキレがなくなってきた。ウィンブルドンの成績だけを見るとヘンマンはもう終わりだと感じるだろう。
しかし、ヘンマンは今年、全仏と全米で自己キャリア最高のベスト4まで進出するのである。

これはまぐれでもなければ相手に恵まれたわけでもない。ヘンマンのプレースタイルがネットプレー一辺倒からストローク主体のベースラインプレイを取り入れたオールラウンドプレイヤーに変化してきた成果だ。サンプラスのキャリア後半を支えたコーチ、ポール・アナコーンがヘンマンのコーチに就任してまず行ったのは、サーブの強化でもなく、ネットプレーの改善でもなく、ストロークの強化だった。スライスだけでなく、スピンでも打ち返せるバックハンド、そして高い打点から強打できるフォアハンド、ベースラインからもゲームを組み立て、エースを狙えるストローク力をヘンマンは手に入れたのだ。そして、得意のネットプレーもスライス・アプローチだけでなく、フェデラーやサフィンのごとく高い打点からフォアハンドで叩いて前に出るスタイルを身につけて強くなった。サービスもステイバックすることが増え、逆にサーブ&ボレーに出たときのポイント成功率は高まった。ネットだけ、サービスだけを比較すると若いときより衰えたかもしれない。しかし、総合力で明らかにヘンマンは生涯最高のパフォーマンスを今年、発揮している。全米はフェデラーに一方的にやられていたが、全仏はチャンスがあった。コリア相手のSF、ヘンマンが流れをつかんだ場面が何度もあった。ファーストサーブの確率さえもう少し上げていれば、コリアを突破して決勝でガウディオを破り、生涯初のグランドスラムタイトルをウィンブルドン以外で挙げることに成功していただろう。ネットプレーヤーがクレーの全仏を制する、実現しなかったがそんな夢を多くの人に与えた功績は大である。

最終戦のマスターズカップでもラウンドロビンで1勝2敗だったが、破れたサフィン戦・ロディック戦共によい試合内容だった。来年もさらなる活躍を期待しよう。




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