テニスのお寺  電脳網庭球寺

 

山門

講堂

夢殿

僧房

経蔵

宝蔵

回廊

 

夢殿

 

 

 

2004年 テニス界10大ニュース ベスト6

WTAトップランクへスラブ民族大移動

 

ロシア語などスラブ系言語のいくつかは男性と女性で姓名のつづりを変える法則がある。正確なところは知らないが女性は語尾にAが付くらしい。たとえばロシアのマラット・サフィンの妹、ディナラの姓はサフィン(Safin)でなくサフィーナ(Safina)である。ここ数年活躍しているスラブ系の女子選手の中にはOVAで終わる姓の選手が目立つ。ナブラチロワ・クルニコワを筆頭にハンチェコワ、ツルヤガノワ、シャラポワ、クズネツォワ、ペトロワ等。さらに似た名前のEVAで終わる姓の選手も多い。ディメンテエワ、リホフツワ、ズボナレワ等。
OVAで終わるスラブ系選手がWTAに増えたことから、WOWWOWテニス実況の岩佐氏は「オバ(OVA)族」と名づけて、スラブ系選手がWTAで大挙進出し活躍するだろうと予測する放送を番組の中で数年前にしていた。しかし、今年ほどのスラブ民族のトップランクへの大移動を予測していたのだろうか。
OVA族、EVA族以外にもミスキナ、ボビーナ、キレリンコ、サフィーナ、フランス国籍だがロシア出身のゴルビン、そして不調に終わったがドキッチなど、今やATPのスペイン選手並みにWTAではスラブ系選手のトップランクにおける人口密度は高まっている。

スラブ系選手の中でもロシア国籍の選手は今年GSファイナリスに4名、うち3名がタイトルを取った。全仏ミスキナ、全英シャラポワ、全米クズネツォワ、そして全仏・全米の準優勝はデメンティエワである。そしてフェドカップもロシアに初優勝をもたらし、ロシア勢大活躍の一年だった。ただ、国籍こそロシアだが、シャラポワはアメリカ育ち、クズネツォワはスペイン育ちなので、一概にロシア勢と一括りには出来ないと思うし、フランス国籍になったゴルビンの例もあるので、如空としてはスラブ系と括る方がよいと思っている。
ウィリアムズシスターとベルギーの二人が不調であったこと、そしてグランドスラムファイナリストでないダベンポートとモーレスモに年間最終ランキングの1・2フィニッシュを許したことなどを差し引いて僧房編2004年10大ニュースでは辛口ベスト6だが、一人一人は自己最高の成績を記録しているのでそれは賞賛に値する。素晴しい結果だ。

ただ、育ちが違うのに、皆一様にテニススタイルが同じなのはなぜだろう。特徴がないのが特徴というか、無理やり表現するなら「ハードヒットを続ける粘り屋」だろうか。とにかくこれといった戦術があるわけでなく、ひたすら強打を打ち続け、相手が返せなければポイントというテニスだ。
スラブ系ロシア勢の中で如空が一番期待しているのはクズネツォワで、その全米決勝でのテニスはウィリアムズやベルギー勢を超えるものを予感させる脅威の内容であったが、それ以降、少し落ち込んでいるので残念だ。

日本のマスコミは才色兼備、美貌と実力を備えたヒロイン・シャラポワの登場で一気に活気付いた。ジャパンオープンは過去最高の注目度と観客動員数を記録した。全てはシャラポワが目当てである。願わくば一過性のブームで終わらずにいて欲しい。そのためには来年に今年以上の結果を求められることになる。ミスキナもクズネツォワもだ。それはGSタイトルホルダーの宿命なのだ。復活してくるウィリアムズとベルギー勢にいかに立ち向かうのか。お互いで星を潰しあっている場合ではないのである。



戻る