第123房 「
リターンは音でタイミングを取る」(2007/09/27)
「タイミングですよ、タイミング。リターンは音でタイミングを取るんです。」
とコーチの声が静かな夕闇のコートに響く。今日のシングルスの練習はリターンである。コーチがサービスラインとセンターラインの交わるTマークの上に立ち、フラットサーブをワイドに打つ。それを如空たちがリターンするのだが、最初はまあスイートスポットに当たらない。コーチはかなり手を抜いて打ってくれているが、それでもサービスラインからフラットを打ち込まれると速い。スピードが速いといういうよりタイミングが早い。でもそのタイミングを覚えるのが目的だとコーチは言う。
「ボールを目で見ているだけではダメです。音を聞いてください。相手がサーブをヒットする音、ボールがコートでバウンドする音、そして自分がリターンを打つ音、この間隔が同じテンポになるようにしてボールにラケット面を合わせるんです。」
「皆さん、速いサーブが来たとき、ボールを線で見てしまって、バウンドしているところが見えていないのです。だから 速いサーブが来たら振り急いでしまって打てないのです。バウンドしてから跳ね上がってくるところをライジングで合わせるんです。面を合わせるだけで厚い当たりで打てます。そのためにボールのバウンドを意識してください。」
「音をよく聞いてください。そしてその音にスプリットステップと面のセット、そしてヒットを合わせるのです。サーブの音、バウンドの音、レシーブの音、これで1・2・3とタイミングを取ってリターンするんです・」
「クイックサーブや緩急をつけられてタイミングを外されるのは音でタイミングを取っていないからです。音でタイミングを取れば、サーブの動作がやたら遅くてじれったい相手でも、クイックサーバーでも、その動作に惑わされずにタイミングが取れます。サーブの音とバウンドの音の間隔に意識を集中すれば緩急にも対応できます。サーブ音とバウンド音の間隔が短いときは速いサーブ、だからバウンド音とリターン音を短くしてコンパクトに打つ。サーブ音をバウンド音の間隔が長いときは遅いサーブ、だからバウンド音とリターン音の間は長くなって、ボールをある程度引き付けてから打つ。そうすることによって速いサーブと遅いサーブを混ぜられても、その緩急に惑わされことなく対応できるのです。音です。音でタイミングを取るのです。」
なるほど・・・・それでフォアのリターンは良くなった。バックもタイミングは合うようになった。でもバックは面がブレてボールが変な方向に飛ぶ。フォアのように安定しない。
「両手打ちの人はフォアよりバックの方が安定するものですけどねえ・・・・」
とコーチは言う。
「やっぱりバックハンド、振ってしまっていますよね、如空さんの場合。テイクバックはコンパクトにしているのですけど、打つ瞬間に面がぶれて、フォロースルーがばらばらですよ。意識の上ではフォロースルーなしでラケットをヒット時点で止めておくような感覚で打てばいいと思います。フォアや片手バックは鞭のように振るフォロースルーがいりますけど、両手バックは押すだけでリターンは十分だと思います。」
というアドバイスを練習が終わってから言われた。それじゃ、試せないじゃないですかコーチ。次回のテニスで早速試してみなくては。