第110房 「握りを少しづつ変える」(2007/08/23)
「グリップを握る力の強弱でなく、グリップを押す力の強弱でボールの深さをコントロールしてください。」
といってコーチは親指と掌でグリップを握らせ残りの四本の指を伸ばしたままボレーをさせる。ベースライン、ベースラインとサービスラインの間、そしてサービスライン上、三つの深さをボレーで打ち分けさせる。フォアは掌の付根でグリップを押せるのだがバックが上手く押せない。「親指の付根でしっかりと支えて打ってください。握ってはだめですよ。」とコーチは何度も声をかける。なぜこんなことをやらせるかというと、コーチいわく、「ボレーミスはグリップの握りすぎにより起こる」という。「チャンスボールでのネットやオーバーも、早いボールに対するガチャボレーも同じです。グリップをぎゅーと握りすぎてそれが体を固くしているのです。それはストロークでも起こることですが、ストロークは軽く握っても打てるので比較的ミスを矯正しやすいです。でも、ボレーはボールをつかむ感覚でグリップを握って飛ばすように覚えるので、その感覚のみが強調されて握りすぎがなかなか矯正できなくなります。」「ぎゅっと握らずに同じグリップの握りでボールも飛ばせる、深さもコントロールできる、それを経験で覚えてください。ラケット面とグリップ、そして掌の三つが同じ方向を向いていることを意識して、その三つを押すことでボールを飛ばし、押し加減でボールの深さをコントロールしてください。」
でもこれ難しいわ、特にバック。上手くいかない。掌の付根で押すためにはグリップを浅く握っては打てず、自然とグリップをいつもより短くもたなくてはならない。これがいい感じでいきなりボディに速いボールが来てもラケットを当てるだけで打ち返せる。如空はストローク・サーブ・ボレーすべてグリップを長く握るのだが、ボレーだけはちょっと短くしてみようかという気にさせる。
サーブの練習のときトスが乱れやすかった。「如空さん、人差し指と中指でボールをトスアップしているでしょう。薬指も加えて三本指でボールをトスアップしてみてください。親指と小指は添えるだけなのは同じでね。」とコーチに言われたのでやってみるとトスがまっすぐ前に上がるようになった。今までのトスは薬指が悪さして手元に戻って来やすいことになっていたようだ。薬指にも意識を入れて伸ばしてトスするといい感じだ。
試してみては感触を吟味して、いい感じなら使ってみて、そして少しづつ少しづつ改良していく。地味なその積み重ねの向こうに上達があると信じて。