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第102房 「フラットとスピンを打ち分けろ」(2007/08/23)

 


最近シングルスのコーチは、如空たちに緩急を覚えさせようと色々工夫している。
「具体的にはスピンとフラットです。」とコーチは言う。
「スピンにも色々な回転量、色々な軌跡があり、フラットも高い打点からまったく無回転に打たれるボールからナチュラルに順回転のかかったフラットドライブまでいくつかの球種があります。また戦術的にはスライス(アンダースピン)もフォア・バックともに覚える必要があります。しかし、今は余計な事は考えずにスピンとフラット、二つの球種だけ覚えて、それを打ち分けられるようになってください。」
「スイングスピードを変えてはだめです。同じスピードで回転量と軌跡だけを変えてください。フラットはネットの高さの二倍より下を通すのです。スピンはフラットを通したネット上の通過点より二倍の高さを通すのです。深さは同じですよ着地点までの距離を変えずに軌跡の高さだけ変えるのです。」

フラットとスピンを交互に打つ練習をする。
如空も含め、皆フラットの後のスピンが打てない。同じ軌道で飛んでしまう。高さをあげようとするとラインオーバー、回転量を多くしようとするとボールが短くなる。高く、かつラインの中に収めようとするとスイングが遅くなって単なるロブになってしまう。前のコーチの時もそうだったが、この練習をスピンだけ、フラットだけで打つとちゃんとスピンも打てるのだ。ただスピンとフラットを交互に打ち出すといけない。スピンがフラットのスイングにつられて回転がかかりにくくなる。

「グリップエンドとラケットヘッドを結ぶ線を意識してください。その線を地面に平行にセットしてフォロースルーでも地面に平行にしてスイングするのがフラットです。スピンはグリップとヘッドを結ぶ線を斜めにしてヘッドを落として準備、振り切ってフォロースルーではグリップよりヘッドが高い位置に来るようにスイングしてみてください」
とコーチにアドバイスを受けて練習を再開するが、うまくいかない。スピンだスピン、フラットの後のスピンがスピンにならない。
「皆さん、手首が固いです。フラットと同じく手首を固めて打つからスピンにならないのです。スピンを打つときは手首を緩めてヘッドを落としてこすりあげるのではなく、ヘッドを落としたまま、手首を緩めたままヒットするのです。打ってからワイパースイングをするような感覚で打ってみてください。」
お、何とかフォアではスピンとフラットが打ち分けられるようになってきたぞ。でもバックがねえ・・・・
「如空さん手首固すぎですよ、バック。がちがちに固まっています。それではフラットしか打てませんよ」
とコーチは言う。でも両手打ちだと手首って固まってしまうのではないか。

その後、3面使って一対一の展開の練習。順番にコーチとも一対一をする。コーチの攻めはワンパターン、こちらをワイドに追い出す、その返球をオープンコートに切り返す。こちらがワイドに追い出されたときにスピンで返球できたらまだその攻めは防げる。しかし、フラットで返すとライジングで切り替えして鮮やかにウィナーをとってみせる。コーチの顔には得意げに「ほらね、こうなるんだよ」と告げている。

アシスタントコーチやほかの仲間との一対一でもこの展開がキーになった。フォアはまだスピンが打てるが相変わらずバックのスピンが打てない。
ところでその途中、昔誰かに教わったコツを思い出した。
「両手バックのフラットはヘッドを打つ方向に向けてフォロースルー、スピンはヘッドでなくラケット面を打つ方向に向けてフォロースルー」
お、なんか両手バックでも少しスピンがかかり始めたぞ。

その翌週のシングルスの練習もフラットとトップスピンの打ち分けであった。球出しされたボールを交互にフラット・スピンで打ち分けて打つ。今まで同様、フラットの後のスピンがフラット気味になってしまう。
「グリップです、グリップ。グリップの使い方がおかしいのです。」
とシングルスのコーチは言う。
「皆さんワイパースイングでスピンをかけようとしていますよね。ヘッドを落としてから打ちに行く。しかしです、打つときにはもう落としたヘッドがグリップより上に上がってしまっているのです。だからフラットと変らないボールになるんです。ヘッドを落としたままヒットして、打ち終わったあとのフォロースルーでワイパースイングをするくらいのつもりで打て見てください。」
やってみる。スピンはかかった。でもボールが短い、かすれたあたりにしかならない。
「グリップが上に振り上げられていませんよ。グリップを基点にしてワイパースイングをしてはだめです。フォアなら肘、バックなら肩を基点にして大きくワイパースイングをしなくては。特にバックハンドは両手打ちも片手打ちも意識してグリップを上に振り上げてください。ワイパースイングをしようとしてスイングが小さくなってきています。ヘッドを落としたままグリップを上に振り上げる、ヒットした後に面がグリップを追い越して上に来る様なすスイングで打ってみてください。」
スピンが徐々にいい感じのムーンボールになり始めた。この感覚を身に付けるのだ。体が覚えるまでひたすら反復練習をする。ただひたすら練習あるのみ。

 

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