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第096房 「ポーチの出どころ」(2006/05/13)

「ペアがポーチに出るタイプなら、サーブ・リターンの時はステイバックして雁行陣でプレーする。ペアがポーチに出ないタイプなら、サーブ・リターンの時にネットに出て並行陣とする。」ことを、如空の場合のダブルス基本方針としようと考えている。その上で・・・・

通常のポーチとは、相手後衛がクロスに打ったボールをそのコースに走りこんでボレーすることである。クロスに来る、という予測のもとにポーチは成り立つ。だが、それでもクロスボールのコースに走りこむにはある程度の思い切りが必要になる。ポーチに出ようと思ってクロスに走りこもうとしたら逆を突かれてストレートを抜かれた経験は誰にでもあるだろう。ポーチすると一時的に陣形が崩れているのでオープンコートが出来ている。ポーチを返球されると一転大ピンチである。リスクを背負って攻めに行くので、安全思考のタイプの人はポーチに出にくい。クロスラリーの最中、コースに飛び込む以外に、それほど思い切りを必要とせずにポーチに出られる場面はないだろうか。如空が知っている範囲では下記の場面だ。

1:味方ペアのサーブがセンターに入った場合
2:相手がローボレーを打った場合
3:相手がスライスで返球した場合
4:相手がリターンミスをした後、同じ相手が再びリターンをするとき。
5:相手前衛がポーチしようとして空振り、ポジションに戻ろうとする場合
6:相手がつなぎのバックハンドハイボレーを打つ場合
7:味方ペアがスマッシュを打った場合。

1:ストロークでセンターに打つと前衛につかまってしまう。でもサーブは前衛がさわれない。リターンできるのは後衛だけである。だからセンターに打てる。センターに打たれたサーブをリターンしようとすると、ベースラインの中央から返球するので角度が付きにくい。ストレートを抜かれる心配もない。前衛の近くにボールが通ってくれる。だからポーチに出やすい。特にコートの中にいるのが全員右利きの場合のディースコートのサーブでは、センターに打つこと、これはもうセオリーである。前衛にさわらせないためにはリターンはバックハンドで逆クロスに打たなくてはならない。これは結構難しく、甘くセンターに入りがちである。そこにきて前衛はフォアハンドでポーチに出られる。バックハンドではあまりポーチに出ないが、フォアだと良く出るという人は多い。

2:ローボレーはネットの下からネットの上を通ってコートに入ってくる。そしてコートの中に収めなければならない。ゆえにローボレーの強打というのはめったにない。それにコースを変えることもめったにない。飛んできた方向に返球される。だからコースが予測しやすく、ペースを持った打ちごろのボールが来るのでポーチに出やすい。

3:ローボレーの場合と同じで、スライスはするすると伸びてくるボールが飛んでくる。スライスはバウンドさせると厄介なアンダースピンがかかっているが、空中で飛んでいる間は高低差がつかない直線的で、かつフラットほど速くない、ボレーしやすいショットである。だから相手がスライスの構えをすればポーチのチャンスである。ただ、ローボレーと違ってドロップショットやチェンジオブコースがある分、難易度は高いかもしれない。

4:リターンミスをして、相手にポイントが行き、ペアが逆サイドでリターンをして、再び自分にリターンの場面が来る。ここでストレートアタックやショートクロス・ロブを打つだろうか。ほとんどの場合、「今度はミスしてはいけない。」と思って、安全なコースに安全なスピードで安全なリターンを打つだろう。コースが読めてスピードが安定しているリターンはポーチしやすい。だから相手がリターンミスをした後の次のリターンはポーチのチャンスなのである。

5:初中級のレベルのダブルスではポーチに出ようとして、躊躇して、あるいは思い切りが足りなくて、ボールに触れず、前衛が元のポジションに戻る場面は良くある。この崩れた陣形の場面で後衛がロブを上げたりストレートアタックしたり出来ればそれはすごくクレバーな人だ。大抵はクロスに返球、しかも、虚を突かれて体重の乗ったいいショットは打てないだろう。如空など味方がポーチに失敗すると、反応できなくて、前衛が空振りしたボールに触れずにツーバウンドさせてしまうことが良くある。反応できても、まずクロスにとりあえずの返球だ。だからこそ、ここはポーチに出やすい場面と言える。

6:上級者ならバックハンドスマッシュという手の甲をぱちんと返して叩きつける場面だが、初中級レベルではここは弱点だ。中途半端なボールが力なく漂ってくる可能性大である。チャンスボールが浮いてくることを予想してポーチに出る、というか浮き球をボレーで叩くつもりで待つべきだろう。

7:コートにボールを叩きつけて相手の頭の上を越えるほどのバウンドをさせる、そんなスマッシュを打つことが理想ではある。だが、実際には威力のあるボールが打てても、コースはサーブより更に深く入ってしまうことが多いものだ。そして威力がある分、相手の手の届く範囲に行くとブロックリターンのように面を合せるだけで返球されてしまうものだ。だが、ブロックしただけなのでコースはそれほど厳しいわけもないし、威力もほどほどのスピードだろう。これは結構ポーチしやすいボールだ。スマッシュを打ったのに返球されると結構へこむものだ。でもスマッシュの返球されたボールをポーチで叩き込めれば連続攻撃となる。しかし、このポーチも返球されると、更にへこむが。

さて、上記の場面で前衛がポーチに出やすいならば、後衛はその場面を作ればよい。具体的には

1:サーブをセンターに入れる。
2:ストロークを沈めてローボレーさせる。
3:相手がバックハンドスライスを多用するタイプなら深い球、角度のある球、高く弾む球を相手後衛のバックハンドに集める。
4:相手にリターンミスをさせるようないいサーブを打つ
5:ポーチを空振りさせる。
6:相手のバックハンドにロブを上げる。
7:スマッシュを打つ。

このうち4と5は現実的じゃないな。3と7はテニスでは当たり前のことだ。2はポーチに出てもらうためだけにすることではない。実際に前衛にポーチのチャンスを作るために、後衛が意識して出来ることといえば1と6ぐらいだ。ダブルスで「ゲームを作る」という作業は難しいのものだ。少なくてもサッカーやラグビーのゲームメーカー、バスケットボールのポイントガード、バレーボールのセッターのような仕事は、ダブルスの後衛で出来るのもではないと思う。交互にボールを打ち合うスポーツだから、相手にこちらの意図した行動を取ってもらう、予測されたボールを打ってもらう、ということをしなくてはならない。でも実際には難しいよな。せめてサーブをセンターに集めることぐらいか。

とここまできて気が付いた。先日の試合、如空のペアは左利きだった。左利きの前衛がフォアハンドでポーチに出るのは如空がアドコートからサーブを打つときだ。しかし、このサイドのサーブは相手のバックに入れて、センターはあまり使わなかった。逆にディースサイドはセンター一点張り。ペアがバックハンドポーチになるにもかかわらずポーチを期待してセンターにサーブを入れつづけた。いかんいかん、これではポーチに出にくいわけだ。左利きと組んだときはアドコートからのサーブをセンターに入れるのだ。逆にディースサイドのサーブはコースを散らして、ポーチを期待せず、出来るだけ自分が前に出て行くことを考えなければならなかった。うむ、うかつだったなあ・・・・まだまだ未熟だ。

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