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第088房 「ボレーを何とかしなくては」(2006/05/13)


久しぶりに日曜日も丸々休みが取れた。サークルの仲間たちと神戸の六甲の山奥にあるコートまで遠出して、仲間内でのミックスダブルス大会をしてきた。結果は全敗の最下位。先週のシングルス大会と同じだ。サーブ入る、リターンかえる、ストロークの調子よくラリーも打ち負けない。しかし、ボレーが、ボレーが、ボレーががががあああああ。ミックスダブルスで男性がネットで決められないとほぼ確実に攻撃力を失い負ける。おいおい、このところ負けてばかりじゃないか・・・・・・

仲間たちは遅めの昼食をステーキハウスでとって楽しそうにしている。車の運転手なので酒を飲めないこといいことに、あまり盛り上がりに加わらず、一人物思いにふける如空。これではいかん、ネットプレーをそろそろ真剣になんとかしなくてはいけない。
リターンもストロークも調子が良いのは準備を早くしているからだ。ラケットの引きを早くしているからだ。しかし、せっかく身体に染み付けたその癖がネットではあだになる。ボレーの時もとっさにラケットを引いてしまう癖が抜けない。早いボールだと打点が遅れてしまう。ゆるいボールだとラケットを振ってしまう。これ全てラケットを引いてしまうことに起因している。何とか矯正する方法を考えないといけないな。「ラケットを引かずにボディターン」とは言うは易いが行なうは難し。どうしても肘を引いてしまう。

仲間たちを自宅に送り届けると車をコートに向けて走らせる。今日もシングルスの練習がある。「ようやるなあ」とサークルの仲間たちには半分呆れ顔で見送られる。コートにはいつもより早くついたので同じレッスンを取っている人とボレーボレーをする。如空に股割りの効果を教えてくれた合気道のおじさんである。ボレーの悩みを話すと「グリップを常におへその前にセットするように意識していれば引かずにボディターンできますよ」とアドバイスしてくれた。確かにセット・ヒット・フォロースルーを全てグリップをへその前においたまますると打点が前になる。ラケットに引きがないので振らずに足で押すようになる。それでボレーボレーを試してみる。「いい感じじゃないですか」と合気道のおじさんは満足げであるが、お礼を言いながらも如空はこれだけでは問題は解決していないことがわかっている。

ボレーのもう一つの問題点、それはストロークの後のボレーのタイミングである。スプリットステップを踏んでから打つまでの時間がストロークとボレーでは違う。何を当たり前のことを言っているのだといわれるかもしれないが、このタイミングの違いに上手く合わせられずにいることがもう一つのボレーの問題点なのだ。気持ちよくストロークを打ち合っていた後にアプローチしてボレーするとき、ストロークと同じタイミングで打点に突っ込んでしまう。ダブルスの前衛のように始めからネットについてボレーばかりしているのであれば徐々にボレーはよくなっていく。自力で矯正できる場合が多い。問題はストロークとボレーの両立なのだ。ラケットを引く癖もストロークの後だからこそ発生しやすくなる。

「今日はアプローチからボレーの展開です。」とシングルスのコーチは開口一番そういった。コーチ、あなたは如空の心の中が読めるのですか。なんとタイムリーなレッスンだこと。
「このレッスンで私は何度も何度も何度も何度も言っていますが、深いボールを打てば相手はストレートから逆クロス方向へ打ち返しやすいです。短い浅いボールを打てば相手はクロス方向に打ち返しやすくなります。このことをしっかりと頭に叩き込んでおいてください。試合になって忘れてしまうとレッスンの意味がありませんよ。ネットに出るときはこの特性を上手く利用してください。自分のアプローチショットが深く威力があればパスはストレートから逆クロスです。そちらを予想して備えてください。アプローチショットが短く浅くなって、それでも前におびき出されたらクロスに山を張ってください。」
「出来ればもう一工夫入れましょう。自分のアプローチショットが深く威力のある球を打てたなら、相手のパスはストレートから逆クロスになりやすい。ならばわざとストレート方向を空けて待つのです。相手は何も悩まずに打ちやすいストレートに打ってくれます。それをダブルスのポーチのように飛び込んでボレーするのです。逆も同じ。自分のボールが短くなったのにネットにおびき出されて、そこで相手がしっかり構えていたらクロスをあけておいてください。相手はチャンスとばかりクロスに打ってくれるでしょう。そこに飛び込んでボレーするのです。」
「シングルスではパスのコースを全てカバーすることは出来ませんよ。ダブルスの並行陣のようにネットで壁になることはシングルスでは不可能です。ネットに出ることはリスクを背負って攻めに出ているのです。だからパスのコースを予測して対応してださい。そして出来れば相手にこちらの打たせたいコースに打たせる工夫をすることです。逆をつかれたら、予想の裏をかかれたら抜かれます。それは仕方ないことです、それがネットに出ることに伴うリスクなのですから。」
「アプローチショットのコースはストレートからインアウトですよ。センターに打つとパスの方向が読めなくなります。あと、深いボールを打ったときはロブが来ることも予想しておいてくださいよ。」

コースの予想やわざと空けて打たせる方法は確かに必要な戦術だが・・・・ボレーが、ボレーが、肝心のフィニッシュワークのボレーがあああああああ。

シングルスを始めて教えてくれたコーチは言っていた。シングルスはオールラウンドプレーでないと勝てないと。如空はストローカーでいいんです、と口答えすると「初中級レベルのシングルスでポイントを取るにはストローク戦でミスせずに相手のミスを待つか、ネットにでてボレーでウィナーを取るしかありません。ストロークからのクリーンエースはたまに取れても連続してポイントは取れませんよ。連続してポイントを取れなければゲームは取れないのです。勝てないのです。シコラーになるならいいですが、それがいやなら最終的にはネットに出ることになりますよ。勝ちたいならね。」と言っていた。それを言われたときはストロークだけでも勝てるわいと思っていた。だが今ではあの時コーチが言っていた言葉の意味が良くわかる。そしてそれはシングルスだけでなくダブルスも同じだ。

ボレーを何とかするぞ、そしてネットに出るんだ。

 

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