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第055房 「ショートクロスからの展開」(2006/05/13)

 

今日のダブルスの練習はショートクロスからの展開である。
「相手が並行陣でネットについている状況でショートクロスに打たれた。こちらは雁行陣、ベースラインにいるものはネットダッシュしてこのショートクロスを拾わなければならない。打ち返す先はもう一度ショートクロスへ切り返すのがセオリーだ。特にネットよりかなり低い位置からネットを越そうとするとそのコースしか打てないはずだ。ボールがある程度弾んでくれるとストレートにも打てる。ここからストレートロブという選択肢もあるがこれは難しいぞ。こんなにネットに近いところからストレートロブを上げるとすぐに相手前衛のスマッシュに捕まる。思い切って高く上げるんだ。深くなくてもいい。相手の頭を抜いて陣形を崩すことが大事だ。とにかくセンターを狙ってクロスに打つことだけは厳禁だ。そこに無理に打とうとするとボールが甘くなって切り替えされたボレーは確実にウィナーにされてしまう。」
演説好きのダブルスのコーチの相変わらずの独演会が今日も始まった。
「ショートクロスを打った並行陣側も陣形をやや変更するのがセオリーだ。クロス側の者はショートクロスの切り返しに備えてポジションを前に移動、ネットに詰める。逆にストレート側のものはポジションをやや下がり気味にして相手のストレート・パス、あるいはストレート・ロブに備えるんだ。ショートクロスを仕掛けたからには、この次の一手で決めてしまうつもりで締めてかかれ。」
「このとき、ショートクロスの切り替えしに備えることはテニスをしているものは大概意識している。問題はストレート側の守りだ。ポジションを下げずに、センターを意識してワイドサイドをほったらかしにしている奴が多い。しっかりと体全体でストレートのコースを防ぎに行け。センターは気にするな。浅い位置から打たれたクロスはネットで十分捕まえることが出来る。」
「もし試合で対戦相手がショートクロスを打ったときにストレート側が前に詰めてコースを塞ぐことを怠っていたら、ためらわずストレートを抜きにかかれ。ダブルスの陣形というものは体で覚えるものだ。展開の早いネットでの並行陣は特にだ。ストレートを塞ぐ癖のついていないネットプレーヤーは一度ストレートを抜かれてもすぐに次から防げるようにはならない。センターを空けることを恐れるからだ。そうする練習をして癖をつけていないからだ。その試合の間はストレートが穴になり続ける。クロス側がペアに愛想つかしてショートクロスを打たなくなるまでストレートをパスしまくれ。」

といわれても、実際ストレートパスを打つ度胸のある奴は少なくて、みんなこのショートクロスからの展開の練習では十中八九ショートクロスに切り返す。だが、狙って打ったときは結構高い確率でストレートを抜けた。やはりストレート側の人間が意識していないからだ。この状況でのストレートロブはコーチの言うとおり難しいね。皆試みては前衛のスマッシュの餌食になっていた。よほど良いロブを上げないと。

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