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第050房 「サービスの再構築」(2006/05/13)

 

「キーとなるのはサーブとフォアハンドです。男子シングルスにおいては、プロから初心者までそれはかわらない大原則です。」とシングルスのコーチは言う。これは歴代シングルスコーチ達の共通した見解でもあった。
「攻撃は最大の防御です。サーブとフォアハンドで主導権を握りなさい。主導権を握ってさえいればそこからどう攻めるかはあなたの自由です。」
あなたの自由です・・・・ってそれが出来ないからみんな苦労しているじゃないですか。
「だからそれが出来るようになるように練習するんです。」
・・・そうですね、おっしゃるとおりです。練習しましょう。
「そう、それでは練習しましょう。」
というわけでサーブの集中講義が始まった。

「威力のあるサーブを打つためには腕に回内と内旋の動きが発生していなければなりません。それ以外のスイングでは限界があります。今より上のテニスをするためには、薄いグリップ、つまりコンチネンタルグリップでのきちんとしたスイングのサーブを覚えなければなりません」
来たー、回内と内旋。サーブのスイングを語るとき必ず出てくるこの言葉。正確な定義は技術の専門書や雑誌に任せるとして、とにかく回内と内旋を覚えましょう。
「サービスラインに立って、ネットに背を向けて右足元にボールを落としてください。その落としたボールを背中のネットに向けてラケットで打ってください。ラケットのエッジでボールを打ちに行って打つ瞬間に面をボールに向けるのです。水泳のクロールの最後の一押しと同じ動きです。」弁慶の泣き所であるすねをラケットで打つものが続出するなか、腕に回内の動きを覚えさせる。
「次に左ひざを地面につけて右ひざを立ててサーブを打ってみてください。下半身が使えない、肩も回らない状態にして、腕だけで打つんです。腕の回内と内旋を使わないと飛びませんよ。」
これがまた打点が少しでもずれると飛ばないんだ。
「自分の打点を見つけてください。そして人差し指を効果的に使って。」
人差し指?
「そうです、人差し指です。ラケットを握るとき、グリップに力を入れるのは親指の付け根と小指・薬指・中指で握ってください。人差し指の力は抜いておくのです。そうしてスイングすればグリップからラケットは出て行きます。そして打点で人差し指に力を入れてください。そうすれば腕が回内と内旋を起こしてくれます。」
ほんまかいな・・・・・と思ってやってみるといい感じである。
「スイングはインーアウトですよ。頭の後ろから右肩の前にスイングするわけですよ。フラットもスライスもスピンもこのスイングを応用するわけですよ。」

で、そのサーブを使ってゲーム練習。ディースサイドからのサーブはセンターを狙ってからリターンをもう一度相手のいるところに打ち返してから展開、アドサイドはワイドを狙って相手をコートの外に追い出してから逆サイドのオープンコートに打ってそこから展開、「どちらもリターンを打ち返すとき肩を逆サイドに向けて相手の動きを止めてからフォアのクロスを打ってください。」
これもなかな続けてするとしんどい練習ですな。展開が早いので気が抜けない。こんなサービスゲームを試合で続けられれば、また試合の内容も変わっていくだろう。

子供からテニスをしている人と大人になってからテニスを始めた人とが決定的に差が出るのはサーブだ。自分でトスアップして回内と内旋を使ったオーバーヘッドのスイングが自然に身につくのは子供の頃からテニスをしている人だ。大人になってからテニスを始めた人はサーブを見ればわかる。なぜかどこかフォームがおかしい。子供からテニスをしている人も変な癖を持っている人がいるが打点は狂わないしリラックスしている。大人になってからテニスを始めた人のサーブは打点がおかしいし、どこか変なところに力が入っている。なぜだかわからないが大人になってからテニスを始めた人でサーブのフォームがきれいな人は数えるほどしか知らない。身につけるには時間がかかるし、体が柔らかいうちに覚えさせなければ身につかないものなのかもしれない。しかし、コーチはそのサーブを身につけさせようとしている。

ダブルスの新コーチもごまかしのローボレーでなく、腰を落とした足で拾うローボレーを教えようとしている。そしてシングルスのコーチは薄いグリップの本格的サーブのフォームを如空たちに仕込もうとしている。ある程度より上のテニスをしようと目指すなら本格的なテニスを覚えなければならないということか。これより上のテニスを目指すにはそれが必要だという。前途は多難だな。でもやらなければ強くなれないという。ならやるしかない。

 

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