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第047房 「アングルのハイボレー」(2006/01/14)

 


「スマッシュを打てるボールというのは、実は試合では少ない。勝負を分かつのは、目線より少し高いレベルのハイボールをハイボレーで叩けるかどうかにかかっている。」とダブルスのコーチはいう。ということで今日はハイボレーをアングルに叩き込む練習である。
「フォアのハイボレーは押せ。ボールの側面をラケット面で捕まえてそのまま押せ。打点とラケットとアレーのコートが同じ視界に入る時は捕まえて押せ。ラ ケットは立てろ。叩くときは立てるんだ。手首を手の甲側に折ると振ってしまいがちになる。手首を掌側に折って固めて腕全体で押しにいけ。腰は回すな。それ よりも肩とは逆回転させろ。そのほうが体重を乗せやすい。」
「ショートクロスに来たボールをさらに角度をつけてアングルボレーで返すときは押せないからな。そのときは面を自分の顔に向けて、自分から逃げていくボー ルを手鏡で捕まえるようにとらえて、自分の背中に向かってボールを運べ。このときはボールの勢いは殺せ。距離を短くして山ボールを打たないと、ラインオー バーするぞ。」
フォアのアングルハイボレーは如空も他の人も上手くできる。問題はバックハンドハイボレーである。
「片手打ちバックでハイボレーするとフォアのように押せない。だからバックは叩くんだ、寝かせたラケットを勢いよく起こしてぱちんとボールを叩くんだ。そ のとき、ラケットの起こす軌跡の軸は手首じゃないぞ、肘だ。肘を支点にして、腕とラケットを縦回転させてラケットを起こすんだ。」
スマッシュと同様で、タイミングが合えばいい球がアレーに叩き込まれるが、タイミングが少しでもずれるとネットしたりふかしたりする。やっぱりバックのハイボレーは難しいわ。
後半はそのハイボレーを生かしてゲーム形式をする。フォアは決まるがバックが上手く決まらない。コーチがそっと如空に耳打ちをする。「肘だ、肘。肘が低 い。バックのハイボレーを打つとき、右脇を空けて右肘を高く上げろ。面でボールをとらえる感覚でなく、グリップをボールの高さに振り上げるようなつもりで バックのハイボレーを打て。」
アドサイド前衛に入った如空の左肩上に中ロブ気味のムーンボールが来た。右肘をグリップよりも高くセットして肘を支点にしてラケットを振り上げ、ラケット 面を立てた。ラケット面に側面を叩かれたボールは反対側のアレーに叩きつけられて、ウィナーになった。
「でなかったことができるようになっていく」過程とは実に面白い。だからテニスはやめられない。

 

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