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第042房 「ストレートロブからの展開 その2」(2006/01/14)

 

今日のダブルスの練習は月に一度は行うストレートロブからの展開。相手雁行陣ディースサイド後衛からロブを上げられ受ける雁行陣後衛がサイドチェンジしてロブを返球、その間にロブをあげた方がネットへアプローチ、2トップ並行陣へ持っていくという展開。

持続は力である。こうも一年近くおなじ練習をすると、体が覚えてくれる。始めた頃は皆ストレートロブを走りこんでバックで返球するということすら出来ず、練習そのものが始まらなかった。それが今ではストレートロブに対してしっかりと自分の打点で入り、バックハンドからパスを打ち、相手並行陣のバックハンドでボレーさせて、もう一度つなぎのボレーを後衛である自分の方に打たせるところまで皆が成長した。口の悪いダブルスのコーチも「ようやくダブルスの陣形の練習らしくなってきたじゃないか。」と珍しくほめる。今までは個人技のミスが多くて陣形どころではなかったからな。

こうなってくるとコーチの要求も厳しくなる。最近はロブを上げてネットへアプローチする側へ叱責が飛ぶようになっている。曰く、「攻め方がなっていない。」と。
「最初からネットについている前衛、ボーとするな!後ろからペアが上がってきてファーストボレーしてさらに前に出たら、少しポジションを下げろ。センターに穴が開いているじゃないか。それに、そんなに前に詰めたままだとロブが来てもスマッシュできないぞ。平行陣になったら自分のサイドに上がったロブは全て自分がケアしなくてはいけないんだぞ。わかっているのか。後、相手前衛に安易にボレーを打つな。決められるようなボールが来るまではしつこく相手後衛にボールを集めろ。並行陣になったからといってすぐに攻めるな。まずは壁になれ。相手雁行陣前衛を相手にするな、後衛とだけテニスをしろ。そしてボールが浮いたら叩け、出来ればロブをもらってそれをスマッシュしろ。」
「ネットにいながら浮き球を落して打つようなことをするな。練習でそれをしていたら試合で打てなくなるぞ!ボールが浮いたらためらわずに叩け。ネットするのは足が動いていないからだ。ボールが空中で止まっていても足は止めるな。足で前に詰めて浮き球を叩くんだ!」

この一年間の練習でかなり様になってきたこのストレートロブを使ったネットアプローチではあるが、なかなか試合で使うところまでは行かない。それは如空がディースサイドに入ることが少ないからだ。
この戦法はディースサイド(フォア側)から始めることに意味がある。ディースサイドのクロスラリーからロブを上げるとこちらはフォアでロブを上げられるし、相手後衛にはバックハンドのランニングショットをさせることが出来る。当初、如空たちがまったく返球できずに練習にならなかったことからもわかるように、初中級レベルではバックハンドのランニングショットでバウンドの高いボールを打つというのは簡単なようで実はとても難しいことなのだ。ロブが短くなって相手前衛に捕まるとしてもコースがダウンザラインであれば相手前衛はバックハンドハイボレーになる。これまた初中級レベルでは困難なショットのひとつでバッシッと決められる人間は少ない。これが上級者になると回り込みのスマッシュがあるので危険だが。相手の弱点を攻めつつ、こちらスルスルとネットにアプローチするこの戦法は足が遅くサーブ&ボレー、チップ&チャージでネットダッシュが遅い人、ダッシュしてからのファーストボレーが苦手な人がネットに付くためには非常に有効な戦術だとコーチは力説する。
だがこれがアドバンテージサイド(バック側)だと少し事情が変わる。クロスラリーからだとバックでロブを上げることが多くなるがバックはクロスに飛びやすく、ストレートロブのコースがダウンザラインよりややセンターに甘く入りやすくなる。そうなると相手は余裕をもって追いつき、しかもフォアで返球できる。ストレートロブが短くなればディースサイドにいる相手前衛はフォアのハイボレーかスマッシュで叩いて来るので危険である。初中級レベルで右利きのみのペアで対戦する場合、アドコートはリスクが高いのだ。これも上級者レベルになるとまた事情が変るらしい。

最近なぜかダブルスでディースサイドに入ることが多くなった。ただ試合の時はいいリターン、いいクロスストロークを打つことに専念してしまい、ストレートロブという選択肢を忘れてしまう。せっかく練習しているのにね。次あたり、ディースサイドに入ったときは試して見るか。練習の成果を。

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