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第030房 「走れ後衛」(2005/10/20)

 

今日のダブルスの練習は珍しく一面オールコートを使った1対1での練習だった。何でダブルスの練習なのにフルコートで1対1なのかというと、後衛のディフェンスの練習だからだ。コーチがわれわれのダブルスを見ていて思うこと。それは雁行陣の時に前衛が安易に『お願いします』と後衛にボールを譲りすぎであることだという。
「雁行陣だろうが並行陣だろうが自分が担当する領域はコートの半分だ。なのに君らの雁行陣は前衛が1割くらいしか分担せず、後衛が9割方負担している。ロブが上がると『お願い』、ストレートパスも『すまん』、センターベルトの内側に入った十分手の届く範囲のクロスボールも黙って眼前を通り過ぎるのを見ているだけ。そのくせ到底届きもしないボールにポーチに飛び出そうとして、空振りして戻る。後衛は一人でテニスしているだけでなく味方の前衛にフェイントをかけながらテニスをしている。2対2が2対1になっているだけでなく3対1でテニスしているようなものじゃないか、これでは。」とまあ、いつも口調でボロクソにけなす。その上で、前衛の動きに付いては今日はおいておいて、後衛が大きく走らされた時の練習なのだそうだ。

ディースサイドの後衛がクロスにハードヒット、返球が短く浮いた球がコートのど真ん中に落ちる、それをこちらの前衛が触らずに後衛へ任せた、そこで後衛は回りこみのフォアで逆クロスに打ち込みそのままネットにアプローチ、相手方後衛もペアの前衛が回りこみのフォア逆クロスを触れずにボールがベースラインに飛んでくるのをカバーに入ってとにかく返球する、という想定の元で練習が始まった。

コーチの出したボールをクロスにヒット、続けてセンターに浮き球を短くコーチが出し、それを回り込みのフォアで打ち込む。これは完全にシングルスである。特にディフェンス側、逆クロスを拾う方は大変である。クロスのハードヒットを返球してから逆サイドにダッシュして相手の逆クロスを拾う。ダブルスだとアレーがあるので、シングルスの時よりコースの角度が厳しい。まずボールに届かない。届いてもボールを返せない。
「面をしっかり作ってあわせるだけでいい。スイングはいらない。回転をかけようとするな。とにかく一球でも多く返すという姿勢を見せろ。それがテニスだ。」と走りまわされて声が出ず、肩で息している如空たちにコーチの罵声が飛ぶ。心地よい疲労だぜ。テニスはこうでなくては。



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