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第028房 「中ロブ対策」(2005/05/07)


先週日曜日のシングルス大会予選リーグで如空を負かしてくれたトップスピン少年とフラット兄さんはその後、直接対決でフラット兄さんが接戦を制して決勝トーナメントに進出、そのまま優勝。トップスピン少年は予選敗退者によるコンソレーションで優勝した。トップスピン少年は予選でフラット兄さんに当たらなければ決勝トーナメントで活躍したことだろう。予選リーグでそんな強者に続けて当たるなんて如空のくじ運のよさといったら全く・・・・・

ところでこのトップスピン少年は如空だけでなく、コンソレで如空の仲間たちも次々と撃破してくれた。たまたま見に来ていたシングルスのコーチは無様な如空たちの負け試合を見て、大層ご立腹である。曰く「あの程度のトップスピンをなぜ打ち返せないのですか!」と

というわけで今日のシングルスの練習はひたすら中ロブ対策である。
バウンドの高いトップスピンが打ちにくいのは打点が二点だけになるからである。自分の打てる打点が肩の高さから膝の高さの間としよう。ボールのバウンドが肩の高さを越えなければ、ボールを打てる打点、ヒッティングゾーンは広くなる。バウンドしてから膝の高さを越えた段階でボールは打点に入り、頂点を越えてコートに向かって落ちる過程で膝の高さを過ぎるまで、全てがヒッティングゾーンになる。しかし、ボールのバウンドの高さが肩の高さを超えると、バウンドしてからヒッティングゾーンに入ったボールは肩の高さを越えた時点で一度ヒッティングゾーンを出る。バウンドの頂点を越えて再び落ち始めて肩の高さを過ぎると再びヒッティングゾーンに入る。つまり打点が前後に二つなり、ゾーンが短くなる。前に出てライジングで取るか、下がって落として打つか、この判断を早めにしてすばやくその打点に入らなければならない
それほどバウンドが高くないストロークばかりしているとボールをバウンドの頂点で打ってしまう癖がついてしまい、バウンドが高いボールを打つときにこの前後に動いて打点を調節することが出来ずにミスすることが多くなる。
低くて早いボールの打ち合いの後、ロブを打たれて処理に失敗するという場面をよく見るが、あれは緩急の差が原因でミスしただけでなく、このライジングか落とすかの判断が遅くて打点に上手く入れていないことによる動きに悪さもミスの原因である。

「なぜ、その前後の判断が遅くなるか、前後の打点の調整が遅れるのか、それはフットワークで歩数が決定的に足らないからです。速い球を追いかける時あれだけ足を動かしているのに、ゆるいボールが近くに飛んできた時、足を動かさずに待っているでしょう。だから打点に入れなのです。打つときは止まって打ちますが、打つまでは足を動かすのです。出来れば打点にダブルステップで踏み込んで入るのが理想です。回転のかかったボールはバウンド後予想を裏切る動きをするものです。それにも追随できるよう細かいステップでぎりぎりまで微調整することが必要です。」
今日のコーチの弁は熱が入っている。
「あと深いボールは無理して高い打点で打とうとせず、ある程度落として、しっかりとスピンを打ち返してください。中ロブ気味のボールはゆるいのでチャンスボールに見えますが、深い位置から高い打点のフラットを叩き込んでも攻められませんよ、距離があるので相手も充分追いつきます。打点を落として、こちらも深いトップスピンを打ち返して、相手を動かして、コートの外に追い出して、短いボールをもらうことに専念してください。いいですか、落ちてくるボールの軌跡をなぞるようにラケットを振り上げるのです。ライジングで叩きに行くのはボールが短くなってからですよ。」

で、中ロブによる振り回しの練習が始まった。ボールはゆるいが振り回される方は全速力である。時々短い球を混ぜられて、それは全てフォアに回り込んで叩き込む。心臓が喉から飛び出すのではないかと思うくらいに走らされ、膝が笑うまで続けられた。

コーチは先週、如空がフラット兄さんに負けた試合も見てくれており、サーブの配球が大層不満げである。
「ワイドにサーブを入れてリターンエースを何度も喰らっていたでしょう。リターンのいい相手にワイドへサーブを打つのは自殺行為ですよ。センターにサーブを集めてリターンの角度を狭めて、とにかく相手のリターンからの攻めを防がなくては。センターにサーブを集めてリターンを止めて、ストローク戦を一から始めればよいのです。以前に何度か教えているじゃないですか・」
すみませんコーチ、コーチの教えを試合で実践できなくって。熱くなると強いサーブをとにかく打とうとして、ディースサイドでは特にワイドにいってフォアで叩かれてしまうのだよね。クレバーに行こう。そうなれるように努力しよう。わざわざ試合を見てくれていたコーチのためにも。



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