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第018房 「短く刻め、ローボレー」(2005/05/07)


短く刻め、ボレー
「いいか、ローボレーってのはネットより低いところで打たされるからローボレーって言うんだよ。ネットより低いところから厚い当たりのいいショットを打つということは原則ダブルスではできないんだ。シングルスなら打てばいいよ、厚い当たりの深いローボレーを。前衛がいないからな、ローボレーがネット上の高い位置を通っても相手がベースラインに立っていれば叩き込まれない。しかし、ダブルスは2バックでない限り、ネットに一人あるいは二人ボレーヤーがいるんだろう。ネットの高いところへネットの下からボールを送ったら相手につかまるじゃないか。上手い人はそれを避けるためにショートクロスに超アングルボレーを打つんだよ。でもそれがいつも出来るとは限らないだろう。技術的にも、位置的にも。だからダブルスでローボレーさせられたときは短い球を打てばいいんだよ。ネットに近くネットより低いところから、ボールを浮かさずに、つまりネットの高さすれすれにボールを打てば、自然とボールは短くなるんだ。相手コート深くに返そうとするからボールが浮くんだ。短くていいんだよ、ダブルスのローボレーは短くて。相手前衛にもローボレーをさせればいい、後衛は前に引きずり出せばいい。とにかくダブルスでのローボレーは短く刻め。ネットより低いところで打たされたときはいいショットを打ち返すことはあきらめろ。逆に相手にローボレーさせたら後衛はショートボールを警戒しろ、出来ればそれで前に詰めろ。おびき出されるのと自分から前に出るのとでは精神的な優位さが違う。そして前衛はローボレーが浮いたならポーチして叩けるよう備えろ、浮かなければ短く切り返せ。そんなことはダブルスの基本だぞ、シングルスばっかりやっているから勉強が足らんのだ、愚か者。」

日曜日の朝、金曜日のダブルス大会での予選敗退の顛末を説明したら、ダブルスのコーチにこのように罵られた。おっしゃるとおりなので黙って聞いていた。短いボールはミスショット、打ってはいけない、常に厚い当たりのボールを深く打つ、と自分に命じてプレイしているところが如空にはある。当たりが厚いかどうかは別にして、ローボレーを低く浮かさずに返すためには短く刻む感覚が必要なのかも知れない。冷静に金曜日の試合を分析してみれば相手ペアがネット際に落としてきたのはコーチの言う「ローボレーを短く刻んだ」結果なのかもしれない。如空も短く刻むローボレーを試してみよう。

日曜日の夕方、シングルスのレッスンは奇しくもネットアプローチの特訓であった。シングルスのコーチのシングルスにおけるボレーの戦術はこうだ。
「クロスに深く打っては行けません。切返しをされてカウンターショットを喰らいます。ショートクロスに短く刻むか、ストレートに深く打つか、この2パターンを基本にしてください。ショートクロスに短く刻むときは、ラケットを立ててボールの横を叩くイメージで。体を固めて打ちます。ストレートに深く打つときはラケットを寝かせて、ボールの下を捕まえて、前に大きくフォロースルーを取る。体を柔らかく使って打ちます。寝かすといっても手首とラケットの間には角度をつけておくのですよ。顔も起こしておくように。深く流すボレーと短く刻むボレー、2種類出来る人は少ないですね。どちらか片方しか出来ず、それがボレーの唯一の正解だと考えている方が多いですが、ボレーにもいくつか種類があります。それを使い分けられれば攻めにもバリエーションが出ますよ。」
バリエーションの少ない如空は早速特訓に励む。如空がいわゆる「流し打ち」とか「マッケンロー打ち」とかいうラケットを寝かせて打つボレーが如空は苦手だ。どうしてもラケットを立てて打ってしまうので、肩を打つほうに入れてボールを引き付けないとストレートにボレーできない。グリップに問題があるのだろうか。しばらくこのラケットを寝かせてストレートに打つボレーを特訓してみよう。


 


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