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第五房 「フォアハンドでしっかりクロスに打てますか」(2004/11/14)

 


体の正面に来たボールをストロークで返球するときは、ほとんどの人がフォアハンドに回りこんで打ちますよね。ファアをストレートとクロスに打ち分けられれば、最悪バックハンドはクロスにしか打てなくても何とかテニスの試合は出来ます。逆に言えばフォアでコースの打ち分けが出来ることは最低限試合に出るための必須項目といえましょう。
しかし、ストレートはともかくクロスにはしっかりと打てていますか。


ストレートとクロスの打ち分けの練習でストレートには真っ直ぐボールが行くのにクロスはセンターに甘く行ってしまうことはありませんか。自分ではコートの一番角を狙って打っているつもりなのにボールはセンターマークに行ってしまう。ネット上のセンターベルトを狙って打ってもセンターベルトの内側を通ってしまう。シングルスだと相手のいるところに返球してしまうし、ダブルスだとポーチの餌食になってしまう。


ストレートよりも意識して打点を前に取らないとフォアではクロスには飛びません。同じフォームでストレートとクロスを打ち分けようと思うと、ストレートの方をもっと前に打点を取って打つ必要があります。しかし、打点を前にと言われても実際のラリーの中ではなかなか意識できませんよね。


そんな時、効果的なのが左手で打点の前後を計る方法です。


右利きの場合、フォアハンドを打つときよく左手を打点位置に突き出せと指導されますよね。うまい人はほとんどやっています。この打点に突き出された左手、普通はこの左手目指してラケットを振り
出すだけですが、ここで少し工夫してみてみましょう。つまりストレートを打つときはこの突き出した左手より少し手前で打つようにするのです。逆にクロスに打つときは突き出された左手よりさらに前で打つように意識するのです。そうすればしっかりと角度の付いたクロスボールが飛びます。


このとき気をつけなければいけない事は、クロスはストレートより心持高く打ち上げてあげなければならないということです。ネットはストレート方向よりクロス方向(つまりセンターベルトの地点)の方がネットは低いのでボールも低くていいのだと考えても良さそうですが、クロスはストレートより距離が長いのです。だから同じ強さのボールを打つのであれば、クロスへはストレートより高く打たないと遠くに飛びません。ストレートと同じ高さに打つとボールが短くなって相手のチャンスボールになります。また、せっかくクロスに打つために打点を前に取ったのに、そのため上体が前に突っ込んでしまい、体が前に倒れると、ラケット面が下に向き、ネットしやすくなります。


打点を前にしたままボールを高く打ち上げるためにはボールを下から見ると良いようです。「ラケット面の裏からボールを見るようにしてボールを押し出せ。」という指導もよく聞きますよね。ボールをガットの後ろから見るとき、ストレートのときよりも意識して下から見るようにするのです。そうすればボールは上に向かって打ち出されます。しっかりスピンがかかっていれば素晴しいクロスボールになるはずです。
そのためには打つときに後ろ足の膝を曲げて腰を沈み込むように打つと体がうまく上を向いてくれます。体は沈み込みますがラケットだけ鋭く上に振り上げればスピンもよくかかります。スピンかけるために椅子から立ち上がるようにボールを持ち上げる人がいますが、この場合ボールは確かに持ち上がるのですよ。しかしスピンのかかりは悪いです。スピンをかけるためにはラケットを鋭く速く振り上げる必要があるからです。そのためには顔からラケットが遠くに離れていくようなスイングが良いと思います。


私はこの左手で距離を測って打点を前にすること、そして体を沈み込ませるようにしてボールを下から見上げて高い軌道のトップスピンを打つことを意識するようになって、フォアハンドのクロスがしっかりとクロスに深く飛ぶようになりました。


しかし、このことを逆説的に考えると、ストロークはストレートに打つことのほうが実は難しいのだと分かります。ネットの高い所を通し、かつクロスより短い距離でボールをバウンドさせなければなりません。低い打点からこれを打つとボールはゆるい山ボールになりやすくなります。安全に、また効果的にストレートを打つためには、ネットの高さより高い打点で打たなければなりません。高い打点だと速いボールでもネットを越えてコートに収まってくれます。
高い打点で打てるときはストレートでもクロスでも打てますが、ボールを落として低い打点で打つときやライジングで打つときはクロスが原則ということで決めておくと、確立の高いテニスが出来ます。


初心者レベルのラリーの基本と私は考えています。


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