第011房 M-File 3HUNDRED (2007/07/25)
2005年10月14日
「飛ぶラケットに飛ばないストリングを張るべきか。飛ばないラケットに飛ぶストリングを張るべきか。それが問題だ。」
如空のラケット遍歴にあるがごとく、去年までの如空のメインラケットはダンロップの300Gであった。しかし、今年に入ってバボラのピュアドライブにメインを変更している。シングルスでつなぎ球のムーンボールを打つのには、ピュアドラのほうがいい球が打てるからだ。またストロークだけを考えるとガットを硬めに張った方が良い。しかし、ネットでのボレーの向上のために今まで55ポンドで張っていたルキシロンのアルパワーを50ポンドまで下げて使うようになった。テンションを下げ始めた頃はストロークがふけてラインオーバーばかりだったが、やがてそれも収まるようになった。回転でコントロールする術を覚えたからだ。
考えてみればテンションを硬く張っていた頃はフルスイングでハードヒットしたときにストロークがベースラインに収まるような状態だった。しかし、それでは短いボールや角度のついたボールを打とうとしても力の入れ具合を落とすしかその方法を知らなかった。テンションを緩めて思いっきりフラットにひっぱたくとラインオーバーするチューニングのラケットとストリングを使い始めてようやくスピンをかけて回転の量で距離をコントロールする術を知ったような気がする。
50ポンドというテンションは世間相場ではまだ「硬め」の数値である。しかし、ピュアドラはフラットでひっぱたくと良く飛ぶラケットなのでこのくらいがちょうどよい。ちなみに300Gではアルパワーを45Pで張っていた。これと同じ飛距離を求めるとピュアドラでは55Pぐらいになるというのが如空の個人的な感想である。
ところでダンロップの名器200Gと300Gは今年それぞれモデルチェンジしてM-FIL 2HUNDREDとM-FIL 3HUNDREDというモデルになった。以前200Gや300Gを愛用していた関係上、非常に気にはなっていたのだが、試してみる機会がなかった。ようやく先日M=FILの3HUNDREDを試打する機会に恵まれた。一時間半3HUNDREDを使ってテニスをした。最初硬いイメージだったが途中からスイートスポットにしっかりとボールを捕らえるとグンとボールが飛ぶラケットになった。ストロークもサーブも回転をかけたいとき、フラットでタッチによるコントロールをしたいときと、それぞれの場面でこちらの意図が自在にラケットに伝わる。錘をつけたピュアドラより軽いのでネットでの操作性も良い。スマッシュを打つときすぐにラケットを担げて準備が早くなった。何より打球感が良い。ボールをスイートスポットに捕らえて芯を食った時に手元に感じるあの感覚は、とても心地よい。アルパワーとピュアドラの組み合わせでは感じることの出来ない感覚である。
試打に使用した3HUNDREDにはバボラのパワジーが50Pで張ってあった。この素晴らしい操作性と打球感はラケットだけが原因ではない。このストリングも関係している。パワジーは飛ぶストリングだ。アルパワーでは45Pまで落とさなければ使えなかったラケットがパワジーだと50Pでちょうど良い感じになる。強いストロークをブロックボレーしたときにストリングがトランポリンのようにたわんで元に復元する様が手を通じて感じ取れる。俗に「食いつきが良い」といわれる感覚はこのパワジーを使うとよく感じ取れる。以前、パワジーを試してみたときにはなんとなく「ぽわんぽわん」した感じがして好きにはなれなかったのだが、あれはストリングをゆるく張りすぎていたのだ。3HUNDREDに50Pだとちょうど良い。飛ばしたいときには飛んでくれて、飛びを抑えたいときにはしっかりと抑えてくれる。
心が揺れた。アルパワーは「飛ばないストリング」だ。これに飛ぶラケットであるピュアドラを組み合わせることで今いい感じになりつつある。ピュアドラはとにかく「1球でも多く相手のコートに返す」事を目的とした場合、最適のラケットであった。シングルスの試合でもっとも頼りになる相棒である。しかし、打球感がなんとなくぼやけるというか鈍いので、調子がいいときの微妙なタッチや回転の量によるコントロールが難しい。もちろんそれはラケットのせいではなく如空の腕が未熟であることが原因である。しかし、3HUNDREDにパワジーでの組み合わせだとそれがより詳細に実現できる感じがする。問題は所謂リカバーショット、苦し紛れのショットでピュアドラのごとくネットを越えてコートの中に納まる返球が可能かどうかである。少し試してみたい衝動に駆られた。
翌日、なじみのテニスショップにM-FILの3HUNDREDのグリップ3を一本注文した。「ストリングはいつもアルパワーですね。」というスタッフの問いかけに「いえ、パワジーを50Pで」と回答した
当分、「飛ぶラケットに飛ばないストリングの組合せ」であるピュアドラ+アルパワー(50P)と「飛ばないラケットに飛ぶラケット」の組合せである3HUNDRED+パワジー(50P)を使い比べてみよう。
どちらにするべきか、それが問題だ。
コートの上でハムレットのごとく存分に悩むことなる。
To be, or not to be, that is the question
2005年10月16日
今日はもう一ついつもと条件が違う点があった。いつもピュアドラではなく買ったばかりの3HUNEREDを使ったのだ。先日、初打ちした時はいい感じだったが、今日は完全に別物だった。硬い。ボールが飛ばない。フラットドライブはいい感じだがスピンのかかりが悪い。途中、このままではまずいと思い、ピュアドラにチェンジしたが今度は飛びすぎて押さえが利かない。すぐに3HUNDREDに戻して試合を続行させた。こうも両者は違うものか。3HUNDREDのほうがスイートスポットが狭い。とにかくスポットに当てなければ。そのことが今日如空を集中させたもう一つの原因かもしれない。しかし、あれを試合で使いこなすには更なる修行が必要だな。やはり合理的に考えてピュアドラを使うべきか。しかし3HUNDREDだったからこそ、今日あれだけ競れたという見方もある。いや、悩ましい。
2005年10月22日
今日はMFil-3Hとピュアドラを交互に使い分けてみたが、えらい性格が違うな。MFilはボールを捕まえるように打たないと前に飛ばない。それをするとスピンがかからない。ピュアドラはラケットに当てただけで飛んでくれる。回転も比較的かけやすい。ダブルスの練習の時はピュアドラの方が良い感じだった。しかし、練習後の仲間内のゲームでは一転、MFilの方が使いやすい。微妙なタッチで距離をコントロールできる。サーブもピュアドラだと飛びすぎる。
思うにその日体を動かし始めるときはスイングを振れていないのでピュアドラの方がつかいやすいのだろう。スイングが振れるようになるとMFilの方がきめ細かいコントロールだ出来るのだろう。試合のときはやはりピュアドラの方がいいということになるな。しかし、趣味のレベルで考えるとMFilを使ってみたいという欲求が頭を持ち上げる。合理主義をとるか、趣味をとるか、悩みどころだ。
2005年10月24日
MFil3Hはピュアドラと比較するとやはり難しいラケットだ。こいつでボールを飛ばすにはスポットでしっかりとボールを捕まえて前に押し出してやらなければならない。その打ち方をするとスピンがかかりにくい。自然とコントロールは回転でなくタッチが主体になる。このことが自分に合っているかどうかポイントだ。前モデルの300Gにアルパワーを45pで張ったときはそれほどスピンをかけるのに苦労しなかった。パワジーを50pで張っていることがスピンをかけにくくしているのか。今度アルパワーで45pも試してみよう。金がかかる話だ。
2005年11月12日
くそ、練習前に知り合いとボールを打ち合っていたら、いきなりストリングを切ってしまったじゃないか。張り替えたばかりのアルパワーどうしてくれるんだ、今月金ないのに。仕方ないから以前試合の景品でもらったストリングを持込で張るとしよう。バボラのブリオとか言うストリングだ。打球感は同じバボラのパワジーに似ているらしい。48Pで注文したが、さてどんな感じに仕上がるか。
そういうわけで今日のダブルスの練習はスペアで持っていっていたピュアドラを使う。Mfil3Hとの違和感を少しでもなくすために鉛をはずして軽くして使った。
ボールの飛びも問題だが、バボラはグリップが太いな。ダンロップのG3よりはるかに太い。ダンロップのG3がちょうど良い感じなので、ピュアドラはG2を選ぶべきなのかも知れない。
2006年02月06日
ラケットを一つ新調した。ダンロップのM-File300をもう一本買ったのだ。アルパワーを47Pで張る。これでM-File300が二本体制となった。ピュアドラは当分お蔵入りだ。今年はこの二本と心中すると決めた。最近、タッチも回転のようやくイメージに近い形で実現するようになった。特に振られて厳しい球を厳しい体制で打ち返すときボールを当てただけでいいところに返ってくれる。M-Fileがリカバーショットでピュアドラより頼りになるラケットになるとは思いもしなかった。やはりストリングとテンションを色々と探って試してみないといけないのだと改めて実感した。
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