第010房 JIBのバック (2005/08/20)
珍しく、仕事を全て金曜日にやり遂げた。週末は土日共に休める。さあテニスだ。と金曜日の夜に興奮しながら床に就いた。夜が明けると、梅雨になっていた。近畿地方入梅宣言・・・・・・梅雨なんかどこか行ってしまえ!と心で叫びながら電車で京都に向かう。雨の中、テニスバックを探す旅に出た。
テニスバックを探すのにわざわざ京都に向かうのは理由がある。数ヶ月前に女子大生に教えてもらったJIBのバックを手に入れるためだ。
数ヶ月前のことだった。この数週間取り組んできた仕事の成果を持って営業部隊が東京までクライアントにプレゼンテーションをしに出張していった。あなた売る人、僕作る人。作る人である如空は先週末仕事と雷で潰れたテニスの練習の遅れを取り戻すために、日のあるうちに帰宅してコートに向かった。いつもとは違うメンバーに飛び入りで参加させてもらった。おばちゃんばかりの集団だったが、一人とても若い娘がいた。話してみると大学生だった。若い若い。その娘が持っていた白いバックがとても素敵だった。ラケットがちょうど入る長方形でラケットを入れてもラケットの形がわからない。持っていてもテニスに行くとはわからない。シンプルだがいいデザインだ。聞くとJIBというメーカーのモノらしい。帆布で出来ているラケットの入る白いバック。今度如空も探してみようと思った。
JIBはヨットのセイル(帆)に使われる素材を使ってバックを作っているメーカーである。神戸や京都の大学では密かなブームでサークルごとにオリジナルのカラーオーダーでバックを作ってそろえている。私が見た女子大生の持っていたバックも彼女が大学のテニス部でそろえたものだった。
テニスバックといても特別な機能があるわけではない。単にテニスラケットが入る大きさの横長のトートバックでしかない。だがそのシンプルさが良いのだ。テニスのラケットバックは自己主張が強すぎる。カラーリングが派手だし、いかにも「テニスしています。」「ラケット入れています」とわかるデザインである。しかし、テニスだけをするために外出する時ばかりではない。休日出勤で職場に持っていく時もあるし、そのままよその家にお邪魔することもある。着替えてそのまま街に繰り出して飯食いに行こう、お茶しよう、飲みにいこうということもある。街で服や本やCDを買いに出ることもある。そんな時、あのラケットバックというのは持ち歩くのに妙に気恥ずかしいものなのだ。
もっと、地味なカラーリングで渋い素材、カッコイイデザイン、何より一目見て「大きいけどラケットが入っているとはわからない」バックがいい。そんなバックがほしい。そう思って探していた。そんなバックをたまたま同じレッスンを受けていた学生さんが持っていた。そのバックがJIBであった。気になって早速インターネットで検索して、品物が置いてある店を探して見に行ったが、大阪ではラケットバックを扱っていないようだ。見つけることが出来なかった。京都にJIBの専門店がある。そこではカラーオーダーも受け付けているという。障害があればあるほど欲しくなり燃え上がるのは恋愛だけではない、物欲もまた同じである。大阪で簡単に見つかっていればそれほど欲しいと思わなかったかもしれないが、大阪中探し回って見つからなかったので、何が何でも欲しくなった。
そういうわけで久しぶりに京都に出向いた。如空は学生時代に建築を学んでいたので、日本建築史の勉強のため京都と奈良のお寺をずいぶん回った。おかげで京都の地理には明るい。非常に見つけにくいところにある小さなショップだが、如空は間単に見つけた。
お店は女の子の世界、原色の色がお花畑のように広がっている。男が入るにはかなり勇気が必要な店だ。マッチポイントでサーブを打つ瞬間のような勇気を振り絞ってドアを開けた。すぐに探していたものを見つけた。よく見ると頭の中でイメージしていたより少し生地が薄い。少し迷ったがここまで来たのだから購入することにした。カラーオーダーをする。店内のサンプルはピンクやらイエローやら女の子好みの明るい原色のカラーばかり。30過ぎたおじさんの持ち物はもっと渋くなくては。全体はネイビーブルー、ファスナー部分はグレー、取手はホワイトにして注文した。ネーム入れが無料だったので自分の名前をローマ字で入れた。作成に1ヶ月かかるという。
梅雨が明け、夏が始まる頃、如空はネイビーブルーのラケットバックらしくないバックを颯爽と担いでコートに通う。それが今年の夏の予定だ。車も購入予定だ。夏の楽しみが増えた。今から夏が来るのが楽しみである。
追記
後日、この記事をUPしてからJIBのバックで検索されてここにこられる方が増加している。そんな中でラケットバックではないが、テニス用のオリジナルのトートバックをJIBで作成して販売されている方からメールをいただいたので、そのWebサイトをリンクしておきます。こちらです。
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