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2007年 ウィンブルドン TV観戦記(2007/07/25)

 

2007年06月22日 2007 ウィンブルドンドロー

ウィンブルドンのドローが出た。例によって独断と偏見による自分勝手な展望を見てみよう。

男子シングルスは主要な選手が顔をそろえた。
第一シードはフェデラーの指定席である。彼の山は第五シードゴンザレスを筆頭に、トルスノフ、ハース、ブレーク、フェレーロがそろった。フェデラーはウィンブルドンでいきなり今年初の芝のコートを戦うことになるのだが、芝の連勝記録を更新中のこの芝の上に君臨する圧倒的強者は波に乗れば大きな問題なく、この山を突破するだろう。そういう意味ではシード選手と当たるかもしれない大会中盤より、一・二回戦の入り方の方がフェデラーの連破に向けての大きな試練石となろう。
第三シードはロディック、彼のいるトップハーフの下半分は第八シードのマレーを筆頭に、ハーバティ、フェラー、リュビッチ、ガスケ、チェラと個性的な顔ぶれがそろった。直前の芝の大会で久しぶりの優勝を飾っているロディックではあるが、この曲者たちを無事突破できるだろうか。そしてQFでロディック対マレーが実現すれば、これは要注目である。
第四シードはジョコビッチ、彼のいるボトムハーフの上半分は第六シードダビデンコを筆頭に、ナルバンディアン、バクダティス、ヒューイット、カナス、ボランドリーとライジングからのアップテンポなラリーが得意なオールダウンダーがそろった。同じようなタイプのテニスを展開すれば誰が一番か、それを見るに最適のドローである。QFでジョコビッチ対ダビデンコが実現すれば、今季好調の者同士の激戦が予想される。
第二シードはナダルの指定席、彼の山は第七シードベルディッヒを筆頭にビョークマン、ロブレド、ユーズニー、ニーミネン、ソーダーリンと地味な実力者がそろった。去年同様、芝でも強さを発揮するナダルに、彼ら地味な実力者たちがどこまで通用するか注目しよう。
5連覇のかかるフェデラーであるが、今年はややその強さに安定と凄みが足らない。そこを今季調子を上げつつあるロディック・ジョコビッチ・ダビデンコ・ヒューイット・カナスらがチャンスを見出せるかどうかが注目であろう。そしてナダル、この赤土の覇者は今年もまたクレーでの勢いそのままに決勝まで進むのか。もし決勝がまた去年と同じフェデラー対ナダルになったとき、結果が去年と同じになるとは限らない。

女子の第一シードはエナン、彼女の山はまたもや第七シードでS・ウィリアムズがいる。他、シュニーダー、ハンチェコワ、スレボトニク、ストーサーがいるが、QFはまずエナン対ウィリアムズになろう。さてウィリアムズは全仏のように簡単には引き下がらないでもらいたいものであるが、それをさせないだけの磐石な強さをエナンが備えつつあるのが事実だろう。
第三シードはヤンコビッチ、彼女の山であるトップハーフの下半分は第八シードチャクベターゼと第九シードヒンギスがいる。ヒンギスの老獪な戦術がヤンコビッチの勢いを止めるのか、ここの対戦は実現すれば要チェックである。
第四シードは去年の覇者モーレスモ、彼女の山であるボトムハーフの上半分は第六位シードイワノビッチを筆頭にスキアボーネ、ペトロワ、バイディソワ、ガルビンとなかなかのタフドローとなった。調子を落としているモーレスモがここを勝ち抜くにはかなりの困難を伴うに違いない。特にイワノビッチとバイディソワの二人はベスト4を狙える位置にいる。
第二シードはシャラポワ、彼女の山は第五シードクズネツォワを筆頭にゴルビン、ディメンティワ、サフィーナ、V・ウィリアムズ、杉山がいる。ハードヒッターがそろったが、シャラポワはのぞむところだろう。今季優勝のないシャラポワではあるが、芝の上では調子を取り戻すのではないかと見ている。
女王エナンの生涯グランドスラムの挑戦がまた始まる。去年、エナンを苦しめたシャラポワとモーレスモが今年は調子を落としている上、台頭しつつあるヤンコビッチ、イワノビッチ、バイディソワらはまだエナンを脅かすまでにはいたっていない、ウィリアムズ姉妹もロシア勢もヒンギスもエナンを苦しめるにはいたっていない。今年はエナンにとって大きなチャンスといえよう。そのチャンスをエナンは生かしきれるか。

ここ数年、ウィンブルドンは全豪・全仏・全米に比べると、盛り上がりに欠けやや退屈なトーナメントになっている。今年はここ数年の停滞を払拭する熱戦を期待したい。

 

2007年06月26日 2007ウィンブルドン開幕

ウィンブルドンが開幕した。全ての試合が消化できたわけではないが、おおむね順当な滑り出しだろう。シード勢も順当で大きな波乱はなかった。さてNHKは完全にBSアナログでのウィンブルドン第一週中継をやめてしまった。おかげで地上波の3時間中継を見ている。初日は中村とヒンギスだった。中村はファーストの入りが悪く、苦しい試合展開だったが、対戦相手のスーハも不調で、そのミスにかなり助けられてのストレート勝利だった。ヒンギスは二セット以降の中継だったので、第一セットを落とした要因というのがよくわからなかった。ただいつも以上に角度をつけて相手を左右に振っていた。第二第三セットを連取して逆転勝利をおさめるが、いつもの大胆な試合展開はなく、地味にこつこつとポイントを重ねて後半を勝ちきった。ヒンギスらしいオープンコートを作り出す展開をもっと見てみたかったが、相手が左利きでやりくかったようで、鮮やかなウィナーはいつもよりかは影を潜めていた。それでもこれから調子を上げていってくれるだろうと期待はしている。とにもかくにも今年もウィンブルドンが始まったのである。熱戦を大いに期待しよう。

 

2007年06月27日 モーレスモ充実

ウィンブルドンは二日目も順当、上位シードも安泰だった。ヴィーナスも大苦戦したようだが逆転勝ちした。20番台30番台のシードにはダウンもあるが、これは波乱とは呼べないだろう。たとえばヘンマンがモヤに勝った試合とかね。シードが30以上にも増えたのってここ数年の話だと思うけど、あまり意味がないように思えるのは如空だけだろうか?やはりトーナメントの場合シードはNo16までだと思うけどね。
NHK地上波の深夜録画中継でモーレスモの試合を見た。
モーレスモはいきなり肩にヘッドのロゴの入ったラケットバックを担いでコートに入ってきた。ラケットバックから取り出したラケットはやはりヘッドだった。ダンロップからヘッドにラケットを替えたようだ。モーレスモはダンロップ契約選手の看板選手だっただけにとても違和感がある。新しいエアロジェルはモーレスモのお気には召さなかったのだろうか、それとも単なる契約上のもつれでスポンサーを替えたのだろうか。ダンロップファンの如空としては残念である。
モーレスモのテニスは実に充実していた。サーブもフォアもスピンが主体で所謂ハードヒットはあまり使わない。それでもボールは深く、そしてコースをうまく打ち分ける。当然対戦者はバックにボールを集める。モーレスモはそれを前半はスライス主体で、後半はスピン主体で対抗した。バックハンドの切れが良い。スライスは肩を入れた状態からクロス・ストレート・逆クロスとコースが自在で、深い球・ドロップショット・ショートクロスと距離も自在である。そしてスピンはスイングがコンパクトになった。エナンのバックハンドのようにパチンと弾くスイングで、球足の速い芝の上でもライジングで打ち返してくる。それだけのストロークを持ちながら、それでもネットに果敢に出てくる。胸を張ってラケット面を上に向けて、スタンスを大きく広げて、脇を空け両肘を左右に張り出し、左右にゆったりとゆれながらネットにつく様は余裕と迫力を感じる。ボレーを拾われても動じず、何度でも打っていく。それも相手のいないところに。ベースラインからでもネットからでもボールにスピードを持たせず、むしろコース重視で、相手のいないところいないところにボールを入れていく、オープンコートを作ることに集中して、そして、オープンコートにボールを入れていくことでウィナーを取る。まるでヒンギスのテニスを見ているかのような見事な展開であった。
ただ第二セットは対戦者にやや粘られた。ここはモーレスモも、ヒンギスも、そして引退したクライシュテルスも同じなのだが、相手がペースを上げたときに、さらにギアを上げて一気に追い落とすということが出来ない。マイペース過ぎるというべきか、相手のペースアップに追い上げられることが多いのだね。このあたりは技術や戦術というより性格によるものであるのだろうが。しかし、盲腸の手術による一時戦線離脱、クレーシーズンの不振により、このウィンブルドンはあまり期待していなかったが、イーストボーンの決勝対エナン戦の激闘はまぐれではないようだ。モーレスモのテニスは実に充実している。優勝した去年のウィンブルドンよりいい感じだ。これは期待できよう。

 

2007年06月28日 まだまだ差は歴然として

ウィンブルドンは三日目も順当、NHKの地上波は森田あゆみのウィンブルドン本戦デビュー戦を中継したが、森田はフルセットの末、負けた。雨の中断にもめげずに勢いの付いた第二セットを取ったが、第三セットで一気に5-0にされた。3ゲーム戻したが流れを完全に変えるにいたらなかった。森田は大阪のスーパージュニア決勝で見たが、そのときと比べてサーブのフォームが少し変わっていた。だがそれ以外は大きな変化はなく、ライジングからのハードヒットを左右に振るテニス一本やりでシード選手に立ち向かった。だが単調であった事は否めず、特に相手に攻められたときにロブを上げることもなく、センターに甘く返してしまってオープンコートに切り返されてポイントを失う場面が目立った。このあたりは今後の課題となろう。
遅れた一回戦を消化する一方で、二回戦が始まっている。中村はヒンギスに挑み、見事に6-1 6-2 で負かされた。ポイントは競る場面も多々あった。だがゲームを取らせてもらえなかった。こういう試合を見るとヒンギスのうまさを改めて思い知らされる。ヒンギスはするするとネットに出てくるのがうまい。所謂アプローチショットを使わず、エナンやフェデラーのようにハードヒットしてから出てくるわけでもない。ストロークを打った後、ベースラインの中に入り、相手がまだヒンギスがベースラインにいるものと思ってネットの真ん中にやや高めに通るつなぎの球を打った後、スルスルと前に出て、そのつなぎの山ボールを角度をつけてボレーでぽんといれてしまう。ネットに出てきていることがわかっていれば鋭いパスかロブを上げたものの、相手はヒンギスがベースラインにいると思ってつなぎの球を打ってしまう。それほどスピードボールではないので、相手が打った後ネットにつめても十分間に合うのである。実にうまい。またこの試合、中村もヒンギスもサーブのコースはワイドに徹底していたが、中村のサーブはファーストの入りが悪く、ヒンギスに完璧にリターンされていた。一方でヒンギスのワイドのサーブは効果的で、それほど速くはないが厳しいコースを丁寧につき、中村をコートの外に追い出した。そして時に奇襲で使うセンターへのサーブでエースも欲しい時に取っていた。ストローク戦では押す場面も多々あった中村ではあったが、テニス全般の力量の差は歴然であった。
ところでNHKさん、三日終わって地上波は6試合中継し、その全てが女子の試合でしたね。そろそろ男子も一試合くらい放送してよ。

 

2007年06月29日 久しぶりだねサフィン君

ロブレド・フェラー・チェラダウン、女子ではゴルビン・ガルビン・スキアボーネがダウンした。クレーコートスペシャリストたちがそろそろ消え始めるウィンブルドン4日目である。ヘンマンも負けた。そして、大物食いの森上はサフィーナを撃破、また金星を挙げた。
NHK地上波はサフィンとイワノビッチの試合を中継した。久しぶりだね、サフィン君、なんか動きがゆったりとしていたがそれでもショットの威力で勝つからね。たいしたものだ。これで次の3回戦でフェデラー対サフィンが実現する。あの2005年全豪SFの名勝負再現なるか、でもあっさり終わりそうな予感もするが・・・・熱戦を期待しよう。

 

2007年06月30日 盛り上がる予感

ゴンザレスダウン!ヒンギスダウン!サフィンはフェデラーにTBまでいくものの、最後には力つく。ようやく盛り上がりを見せ始めたウィンブルドン5日目である。この日のNHK地上波はエナンとヤンコビッチ。うむ・・・エナンが強いことは良くわかった。ネットの詰めがさらに速くなっている。「エナンがネットにいます。もういます。」と実況がいていたのが良くわかる。ヤンコビッチは逆転勝ち。まだ圧倒的な力を発揮するまでにはいたらないのか。しかし、今年は盛り上がりそうな気配がするぜ。熱戦を期待しよう。

 

2007年07月01日 シャラポワが見せ付けているもの

雨で、ろくに試合を消化できなったウィンブルドン6日目である。数少ない成立した試合の一つがシャラポワ対杉山戦だった。結果はストレート6-3 6-3 でシャラポワである。まあ順当な結果なのだが、シャラポワってあそこまで強いテニスだったかね。ハートが強いことは良く知っているが、格下相手に圧倒するまでの勢いを感じるとこまで今までは至っていなかったと思っていた。だがいつの間にか強くなっているわ。あれは地位が人を作る典型例だな。シャラポワはトップランカーにふさわしいだけの強さを身につけてしまった。
だが、トップランカーにふさわしいウェアではない。あの天使の羽根をイメージしたビラビラはあまりよろしくない。スタイルの良い人は余計な飾りなしに、シンプルなウェアで、そのスタイルの良さを見せ付けてやった方がいいと思うのだがね。去年の全米や今年の全豪・全仏のウェアは良かったジャン、あの路線が良いと思うぞ、オジサンはそう思うな。うん。

 

2007年07月02日 伝統の中で

ウィンブルドンは伝統を守り続けている一方で変わり続けてもいる。センターコートに開閉式屋根をつける準備工事が始まり、ホークアイも導入した。これらは発展的変更と受け止めている。一方で、全豪・全仏・全米の動向にかかわらず、ウィンブルドンには守り続けて欲しいものがある。日程である。
ミドルサンデーを休みにする事は続けて欲しい。二週間だらだら大会を続けるより中休みがあった方が、メリハリが利いて全体のスケジュールがわかりやすい。特にグランドスラムはドローが多いので、「この試合は二回戦だったかな三回戦だったかな、三日目だったかな四日目だったかな」と記憶があやふやになりやすい。勝ち残った選手全員に共通の休憩日があることもいいことだ。また雨による大幅な予定の遅れが一週目に起こったとき、このミドルサンデーが予備日として機能するという点でもいいことだと思う。
もう一つ、第二週後半のスケジュールは従来通り、火曜日女子単QF、水曜日男子単QF、木曜日女子単SF、金曜日男子単SF、土曜日女子単F、日曜日男子単Fという日程は変えないで欲しい。ドローの多い第一週は仕方がないが、ドローの少なくなる後半は各競技の選手の試合間隔が出来るだけ平等になるようにするべきだ。そして出来るならば中一日の休息を平等に与えるべきだ。より良い試合をしてもらうために。また男女交互にすることで体力に自信のある選手にはダブルスとシングルスのかけもちをしやすくするという利点もあろう。雨天順延、日没順延のより、スケジュールが遅れてこの日程に強引に未消化の試合を組み込まなければならないという事態が起こるのは仕方がないことだ。だが原則はこのスケジュールで進行させるのがもっとも合理的かつフェアであると思う。
ナイター設備は可能ならばつけたほうが良いと思う。だがそれは日没順延を避けるために設置するべきで、ナイターそのものの試合をするべきではない。ナイターゲームとデイゲームでは気温・照明などで条件が違い、それぞれに条件が同じならないと思うからだ。
テニスのトーナメントの運営は客商売なので、客の集まる選手をもっとも大きなコートで、もっとも客の集まる時間帯、TVの視聴者が多い時間帯に登場させたいと運営者なら考える。集客率の高い試合を集客率のいい時間、集客率のいい場所に集めたいという運営者側の理屈はもちろん理解は出来る。全豪も全米の、そのためにどんどんスケジュールを従来の日程から変更させている。だが、商売であると同時に競技スポーツでもあるのだから、選手間の条件が変わってしまうような日程の変更はして欲しくないとも思う。だからせめてウィンブルドンくらいは日程を従来のまま続けて欲しいともう。ウィンブルドンのセンタ-コートに屋根がつくのは日程を守るためという意味で大賛成だし、出来ればナイター設備も設けたほうが良いともう。だがそれは競技条件をフェアにするというために行われるものであって欲しい。ホークアイだって、そういう意味では導入するなら、可能な限り本戦で使用する全てのコートに取り入れるべきだと思う。
ところで変わり行く伝統といえば、いつの間にか男女の賞金額が同額になった。グランドスラムは男子がベストオブ5セットマッチなのに対して女子はベストオブ3セットマッチである。だからグランドスラムの賞金額に関して「同じ競技でセット数が多いのだから男子の方、というより5セットマッチの方が賞金額が多いことは差別ではない」という説を語る者もいる。如空はこの説に関しては一理あると思っているので、グランドスラムに関しては男女の、というより5セットマッチと3セットマッチに差があることは悪いことだとは思っていなかった。だが同額になったからといってそれが悪いとも言わないが。
それより、WTAの女子選手から抗議の声が上がらずに不思議と思っていることがある。グランドスラムでの決勝戦の日程だ。何で女子が土曜日で男子だ日曜日なのか。誰が決めた。女子が日曜日でも良いではないか。レディーファーストとでもいうのか。一番最後がメインイベントだろう。ならば女子の決勝の後に男子の決勝を持ってくるという伝統こそ男女差別で、撤廃するべきじゃないか。一年ごとに順番を入れ替えるとかすればよい。でもそんなこと、女子選手たちは誰も不満に思っていないらしい。賞金額と違って、実利の伴わない事は別に伝統として残しておけばいいとでも考えているのだろうか。
さて、変わらぬままであって欲しいと如空が願う、ウィンブルドンのミドルサンデー、ハースが棄権を表明してフェデラーは不戦勝でQF進出を決めた。期待をしていた試合だけに残念である。いよいよ第二週に突入するウィンブルドン、熱戦を期待しよう。

 

2007年07月03日 森上惜敗

2007全英女子単3回戦
V.ウィリアムズ 62 36 75 森上

あああ、森上、惜しい・・・・雨天順延により二日にわたったフルセットマッチ、一日目の雨天中止直前、第二セットの序盤は森上がペースをつかんでいた。そのため、雨天順延でウィリアムズが息を吹き返すのではないかと心配したが、森上が翌日の試合再開後も好調を維持、第二セットを5-1まで追い込んだ。だがここでヴィーナスが盛り返して、森上がセットを締め切れず、第二セットを取るのに6-3までかかってしまった。あの第二セットの終わり方が第三セットの行方も暗示していたかのように思う。
第三セットも流れは依然森上、リターンゲームでもポイント先行で優位に進めるが、なぜかいつも追いつかれてヴィーナスにサーブをキープされてしまう。それでも終盤ついにブレークに成功し、これで森上が勝った、と思った次の森上のサービスゲームをいきなりウィリアムズがブレーク。5-5でそこからさらにヴィーナスが二ゲーム連取に成功して苦しい試合を乗り切った。迎えたブレークポイントの数は森上の方が多かったのだが、そこで決め切れなかった。押しながらも森上の詰めが甘かったというべきか、ヴィーナス・ウィリアムズの粘りと最後の逆襲をさすがというべきか、評価が難しいところではあるが、強い気持ちと積極的プレーでウィリアムズを追い詰めた森上のテニスは見事であった。
先週の段階でいつの間にかブレークもリュビッチもダウンしていた。男子は月曜日中に三回戦を消化しきれず、スケジュールが遅れている。男子ボトムハーフにしわ寄せが行き、一部ファンからはミドルサンデーを予備日として使わなかったことを運営側は批難されている。四回戦までにスケジュールが追いつくことを願うばかりだ。一方でスケジュールが男子より一日早い女子は順当に四回戦に突入するが、途中ディメンティエワがダウンした。そして調子を上げつつあるセリーナ・ウィリアムズとエナンがベスト8に名乗りをあげ、QFでぶつかる。全仏ではあっさり終わったこの新旧女王対決であるが、今度の対決は果たしてどんな結果になるだろう。熱戦を期待しよう。2007年07月04日 雨に荒れてモーレスモダウン!ヤンコビッチダウン!その上、雨で予定をまたもや完全消化できず。大荒れのウィンブルドンである。
モーレスモを降したのはバイディソワである。フルセットの長い試合だったが、スコアほど競った内容ではなった。モーレスモのトップスピンに慣れないバイディソワが最初ゲームを落とすが、慣れてからブレークバックし、ブレーク合戦の末、第一セットはTBに突入、そこでも最初モーレスモが6-3でリードするのだが、そこでバイディソワに逆転された。雨で何度か中断されて、勢いに乗れないバイディソワは第二セットを落とすが、第三セットはなんと6-1で押し切った。モーレスモがしゃきっとしない試合であった。ヤンコビッチを負かしたのはバルトリである。さて、ライバルたちの途中敗退に、いよいよエナンが生涯グランドスラムに近づいた気配がするが、それを止められる者は現れるだろうか。雨が上がって熱戦が繰り広げられることを願うとしよう。

 

2007年07月05日 変わり行く姉妹

2007全英4回戦女子単
V・ウィリアムズ 61 63 シャラポワ

TVの前から席を立ち、別の用事をしていると、TVのある部屋から野獣の悲鳴のような二人の声が聞こえてくる。音声だけ聞くと女子プロレスの中継にも聞こえた。
シャラポワはサーブ不調、粘り屋の彼女にしては珍しくミスも早い。一方でヴィーナスは柔軟なテニスを展開、サーブの切れも良い。第一セットは当然の如くヴィーナスが6-1で取る。
第二セット、長いラリー、長いディースが序盤で繰り返される。ここでシャラポワが安定してきた。サーブが入るようになった。ストロークに切れが出てきた。強いハートが戻って来た。これはシャラポワが逆転するぞ、思った。だが、ヴィーナスはそれをさせなかった。勢いの付いたシャラポワのショットを切り返し、競り勝って6-3、第二セットも連取、ベスト8の最後の椅子を手に入れた。
ヴィーナスはテニスが柔らかくなった。フットワークが以前ほどどたばたしなくなったし、何より前後の動きがスムーズだ。深い球を打ち返すために瞬時に下がる、短いボールをうまく切り返してネットに出る。今まで長い手足が邪魔になっていたようなところが見受けられたが、今日は終始姿勢を低く保ち、見事にシャラポワとの打撃戦に対応した。動きだけでなくショットも鋭さと柔軟さが増したような気がする。スピンとフラットをうまく使い分けている。またバックハンドではスライスも多用する。特にボールを打つときの音が今までとまったく違う、「ピシャ!」と鞭を打つような音がする。あれはおそらくラケットのチューニングを大分変えたな。ラケットの質か、ストリングの質か、あるいはテンションか、それら全ての複合要素であるだろうけど、昔の打球音と印象がずいぶん違う。今のヴィーナスは思いのほかいいテニスをしてる。

女子単QF
エナン 64 36 63 S・ウイリアムズ

第一セット立ち上がり、緊迫したキープ合戦から、エナンがギアを上げた。ブレークポイントをものにして、ショットに鋭さを増し、6-4の理想的なスコアで第一セット先取した。4回戦のハンチェコワ戦で足を痙攣させたセリーナは動きを心配されたが、その影響は微塵も見せなかった。だがショットには慎重さが見られ、バックハンドは片手のスライスを多用した。試合後に左親指を突き指していて、両手でバックハンドを打ち辛かった事を明かしているが、試合中はそこまで深刻であったとは思えなかった。負傷していたとは思えない堅実なテニスで現女王エナンから第二セットをもぎっ取った。だがエナンはさらにギアを上げることが出来た。第三セットは緊迫した内容であったが、きっちりと締めた。エナンによるエナンらしい見事なテニスであった。意外な事にクレー以外でセリーナに勝利した始めての瞬間であった。
自分のテニスを柔軟に変えつつ、強さを取り戻しつつ姉ヴィーナス。負傷していることを微塵も感じさせずに、弱点を補い、使える武器を駆使して、いつもの自分のテニスとは違うテニスに変えながらも、そのテニスで現女王と競り合う妹セリーナ。勝敗の行方は明暗を分けたが、二人ともテニスを自在に変化させながら、今というこのときにあったテニスをし始めている。かつて無敵を誇り、一時代を築いたこの姉妹のテニスは女子テニスにおける「パワーテニス」の象徴としてみなされ、パワーが衰えると共に、彼女らの存在も薄らいでいった。彼女たち自身のモチベーションも落ちていた。だが、それは変わりつつある。変わっていく自分自身を受け入れるだけの、精神的成長を遂げたというのだろうか。大人になったウィリアムズ姉妹のテニスは、無敵だった昔の彼女たちのテニスよりの格段に美しいし見ていて面白い。願わくはこのまま良い方向に変化し続けて欲しいものである。
遅れに遅れた男子3回戦の残り二試合がようやく終わった。ナダルとジョコビッチがそれぞれ4回戦に進んだ。ミドルサンデーを予備日として使用しなかったことを非難する意見が良くあるが、それだけが遅れた原因ではあるまい。遅れている中断試合であるにもかかわらず、その日のスケジュールのトップにこの三回戦を入れず、先行する女子の試合の後に入れていた。これが長引いた根本的原因だろう。中断された試合は翌日のトップにもって来て、とにかく最優先に消化するべきだった。それをシードに見合ったメインイベントとして扱おうとして墓穴を掘った。中断試合の再開はコートが変わって、トップシードが本来試合をするべきでない観客席の小さなコートにたとえ押しのけられたとしても、すぐに試合再開をするべきではないのかね。そうすればここまで混乱した状況にはならなかったと思うが。
ロディックが二日かかりの4回戦を突破した。マチューに第三セットTBまで持ち込まれ、0-5まで追い込まれたが、そこから逆転で取り戻し、結局ストレートでマチューを下した。サーブが強いくせにTBが弱かったロディックである。この第三セットもマチューにやられて、そのまま大逆転を喰らうのではと心配したが、きっちりと取り返した。地味な部分で強くなっている。全豪での公開処刑のかしを返して、マスターズカップでつかみそこなったマッチポイントを今度こそ皇帝から奪うべく、コナーズと共にロディックは自らのテニスをひたすらに磨く。その先に果たして勝利は訪れるのか。いよいよウィンブルドンも終盤戦である。

 

2007年07月05日 ようやく折り返し

火曜日からNHKはBSで21時〜翌3時までウィンブルドン中継を始めてくれた。でもイマイチ盛り上がらない。雨で進行が遅れているかではなく、女子の試合ばかりだからだ。まともに男子の試合を一試合丸々見ていない。サフィンの試合と、後はロディックとナダルの試合の一部。それが今年見た全英の男子の試合。後は女子ばかり。まだフェデラーを一度も見ていない。なんかグランドスラムが開催されているって感じではないわな。男女ともトップハーフが先行して試合を消化している。おかげでドローが頭の中でこんがらがってきた。整理して見よう。
男子トップハーフのQFは下記の通り。フェデラー対フェレーロ、ロディック対ガスケ、フェレーロがここにいるということに驚いている人は如空だけではないだろう。ブレークを倒してのQF進出である。彼のテニスは好きなのでフェデラー対フェレーロは是非見たい。一方で好調ロディックは若いが曲者の元気ないガスケの朝鮮を受ける。ガスケの思いっきりの良いテニスを堂々と押し切れるだろうか。これも注目カードである。
男子ボトムハーフはまだ4回戦である。ダビデンコ対バクダティス、ヒューイット対ジョコビッチ、ベルディッヒ対ビョークマン、ナダル対ユーズニー、新旧の実力者が一同に会したではないか。どれも見てみたいカードばかりだ。
女子のトップハーフは予定通りSFである。エナン対バルトリ、なんとバルトリがSF進出である。モーレスモが敗れてフランス勢女子は全滅かと思っていたら、バルトリが生き残っていた。さあ、エナンにどんな対抗手段をみせるか、注目しよう。
女子のボトムハーフは遅れてQFである。イバノビッチ対バイディソワ、クズネツォワ対V・ウィリアムズ、こちらも新旧の実力者が顔をそろえた。特にイワノビッチ対バイディソワは今年後半の両者の行方を占う意味で重要な試合となろう。
さあ、そろそろ、ウィンブルドン観戦モードにならないとな。男子も中継してくれよNHK!盛り上げてくれよ選手たち、期待してるぜ。

 

2007年07月06日 激化するバトルオブブリテン

如空の通うスクールでウィンブルドンの話題をしていた時にコーチが言っていた。「今年はウィリアムズが来ますよ。お姉さんの方が。」って。森上戦を見た時まではまさかと思っていたが、先日のシャラポワ戦でひょっとすると思い、そして昨日、それは確信に変わった。

全英2007女子単QF
V・ウィリアムズ 63 64 クズネツォワ

ヴィーナスが本当に来た。ストロークが多彩にして柔軟、ボールが短いとすかさずネットにでて決める。そして必要なときにサービスエースを奪う。攻守共にスムーズで安定している。ストロークの威力はクズネツォワの方が上であったと思うが、総合的なテニスの内容で完全にウィリアムズの方が上回っていた。クズネツォワを上回るほどのテニスをコンスタントに発揮すればその力は十分にエナンをも打倒しうる存在となろう。
そのヴィーナスの準決勝の相手を決める試合がこちらは打って変わって大混戦であった。

イバノビッチ 46 62 75 バイディソワ

流れがはっきりしていた。第一セットはバイディソワ、第二セットはイバノビッチ、そして第三セットはどちらかといえばバイディソワであった。ファイナルセットでバイディソワがマッチポイントを握った。ここで決まると思った。でも決まらなかった。その後も何度もチャンスはあったがバイディソワは決め切れなかった。5-5になって、イバノビッチが先にサービスゲームをキープした。6-5でバイディソワのサービスゲーム、イバノビッチが先行してブレークポイントが来た。当然それはマッチポイントである。バイディソワここでダブルフォールトを犯してイバノビッチに勝利を譲ってしまった。
シャラポワを筆頭にするロシア勢の下の世代はこの東欧勢が台頭することになるだろう。その中でも3強がヤンコビッチ・イワノビッチ、そしてバイディソワである。この三人の内、イバノビッチはやや劣るかなと思っていたが、全仏で決勝進出、そしてこの全英でもSFまで来た。イバノビッチって相手のリズムを崩す何かを持っているかのように思えるな。
これで女子SFは現女王エナン対地味な快進撃バルトリ、蘇る牙V・ウィリアムズ対新鋭イバノビッチである。なかなか個性的な4人がそろったではないか。エナンとウィリアムズが断然優位であろうが、バルトリとイバノビッチは強豪を下してここまで来ているのである。波乱は十分可能性がある。熱戦を期待しよう。
さて男子はまだ4回戦である。そして白熱している。ストレートが一試合もなかった。
バクダティスがダビデンコを突破、ベルディッヒがビョークマンを撃破、ナダルは2セットダウンからの大逆転でユーズニーに勝利、ジョコビッチは3度のTBを乗り切り、ヒューイットを退けた。ヒューイットはこの試合4セット全てで6ゲーム以上取っていたことになる大接戦であった。
これで男子もようやくベスト8がそろった。土曜日は女子の決勝と男子のSFが行われるスーパーサタデーになる。金曜日も女子のSFと男子のQFというスーパーフライデーだ。男子単QFの組み合わせは、フェデラー対フェレーロ、ロディック対ガスケ、バクダティス対ジョコビッチ、ベルディッヒ対ナダル、である。なんかボトムハーフは若いな・・・世代交代の波をひしひしと感じるぜ。この四人、誰が決勝への切符を握ることになっても不思議でない。それでも次世代NO1候補とはまだ呼べない。フェデラーを倒さない限りNo1への道は開けないからだ。果たして芝の上で皇帝を倒しうる存在は現れるのか。フェデラーは今回も守りきれるか。そのフェデラーが先行してQFをフェレーロと戦っている。5-5で雨天中断となった。おお、芝でフェレーロがフェデラー相手に5-5まで持ってきている。いいぞフェレーロ、皇帝を攻め立てろ。迎え撃てフェデラー。
雨続きでいらいらしたが、溜まっていた分、一気に盛り上がって来たじゃないか。いいねえ、男子も女子も熱戦ばかりじゃないか。フェデラーはタイトルを守り5連覇なるか、エナンの生涯グランドスラム達成なるか。バトルオブブリテンがいよいよ激化する。試合予定が変更になったので、NHKの放送予定も大きく変わるかもな、要注意である。

 

2007年07月07日 ウィンブルドンのもっとも長い1日

全英2007女子単SF
バルトリ 16 75 61 エナン
V・ウィリアムズ 62 64 イワノビッチ

エナンダウン!まさかバルトリに足元をすくわれるとは思わなかったろう。バルトリは第二セットの競り合いを制して、そこでつかんだ流れをそのまま第三セットでも維持した。これは見事な逆転劇である。一方でヴィーナスはイワノビッチを一蹴、こちらは逆にもう少しイワノビッチが骨のある抵抗をするかと思ったが、そうはならなかった。これで女子決勝はバルトリ対V・ウィリアムズとなった。この組合せを予想できた者はいるまい。

全英2007男子単QF
フェデラー 76 46 61 63 フェレーロ
ナダル 76 64 62 ベルディッヒ
ガスケ 46 46 76 76 86 ロディック
ジョコビッチ 76 76 67 46 75 バクダティス

フェレーロは芝で大健闘であった。第一セットはTBまでもって行き、第二セットは奪取に成功したのだから、今年は期待できるのではないか。ナダルは連戦のわりには万全のテニスである。スーパーサイア人のごとく、死闘を経れば経るほど強くなる男なのか。そしてロディックシードを守れずにダウン、なんと5つのセット全て6ゲーム取っているのに負けてしまった。この競り合いを勝ちきるガスケという男、彼もまた台頭の足がかりとするだろうかこの勝利を。そしてジョコビッチもフルセットの末、バクダティスを下した。こちらも大接戦だった。
これで男子決勝はフェデラー対ガスケ、ジョコビッチ対ナダルである。この大接戦が連続するウィンブルドン後半、SFも更なる激闘が繰り広げられるのだろか。ウィンブルドンでもっとも長い一日が終わった。いよいよ決戦が近づく。

 

2007年07月08日 芝の上で再び手に入れた王座、再び訪れる対決

全英2007女子単決勝
V・ウィリアムズ 64 61 バルトリ

ファーストの入りが悪いものの、それほどバルトリの調子が悪いとは思わなかった。むしろ、途中で足の故障が再発したのはヴィーナスの方で、長引いていればどうなっていたかわからないかもしれない状態だった。だが総じてヴィーナスの方が良いテニスをしていた。ディースの場面も多かったが、ピンチをしのぎ、チャンスをものにした。チャンスが来るまで、バルトリの強いストロークをしのいでよく我慢した。ネットアプローチに対してバルトリがロブで揺さぶり崩しにかかったが、崩しきれなった。圧倒的な強さを発揮したわけではないが、相手と状況に応じてそのつど適切なテニスを展開した。そして大事なところでビックサーブは健在であった。二年ぶり4回目のウィンブルドン優勝劇であった。

全英2007男子単準決勝
フェデラー 75 63 64 ガスケ
ナダル 36 61 41(def) ジョコビッチ

前日のフルセットマッチの激闘の影響をモロに引きずっていたガスケとジョコビッチはSFで力尽きた。特にジョコビッチはナダル相手に第一セットを先取したにもかかわらず、その後失速し、棄権をせざるをえない状況になった。シード1・2にではなくウィンブルドンのSFに初進出した若い二人に雨天順延の影響が出てしまった。残念である。QFで名勝負を演じただけに、その底力がナダルとフェデラーをもっと苦しめるかと思ったが、実際は想像を超えるほどのタフな状況であったようだ。
様々な波乱があったが結局、運命はフェデラーとナダルを再び芝の上の決勝対決に導いた。結果は去年と同じになるだろうか。少なくとも芝の上でのナダルの存在は去年より強い。フェデラーが勝利するためには去年以上のテニスをしなくてはならないが、今の皇帝にはそれは可能だろうか。いよいよ、男子も決勝戦である。熱戦を期待しよう。

 

2007年07月09日 史上最大の作戦の始まり

去年のことである。ナダルが語っていた。「僕はATPの歴代No1に比べて遜色ないポイントを稼ぎ出している。それなのにフェデラーがいるためにエントリーランキングでNo1になれない。」と。コートで見せるあの自信に満ちた不敵な表情からは想像できないネガティブな発言に彼なりの苦悩が感じられる。それほどの男なのである、フェデラーは。去年歴代史上最多ポイントを稼ぎ出したATPに君臨する圧倒的強者、如空が皇帝と呼ぶATP史上最強の王者ロジャー・フェデラー。
そのフェデラーを今ナダルが射程圏内に捕らえつつある。
二強によるグランドスラム決勝での4度目の対決、ここでナダルがフェデラーの全英連破を阻止すれば、今年一月からの累積ポイントであるチャンピンズレースで堂々の一位を走るナダルは年間最終ランキングNo1に大きく近づく。それはこの数年間、ATPを支配続けてきた皇帝の覇権を大きく揺るがすことになる。フェデラーは果たしてこの危機を乗り切ることができたのか。迫り来る眼下の敵ナダルに如何に立ち向かったのか。

2007ウィンブルドン男子単決勝
フェデラー 76 46 76 26 62 ナダル

第一セット第一ゲーム、フェデラーはサーブの力でナダルを押し込む。そして、ナダルのサービスゲームでは多彩な攻めでナダルを翻弄、40-0からポイントを連取しブレークポイントを握る。案外ディースを奪ったのはフェデラーの方である。2-0でフェデラーが先行する。今日のフェデラーはバックハンドのクロスにキレがある。深い球をライジングで切り返し、角度のあるコーナー深くを射抜く。一方でナダルはサーブのキレが徐々によくなっていく。ネットへのつめも早い、3-0にされてからラブゲームでサービスゲームを一つキープした。3-1にして、次の第5ゲームでナダルがブレークポイントを握る。互いに信じられないコースを抜き合うパッシング合戦にナダルが勝利し、ナダルブレーク成功、3-2となった。ナダルのパスにキレが出始めた。フェデラーがネットに出ると抜かれ始める。だがフェデラーはサーブの力で乗り切る。共にストロークのレベルが上がる。一発で決まらない。ウィナー級のショットが交互に入り乱れ、白熱のラリーが続く。緊迫したキープ合戦はTBへと突入する。ナダルにミスが出る。6-3までフェデラー先行する。セットポイントで一度はフェデラーが決めたかと思われたがホークアイのチャレンジでナダルの抗議が受け入れられやり直し、フェデラーのフォアの逆クロスがネットして6-6となった。次のセットポイントもナダルがしのいだ。だが三度目のセットポイント、ナダルが必死に追いついたスライスを、ネットまで一気に詰めてバックハンドボレーをワイドに叩いて決めた。第一セットはTBを8-6でフェデラーが取る。
第二セット、長いラリーではナダルが取る、フェデラーはネットに出てナダルを攻め立てる。それをナダルがパスで抜く。ラリーでフェデラーを追い詰めるとナダルもネットに出る。だがフェデラーもまた負けずに抜き返す。ツアートップレベルのショットの応酬が繰り広げられる。緊迫したキープ合戦、第6ゲームで0-40のブレークポイントがナダルに来るが、3連続サービスエースで挽回するフェデラー。キープして3-3となった。さらにキープ合戦で5-4になった第10ゲームで、再びフェデラーはナダルにつかまった。転倒際のバックハンドがオンコートでナダルにブレークポイントが来た。これがセットポイントとなる。ナダルのパスを返しきれないフェデラー、6-4でナダルが第二セットを取った。
第三セットはキープ合戦、TBは7-3でフェデラーが取る。その過程の12のゲームはどれもスーパーショットの応酬であった。
第四セット、いきなりナダルのブレークで始まる。さらに第三ゲームでもナダルがブレーク。フェデラーの歯車が少し狂っている。フェデラーがいらいらしてチャレンジシステムの結果について珍しく主審に噛み付く。4ゲーム連取でナダルの4-0になる。そこからフェデラーも落ち着きキープ合戦となったが、フェデラーは挽回にいたらず、6-2でナダルが第四セットを奪取し、2セットオールに試合を戻した。ここまでナダルは4セット連続で6ゲーム取っているのである。だがナダルはトレーナを呼び足のさかんに調整していた。ここまでの連戦がここにきて響きだしていた。
最終セット、第三ゲーム、先にブレークポイントを握ったのはナダルであった。ここでストローク戦の中からフェデラーはポイントを連取してキープに成功した。第五ゲームでもナダルにブレークポイントが来た。だがそこでサービスポイント二本、連続ポイントでフェデラーピンチ脱出、さらにストローク戦で押し返してキープに成功した。ナダルはウィンブルドン初優勝への貴重なチャンスを手放してしまった。逆にフェデラーは次のナダルのサービスゲームでブレークポイントを握ると、ストローク戦を制してブレークに成功した。ストローク戦に負けるようになればナダルに勝ち目はない。第八ゲームもブレークされ、ファイナル6-2、ナダルは今年も決勝の芝のコートに沈んだ。最後はスマッシュで決めた。大事なポイントではあくまで攻めに徹した、フェデラーの見事な勝利であった。

 


5連覇を成し遂げたフェデラーの胸中は如何に。ナダル相手に芝の上でフルセット、取ったゲーム数はまったく同じという状況にまで追い上げられていた。ファイナルセットこそ、疲労からか雑なプレーでチャンスを潰してしまったが、ナダルは手ごたえを感じていることだろう。クレー以外でもフェデラーをとらえられると。全豪・全英を取ったフェデラーは後半戦を去年同様走り抜ければ、当然No1となろう。だがそれをフェデラーは自ら信じられるか。背後にナダルの足音が聞こえてきた。ナダルだけではなく、ジョコビッチ・バクダティス・ベルディッヒ・ガスケらフェデラーの下の世代がようやく台頭してきた。彼らの成長は驚異的だ。ある日突然化ける。ある日突然、それは全米の舞台かもしれない。あるいはマスターズカップかも知れない。そしてヒューイットとロディック・フェレーロという元王者たちも、静かに復活しつつある。まだハンブルグしか取れていないマスターズシリーズをフェデラーは今年後半で取り返せるだろうか。はっきり言って、このウィンブルドンは天候によるスケジュールの混乱がフェデラーに有利に働いた。後半戦のハードコートの上でもその強運は味方してくれるだろうか。あるいは自力で今年も磐石の覇権を確立するだろか。それともナダルたちエントリーランキングNo2以下の連合軍の前に覇権を崩されるのか。今年後半、史上最強の王者をNo1から引きずり下ろすという史上最大の作戦が開始されようとしている。そんな予感をひしひしと感じさせる2007年ウィンブルドンであった。

 


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