テニスのお寺  電脳網庭球寺

 

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青が散る

 

 

 

青が散る テニス名場面集 おまけ

 

すみません、最後にテニスとは関係ないが、感動のラストシーンを。

「『お母さんに言わせるとねぇ、私、もう傷物らしいわ』
『傷物って何や。夏子の何処に傷がある。夏子は傷物なんかと違うよ。』
『燎平、私みたいな傷物はいや?』
自分と夏子との間に見えない扉があって、長い年月をかけてやっと到着した夏子が、それを柔らかくノックしている。」

最後の名シーン、雪の中夏子と燎平の二人、ついに夏子が燎平に心を開く。しかし、燎平はそんな夏子を受け入れられず、結局二人は別れていく。上記の文章はかなり中略してあるので、ぜひ原文を読んでみていただきたい。小説家としての宮本輝の力量が存分に発揮されている。ストーリー展開といい、人物の背景といい、文章力といい、抜群だが特にこのラストシーンは素晴しい。
冒頭と山場、そしてラストと小説の構成で重要な部分は多々あるだろうが、どんな素晴しい小説もラストでの終わらせ方がいまいちのものが多い。最後の数ページを読まなくても充分という小説も少なくない。しかし、この「青が散る」のラストは抜群だ。読み終わった瞬間ボーっとしてしまい、ラストだけ何度も読み返してしまう。
宮本輝の他の作品の評価は玉石混在だが、デビュー作のこの「青が散る」はあらゆる面で素晴しい名作である。

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